ブラームス ピアノ協奏曲第1番・第2番 アシュケナージ&ハイティンク
こちらは、神奈川県の大井町から見た富士。
ここは、東名高速からよく見えるけど、大きなビルがあって、そこはかつて第1生命のビルでした。
いまは、そのビルは、ブルックスコーヒーが買収して、オフィスビルと、ちょっとしたショッピングゾーンになってます。
逆光なのが残念ですが、夕日のシルエットだけでも美しい富士山です。
ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ニ短調
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調
ウラディミール・アシュケナージ
ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1981.5 @アムステルダム、1982.10 @ゾフィエンザール)
引退を表明した、クラシック音楽界をけん引した2人の名匠。
もうじき91歳になるハイティンクは、2019年9月に指揮活動から引退。
アシュケナージは、82歳にして、1月にピアノニスト・指揮者から引退。
ともにいろんな演奏会やレコード時代からの数々の音源を通じて、親しんできた演奏家です。
ハイティンクは、1973年頃から、好きな指揮者となり、アバドと並ぶ押しの演奏家となりまして、当時、評論筋からはけちょんけちょんだったのが、そんなことはない、とも思いつつ、やっぱりそうかな?とも若い自分は思ったりもしてました。
でも、コンセルトヘボウと手を携えるようにした、その誠実な演奏が、やがて絶賛されるようになると、わたくしは、我がことのようにうれしかったりもしました。
ハイテインクの初レコードは、コンセルトヘボウとのブラームスの3番。
一方、アシュケナージもピアニストとして、1972年頃からFMを中心に聴き始め、当時はソ連からの亡命者、そしてなによりも、超絶技巧の持ち主と抒情派的な奏者として、大好きなピアニストとなりました。
デッカ(当時はロンドンレーベル)一筋。
初レコードは、ショパンの葬送ソナタがメインのライブ録音盤でした。
でも、アシュケナージが指揮をするようになってしばらくしてから、わたしのアシュケナージに対する関心は薄れてしまうのでした。
ラフマニノフとかは、よかったんだけどなぁ。
なんか、これは、という1枚が、アシュケナージの指揮にはないような気もします。
いい人すぎるのか、エッシェンバッハのようにオペラもやらなかったし、アクの強さもなかったし・・・
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アシュケナージとハイティンクの共演盤は、このあとにラフマニノフの名盤を残すことになりますが、実演以外での初のこのコンビによる録音が、ブラームスの協奏曲。
ショスタコーヴィチの交響曲の録音に取り組んでいたハイティンクは、コンセルトヘボウで、このブラームスの1番の協奏曲と同時に5番の交響曲を録音してます。
1番は、重厚かつ芳醇なフィリップスサウンドで聴きなれたコンセルトヘボウが、デッカ録音で、どこかテカテカして聴こえて、さらに分離もよすぎて最初に聴いたときに、あれれ?と思った記憶があります。
それほどまでに聴き慣らされてきた、コンセルトヘボウ=フィリップスという音のイメージの強さに感じいった次第だし、レーベルが異なるとこうも雰囲気が変わってしまうのか、というものでした。
その後のショスタコーヴィチシリーズで、自分の中では、デッカの録音するコンセルトヘボウの音を受け入れて、明るさと豊かな響きと克明さを楽しむようにはなりましたが、でも、シャイーとの録音は、あまり好んで聴くものではありませんでした。
そんな前提条件で聴いた、80年代初めの1番はどうもしっくり来ずに、1番の協奏曲への苦手意識も伴って上滑りの気持ちに終始しつつ聴くこととなりました。
でも、アシュケナージのピアノも堂々としてるし、明晰で、音の粒立ちも際立っていて、しんねりもっつりとしたブラームスのイメージから遠いところで、1番を再現した名演だと思いますし、ハイティンクも共演指揮者の鏡として、アシュケナージのピアノにしっくりと噛み合った共感あふれるオーケストラとなってます。
それでもしかし、曲への苦手意識とデッカ録音の当初のコンセルトヘボウでの録り方がしっくりこない、初聴きときのイメージはいまでも継続中なのでありました。
でも2楽章は、曲としていいな。
同じ、コンセルトヘボウのピアノ協奏曲1番であれば、FM放送でしか聴いてはないけど、ブレンデルとイッセルシュテットの録音の再発を強く望んでおきたいです。
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一方、ウィーンフィルのレコードにおけるイメージは、多くの同年代以上のリスナーがお持ちかもしれませんが、ゾフィエンザールにおけるデッカ録音であることは、共感をいただけることかと存じます。
のちに、DGでのムジークフェライン録音が、全レーベルの録音会場となり、どちらも等しくマイルドなウィーンフィルの音を伝えてますが、数々のオペラ録音や、イッセルシュテット、ショルティ、カラヤン、ベーム、ケルテスなどのデッカのウィーン録音は、やはりゾフィエンザールがあってのものだと思います。
そのイメージそのままの、ウィーンフィルを起用した2番の録音。
ひとことで言えば、ふくよかで豊麗なブラームスがここに聴ける。
当時の、いつものウィーンフィルの音色がふんだんに味わえる喜び。
柔らかなホルンに始まり、ピアノがそれを受けて入ってくる、さらにオーケストラの全奏がこれに応える。
ここまで聴いただけで、アシュケナージのおおらかかつ明快なピアノ、ハイティンクとウィーンフィルののびやかで、やわらかな音色。
そして、広がり豊かな素晴らしい録音。
ブラームスを、ピアノ協奏曲2番を聴く喜びを、ここでもう十二分に味わえ、この演奏がこの曲に相応しく、完璧なものであることがわかる。
初めて聴いた、もう37年も前の若き自分がよみがえるような気がする。
そう、若々しさも十分な演奏でもあるのだ。
2番の協奏曲は、高校時代に大いにはまり、この曲の初レコードだったバックハウスとベームの名盤を来る日も来る日も聴いたものです。
その録音も、同じデッカのゾフィエンザールでのもので、今聴いても、とても素晴らしい音がする。
そして、大学時代に聴いたのが、ポリーニとアバドの録音で、こちらもウィーンフィル。
DGはムジークフェラインで、これまたまろやかな録音で、演奏も若々しい春の息吹を感じるステキなものだった。
バックハウス、ポリーニ、アシュケナージのウィーン録音と、ブレンデルとアバドのものが、2番の協奏曲のわたしのフェイバリットであります。
ギレリスとリヒテル、ゼルキンなど、世評の高い盤は、いまだに未聴です。
ということで、繰り返しますが、1番はちょっと苦手です(しつこいですね)。
こちらは毎度おなじみ、吾妻山からの富士で、お正月のもの。
よく見ると、気球が飛んでます、見えるかな?
ウィルスはおっかないけど、いつかは収束します。
いまは、お家で音楽を楽しむに限ります。
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