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2018年9月17日 (月)

元祖 8番はこれ!

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キバナコスモスの群生。

忙しい気象に、自然の猛威に、同じ自然の仲間の花々も、調子を乱しがち。

サイクルがみんな早くなってしまった。

 音楽界も、好まれる音楽、コンサートや劇場で取り上げられる作品、好んで録音され、CDも売れる作品、そのあたりの変遷が、ここ数年際立って変貌してきていると思われる。

ヴィヴァルデイから、バッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルトまでは、古楽的な演奏様式が多くなり、通常のオーケストラスタイルでは取り上げられにくくなり、古楽に通じた指揮者がピリオド奏法を活用して、その任にあたったりするか、古楽オーケストラでしか聴けないような、そんな風潮。

常設のオーケストラコンサートの、メインは、いまや人気曲の常連、マーラーやブルックナー、R・シュトラウスを主体とする、20世紀以降の大規模かつ、自己主張の多い作品ばかり。
古典系の作品は、それらの前座を務めるばかり。

いまや、8番といえば、ドヴォルザーク、ブルックナーかマーラーが人気。

わたくしの時代では、8番は、ベートーヴェンとシューベルト。
ドヴォルザークでさえ、ちょっとあとからたしなみました。

そんな当時の8番には、これ!っていう定番がありました。
今日は、なつかしい、その定番を。

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ベートーヴェン 交響曲第8番 ヘ長調 op93

    ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
              ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

             (1968年9月 ウィーン ゾフィエンザール)


 60年代、ウィーンフィル初のベートーヴェン全集の指揮者は、ハンス・シュミット=イッセルシュテット。
ドイツ本流の渋い指揮者を起用したデッカに感謝しなくてはなりません。
そして、日本では、8番の名演奏として広く知られるようになったのも面白いことです。
 キビキビとしたリズミカルな演奏に、慣れてしまったいまの耳には、とても新鮮に聴こえる構えの大きい演奏で、若い方には、逆におっとりとしたイメージもあるかもしれません。
でも、7番と9番とにはさまれた8番の存在意義を、音楽そのものの力で、ごり押しすることもなく、すんなりと聴かせてくれる。
そして、よくよく聴くと、いまもって高音質の録音のよさも手伝って、各楽器がそれぞれ見通し良くよく聞こえる。
バランスの良い、端正なこの8番の演奏の魅力は、あとウィーンフィルの音色にもあります。
60年代のウィーンフィルは、現在のスマートすぎるグローバル化したウィーンフィルよりも、適度に鄙びていて、木管楽器ののどかな響きなど、懐かしい思いにさせてくれる。
イッセルシュテットのベートーヴェンは、どの番号も均一に素晴らしいです。
1970年のベートーヴェン生誕200年の年に、読響に来演し、第9とミサソレを指揮してますが、第9を日本武道館で演奏するという驚きの企画でもありました。

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さて、ベートーヴェンの次はシューベルト。

  シューベルト  交響曲第8番 ロ短調 「未完成」

     ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニック

              (1958年3月 ニューヨーク)

  
いまや、シューベルトの8番は、9番の「ザ・グレート」になり、「未完成」は、7番なんて風になったりしちゃったりで、ワタクシには、もうさっぱりわかりません。
ですから、ともかく、わたくしには、シューベルトの8番は断然「未完成」なのであります。
 「未完成」のわたくしの刷り込み演奏は、初めて買ったレコードがミュンシュ盤。
いまでも、一番好きな演奏のひとつですが、ずっと後になって聴いたのが、これも名盤といわれるワルター盤。
コロンビア響でなく、ニューヨークフィルであったことで、幽玄で、ほの暗いロマンティックな響きにおおわれていて、遠い昔の日々を懐かしむような想いにさせてくれる。
それでいながら、死の淵をかいまみるようなデモーニッシュな表現もあって、ワルターという指揮者は柔和なばかりでなく、そうマーラーの時代の人でもあって、いろんな新作を手掛けてきたオペラ指揮者であるといこともわかります。
 歌心と、厳しさと、その両方が2つの楽章の25分間にしっかりと詰まってまして、最後にはとても優しい気持ちになれるので、就寝まえの夜更けた時間にお酒でもくゆらせながら聴くのがよいと思います。

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このワルター盤、今持つCDは、同じシューベルトの5番とのカップリングですが、レコード時代は、「運命・未完成」の典型的な組み合わせの1枚でした。

どちらの8番も懐かしい~な。
Kibana_3 

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コメント

イッセルシュテットのベートーヴェン。今でも聴いています。
安心して聴ける名演だと思います。
イッセルシュテットは中庸で個性がないと言われますが、
それが逆にウィーンフィルの音の良さを引き出していますね。
ワルターの未完成も大好きな演奏です。
ワルターは当時ニューヨークフィルと演奏会があって、
演奏会後に録音したらしいです。

投稿: よしお | 2018年9月18日 (火) 19時04分

よしおさん、こんにちは、いつもありがとうございます。
ウィーンフィルのベートーヴェン録音の原点、イッセルシュテット、おっしゃるとおり、安心の名演で、オケの魅力がとても味わえますね。
その後のベーム、バーンスタイン、アバドまでがウィーンフィルの魅力が満載。その後は?的に思ってます。
ネルソンスがどんな音色を引き出すか、楽しみです。

ワルターのシューベルト、コロンビア以外の東海岸での録音が残されたことがうれしいです。
歴史のもしもで、ワルターとウィーンフィルのベートーヴェン全集が残されていたらどうなっていたでしょうね。
妄想も音楽の楽しみのひとつです。

投稿: yokochan | 2018年9月24日 (月) 22時54分

いつも返信ありがとうございます。
クラシック音楽の面白さは、
オリジナルの演奏がないことです。
なので、同曲異演盤の聴き比べも楽しいです。
フルトヴェングラーもウィーンフィルと
ベートーヴェンの交響曲全集を残して欲しかったですね。

投稿: よしお | 2018年9月29日 (土) 19時35分

よしおさん、こんにちは。
もうロートルの聴き手には、聴き飽きてしまったと思われる通俗名曲でも、なんでも、聴けばみんな楽しく、いろんな思い出が蘇ったりします。
かつて親しんだ演奏を、いままた聴くのも、過去の自分に出会うような喜びもあります。
そして、また違う演奏を聴いて、いまを確認したりすることもできる訳で、音楽の楽しみは無限であります!

投稿: yokochan | 2018年9月30日 (日) 17時40分

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