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2019年11月24日 (日)

タルティーニ ヴァイオリン協奏曲 グッリ&アバド

Harunasan-d

群馬県の榛名湖、そして水面の向こうは榛名山。

11月の初めですが、紅葉はもう終盤。

火山でもある榛名山のカルデラ湖で、真冬には凍結し、ワカサギ釣りも楽しめます。
そして、晩秋先取りで、寒かった。

Tartini-abbado

  タルティーニ ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 D15
         ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 D64
         合奏協奏曲 イ短調  D115

     Vn:フランコ・グッリ

  クラウディオ・アバド指揮 ミラノ・アンジェリクム管弦楽団

                (1962 ミラノ)

アバド、29歳の録音。

ミラノの名門音楽一家に生まれ、ミラノ・ヴェルディ音楽院ピアノ科を卒業したアバドは、ピアニストとしてスタート。
指揮者への道の情熱も止めがたく、シエナ、ウィーンで名教授スワロフスキーなどに学び、朋友メータとともに、ワルターやカラヤンのリハーサルなどに立ち会い(忍び込み・・)などの経験を積んだエピソードは有名だし、先ごろ、元気に来日したメータも、懐かしくもおかしげに語っています。

59年に、トリエステで指揮者デビューをしてから、イタリア各地やウィーンで活動を始め、今回の協奏曲の伴奏としてのレコーディングは、まさにデビュー3年後のもので、おそらくこれが指揮者としての初録音かもしれません。

ピアニストとしての録音はすでにいくつかあって、下段に過去記事をリンクしました。

この録音の翌年、1963年、アバドは、ニューヨークで、ミトロプーロス指揮者コンクールを征し、世界へと羽ばたいてきくことととなります。

Gulli-3

1926年、トリエステ生まれのヴァイオリニスト、フランコ・グッリは、録音があまり多くなく、しかもメジャーレーベルとは縁がなかったので、あまり知られていないアーティストだが、70年代からアメリカにわたり、そこで名教授として活動し、日本のヴァイオリニストでもグッリの教鞭を受けた方が多いといいます。
2001年に亡くなってますが、写真で見ると、とてもイケメンで、ヴァイオリニスト加藤洋子さんのブログを拝見すると、チャーミングでおしゃれな方だったようで、氏の人柄が偲ばれます。→Franco Gulli先生

グッリの音源は、恥ずかしながら、今回のタルティーニの協奏曲1枚のみですが、そのお名前は、1971年頃から知るところとなってました。

Gulli-1Gulli-2

会員制のレコード頒布組織、コンサートホールソサエティーの中学生ながらの会員だったので、そこで販売されたモーツァルトの協奏曲の新譜が、その素敵なジャケットとともに気にはなりつつも、当時はお小遣いが回らず、購入できなかったものでした。
しかも、共演の指揮者が、当時おそらくデビューしたての、アルミン・ジョルダンで、オケはローザンヌ室内管とジュネーヴ・アンジェリクム合奏団でした。
グッリは、にちに再録音してますが、このスイス録音は、是非復刻して欲しいものです。

さて、「悪魔のトリル」しか知らない、でもヴァイオリンに徹した作曲家のイメージのジュゼッペ・タルティーニ(1692~1770)。
消失したものも含めて、ヴァイオリン協奏曲を200曲、ソナタを200曲以上も作曲しているが、イタリアバロックのほかの巨匠、ヴィヴァルディやコレルリと比べると、かなり日陰な存在です。
CDでは、29枚に及ぶヴァイオリン協奏曲全集というとてつもないものが出てますが、わたくしのようなものには、グッリ&アバド盤が1枚あればいいや、と思ってしまいます・・・
 平尾行蔵さんのCD解説によれば、タルティーニには、その作風から3つの創作時期があるといい、その3つの時期からそれぞれ1曲づつ選曲されたのがこのCDだということです。
「対位法的な作法」「装飾された抒情旋律による作法」「和声とディナーミクを重視した作法」の3期。

「バロックを越えたロマン主義の先取り」ともされたタルティーニの音楽。
グッリの明るく、かつ柔和なヴァイオリンの音色、そして確かな技巧に裏打ちされた明確・明快さが、もう60年近く前の録音にもかかわらず、いまでも鮮度は落ちてませんし、聴いていて、とても気分爽快になります。
オーケストラもそうですが、いまや古楽器やその奏法に慣れた耳からすると、実に豊かな歌にあふれてます!
このおおらかな響き、たおやかなムードは、アナログの世界そのもので、今のデジタルでヴィヴィッドな古楽演奏からは残念ながら聴くことができません。

 そして、タルティーニの音楽の抒情的な美しさはどうだろう。
2つ目の協奏曲の緩徐楽章なんて、哀しいほどのグッリの美音に包まれて、陶然としてしまいます。
アバドの指揮も、弱音で歌う、まさに後年のアバドの真骨頂をここに早くも聴く思いがします。
 曲はいずれも、アバドの兄、ミケランジェロと、2曲目では特に、クラウディオの校訂が入っていることろにも注目です。
のちに、ペルゴレージに傾倒してゆく若きアバドのバロック音楽の演奏。
精緻さと歌のバランス感覚のよさは、さすがのものですし、生真面目なところもアバドらしいくて、もっとハジけてもいいかもと思ったりも。
でも、グッリの上品な明るいヴァイオリンには、ぴったりかも。

レコード時代は、70年代にトリオレコードから出たものですが、90年代にCD復刻された音盤を購入したものです。
録音年代を考えれば立派なステレオ録音で、艶のあるヴァイオリンサウンドを楽しめます。
最近、ワーナーより、アーリー・レコーディングスとして再発されましたが、そちらの音質はどうだろう、気になります。
このような、若きアバドの音源の発掘とともに、膨大なライブ音源、そしてなんといっても、ベルリンフィルとの、あの「トリスタン」をなんとか音源化して欲しいものだ。

アバド若き日の録音 過去記事

 「イタリア・バロック名作集 アバド親子」

Harunasan-a

晩秋色に染まる榛名山と逆さ榛名山。

Harunasan-c

ヨーロピアンな榛名湖の対岸。

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