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2019年9月22日 (日)

ショパン 24の前奏曲 グヴェタッゼ

Kibana-3

いつものお山にある、キバナコスモスの群生。

これはこれで、とても美しい。

オレンジと緑というと、わたくしには、かつての湘南電車を思い起させます。
子供時代は、床がまだ油の引いた板張りで、扇風機もついていたし、おとなのオジサンたちは煙草吸いまくりだったし。
あと、車両の連結部が怖かった。

あと、この色の配色は、川崎が本拠地だった「大洋ホエールズ」ですな。
高校時代にアンチGとなり、川崎時代からのファンであります。
現在のベイスターズの洗練さとは、かけ離れた野暮ったいチームでしたが、何が起きるかわからない爆発力がありましたな。
しかし、昨日はチクショーめ、です。

オレンジひとつで、いろいろな想いをかき立てられる。
それはノスタルジーでもあります。

んで、ショピンと書いてChopin=ショパン。

Chopin-gvetadze

   ショパン 24の前奏曲 op.28

      ニーノ・グヴェタッゼ

      Nino  Gvetadze

 (2017.06.12 @フリッツ・フィリップス・ムジークヘボウ、アムステルダム)

ショパンは好きだけれど、ふだん、オペラとかオーケストラ作品ばかり聴いているので、その決して多くない全作品をCD棚に網羅しているにも関わらず、最近はなかなか聴くことがなかった。
5年ぶりのショパン記事であります。

さる音楽仲間のご厚意で聴いた1枚が、とても鮮烈だったので、ここに当ブログ3度目の「前奏曲集」を取り上げることとしました。

長調と短調の繰り返し、バッハの「平均律」をリスペクトしつつ書いた前奏曲集。
ばらばらに書かれたとの説もあるものの、ハ長に始まり、その関係短調をおきつつ、5度循環で24の調性を並べた緻密な構成。
それらが、とりとめなく聴こえるけれど、真ん中の折り返しで、長調・短調、お互いに♯と♭が6つの調性となっていて、きれいな対称構造となっているところが素敵です。
そして、ショパンならではの、詩情と幻想にあふれているのが素敵なのであります。

ジョージア(かつての名はグルジア)出身のニーノ・グヴェタッゼは故郷のトビリシに学び、オランダへ出てそちらで研鑽を積み、リスト・コンクールで大いに評価され、アムステルダムを中心に活躍する注目のピアニスト。
 エキゾチックな黒髪の美人で、その技巧の冴えもさることながら、見事なまでの緊張感を持って、一音一音を大切に、磨き込むようにして奏でるそのピアノは、抒情の滴りとともに、ショパンのほの暗い側面や情念をすら描きだしてやみません。
高名なる「雨だれ」も、そこだけが浮き立たずに、全体の24曲の長短の流れのなかに、しっとりと収まるべくしておさまってます。
そう、24曲の前奏曲、それぞれがそれだけでも個々に成り立っているように聴こえる、そんな聴き方もできる一方、全体を通して聴くことで、有名な旋律も、浮かびあがることなく、その瑞々しさもあいまって、一服の詩集を読んでみたような気分になりました。
 カップリングのスケルツォ2番もいいです。

彼女の音盤はまだ少ないですが、すでにある得意のリストやラフマニノフの続編、そしてシューマン、ショパンのほかの作品などを録音して欲しいです。

ショパンがマジョルカ島で、この作品を完成したのは、1938年。
ベートーヴェンの没後から、まだ11年。
ワーグナーは、「リエンツィ」を書いてる頃。
日本では、幕末の天保年間、維新まで30年。
高度に発達していた江戸の文化ですが、当時の日本人がショパンを聴いたら、その詩情の深さに、きっと共感したでしょう。

しかし、親日国ポーランドのオーケストラが今年も含めて、たびたび来日するけれど、その演目が毎度、判で押したようにショパンの協奏曲とか、新世界やブラームスばかり。
パデレフスキのピアノ協奏曲なんて佳作だし、シマノフスキ、カルヴォーヴィチ、そしてブレイク中のヴァインベルクもポーランドだよ。
そろそろ招聘側の見識も問わねばならぬ、ね。

Kibana-1

 初秋の日の、雨模様にショパン♬

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コメント

湘南電車にはやはり想い出があります。幼少時、夏休みに伊豆方面に出かける際の足でしたから。また土曜日はささやかに祝杯を上げました(スミマセン)。でも大洋ホエールズ時代から、親近感は抱いているのですよ。特に平松や遠藤は好きな投手でした。セ・リーグではナニワのど阿○集団や在京の家族的(プッ)チームなどよりはるかに。まあ'60年と'98年ですから次は7年後の2026年でしょうか(失礼!)。
小生もまたショパンに関しては基本的なコレクションとして揃えてはあるものの、日常取り出すことは比較的まれでした。よって前奏曲集もアルゲリッチとポリーニくらいしかありません。以前お話した自分の葬儀にマーラー3番の終楽章を切望している旧友が、ピアノをよくする細君の影響で中年以降ショパンにのめり込んでいるのですが、幸福な出逢いだったのでしょう。いささかの羨望もなきにしもあらずですが(笑)。
来日オケのプロの定番化=凡庸化は、近年さらにひどくなっているようですね。まあ呼ぶ側も安心で演る側も少ないリハでかけられるだろうから双方メデタシなのでしょうか。いやはや…。

投稿: Edipo Re | 2019年9月23日 (月) 16時14分

Edipo Reさん、こんにちは。
湘南電車と大洋を結びつける、昭和なワタクシにご同意いただきまして、ありがとうございます。
98年の優勝は、リーグ優勝は甲子園までかけつけて立会いましたし、日本シリーズは、球場に入れず、即帰宅してメガホン片手にテレビ観戦しました。
そうですね、まだまだ、かもしれません。
いつも詰めが甘いんですよね。そこが好きなんですが。。

同じくアルゲリッチとポリーニ、あとピリスも持ってますが、ショパンはこの面々ばかりです(笑)
ご友人のエピソード、私も羨望に同感!(笑)

そして、有名どころの外来オケは、自国での直近のプログラムを持参しますので、本格的ですが、名のあるオケなのでなんでも売れるからでしょうね。
 そして、そうでないオケだと、有名曲になってしまう、というのは、やはり呼ぶ側の問題と来る側のやる気店具合の度合いなのでしょう。
なんとかなりませんかねぇ・・・

投稿: yokochan | 2019年9月24日 (火) 08時14分

グヴェタッゼのショパンをとりあげていただき、ありがとうございます!
最初の出会いは廉価レーベルBrilliantの「展覧会の絵」。ジャケ買いでしたが、その美貌とはおよそ似つかわしくない、堅実で筋の通った知的な演奏に惚れ込み、彼女のラフマニノフ(Brilliantのラフマニノフピアノ作品全集での1枚。24の前奏曲を担当)、リスト(ソナタ他)、ドビュッシー(前奏曲集第1巻、「版画」他)と、ずっと購入しています。
来日公演があったのに(東京文化会館小ホール)、いけなかったのが心残りですが・・・。
18枚所有しているショパンの24の前奏曲集中、この作曲家の暗い情念が感じられる着実に成長した彼女の演奏は、フェルツマンとともに最もトレイに乗るCD。愛聴盤といってもいいグヴェタッゼの今後の演奏、楽しみでなりません。

投稿: ianis | 2019年9月24日 (火) 19時16分

Ianisさん、まいどです。
その節はありがとうございました。
グヴェタッゼをご紹介いただき、あわせて、とんとご無沙汰だった、ショパンやほかのピアノ作品などにも、目が向くようにもなりました。

音楽のすそ野が、あまりに広く、そしてどんどん広がってしまう、焦りとともに、何かと幸せも感じる今日この頃です。
ライブでも聴いてみたいグヴェタッゼですね!

投稿: yokochan | 2019年9月26日 (木) 07時56分

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