フランク 交響曲 カラヤン指揮
ふつうのコスモスと、キバナコスモスがいっしょくたに咲いてたので、適当に撮ってみました。
こうした混合ミックスも美しいもんです。
フランク 交響曲 ニ短調
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 パリ管弦楽団
(1969.11 @サルワグラム、パリ)
自分にとって懐かしの1枚。
小学生高学年のときだったと思う。
テレビで、N響の演奏会でフランクの交響曲を聴いた。
指揮は、岩城宏之か、森正だった。
1楽章の循環しまくる主題がカッコいい、3楽章までしかない交響曲の、その3楽章の明るい主題もカッコいい。
そんな風にして、フランクの交響曲に目覚めた。
ほどなく中学生になって発売された、カラヤンのレコード。
親にせがんで買ってもらった。
当時は、カラヤンが大好きで、ワーグナーも好きだった。
友達からは、「カラグナー」と呼ばれた。
アンチ・カラヤンに転じたのは、高校時代になって、アンチ巨人になったと同じような反発心からだったかしら・・・
このレコード、擦り切れるほどに聴いた。
ダブルジャケットだったけれど、紙質は薄っぺらいものだった。
でも、いい匂いだった。
その匂いとともに、カラヤン初のパリ管のフランクの響きが、ずっと脳裏に残って、いまに至る。
CD化された初期のもので、久しぶりに聴く。
匂いは、ここにはないが、同じ響きがよみがえってきた。
ん?
でも、なんだか重すぎやしないか?
パリ管の瀟洒な響きを期待すると裏切られる演奏であることは、ずっとイメージとして持っていた。
でも、右側から聴こえてくる低弦が重い。
EMIの録音のせいも多分にあると思うが、やはりカラヤンの指揮によるところも大きいのだろう。
過去記事をご覧いただければお分かりになると思いますが、ワタクシ、フランクの交響曲フェチなんざんす。
手放してしまったものも多いが、通算25枚ぐらいは揃えたと思う。
おもしろいもので、この作品には、ベルギーやフランスのオーケストラによる地元系やローカル系のCDも多い。
ちなみに、ロンバール(ボルドー)、プラッソン(トゥールーズ)、バルトロメイ(リエージュ)、ノイホルト(フランダース)、ベンツィ(アーネム)、デゥトワ(モントリオール)、なんかがそうです。
そうした演奏を主体に好むようになってきたから、余計にカラヤンの演奏が、「重い」と感じるようになったのかもしれない。
カラヤンは、このカラヤン向きと思われるフランクの交響曲を1度しか録音せず、ベルリンで演奏したかどうかも不明です。
独特の陰りと、響きの豊かさ、輝かしさも持ち合わせるこの交響曲は、カラヤンの得意とするところであるはずなのですが。
パリ管の初代芸術監督、ミュンシュの急逝で、1969年から2年間、その任にあたったカラヤン。
その第一弾が、ドビュッシーやラヴェルでなく、フランクであったことが興味深いです。
そう、指揮者とオーケストラ、両方の持ち味が活かせる選曲であったに違いありません。
重低音の弦から、きらびやかな木管などの広域まで、ピラミッド型の安定感ある、それこそ重厚な音楽づくりのカラヤンのもと、オーケストラは、指揮者の厳しい手綱から、ちょこっとはじけるようにして、各奏者たちが随所に名人芸を聴かせる。
そこが、あまり多く録音を残すことがなかった、このコンビの面白いところかもしれません。
オケがベルリンだったら、曲がベルリオーズだったら、という想いは置いておきましょう。
かなり深刻だけど、大きく構えたカラヤンのカッコよさが引き立つ第1楽章、そして年を経て聴く、2楽章のこの演奏の素晴らしさは、パリ管ならではだし、終楽章の最後の輝かしさは、やはり素晴らしいものがあります。
パリ管は、プレートルとボドに補佐されながら、カラヤンの次はショルティ、バレンボイム、ビシュコフ、ドホナーニ、エッシェンバッハ、ヤルヴィときて、ハーディングです。
フランス系の自国の指揮者が一度もその首席にはなっていない。
そして、いいコンビのハーディングも、パイロットになる彼の夢のための指揮者卒業で終了。
首席客演はヘンゲルブロック。
どこへ行くパリ管。
フランク交響曲 過去記事
「バレンボイム指揮 パリ管」
「バルビローリ指揮 チェコフィル」
「コンドラシン指揮 バイエルン放送響」
「ノイホルト指揮 フランダースフィル、ベンツィ指揮 アーネムフィル」
| 固定リンク
コメント
またお邪魔いたします。カラヤンに関しては何故かクラシックに蒙を啓かれた当初からアンチで、それでも一度はと思い往復葉書の抽選に当たったので'73年のNHKホールでの浄夜とエロイカを聴きましたが、結局それが唯一の機会で宗旨替えには至りませんでした。野球は60年近くの永きに渡りG党ですが!?
パリ管もバレンボイムとビシュコフで複数回接しましたが、特にビシュコフと初来日の「ファウストの劫罰」は秀演と感じたのですがその後はもう一つだったようで。やはり指揮者とオケの相性ってものは一筋縄でいかないものかと。
フランクは高2の頃、フルトヴェングラーのデッカ盤(ロンドン不滅の名盤シリーズ)が最初かと。あのMZシリーズ(¥1200!)は、ワルター「大地の歌」やE.クライバー「田園」でもお世話になりましたが、正直フルトヴェングラーのは余りに重々しく、素直に愉しめませんでした。ところがその後様々な演奏に接し、今ではフランス系(と決めつけるのも?)交響曲では最も好む作品となりました。冒頭のOp.135の引用もですが、一楽章中間のOp.131からの楽句に心震えます。
で、結局一番の気に入りはモントゥーとシカゴ響のRCA盤です。LP時代は音が良くないとの評価でしたが、現行のベトルーシュカとの組み合わせは十分かと。近年とみにモントゥーの至芸に感服することしきりなのですが、タイムマシンありせば'63年の大阪国際フェスティバルに馳せ参じたいものです。まあ、当たり前ですが詮ない夢ですね…。
投稿: Edipo Re | 2019年9月16日 (月) 13時54分
Edipo Re さん、こんにちは。
アンチカラヤンを貫きとおしたのですね!
73年の往復はがきは、わたくしも出しました。
トリスタンが聴きたかったのですが、ハズレ。
ちなみに、75年のベームの往復はがきもハズレ、同時来日のムーティは簡単に当たりましたが。。。
パリ管の指揮者は、いつまでもなかなかうまくハマらないですね。
バレンボイムのベルリオーズシリーズは好きだったのですが。あのオケは、小沢さんあたりがよかったのですが。
あとMZシリーズ、懐かしいです。
あのグレー調の渋いジャケットで、ご指摘のクライバー、あとシューリヒトなどなど。
そして、まだ未聴の「モントゥー盤」俄然聴きたくなりました。
コンサートホールソサエティの会員だったものですから、晩年のモントゥーの録音をかなり聴きましたが、ハンブルクとのモーツァルト35/39とか、ワーグナーなども、大好きな演奏です。
投稿: yokochan | 2019年9月18日 (水) 09時08分
実は'75年のベームも抽選に当たり、ブラ1の2日目を聴きました(スミマセン)。さほどクジ運は強くなかったのですが。あ、でも十数年前、同じ年の春と秋に宝くじで十万ずつ当たったのに二度とも直後に固定資産税(四半期分)の督促状が来て、ほぼ同額を持ってかれましたからやはり行って来いかも…。
'87年にバレンボイムとパリ管の最終公演で、大ノリのバレンボイムがアンコール8曲(カルメン前間奏曲全部、チャイ5ワルツ、ルスラン序曲、ロザムンデ間奏曲、夏の夜の夢スケルツォ)の後、オケも解散した後のピアノに向かい楽興の時を一曲なんてことが。カルメン二幕間奏の最後の和音に合わせて楽員が「C'est fini!」と唄ったのも意に介さずでしたが、サントリーホール関係者はカンカンだったとか(笑)。ちなみに打ち上げでバレンボイムはご機嫌でウォッカを何杯もイッキ呑みしてたと。パリ管としても最良の時代だったのでしょうか。
その晩の前プロにサン・サーンス3番があったのですが、数週前Eテレで父ヤルヴィがフランクと組み合わせているのを視聴しました。フランクが前プロでしたが、個人的には逆にして欲しいなと。バレンボイムは法悦の詩をメインにしてましたが。まあでも演奏効果を考えると致し方なしですかね。ただ、サン・サーンスはどうも「面白うてやがて虚しき」感があるものですから…。
投稿: Edipo Re | 2019年9月18日 (水) 14時24分
1975年にNHKが招聘したウィーン-フィル。ベーム翁の指揮が東京公演のみで、『レコード芸術』1975年5月号の『読者投書箱』に、このような素晴らしい機会を、首都東京の催しにとどめるNHKの意図に疑問を感じる旨を御表明の投書が在ったような、覚えがございます。
ところで下世話な話題かとは存じますが、ベームとムーティとでは、チケット代に差が付けられてありましょうか。AltusのALT-255~6のリッカルド兄いの、4月3日の全プログラム収録CDを聴きながら、つらつら思いを巡らせております。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月18日 (水) 15時05分
このディスクは、1969年11月収録なのですか。愚生の記憶を辿ってみますと、TVアニメの『忍風カムイ外伝』、『妖怪人間ベム』に夢中になり、三菱電機提供のプロレス中継の、第11回ワールドリーグ戦でアントニオ猪木が卍固めでクリス-マルコフを斬って落とし、初優勝した放送に見いっていた頃なんですねぇ。それを思うと、『いや、歴史的録音だなぁ‥。』と感じ入ってしまうのです。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月18日 (水) 23時50分
お二方、コメントいつもありがとうございます。
バレンボイムの伝説級のアンコール大会は、その場に居合わせた方はお得感満載ですね。
アンコールも度が過ぎると、メインが印象から吹っ飛んでしまいますものね。。
サン・サーンスの3番、神奈川フィルで聴いたとき、アンコールに最後のコーダを繰り返しました。
終わってから、指揮者ヴェロさんが、「ウルサイデスネ」と笑いながら言ってまして、まさにその通りであります(笑)
NHKのベーム招聘時のチケットですが、最高席が7,000円、最安席が2,000円です。
今年の来日では、いまや37,000円であります!!
ちなみに、若獅子ムーティも、同じ値段。
贅沢にもS席で楽しみましたが、いちばんよかったのが、アンコールの「運命の力」でありました。
60年代の録音でも、今現在、不通にわれわれは聴いてますが、そのときの社会事象などを並べてみてみると、ほんと、歴史的なものにかんじられますね。
ショルティのラインゴールドなんて、まさにその典型です。
投稿: yokochan | 2019年9月19日 (木) 08時22分
真面目な話?に戻りまして、この帝王唯一のフランク、西ドイツ盤の1C-065-02034と言う番号LPなら、聴きましたし今も所持しております。活力も曲想の描き分けの巧さも持ち合わせた、充実感も魅力もたっぷりの演奏と思います。第2楽章のコールアングレ独奏に、J-C-マルゴワールと明記されているのも、豪華ですね。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年9月22日 (日) 07時43分