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2021年10月19日 (火)

エディタ・グルベローヴァを偲んで

Gruberova-1

 エディタ・グルベローヴァが亡くなりました。

2021年10月18日、チューリヒにて、享年74歳の早すぎる死。

とても寂しい。

今朝はやく、訃報を知り、自分の音源の中から、ベルカントの女王と呼ばれた彼女の歌をいくつか聴き、偲びました。

上のニュースは、グルベローヴァが2019年に引退の舞台に選んだ劇場のある、バイエルン放送局の訃報。

下は、同じく、長らく活躍したウィーンのオーストリア放送局のもの。

Gruberova-2

わたしは、残念ながら、その舞台に接することができませんでした。

日本の歌劇団にもよく来日してましたが、残念だったのは、1980年のウィーン国立歌劇場の来演での、「ナクソスのアリアドネ」を逃したこと。
ベームの指揮もさることながら、グルベローヴァのツェルビネッタ、ヤノヴィッツのアリアドネに、キングのバッカスという、錚々たる顔ぶれ。
わたしは、就職の前年で、オペラ観劇なんて状況ではなかった・・・・
 しかし、NHKで放送された音源は、いまでもちゃんと持ってます。

Wien

だから、わたしには最高のツェルビネッタは、グルベローヴァ。

Ariadone_20211019080501

ザルツブルク音楽祭でのサヴァリッシュの音盤は、さらに完璧な歌唱。
唖然とするくらいのテクニックで、やすやすと転がるように歌うグルベローヴァだけど、感性豊かで、無機的になることなく、暖かな歌唱でどこまでも美しく、聴く人に安らぎとある意味、快感さえ与えることになる。

Mozart_zauberflote_haitink

あとは、なんといっても、グルベローヴァの名前を高めることになった、夜の女王。

決して悪い女王と思えなかった、愛情もありつつ、苦しむような女王を歌った。

Gruberova-queen

手持ちのグルベローヴァの音源の一部。
マリア・テュアルダ、ミュンヘンでの最後の演目、ロベルト・デヴリュー、清教徒、狂乱の場、モーツァルト、ハイライト集。

いずれゆっくり聴きたいけれど、R=コルサコフや、こうもりのチャールダシュなど、エキゾチックな役柄も抜群にうまかったし、ステキにすぎる。

大至急に書いてしまった記事ですが、グルベローヴァの死に、一刻も早く、彼女の声が聴きたかったから・・・・・

Csm_ariadne_auf_naxos_gruberova__c__wien
                                                       (Winer Staastoper)

エディタ・グルベローヴァさんの魂が安らかならんこと、お祈りいたします。

(1946.12.22~2021.10.18)

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コメント

グルベローヴァさん、亡くなられたのですか。音盤はEMIのアリア集からけっこう追いかけてました。実演ではオペラリサイタルと来日公演の舞台を何度か。フィレンツェのルチアと、ウィーンのツェルビネッタ(80年に非ず)、ロベルト・デヴェルーの舞台有り・無しなんてのも。CDではセミラーミデが他のキャストも充実して良かった。ご冥福をお祈りいたします。

投稿: アキロンの大王 | 2021年10月19日 (火) 22時49分

思わず我が目を疑った、貴ブログの御記事‥。何はさておき、エディタ様の御霊安らかな事を、祈念致します。今宵はEMI原盤のドニゼッティ『ルチーア‥』のCD(A・クラウス他、レッシーニョ指揮)で、在りし日の御歌唱を偲びたく存じます。

投稿: 覆面吾郎 | 2021年10月20日 (水) 13時43分

名ソプラノ、グルベローヴァの逝去の報に接し、心から哀悼の意を評します。こちらのブログで訃報を知り、本当に
驚いています。名ソプラノは長生きされるとの先入観があったせいでしょうか。

魔笛での夜の女王の歌唱は、当時のLDで鑑賞した記憶がありますが、正確には覚えていないのが残念です。

2000年だったと思いますが、ウイーンオペラでの来日公演で「ナクソス島のアリアドネ」を観た思い出が深いです。これがグルベローヴァの歌唱かと感嘆しました。アグネス・パルツァーも出演していて、亡きシノーポリの指揮が、このオペラを陶酔的なクライマックスへと導いていたことをなつかしく思い出します。ウイーン歌劇場の底力を見せつける公演でした。

その後のグルベローヴァのウイーン・オペラやリサイタルは日程の関係、仕事の関係で行けなかったのが、
今では深い後悔をもたらします。

時は待ってくれません。コロナ禍の中で2年近くコンサートに通えていない自分ですが、また機会が来たら、音楽家達を追いかけようと思います。貴重の情報をありがとうございました。

投稿: beaver | 2021年10月22日 (金) 22時51分

アキロンの大王さん、こんにちは。
グルベローヴァの実際の歌声を聴けなかった、聴かなったことが、悔やまれてなりません。
たくさん残された音盤、思えば自分も多く集めてました。
ご指摘のセミラーミデを次はねらってます。
素晴らしい歌手でした・・・

投稿: yokochan | 2021年10月25日 (月) 08時31分

覆面吾郎さん、こんにちは。
EMIへのアリア集でグルベローヴァは大ブレイクしたと思います。
クラウスとのコンビは完璧なほど、ルチアもいい全曲盤でした。
哀しいことが続きます・・・

投稿: yokochan | 2021年10月25日 (月) 08時33分

beaverさん、こんにちは。
2000年のウィーン国立歌劇場の来演、今思えば渋い演目でしたね、シャモニーのリンダをやってました。
これもまさに、グルベローヴァの真骨頂。
当時は、世界中のオーケストラやオペラがこぞって日本にやってきてました。
今では考えられないくらい。
もうあのようなゴージャスな日々は来ないと思いますが、目の前にある音楽、演奏会を大事に聴いていきたいものですね。

投稿: yokochan | 2021年10月25日 (月) 08時44分

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