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2019年12月10日 (火)

ヤンソンスを偲んで ③ロンドン、ウィーン、ベルリン

Lpo-2

ヤンソンスの追悼シリーズ、今回はヨーロッパの各都市。

ロンドンでは、ロンドン・フィルハーモニックの首席客演指揮者に1992年に着任し、97年までそのポストにありました。
同時期に録音されたものは、EMIにそこそこありますが、いずれもヤンソンスらしい瑞々しさと、オーケストラの落ち着いた響きがとてもいい感じなんです。

Tchaikovsky-jansons1

  チャイコフスキー 「くるみ割り人形」

 マリス・ヤンソンス指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団

        (1991.10 @アビーロード・スタジオ)

弾むリズムに、全編に通じる親しみやすさ、わかりやすさの表出。
誰しもを、ほっこりさせてしまうヤンソンスの音楽づくりです。
そして、ロンドン・フィルのノーブルかつ、ややくすんだ音色が、チャイコフスキーの普遍のメロディの数々に温もりを添えます。
数ある「くるみ割り」のなかで、大好きな1組です。

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 ショスタコーヴィチ 交響曲第15番

 マリス・ヤンソンス指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団

        (1997.4 ロンドン)

関わりのあるオーケストラと全集を造ったヤンソンスのショスタコーヴィチ。
ロンドンフィルとは15番を録音しました。
ハイティンクのもとでも、シンフォニックな演奏で素晴らしい15番を残したが、このヤンソンス盤も浮つくことのない見事なものです。
シニカルななかに、キラリと光る抒情の雫、この曲の第2楽章は、ヤンソンスを送るに相応しい涙に濡れたような葬送の音楽です。

Rachmaninov-sym2-jansons-1

  ラフマニノフ 交響曲第2番

 マリス・ヤンソンス指揮 フィルハーモニア管弦楽団

         (1986.11.19/20 オールセインツ教会

これぞ、ラフ2の隠れたる超名演。
42歳のヤンソンスが、オスロでのチャイコフスキーと併行してシャンドスレーベルに録音した、フィルハーモニア管との一期一会のような演奏。
完全版によるもので、ヤンソンスのファンになりたての頃、2006年にようやく入手できたCD。
そのときのブログで、「指揮者もオーケストラも、一緒くたになってラフマニノフ・ワールドにどっぷりつかりながら、思い切り音楽に夢中になっている。勢いや感情だけではこんな演奏は生まれない。ヤンソンスの音楽へのひたむきさと、楽員をその気にさせるエモーションがあってこその名演奏」と書いてます。
ヤンソンスの音盤のなかで、この時期のひとつのピークの記録であると思います。
この10年後の、サンクトペツルスブルクとの再録は、かなりおとなしい。
コンセルトヘボウとの再々録音は未聴であります。

ロンドンのオーケストラでは、あとロンドン交響楽団にもよく客演し、マーラーの6番のライブもありますが、こちらも未聴。

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  ショスタコーヴィチ 交響曲第5番

 マリス・ヤンソンス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

         (1997.1 @ムジークフェライン)

ヤンソンスは、ウィーンでもベルリンでも、オーケストラと聴衆から人気を博しました。
5番だけは、当時もよく演奏していたウィーンフィル。
テンポの自在、ライブならではの感興あふれる活気に満ちたショスタコ。
ここでも、ウィーンの弦で、しっとりと第3楽章を聴き、ヤンソンスを偲ぶこととします。

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ウィーンフィルのヤンソンス追悼のツィッター。
2006、2012、2016年と3回のニューイヤーコンサートの指揮でした。

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こちらは、ベルリンフィルの追悼ツイッター。

カラヤンコンクールに入賞したヤンソンスにとっては、ベルリンフィルは格別の存在であったでしょう。
そんなに録音は多くは残しませんでしたが、定期演奏会の常連で、アバドのあとにも最有力候補としてノミネートされたり、演奏旅行に同伴したりと、ずっと蜜月な関係を保ちました。
日本にも、2006年にアバドとともにやってきましたが、わたくしは、アバドのトリスタンに全資力を投入してしまったので聴くことはありませんでした。

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  ベルリオーズ  幻想交響曲

 マリス・ヤンソンス指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

         (2001.5 @イスタンブール)

ベルリンフィルが毎年5月の行うヨーロッパコンサートから、トルコのイスタンブールの雰囲気あふれる教会でのライブ。
汗をかきつつ、夢中の指揮ぶりで視聴するヤンソンス得意の「幻想交響曲」。
いろんなオーケストラとずっと取り上げ続けた「幻想」。
バイエルンとのライブ録音と並んで、このベルリンフィル盤は、ベルリオーズの熱狂と抒情を見事に表出しつくした名演です。

ヤンソンス追悼、次はアメリカへ飛びます。

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コメント

1996年に妻とウィーンでウィーンフィルの定期演奏会を聴きました。事情通の方なら「定期演奏会を旅行客は聴けない」と指摘するはずです。何も知らない私は演奏会が始まる二時間位前にホール前で「We need two tickets」と紙に書いてのんびりアピールしました。あっという間に10人位に囲まれ「私のチケットを買ってくれ」と言われました。かなり条件の良い座席のチケットを買うことができました。指揮者はヤンソンス。ドビュッシーの海、ショスタコの5番という演目でした。演奏はもう!それはそれは!若かった私たち夫婦には忘れられない1日です。

投稿: モナコ命 | 2019年12月11日 (水) 19時06分

ウィーンでのヤンソンス体験、拝読して、こちらまで、あの黄金ホールに立ち会った気分になりました。(行ったことはありませぬが・・・)
ほんとうに素敵な体験をされましたね。
世襲制ともいわれるウィーンフィル定期、なるほど、そんな感じで聴ける可能性もあるのですね。
 サントリーホールのN響定期も、いまやときおりネットで買えるようにもなりました。
 ともあれ、あの黄金ホールで聴かれた海とタコ5、うらやましいです!

投稿: yokochan | 2019年12月12日 (木) 08時33分

ショスタコーヴィチの5番は、ウィーン・フィルの10年前にオスロ・フィル(EMI)との録音もありましたが、全集には納められはいませんでしたね。

投稿: さすらう人魚 | 2019年12月22日 (日) 10時46分

オスロとの5番、そのジャケットも覚えてますが、また再発されることを望みたいですね。
5番は、若い頃よりずっと指揮しつづけてましたから、ピッバーグあたりのライブも発掘されるとよいかと!

投稿: yokochan | 2019年12月24日 (火) 08時22分

ヤンソンスのウィーンフィル登場は意外と遅くて、1996年だったかのザルツブルク音楽祭で、悲愴ほか、それで定期デビューがこのショスタコーヴィッチの5番だったはずです。なので、当時はまだよくは演奏してなかったです。
その次の年だったかに、ウィーンフィルのクラリネット首席の今は亡きオッテンザマー父と2,3時間新幹線などで移動する機会があり、いろいろ話していたんですが、指揮者誰が好き??って聞いたら、まだほとんど振ってもらってないけど、この前振りに来たヤンソンスは良かった!!ってすごく褒めていたのをよく覚えています。

投稿: ヴァイオリン弾き | 2020年4月10日 (金) 20時30分

ヴァイオリン弾きさん、コメントありがとうございます。
そうでしたか、ヤンソンスのウィーンフィルデビューは、思ったより遅かったのですね。
アバド好きのわたくしからしますと、アバドがウィーンから離れて、ベルリンに専念した頃が、96~7年だったかと思います。
オーケストラからは、いつも恋愛対象みたいに、相愛の指揮者を求めてるのですね。
 父オッテンザマーさんの急逝には驚きでしたが、その氏のエピソードも興味深いです!
 話は変わって恐縮ですが、ウィーンフィルの管楽器奏者でいうと、古めの聴き手なものですから、プリンツ、シュミードル、レーマイヤー、トリップ、シュルツ、ツェーマン・・・テレビでもおなじみになった70年代の奏者たちがお馴染みです。

投稿: yokochan | 2020年4月14日 (火) 08時24分

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