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2020年5月28日 (木)

オペラストリーミング大会の軌跡 ⑤

Ajisai-02_20200528084701

紫陽花も色づいてきて、梅雨の到来も近い5月末。

そして、毎日観てきたオペラの記憶をここに続けて残しておきます。

Anna-bolena

 ドニゼッティ 「アンナ・ボレーナ」 ウィーン 4月24日

「アンナ・ボレーナ」ウィーン2011
なぜか、ドニゼッティの日。
苦手なベルカント系。
しかし、こうしたチュ-ダー朝の世とか、矛盾あふれる世界とお決りの狂乱の場をからませるオペラ。
おかげさまで、だんだんと慣れてきた。
美人二人に目が行くが、ほかも素敵だ。
ピドの指揮が極めていい。


Lelisir-damore

 ドニゼッティ 「愛の妙薬」 バイエルン州立歌劇場 4月24日

「愛の妙薬」ミュンヘン2015
ドニゼッティ②
近未来の戦場の址。
市民のメイクはゾンビ風で、やってきた兵士も一部血みどろで、軍曹の顔にも爛れた傷跡あり。
薬売りは、宇宙船のような日本のアニメのような球体で到着。
むちゃくちゃだけど、思えば筋が通ってる。
小心のメモリーノを応援したくなる。


ドイツのハウスは、常に普通を否定するところからくるのでややこしい、けど好き。
好奇心を刺激してくれるから。。
シリアスな、英国女王シリーズよりは、「愛の妙薬」や「ドン・パスクワーレ」の方が好きかもしれん。
と言いながら、メットが予定しているクィーン三部作を楽しみにしている自分だよ!


At-home

  アット・ホーム メトロポリタンガラ 4月26日

MET-Gala at Home
METならではのワールドな企画。
エア指揮のセガンに、メトオケ。
世界を股にかける名歌手たちが、いまこの時、どんな家で待機してるかわかる、そこからいつもの声を発信していただける贅沢。
家でもみんな即オペラ歌手!
世界・日本の音楽家、愛好家のためC国Bコロナ早期
撲滅を!


Media

 ケルビーニ 「メディア」 ベルリン州立歌劇場 4月27日

ケルビーニ「メディア」2018
無理やり、現代に時代設定し、古代宝物の闇倉庫のオークション会場か。
一緒に拉致られた異教徒メディアの怒りがすさまじく、野獣のようにおどろおどろしい感じで出ずっぱりで、逆にドン引き。
ギリシア神話的な厳しい悲劇をやはり訴求すべきかと。
バレンボイムすごい!


Cenelentra

 ロッシーニ 「チェネレントラ」 MET 4月27日

「チェネレントラ」2014MET
アメリカンなサクセスストーリーをイタリア人演出家が軽やかに再現。
ふたりの意地悪ねえさんが、やたらと面白い。
前から見たかった映像で月曜の憂鬱を吹っ飛ばしてくれた。
ディドナートがナイスで、ルイージの指揮もキレ味よし。
グロイスベックの新国のリンクを貼ります
 。

ウェディングケーキを切り分けで食べてた。
ケーキ大好きだけど、節食中でつらい映像。
新国の演出はポネル。
カサロヴァにシラクーサ、豪華な喜悦の一夜でした。
アバドの音源とともに、このときの舞台、そして今日のMET、チェネレントラは大好き黄色のハート

 新国 http://wanderer.way-nifty.com/poet/2009/06/post-d3af.html

Anna-bolena-met

 ドニゼッティ 「アンナ・ボレーナ」 MET 4月28日

「アンナ・ボレーナ」MET2011
ウィーンでの同年の上演を先週観たばかり。
17世紀・英国チューダー王朝の王女シリーズ①
ウィーンと同年、この頃が、声に張りも艶もあったネトレプココあっての舞台。
彼女以外はウィーンに軍配。
演出はマクヴィカーのセンスあふれる、ちょっと暗めの方が英国風でいい。


Butterfly

 プッチーニ 「蝶々夫人」 ウィーン 4月28日

「蝶々夫人」2016 ウィーン
ただでさえ、どっちの国にもツライ設定のオペラ。
国辱的な気分の日本、ごめんなさい的なアメリカ。
女性への優しい目線を主体に作曲したプッチーニ。
演出は日本人か米国人限定にしてほしい。
細かな所作が気になりすぎて仕方がないので・・
歌手もウィーンのオケも最高。


Maria-stearda

 ドニゼッティ 「マリア・ステュアルダ」 MET 4月29日

「マリア・ステュアルダ」MET 2013
ドニゼッテイ英国テューダー朝の女王シリーズ②メアリー・ステュワート
アンナ・ボレーナの残した娘エリザベス1世と、スコットランドの王女マリアの憎しみ合いの物語
女王が愛した廷臣レスター伯(ロベルト・デヴリュー)はマリアを愛し、彼女は断頭台に。


アンナ・ボレーナも断頭台に消えたが、そのときのラストシーンをそのまま引き継いだかのようなエンディング。
あの時母の傍らにいた少女がエリザベス。
 ディドナートの素晴らしさが絶賛。
私はエリザベスのヘーファーがより凄いと思った。
3幕はやや冗長ながら、求心力あふれる優れたオペラと思う。


Gloryana-2

 ブリテン 「グロリアーナ」 ロイヤルオペラ 4月29日

「グロリアーナ」ロイヤルオペラ 2013
現王女、エリザベス2世の戴冠式奉祝で作曲されたブリテンの隠れた名作。
1世エリザベスの権力と孤独を寂しく、哀しく扱ったオペラで、物議を醸し埋もれてしまったが完全復権。
 劇中劇風にした舞台で、各人物たちは役柄を演じつつも、外側からまた演じてる.


Gloryana

悩みながらも、寵臣エセックス公(ロベルト・デヴリュー)の戦犯処刑のサインをする王女の苦悩。
老いとの葛藤も。
ワーグナーも歌う、S・ブロックの体当たりの王女役。
T・スペンスのブリテンテナーとしての見事さは、ピアーズの系譜を思わせる。
オペラ作品としての精度は高いと思う。


http://wanderer.way-nifty.com/poet/2013/12/post-5e2d.html

過去のブログ記事をリンクします。
マッケラスはこのオペラを復刻したひとり。
今後、上演機会が増えるものと思われます。
ちなみに、ROHの演出では、歴代の王たちの紹介もあり、それとそもそも、この劇中劇の観覧者として、若きエリザベス2世の登場もあります。


Robert-de

 ドニゼッティ 「ロベルト・デヴリュー」 MET 4月30日

「ロベルト・デヴリュー」MET 2016
ドニゼッテイのチューダー朝、女王シリーズ。
主役はエリザベス1世、タイトルロールは、女王の愛した寵臣でエセックス公。
舞台中に宮廷の人々をオペラの観衆も兼ねさせた、客観的な劇中劇をも表出。
史実だけど、いろんな説もありなので、そう来たか。


歌手はこのシリーズでおなじみだけど、今回のエリザベス役のラドヴァノフスキーの終幕ラストシーンに泣ける。
 毛髪も寂しくなり、でも自分よりは、国や民を思う女王が描かれ、歌われるのは、ブリテンのグロリアーナに同じ。
現エリザベスとともに、愛されるエリザベス1世を描いた優れたオペラです。


Toroy

 ベルリオーズ 「トロイの人々」 ウィーン 5月1日

「トロイの人々」ウィーン2018
LP時代はデイヴィスの5枚組で高値の品。
CDでも4枚。
この長大なオペラが世界のハウスでの定番に。
 「ディドとエネアス」のパーセルのオペラに、前半、トロイの木馬のシーンを合わせた作品。
前から観たかったコヴェントガーデンのマクヴィガー演出と同じもの。


木馬は、メカゴジラみたい。
紀元前の時代から、18~19世紀ぐらいに設定を移動。
偶像崇拝がやや異質ながら、違和感はなし。
 熱狂や大音響もあるけど、ベルリオーズの本質はここでも抒情と豊かな歌。
ディドナートの難役の絶唱が素晴らしい。
アルティノグリューは万能オペラ指揮者と認識。


Aida-met

 ヴェルディ 「アイーダ」 MET  5月2日

「アイーダ」MET 1985
アメリカの生んだ大ソプラノ、レオンタイン・プライスの最終オペラ公演。
貫禄・風格・マナーともに大歌手。
しかし、この時はもう聴くに辛い感じ。
大味のマックラッケンも同じ。
 しかし、耳にびんびんくる、正統メゾ、コソットのとてつもない素晴らしさ。
あとエステスすごい


爽快なマーラーを次々と録音してた頃のレヴァイン、これがまた快活でよし!
70~80年代、この頃に音楽をむさぼるように聴き、クラヲタ君になっていった時期。
古びた映像でも、その頃の、音楽に接する喜びと感動が蘇る。
このとんでもない時に、懐かしのいい時代を振り返る、いい時間をありがとう。


Tcahiko-jordan

 チャイコフスキー 交響曲全集 パリ・オペラ座 5月2日

ジョルダンとパリ・オペラ座管のチャイコフスキー全曲が公開中。
明日までみたい。
全部、暗譜で、俊敏かつ熱烈なチャイコフスキー。
オケに対するリスペクトは、愛され指揮者の理想的な姿で、聴衆の熱狂ぶりもあわせてわかる。
ウィーンは、いい伴侶を選んだものだ!
オペラ座のサイトから。


Luiza-miller

 ヴェルディ 「ルイザ・ミラー」 MET 5月3日

「ルイザ・ミラー」MET 2018
滋味溢れる父親役を演じるようになった齢75歳のドミンゴが光る。
愛国ドラマから、人間心理ドラマへと、その音楽の作風も変えつつあったヴェルディの見逃せないオペラ。
でも、麗しいアリアが満載で耳にもご馳走!
テノールには、古今のオペラで最高のメロディの一品が!


そのテノールのベッチャーラが素晴らしかった。
ビジュアルとお声も両立のヨンチェヴァもよいね。
しかし、手紙のいくつかで、人が死に追い込まれるシラーの旧態依然な運命翻弄ドラマを、いま素直に描くのもある意味大変なことだな。
でも、こうしたオーソドックスも作品理解にも大切なことだ。


Nabucco

 ヴェルディ 「ナブッコ」 チューリヒ歌劇場 5月3日

「ナブッコ」チューリヒ2019
映像にNHK様の刻印があり、テレビを見ないので、すでに放送されたのかもしれませんが。
 これは面白かった!
忠実なMETとは全然違う切り口のヴェルディ。
ホモキの演出はこれまで数々観てきたけど、シンプルな舞台装置、場の回転による劇変、衣装による集団の選別など。


王位廃止のイタリア近世の時代に設定を移し、王冠をめぐるいさかいを、父と異母姉妹の娘たちに愛憎に置き替えた。
同時に、王侯・貴族系と市民との闘いも、旧約聖書時代から近時に。
ラストは、まさかの涙誘うシーンで、父と妹は王冠を捨て置き悲しむ・・・
この置き替えには驚き。
あとルイージ最高!


Peleas

 ドビュッシー 「ペレアスとメリザンド」 ウィーン 5月4日

「ペレアスとメリザンド」ウィーン2017
泉を水辺に置き替え、全編、水を張った静的な舞台。
フォルテや早いテンポの少なめのドビュッシーの静謐な音楽ゆえに、説明的なまでに、出てない人まで常に露出させる雄弁さはちょっと億劫だな。
この幻想的ともいえる夢幻の音楽には多言は無用だ。


ドビュッシーの音楽は、ある意味、雄弁に思う。
アルティノグリュウーはアグレッシブすぎだけど、でもウィーンフィルの音色が優しい。
歌手たちのなかでは、キーリンサイドのゴローさんが素晴らしい!
ちょっと批判めいたけど、ドビュッシーの「水」を意識した舞台はこれで美しくて、素敵なものだった


Ajisai-01_20200528084701

 築地の神社の紫陽花。

紫陽花は、神社仏閣がよく似合う。

Tsukiji-honganji

こちらは築地本願寺のひとこま。

親鸞聖人とあじさい。

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