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2018年6月 9日 (土)

ブラームス ドイツ・レクイエム シュナイト指揮

Hibiya_1

日比谷公園の中庭。

色濃い新緑が美しく、今年、早かった紫陽花も、この品種はちょうど見ごろ。

日本が梅雨に入る前、5月28日、ハンス=マルティン・シュナイトさんが亡くなりました。

享年87歳。

2009年に引退してドイツで静かにお過ごしだった。

神奈川フィルの音楽監督としてのシュナイトさんをたくさん聴くことができたことは、私の音楽生活のなかでも、とりわけ大きなものを占めるものです。

その神奈川フィルとの音源は、また機会をあらめて取り上げることとして、今回は追悼の気持ちをこめて、ドイツ・レクイエムを。

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  ブラームス  「ドイツ・レクイエム」 op.45

      S:平松 英子    Br:河野 克典

  ハンス=マルティン・シュナイト指揮 シュナイト・バッハ管弦楽団
                        シュナイト・バッハ合唱団
            コンサート・マスター:荒井 英治

                     (1999.10.28 東京芸術劇場)

   S:平松 英子    Br:トーマス・バウアー

  ハンス=マルティン・シュナイト指揮 シュナイト・バッハ管弦楽団
                        シュナイト・バッハ合唱団
            コンサート・マスター:石田 泰尚
            協力:神奈川フィルハーモニー

                     (2008.4.25 東京オペラシティ)


ふたつのシュナイトさんのドイツレクイエム。
このうち、2008年の演奏会は、私も聴きました。
さらに、2007年の神奈川フィルの定期演奏会における、この曲の演奏会も聴くことが出来ました。

1997年に、東京フィルハーモニーのメンバーと協力のもと、設立されたシュナイト・バッハ管弦楽団。
毎年、日本にやってきて、この楽団と、バッハ、ヘンデル、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンと、独墺系の声楽作品を指揮。
 同時に、神奈川フィルへの客演も2001年頃からスタートさせ、年間2プログラムを指揮。そして、2007年から9年までは、音楽監督として在任。
思えば、音楽監督時代の3年間しか、私は聴くことができなかった。
もったいないことをしたものです。

幼少より聖トーマス教会の合唱団でスタートし、バッハの神髄を身につけ、さらには、カール・リヒターの急逝のあとの、ミュンヘン・バッハ管弦楽団の指揮者となった本物のドイツの宗教音楽の大家。
そればかりでなく、バイエルン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ヴッパタール劇場では総監督も、といった具合に、オペラ指揮者としても活躍をしていた。
以前に、幣ブログでも書きましたが、ヴッパタールでは、「ニーベルングの指環」も手掛けているんだ。

ドイツ音楽の伝統を受け継いだシュナイトさんの日本への思いは、暖かく、そして、日本人への見方もある意味的確だった。
いろんなもので読んだことの集約ですが、仏教が中心ではあるが、八百万の神がいる日本では、日本人はキリスト教もそのなかの一つ的なところもあって、宗教音楽への一次的なフィルターがなくまっさら、ゆえに指導のしがいがあった。
最後の演奏会で、シュナイトさんが語られました、世界は争いが絶えないが、日本人の仏教の心が平和を実現するのではないか。。。という言葉が印象に残る。
 そんな風に、日本を愛してくれたシュナイトさん。

氏の音楽には、「歌」と「祈り」が必ずその基本としてありました。
きれいなピアニシモにもこだわり、そこにも歌心が。
そして南ドイツ人らしい、明るい音色を好みました。
そして、指揮する後ろ姿には、いつも祈っているような、そんな印象が。

   ---------------

ルター訳の聖書からの聖句を用いたブラームスの「ドイツ・レクイエム」に、ルター派のシュナイトさんはとりわけ大きなシンパシーを感じていました。

99年の演奏と、08年の演奏、真摯な音楽への取り組みと、言葉ひとつひとつを大切に、そしてその意味をよくよく歌いこむ丁寧さ、さらに全体の明るい基調など、ともに共通したすばらしさです。
ただし、ふたつの演奏で、大きく違うのは、演奏時間。
99年(68分43秒)、08年(75分31秒)。
わたしの聴いた3年間は、シュナイトさんのとるテンポは、いずれも遅めで、この2つの演奏タイムを見ても、後年の演奏スタイルであったわけだが、年を経て、テンポが遅くなることは多くの指揮者にあること。
しかし、シュナイトさんの音楽は、掘り下げが、より入念に、より緻密になり、結果として、音のひとつひとつが、祈りの中に凝縮されるような感じが、いつもしていました。

99年盤は、全体に覇気もあり、張り詰めたような厳しさがあるが、08年盤の方は、合唱とオーケストラの精度がさらに向上。ホールの違いもあって、録音も素晴らしい。
そして、聴いていて音楽と自分の呼吸感が、次第に同化していって、いつしか清らかな気分に満ち溢れる、そんな感動に包まれるのが08年のシュナイトさんの優しいまなざしの「ドイツ・レクイエム」。

日本を、横浜を愛してくれてありがとうございました。
シュナイトさんの魂が永遠でありますこと、お祈りいたします。

演奏会観劇記録

神奈川フィル

「ブラームス ドイツ・レクイエム」
「ブラームス ヴァイオリン協奏曲、交響曲第2番」
「ブリテン シンプルシンフォニー、プルチネルラ、ベートーヴェン1番」
「ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲、ブラームス 交響曲第4番」
「未完成、4つの最後の歌、死と変容」
「ハイドン 熊 、田園交響曲」
「ブルックナー ミサ曲第3番」
「ブラームス セレナード第2番 、シューマン 交響曲第2番」
「ブラームス 交響曲第3番 、ヒンデミット 画家マティス」
「ブラームス 二重協奏曲 、交響曲第1番」
「ブラームス 悲劇的序曲、哀悼の歌、運命の歌、ブルックナー テ・デウム」
「ブラームス ハイドン変奏曲 シューマン チェロ協奏曲 ライン」
「シューマン マンフレッド、ピアノ協奏曲、交響曲第4番」

その他のオーケストラ

「魔笛、トルコ風、シューベルト 交響曲第9番」 仙台フィル
「ブラームス ヴァイオリン協奏曲、田園」 札幌交響楽団
「ブルックナー 交響曲第7番」 ジャパン・アカデミーフィル
「ドイツ・レクイエム」 シュナイト・バッハ管弦楽団
「ヨハネ受難曲」 コーロ・ヌオーヴォ
「ミサ曲 ロ短調」 シュナイト・バッハ管弦楽団

どのコンサートも、ひとつひとつが忘れがたい演奏。
神奈川フィルには、私が聴けなかったものが10回以上。

わたくしにも、神奈川フィルにも、ひとつの時代でした。

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コメント

アイン・ドイッチュ・レクイエム
おれっち最後のコンサート
県立音楽堂 横浜交響楽団 指揮は小船幸次郎亡きあとの手塚さんだったな 補聴器つけてのふ
ま、しかし、ま、旋律はわーすれたのふ

たしか、九州交響楽団の指揮者 石丸さんだったかな
お亡くなりになるまえにこの曲に随分こだわってましたね
不治の病にかかってましたからのふ

あたくしもいずれ失聴 てんでブルマーはついぞアイーンとはいきませんでしたのふ

38番プラハなんとかインチキ楽譜アナリーゼやっとこクリア こんどはなにすんべ

ブラームス第一交響曲楽譜インチキアナリーゼやりもうしたが ありゃぁ、悲惨でしたなぁ じぇんじぇんダメ
なんとかやれんのは第3楽章だけ
音符のタマタマが複雑怪奇でのふ いやはや
ブラ2番交響曲お気に入りなんだが
楽譜の面もこんな感じなんかのふ 

投稿: 真坊 | 2018年6月12日 (火) 21時55分

石丸さんの、コーヒーのCMとともに、ドイツレクイエムにかけた思いをよく覚えております。

投稿: yokochan | 2018年7月 1日 (日) 11時12分

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