« オペラストリーミング大会の軌跡 ③ | トップページ | オペラストリーミング大会の軌跡 ⑤ »

2020年5月26日 (火)

オペラストリーミング大会の軌跡 ④

Shibapark-24

薔薇の季節、おかげさまで、「ばらの騎士」もいくつか観劇。

Rondeine

 プッチーニ 「ラ・ロンディーヌ」 MET 4月16日

愛すべきプッチーニの「つばめ」ラ・ロンディーヌ。
好きすぎて結構集めた。
10年前METシネマでも見た素敵な舞台を配信いただいた。
当時夫婦だったゲオルギューとアラーニャの涙誘う濃厚接触。
身を恥じ、別れを告げる切ないドラマで、プッチーニの紡いだメロディーは悲しいほどに美しい。


  http://wanderer.way-nifty.com/poet/2009/02/post-f546.html (10年前のブログ)

Rosen-wien

 R・シュトラウス 「ばらの騎士」 ウィーン 4月17日

ウィーンの「ばらの騎士」
やっぱり安心の舞台。
1986年の来日公演で、シュナイダーの指揮で初観劇。
シェンクの伝統演出は、この先も永遠に残してほしいウィーンの香り。
数えたら7度、いろんなバラキシの実際の舞台に接してきたけど、2017年上演、演奏面は、これはとても秀逸に思いました
バラ

ウィーンで「ばらの騎士」を観ることと、バイロイトで「リング」を観ることが、案外、自分の夢でしたが、いまの情勢ではもう無理かも・・・・
ゆえに、こうした映像配信は、ほんとありがいたいです。
Danke Wien!


Ory

 ロッシーニ 「オリー伯爵」 MET 4月17日

ロッシーニ「オリー伯爵」初めての視聴。
我が国のあの震災からの1か月後、というのが微妙な上演ですが、まあよしとしよう。
ドン・ファン的なフローレスの超絶ぶりがすごい。
ダムラウに、ディ・ドナートもこの時、ピッチピチ。
「ランスへの旅」と同じ旋律、親しみもあるよ、こんな状況下、楽しい。


Algeri

 ロッシーニ 「アルジェのイタリア女」 ウィーン 4月18日

「アルジェのイタリア女」ウィーン
ワーグナーからロッシーニまで、粋な指揮者だった故ロペスさんがナイスです。
よりどりの歌手たちが、ポネルの名舞台で生き生きと。
このポネル演出、いまの世相ではちょっとNGなとことかあるかも。
ほんと、厄介な世の中になったもんだ。
ロッシーニの音楽は楽しい
 。

Ohne-schatten-munch

 R・シュトラウス 「影のない女」 バイエルン州立歌劇場 4月18日


「影のない女」バイエルン2013 ペトレンコ指揮
演出は正直ややこしいが、美しく幻想的。
いろいろ意味を込めたのに、最後のシュトラウスの描いた本来古風な夫婦唱和の大団円で、その演出意図が過ぎたるは及ばざるを得ず・・的になっちゃった感あり。
音楽がそこまでの読み込み求めてないという典型か。

 ピエチョンカ、ポラスキ、パンクロヴァ、ボーダ、コッホ、みんな素晴らしく、ワルキューレを組めるキャスト。
 キレのよいダイナミクス、かつ透明感あふれ、オペラの感興あふれる指揮ぶりのペトレンコもいい。
 ウィーンの「影なし」とともにありがたき配信でした。
Danke!


Adriana_20200525090301


 チレーア 「アドリアーナ・ルクヴルール」 MET 4月19日

チレーア「アドリアーナ・ルクヴルール」メット2019
順当かつ豪華なマクヴィカー演出。
ネトレプコの声はもう重いけど、でも貫禄たっぷり。
恋敵は今ひっぱりだこのラチヴェリシュヴィリで、ふたりのさや当てはものすごい迫力、オペラの楽しみこれに尽きる。
ベッチャワの甘さもよろし。


このオペラの日本初演1976年のNHKイタリアオペラを観劇しました。
以来、ビターチョコのような苦い恋愛模様が満載のこのオペラが大好きになり、数々聴いてきました。
カバリエ、コソット、カレーラスの伝説舞台に接しえたことが、今でも自分の音楽ライフのなかの一大モニュメントです(自慢)。


Capriccio

 R・シュトラウス 「カプリッチョ」 ウィーン 4月20日

シュトラウス・ナイト2
「カプリッチョ」2018 ウィーン
フレミングのあとの伯爵夫人、そしてこちらのマドレーヌ役も引き継いだニールントの貫禄。
ブルー・シルバーの色調の美しい舞台。
身の引き際を決したマルシャリンと、ひたすら選べず悩むマドレーヌ。
どちらもシュトラウスの描いた美しい女性

ばらの騎士、カプリッチョ、どちらも悩める女性の心理を巧みに音楽に反映したシュトラウスが優しすぎる。
全部のシュトラウスのオペラのなかで、大好きな2作。
バラキシ、カプリッチョ、どっちを選ぶの?
どちらも私には選べません・・・


Rosen-met

 R・シュトラウス 「ばらの騎士」 MET 4月20日

シュトラウス・ナイト1
MET「ばらの騎士」2017
手持ちのDVDザルツブルク、カーセン演出と基本同じ。
フレミングとガランチャのゴールデンコンビ、この年がそれぞれのロール、卒業。
しかし美しい二人以上に、ニュー・オックスを作り上げたクロイスベックがキッレキレで、この日の主役かな。


軍需産業の民間業者ファーニナルが、上得意の貴族へ忖度し娘を人身御供にしてしまう前提。
3幕は春売り宿で、オックスは完全に奥手でやりこめられる。
最後は、幸せに酔いしれる二人の背景に、第一次大戦の影がリアルに見えて、オクタヴィアンもいずれそこに・・・
シュトラウス後の歴史を読んでる
 。
しかし、歳を経るとともに、自分のなかの、このオペラの見どころは1幕の最後に。
鏡を見て、つくづく悟った元帥婦人。
女も、男もない。
忍び寄る年月、時間の刻印を感じる日が、突然にやってきて、それといつしか折り合いをつけなくてはならない。
自己投影できる、ばらの騎士、世代ごとかも
 ・・・

Electra-met

 R・シュトラウス 「エレクトラ」 MET 4月21日

「エレクトラ」MET 2016
サロネンのクールかつ激熱なオーケストラが素晴らしい。
故シェローの演出は、ビジュアル的には渋く静的な感じ。
しかし、極めて演劇的で、個々の歌手たちに求められる演技力は指一本に至るまで厳しいものと思われる。
悪の権化みたいな母と、娘エレクトラの母娘の情。

 これを表出した秀逸な解釈で、他の多くの出演者も、みんな演者として細かに機能してる感じ。
バイロイトのリングで革命的な演出をなしたシェローの行き着いた先、それはもしかしたら、日本の歌舞伎や能の世界かもしらん、しらんけど。
マイヤーさんと、シュティンメさんが素敵すぎました。


Tosca-met

 プッチーニ 「トスカ」 MET 4月22日

「トスカ」MET2018
久々にちゃんとした「トスカ」を堪能。
マクヴィカーの原点回避・ローマ観光地巡りのような豪華・写実演出は、こうなるともう褒めるしかない。
この演出で聴く音楽は、本当によく書かれていると思う。
プッチーニの凄さを今さら認識。
 しかし、トスカさんは、強くておっかない女性
 。
一途の愛は強いね。
グリゴーロさん、あれこれありますが、真偽は不明なれど、カーテンコールではとてもイタリア人的なナイスな感じで、ほんと好感度!
 余談ながら、見た目、Yメンバーに似てる。
スカルピアというより、リゴレット風なルジッチ。
ヨンチェバは声よし、美人だけど・・


Fidelio-wien

  ベートーヴェン 「フィデリオ」 ウィーン 4月23日

「フィデリオ」ウィーン2019
苦手なオペラのひとつ。
長大なレオノーレ序曲が挟まれて、劇的な流れが途切れる。
ウィーンの伝統的な上演ではそれも含め定番。
シュヴァンネウィルムスの凛々しさがよろしい。
レイスさん、マイヤーさんも日本でもお馴染みでうれしー。
フッシャー指揮がとてもいい!


Hoffmann-met

 オッフェンバック 「ホフマン物語」 MET 4月23日

「ホフマン物語」MET2009
今日は苦手なオペラがふたつだった。
長い、出演者多い、版多数、ストーリーいまだわからず、歌・アリアばかりでつながり悪し。
今回もよくわからず。
10前のMETのリアル感が体感できるけど、すいません、私の守備範囲でない音楽。
無料ストリーミングへの勝手な不満でした。


Hoffmann-petibon

  オッフェンバック 「ホフマン物語」 モネ劇場 4月23日

音源もってない「ホフマン物語」のよすがは、プティボンの変な演出のDVD。
でも発見、直近モネ劇場での4役をこなしたパトリシア・プティボン。
オランピアをまず確認。
ブロンディか、マドンナか!
超絶技巧と芸達者のプティボン。
わたくし彼女の超ファンです、来日した時のサインも宝物です。


 --------------------

Tokyo-tower-09

 緊急事態宣言は解除されましたが、ワタクシの毎日オペラは継続、と宣言しておきます!


|

« オペラストリーミング大会の軌跡 ③ | トップページ | オペラストリーミング大会の軌跡 ⑤ »

コメント

またお邪魔いたします。「ホフマン物語」苦手でらしたのですか。当方もLP時代には手が出ず、LD初期にプレートル指揮シュレシンジャー演出でドミンゴ主演のディスクを入手したのが最初でした。

その後'88年のメト来日で実演に接したのですが、バブル最盛期でドミンゴ主演ゆえチケット入手は困難を極めました。実は亡き母が既にドミンゴファンで、その伝で何とかなったのですが。その代わりお供する羽目に。

シェンクの演出は例によって穏当でレヴァインの指揮も同様でしたが、仇役を一手に引き受けたジェームズ・モリスは見事でしたが女声陣は印象薄で。

思い出としては近くの席に手塚治虫氏がいらしたことです。「赤い靴」と同じパウエル&プレスバーガーの映画版(ビーチャム指揮)をこよなく愛したことで知られていた氏でしたが、まさかその数ヶ月後に他界されるとは。

CDでは小澤指揮のDG盤がありますが、女声が全てグルベローヴァで文句なし。映画化のサントラのはずが企画倒れだったようで。

まあ近年に至っても続々と自筆稿が発見され、幕の並びからして決定的な順番が決まらない作品ですから、全体像が掴み辛いのは確かですね。世俗の全ての恋に破れてミューズの愛のみに真の己の存在価値を見出だすという結末で良しと思いますが…。

投稿: Edipo Re | 2020年5月27日 (水) 10時57分

Edipo Re さん、こんにちは。
そうなんです、何度か見たり聴いたりしてますが、しばらくたつとその筋すら忘れてしまいます。
舟歌とオランピアしか印象に残らないのです(笑)

パウエル&プレスバーガー、初聞きの名前でしたので検索してyoutubeで少しだけ見ることができました。
たしかにビーチャムとRPOの名前がクレジットされてました。
レトロな中にも、夢想的な世界が感じられ魅かれました。
手塚先生のエピソードもありがとうございます。
オペラ観劇をされる先生だったのですね。

wikiで調べても、やはり版の問題がネックでさっぱり頭に入ってきません。
今回視聴したMETの幕切れでも、最後はミューズでした。
おっしゃる通りですね。
ごちゃごちゃいじらずに、統一して欲しいものですが・・・・

投稿: yokochan | 2020年5月30日 (土) 19時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« オペラストリーミング大会の軌跡 ③ | トップページ | オペラストリーミング大会の軌跡 ⑤ »