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2021年5月 7日 (金)

ストラヴィンスキー 3大バレエ マゼール指揮

Hills-01

六本木ヒルズ、巨大なお花の親子像が昨年秋から立っております。

左手では、オリンピック・パラリンピックまでのカウントダウン。

何もなければ、ウキウキしたくなる楽しいシーズン。

思い切ってストラヴィンスキーの3大バレエを。

Firebird-maazel

  ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」

   ロリン・マゼール指揮 フランス国立放送管弦楽団

       (1970.12、1971.3 @パリ)

会員制レコード頒布組織、コンサートホール・ソサエティに中学時代に入ってましたので、マゼールのこのレコードの存在は早くから気になってまして、会報誌の裏を飾るこのジャケットを見たときから聴きたくてたまらなかった。
そう、お小遣いではそんなにたくさん買えなかったもので。
組曲版しかしらなかった時分、全曲版とはどんななんだろ?
このジャケット写真を眺めては想像を巡らせてたものです。
今なら、思ったらすぐにネットを調べるだけですぐに聴けちゃうので、まったくもって隔世の感ありです。

さて、CD化されて聴いたマゼールの「火の鳥」。
70年代初めの果敢さと、表現意欲にあふれた演奏で、エッジが随所に効いていて迷いない自信に満ちてます。
フランス国立菅の前の名前、放送管もうまいので、マゼールの指揮にピタリとついてシャープな音色を聞かせてます。
しかしながら、そこはコンサートホール盤で、60年代のものよりはいいとはいえ、録音がもう少し冴えていたら・・という願望もわきます。
そのせいで、下手くそな演奏にも聴こえる瞬間があったりして気の毒でありますが、しかし、こうした年代物になると、それもまた味わいとして聴くことができる、そんなコンサートホール世代のワタクシでもありました。

Petrushka-maazel

  ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」

   ロリン・マゼール指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

              Pf:ルース・メンツ

       (1962.3.25~4.30 @テル・アヴィブ)

オリジナルジャケットを探してみたら、いまでは扱いが厳しそうなものでしたが、でもこのバレエの内容そのもののリアル感。
マゼールは、98年にウィーンフィルと再録音をしてますが、そちらは聴いたことがありません。
イスラエルフィルとの録音は、これだけじゃないかしら。
60年代、マゼールはDGとデッカ、EMI、フィリップス、コンサートホールと各レーベルを文字通り股にかけてレコーディングしていましたが、おおまかにみると、DGはベルリンフィル、デッカはウィーンフィル、EMIはフィルハーモニア、フィリップスはベルリン放送、こんな感じの仕分けでしょうか。
30代の指揮者が、このように各レーベルで、欧州各地のオケと録音しまくっていたことで、いかに当時マゼールが寵児だったことがわかります。
ほかに、オペラ指揮者としても、ベルリンドイツオペラやバイロイトもあるんですから。

さて、イスラエルフィルとの「ペトルーシュカ」は、後年の先の火の鳥よりも若々しく、大胆でありました。
音色は原色で、テンポは速く、ともかく速く、ずばずばと進行する。
謝肉祭のワクワク気分も生々しく、その後の頂点では、ものすごい高揚感を与えるかと思いきや、超快速で容赦なく突き抜ける技を見せつけてくれる。この緊迫感は実にスリリングではある。
ラスト、トランペットによるペトルーシュカの亡霊のシーンは、かなりニヒリステックだし、実際に苦しげ感が出ててなんともいえない。
このオリジナルジャケットが似合う、どこかギラギラしながらも、突き放されたような面白い演奏だ。
舞台では絶対に踊れない。

Stravinsky-maazel

  ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」

   ロリン・マゼール指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

       (1974.3.25~28 @ゾフィエン・ザール、ウィーン)

70年代、まだウィーンフィルがウィーンの街のオーケストラらしく、現在のようにグローバル化していなかった時分の録音。
当時は、ウィーンフィルがついにハルサイか!とびっくりしたもんです。
これもまた、国内盤のルソーの絵画によるジャケットも際立ってまして、思わぬ激烈演奏ぶりに、これまたびっくりしたもんです。
久しぶりに聴いてみて、その印象はこれを聴いた当初とあまり変わらない。
録音は後だが、先に聴いていたアバド盤が高校生の当時、スマートで軽快で最高だと思っていたので、このあえてギクシャクとした原初的なサウンドには、繰り返しまた書きますがびっくりしたもんです。

実家のレコ芸の当時の月評を読み直したら面白いのなんの。
そうU先生であります。
「虚空に差しのべられた断末魔の乙女の手」ってタイトルになってる。
「悪魔のような巨大なスケール」、「断末魔の如き嘆き」、などなどとあり、U語ワールド満載といえよう。
聴き手をくちあんぐりさせた、選ばれた乙女への賛美への突入の11の連打。
マゼールの超激おそ作戦に、U先生も大絶賛で、「この遅さは異常であり、肌が粟立つほどに恐ろしい効果を持つ」と激賞。
♩=120を、♩=60にしたマゼールさん。
68歳になったバイエルン放送響との演奏でも、少し速くなったけどこれやってます。
バイエルン盤の方が大人な感じだけど、25年前のウィーン盤の大胆さには敵わない。
よくよく各楽器、とくに木管とかを聴くと確かに、70年代のウィーンフィルの音だし、ゾフィエン・ザールでのデッカの目覚ましい録音も懐かしくもありがたい。

 「バイエルン放送響とのハルサイ」

 「ハルサイ 70年代乱れ聴き」

マゼールは、やっぱり60~70年代が面白い。
誰も真似できないことを平気でやってたし。

Hills-02

もう世の中がカオスすぎる。

明るい話しがひとつもない。

でも、マゼールのストラヴィンスキー3大バレエは、面白かったぞ💢

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コメント

驚き!実は僕、最近までマゼールの音源を集中して集めてましたので(ソニークラシカルのBOXとスクリベンダムのブラームス復刻など。AMAZONでの中古購入。片手で揃いました。あとはBRクラシックの特売)。もっとも、ドイツ№1でシカゴの次に大好きなBRSOから到達したのですが。
※ヤンソンスが振ったマーラーの第9のライヴ!!
デッカの「春祭」はまだ持ってません。BRSOでの「春祭」と「火の鳥」組曲でも十分個性的。それとRCAに録音したVPOとの「ペトルーシュカ」もユニークでした。ただ、(BRSOのドイツ的感性+VPOの未だ優美なセンス)×マゼールの熟年化(老熟とも)で、かなり一般に受け取れるものにはなってますね。
しかし、異才鬼才と呼ばれたマゼール、このまま時の流れの中に埋もれさせてしまうのはあまりに「不当」デスヨ!
こうなると、マゼールが登場したバイロイトの演奏が聴きたくなってきました。


投稿: ianis | 2021年5月 8日 (土) 21時48分

Ianisさん、まいどです。
わたしも何気にマゼール音源集めてます。
ウィーンフィルとの来日でマーラー5番を聴いたときの衝撃で、80年代からしばらくマゼールの音盤を新婦から買う日々でしたが、アバドのベルリン就任にヘソを曲げた大人気なさから、ちょっと敬遠するようになりました。
で、いままたクリーヴランド時代を中心に注目してます。
年代ごとに変化したマゼール、ほんとに面白い存在だったと思います。
バイロイトのリング、ネットでそこそこの音質のもので聴けます。
バイエルン放送局にきっとある音源で、正規化を切に望んでます。

投稿: yokochan | 2021年5月 9日 (日) 21時11分

当方も先月6日のス御大没後50年から「春祭」レビューをAmazonに色々書き込んでおりました。マゼールのVPO盤は以前お伝えした「展覧会の絵」同様オープンテープで入手し、まあやりたい放題に感心かつ呆れ、例の4分の11拍子ではテープデッキがトラブったかと狼狽えました。「笑える春祭」てのは他に皆無かと。最終和音直前のフルートのグリッサンドが「ハラホロヒレハレ」と聴こえるのも。

次のクリーヴランド管盤(テラーク)はLP当時に録音の凄さで圧倒されました。部屋がホールに直結したかと。数年前に某不動産会社のCMでセヴェランスホールが映りましたが、美麗なホールでした。

3度目のバイエルン放響盤はすっかり巨匠化して面白くもありませんでした。VPOとの「ペトルーシュカ」もまた。やはりマゼールは若き鬼才だった頃に限るかと。実演も'70年代しか聴きませんでしたので尚更。そう言えばクリーヴランド管と幻想の凄演を聴かせたのは'74年4月で「春祭」収録の翌月だったのですね。やはりU先生が音友で激賞しておられましたが。

などと昔の想い出に浸るばかりですが、つい先程地上波でパリ管次期常任に決まった弱冠25歳のクラウス・マケラがコンセルトヘボウ管を振った「海」を聴き、未来も捨てたもんじゃないかなと思いました。さて、見届けられるか否か…。

投稿: Edipo Re | 2021年5月10日 (月) 00時14分

Edipo Reさん、こんにちは。
そうそう、最終のグリッサンド、まさに、はらほろ。。。でして、間寛平的な世界でしたwww
 テラーク盤は聴いたことがないのですが、ジャケットだけが鮮明に脳裏に残ってます。
バイエルンでは確かに大人の演奏ではありますが、あの機能的なオケと明るい音色を楽しめるので、結構好きです。
くり返しですが、マゼールはベルリン放送とクリーヴランド時代が一番だと思ってますが、その後の多様なオケとの組み合わせも楽しい発見があります。
ニューヨーク時代のマーラー全集がちゃんと出ないかと切望してます。

マケラ君、まだ25歳なんですね。
フィンランドは俊英を次々に繰り出してきますね。
彼のシベリウスやマーラーをネットでいくつか聴いてますが、年齢を感じさせない堂々たる演奏でした。
女性指揮者も含め、世代は次々に更新されますね。
楽しみにしましょう!

投稿: yokochan | 2021年5月12日 (水) 09時02分

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