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2020年8月10日 (月)

オペラストリーミング大会の軌跡 ⑭

Yasukuni-01

 暑いですね。

残暑お見舞い申し上げます。

涼し気な写真を1枚。

で、まだ観てますよオペラ。
デイリーメトロポリタンオペラは継続中で、過去の伝説級の上演も配信してくれるし、昨年・今年の最新のものも。
ROH、グラインドボーン、オランダオペラ、シュッツットガルト、ボローニャ、ローマ、マッシモなどなどなどなど、もう枚挙にいとまなく、とうてい全部は見きれません。
youtube配信は後回しにして日々過ごしてます。

Tulandot-01

 プッチーニ 「トゥーランドット」 MET 2009

レヴァインの所有ビデオ、先月のセガンの最新ストリーミングに次いで、3度目の豪華絢爛ゼッフィレリの舞台。
これはもう、METの定番ですな。
 ネルソンスの弾けるサウンドと、タメも生かして同時代人マーラーにも通じる大胆なオーケストレーションを感じさせる指揮。

クイズ大会、3幕の変貌、アンミカ似のグレギーナの目線・指先・表情すべてが巧みにすぎる。
ジョルダーノ、気の毒なリューを捨てて氷の姫に走る無謀な男の鈍感さもよし。
リュー、ベテランティムール、よぼよぼ王様もよし。
 リューの死のあと、悲しみのなかに終わるバージョンもやったらどうだろうか。

Tulandot-02

晩年のプッチーニがなかなか書ききることのできなかったエンディング。
補筆したアルファーノ版はあきらかに霊感不足。
 でも、アルファーノの補筆版は責めても、アルファーノの「シラノ・ベルジュラック」と「復活」は名品です、責めないでください( ノД`)

Wozzeck-01

METのヴォツェックをぼちぼち観るか。
梅雨寒で暗澹たる気分だがな。

Wozzeck-02

  ベルク 「ヴォツェック」 MET 2020

今年の1月。隠蔽ウィルスが今思えば気になる時節。
ケントリッジ演出ということで、予想通りのアニメとマッピング、スクリーン多用の舞台演出。
ベルクの緻密な作品、セガンはビビッドな音楽造りで、すべての声部が実によく聴こえる。
あまりにも、音が明々白日にさらされた感もぬぐえない。
でも、音楽の仕組みがよくわかったセガン指揮と演出でもあり。

Wozzeck-03

第一次大戦を多く意識させるもので、兵隊さんも歩行も、うまくベルクのこのオペラとリンクさせてた。
 3幕各5場を連続上演。
場割の多さ、上演の難しさを、マッピングで巧みにこなしたのは見事。
想像力も刺激される。
いい人バリトンのマッティの新境地。
思えば、故H・プライもアバドの勧めで歌おうとしたけど断念。
そんなことも思ったマッティの挑戦。
 マリーのファン・デン・フィーヴァーもよかった。
聖書を手に歌うシーンでは、ほんとに涙流してた。
 釘付けになって観てしまったヴォツェック。
Thanks MET

Bohem

 プッチーニ 「ラ・ボエーム」 MET 1982

間に合った、早朝ボエーム MET1982
忙しいのでながら見だけど、音が意外といいので録っておこっと。
カレーラスはやっぱりいい、自分の耳にしっくりくる。
ストラータスのビジュアルのよさ、スコット、モリス、名人ターヨなども、豪華なメットならではのキャスト。
半年前、日本はクライバーで沸いた!

Chally

 わけ合って番外編。
Proms1990 プロコフィエフ 交響曲第3番
ナイスな演奏、シャイー&コンセルトヘボウ。
イタリア人はプロコ3番がお好き。
アバドとムーティもね。


今年のPromsは全部中止。
BBCは過去のアーカイブを2か月間無料開放してくれるという気前のよさ。

Fire

プロコフィエフ「炎の天使」エクサンプロヴァンス2018

大野和士&パリ管によるオーケストラ。
音源のみのパリのクラシック放送局の配信。

これは素晴らしかった、録音しちまった、3番と連続聴きした。
映像で観たいぞ!

【補筆】アウシュリネ・ストゥンディーテのレナータが、なかなかに、ぶっ飛び級の素晴らしさ。
彼女は、先だって、ダラスでの「サロメ」も聴いたし、先日のザルツブルク「エレクトラ」のタイトルロールも早速ネット視聴できた。
いずれもイケてます!

Wagnermask

【閑話休題】
ワーグナー(の)マスク
バイロイトより。
全面休館となったバイロイト劇場にて、スタッフさんかな。

欲し~い♪

Lucia_20200810151401

 ドニゼッティ 「ランメルモールのルチア」 MET 2011

女優兼歌手ともいえる、ナタリー・デッセイの独り舞台。
最盛期を過ぎたけど、やはり繊細な演技に、細やかかつデリケートな歌唱。
でも2007年の来日公演は、もっと美しかったし、完璧だった・・・
でもステキなナタリー黄色のハート
 震災後の1週間ぐらいの時期の上演・・・

Walkure-01

  ワーグナー 「ワルキューレ」 MET 2019

バイロイトなき今年、やっぱり夏はワーグナー。
ありがたき最新リング上演の配信。
 ジョルダンの指揮がよろしい。
俊敏機敏な反応のよさ、それが舞台の様子と歌手たちにすぐさま連動。
オケが混濁せずに、すべての楽器がすっきり・くっきり聴こえる、実に耳のよい指揮者。


ルパージュの演出で2度目の配信、ジークリンデ以外の歌手は刷新。
爆声の大迫力で、グロイスベックとウェストブロックが一番おとなしく感じる不思議(笑)
でも、グリムスレーはいいな。
アメリカバスバリトンの系譜、J・モリスの後を継げるか。
ゲルケさんは、いい歌手だけど、発声がどうもね・・

(どこでみつけたのか、グリムスレーさんから、いいねいただきました(笑))

Butterfly-01

  プッチーニ 「蝶々夫人」 MET 2016

声に陰りあふれるオポライスに、楽観的なアラーニャ。
他の諸役もよし、チチョンの指揮もいい。
 随所に日本テイストをにじませ、それらは正しいけれど、当時の日本にない、いまのカラフルなアニメ的な色彩が、東南アジア的にふれすぎだし、文楽な黒子などは日本を意識しすぎか


Butterfly-02

アメリカ人は普通なのに、なんで日本人たちだけがデフォルメされた存在なのか。
所詮、そんなもんなんだろう。
日本人スタッフが絡んでも、大衆のイメージにそぐわなかればだめだろうし。
 広島原爆投下の日に現地ではストリーミング。
ピンカートンとトルーマンは日本の敵だよ!


Shinkoku

ハミングコーラスのシーン。
恥ずかしながら、シノーポリの演奏を嫁との結婚式で、嫁の和装の衣装替え入場の音楽に使いました。
今を去ること数うん十年前の記憶の彼方。
いまやトゥーランドット姫のように君臨する妻でございまして・・・
こちらは新国の理想的なその場面。


Parsifal-met-00

土曜朝からパルジファル
楽しそうだな、イェルザレムさん、じゃなかった、パルジファルさん。


Parsifal-met-02

  ワーグナー 「パルジファル」 MET 1992

いまや古い映像だけど、清々しいまでにワーグナーのト書きに忠実。
聖金曜日のシーンの美しさもこれが随一。
歌と音楽に浸るだけ、ともかくあれこれ想像したり考えなくて済むから楽だ。
イェルザレム、マイヤー、モル、ヴァイクル、マツーラなど当時のベストキャスト。


Parsifal-met-01Parsifal-met-04

マイヤーさん、美しい。
2幕と1,3幕とで、まったく別人に歌い演じる、クンドリーは難しい役。


Parsifal-met-03

ワーグナーの反ユダヤ主義思想がその作品にも反映されている、という考えから、パルジファルは、もっとも演出の難しいオペラになったと思う。
春のストリーミングで8本ぐらい観たけど、宗教色はすべてなし、クンドリーは生き、自然賛美、分断解消、世界平和的な結末に置き替えられるものばかり。


METのパルジファル歴代指揮者を見てみたら、60年代からラインスドルフ、ベーム、プレートル、ルートヴィヒ、スタインバーグ、そして今回のレヴァインがなんと20年間も。
あとはゲルギエフ、P・シュナイダー、ガッティ、セガンと続いていた。
ベームの音源出ないかな!


Yasukuni-02

コンサートも工夫をしながら、内外ともに再開してます。
ザルツブルクではオペラも上演。
観客もかなりの間引きで、演出も距離感をとってのものらしい。

私の方は、身体的に、コンサートは当面無理だと思っている。
CDの買い出しにも行けないので、ネットであれこれ物色したりの日々。
そして、こうしてオペラ観劇と、豊富なライブ音源。
つくづくネットの恩恵を受けております。

PCR検査陽性者数は、接触者をたどって、検査を広げていけば増えるのはあたりまえ。
感染者であるけれど、無症状者。
ともかく数字に踊らされ、恐怖感ばかりを植え付けるのはどうかと思いますよ。
陽性者からの高年齢者と基礎疾患者への感染をともかく注意すればよいだけでは。。。
この時事ネタにはご意見はご不要で願います。

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コメント

また失礼いたします。'80年代メトの舞台は当時のパイオニアLDCからいち早くLDが出たので買い漁りました。特に'87年のレヴァイン指揮「トゥーランドット」はDGでしたが'89年5月初出で、その少し前に入手したソニーの34インチプロフィールで観て圧倒されました。第2幕の場面転換で顎が数センチ下がった気が。また翌月には天安門事件が起き、そんなことにも想いを馳せたり。

また「ラ・ボエーム」も「冷たい手を」でカレーラスが半音下げた以外は文句無しで。ストラータスはやはり姿あっての人かと。

でもあの絢爛たるゼッフィレッリの舞台が、今後も残るのかどうか。コロナ禍もですが本人が他界したことも追い討ちをかけるのかも。

'97年秋に神奈川県民ホールでバレンボイム指揮の「ヴォツェック」を観たのですが、パトリス・シェローの演出ともども感服しました。ヴァルトラウト・マイヤーのマリーが特に秀逸でしたが終演後、複数のハシゴの果てに自宅近くの行きつけにたどり着き、そこの店長兼チーフバーテンダーが
「今日はどんなオペラだったんです?」
と問うのであらましを話すとグラスを拭きながら
「あの~、それって楽しいんですか?」と。
「う~ん、まあ楽しいってもんじゃないけど、20世紀オペラの傑作なんだよ…」
なおも店長釈然としない顔つきでしたが。

奥様のお色直しに「ハミング・コーラス」、まさにうってつけですね。知人の結婚式にBGMを頼まれ、幾つかアイディアを出してCD選んで丸投げなんてのは何度かありましたがこれは何故か失念していました。自分のはしておりませんので!?

投稿: Edipo Re | 2020年8月11日 (火) 04時06分

残暑お見舞い申し上げます。
メットのゼッフィレッリの名物トゥーランドット、幕が上がると拍手がおのずと起きますね。
こちらも、人数を間引いての今後の上演となるんでしょうか。
ボエームも同様にして、この銘舞台を永遠に残して欲しいものです。
ともに、ハミングコーラスを流したあと、結婚、子どもなどで、なかなか手が回らない日々だったのであります。
人生には、そんなめぐり合わせがまいるものです・・・・

投稿: yokochan | 2020年8月14日 (金) 08時54分

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