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2022年2月 4日 (金)

ふたつの2番 チャイコフスキー&ブラームス アバド指揮

Nino-3

わが吾妻山の菜の花と背景の相模湾

春の兆しは1月終わりぐらいからもうやってきてます。

晴れと寒さも加わり、今年の吾妻山はことさらに美しく、カメラを構える方も多数。

今日は、アバドの若き日々のふたつの2番を。

ともにすでにブログで書いておりますが、アバドらしさ満載です。

チャイコフスキーとブラームスの交響曲第2番。

どちらが先に書かれたか?

ブラームス!と思ってしまいますが、実はチャイコフスキーの2番の方が先に書かれてます。

チャイコフスキーの2番が1872年、ブラームスの2番が1877年。

ブラームスは1833年生れ、1897年没。
チャイコフスキーは1840年生れ、1893年没、ということで、チャイコフスキーの方が後に生まれ、先に亡くなっています。
いかに、ブラームスが慎重で晩成型のタイプであったことがわかるし、チャイコフスキーが才能を早くから開花させ、そして急ぐようにして急逝してしまったか・・・・

しかし、これら2番に共通するのは、南へのあこがれと、それを堪能した解放感です。
チャイコフスキーは、ウクライナの南方にあるカムヤンカというモルドバ寄りのドニエストル川流域の地で夏の休暇を過ごし、そこでウクライナ民謡などを取り入れつつ作曲。
ブラームスは、オーストリアの風光明媚なウェルター湖畔ペルチャッハで、同じく6月から10月までの夏のタイミングで作曲。
ともに、明らかに明るさが基調となる素敵な交響曲となりました。

その2曲を若いアバドはDGに録音。

Tchaikovsky-2-abbado

 チャイコフスキー 交響曲第2番 ハ短調 op.17

  クラウディオ・アバド指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

        (1968.2.20 @ロンドン) ジャケットは借り物です

アバドがレコードデビューしてまだ2年、ロンドン響との録音も始まっていたが、同時期に共演を始めていたニュー・フィルハーモニア管とのいまでは希少な録音。
同オーケストラとは、あと、ブラームスのカンタータ「リナルド」があります。
ともかく渋いところを30代初めのアバドは責めてました。

DGがそんなアバドに注目してレコーディングパートナーにしたけど、必ずしも演奏会の演目と並行して録音したわけじゃないみたいだ。
いつもお世話になっておりますアバド資料館を拝見しますと、このチャイコフスキーも次のブラームスも同時期の演奏会記録にはなくて、録音だけの曲目選択だったと思われます。
いまでは考えられないことだけど、かつては、レーベルやプロデューサーの意向で、そんな采配ができた。
さらにデータを見ると、同じ1968年2月、アルゲリッチとショパンとリストを録音していて、そちらはロンドン響。

むかしのレコ芸で、高崎保男先生が、ニュー・フィルハモニアを指揮するアバドのトリスタン前奏曲と愛の死を聴いたことを書いておられ、60年代のアバドがどんなトリスタンを演奏していたのか、ともかく気になってしょうがなかった思いがありました。

8年経過して1楽章を全面的に改定した版を作って、いまがそれが定番となりましたが、全編明るい雰囲気のただよう2番を、イタリア人が奔放に指揮した、というような評価ばかりだった。
しかし、あっけらかんとした終楽章にも、アバドらしい冷静さを伺えるとともに、何と言っても、この曲の魅力であるロシアの抒情にあふれた、それはファンタジックな1番にも通じる第1楽章の演奏が、旋律美とリズム感にあふれまくっていて、そのあたりの抒情を巧みに引き出し、メリハリとともに、全体のバランスも見事にとった構成感を感じさせる真摯な演奏なのであります。
16年後のシカゴとの演奏もアバドゆえに好きだけど、オケが立派すぎるし、録音に雰囲気が少なすぎるので、比べたら旧盤の方が好き。
随所にあらわれるアバドの歌心と表情の若々しさ。
イギリスのオーケストラのニュートラルさも、この時期のアバドの感性をそのまま映し出してくれるようだ。
それにしてもウクライナ・・・・・いかになるのでしょう。

Brahms-2-abbado_20220131081601

    ブラームス 交響曲第2番 ニ長調  Op.73

  クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

   (1970.11 @イエス・キリスト教会、ベルリン)ジャケットは借り物です

1970年といえば、日本では大阪万博の年でアポロ11号が月から持ち帰った「月の石」で大フィーバーしていた。
音楽界でも、世界中のオーケストラやオペラ、ソリストたちが次々に来日、おまけにベートーヴェンの生誕200年の年でもありました。
カラヤンとベルリンフィルは5月に来日し、大阪でベートーヴェン・チクルスを行い、東京でもベートーヴェン、ブラームス、幻想、チャイコフスキー5番などを演奏していて、そのプログラム数の多さはいまでは考えられないくらいだ。

その年の秋の録音であるアバドとのブラームス2番。
カラヤンが文字通り独占状態だったベルリンフィルのレコーディングは、ベーム、ヨッフム、ライトナー、なぜかプロデューサーのゲルデス以外にDGへの録音はなかなかなされなかった時分。
若いイタリア人指揮者がカラヤンの主力レパートリーのひとつをベルリンフィルでいきなり録音することは、当時の感覚からすると驚きでした。

このレコードが発売されたときは、自分は中学生で、当時のNHKは、新譜レコードをよく放送してくれていたものだからFMで聴いた記憶があります。
ブラームスはなぜか4番しか聴いたことがなく、1番すらよく知らなかった自分にとって、ともかく明るくきれいな曲だな、という印象でした。
そして当時のレコ芸などでも、このアバド盤は絶賛されていて、この曲の決定盤は、カラヤンかアバドだとかされてました。
数年後に、4つのオーケストラを振り分けた交響曲全集で、ようやく正規にレコードを購入しました。→ブラームス 交響曲全集
全集のなかで、この2番がいまだに一番いい演奏だと思うし、のちの88年の再録音よりも自分は好きですね。
 なんたって、若やいだ、のびのびとした演奏で、北からやってきたブラームスが、春光あふれる自然のなかでくつろいでるような、そんなイメージなんです。
歌にあふれた演奏、美しい弱音、均整のとれた全曲を見通す構成感など、後世にずっと変わらないアバドの個性がここに満載です。

Azumayama-d

相模湾に、小田原の街、箱根の山

春はもう少し

Azumayama-f

アバドの若き日々の演奏に、こちらも若き日々を思い起こし、なんだかとても爽やかな気分になれました。

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コメント

高校の頃、最初に購入したブラームス2番はやはりアバド旧盤でした。おっしゃるとおりややもすれば晦渋なブラームスの明朗な面の際立つ演奏でした。その後幾多の演奏にも接し、少々横に流され過ぎかなどとも感じましたが、新盤より若き日のアバドの個性が顕著な一枚だったかと。どこかのインタビューでアバド自身が2番は再録したくないと言っているのを読んだ気がするのですが。ところがLPは断捨離の犠牲となりCDは新盤しか手元になく、至急取り寄せることにいたします。

’70年代前半のDGによる交響曲全集シリーズ、チャイコフスキーはT.トーマスの1番、アバドの2番、アツモンの3番にムラヴィンスキーの後期だったでしょうか。MTTの1番のみバラで買いましたが、2、3番はつい先年ロストロポーヴィチのセットで買ったのみで、それも聴かず嫌いのような有り様で。面目ありません…。

投稿: Edipo Re | 2022年2月 5日 (土) 20時09分

Edipo Reさん、こんにちは。
そうなんです、アバドもブラームスの2番は旧盤をとても気に入ってました。
セレナード2番も同様に明るく美しい演奏でした。
もう少し暖かくなったら、2番の交響曲をベームやカラヤンなどで聴いてみようと楽しみにしてます。
ブラームスは、1番や4番より、2,3番が最近は好きですね。

DGの交響曲全集、ムラヴィンスキーに肘鉄をくらい、寄せ集めみたいになりましたが、いっそのこと、4~6番も複数指揮者でやるか、アバドに複数オケでやってもらうかした方がよかったと思いますね。

投稿: yokochan | 2022年2月 8日 (火) 08時58分

ブラームスは断然イチバンは1番と思っていた私を脳天直下の一撃で覆させたのがアバドの2番でした⤴️
何気に開いたユーチューブでみた1992年の日本公演。あ“?何これ?コンナンだったっけ??にしてもアバドの指揮!アバドってこんなんだっけ?(⑉⊙ȏ⊙)アバドに惚れ始めたきっかけの一つですね。
もともと2番はいまいちブラームスっぽくなくて、選んで聞きたいと思う曲ではなかったのですが、その後あらためて2番を聞いたのが、この録音で、なおさらアバドを追い求めるきっかけ盤なので、ひじょうに、思い入れがありますwありがとうございます。この2番取り上げていただきまして。
このアバド盤を聞いて、これがブラームスの田園だよ、という言葉の意味がわかりました。
チャイコの2番、シカゴ盤よりこっちのほうが、断然好きです。ベルリンフィル時代だったらどんな演奏したんでしょうね。ちなみに最近ザルツブルクフェスの記念盤の中のアバドの悲愴を聞いたのですが、今私の中での悲愴ベストが、これになります。張り切りホルンが??ですが、この曲は年を重ねたほうが、渋みが出るのでしょうか?
ちなみにシモンポリパル盤はまだ聞いていませんが。

yokochanさん次回も楽しみにしていますね。

投稿: にょろふきん | 2022年2月 8日 (火) 11時59分

にょろふきんさん、こんにちは。
92年のサントリーホールライブは、NHKで放送されビデオ録画しました。
前半のムローヴァとのヴァイオリン協奏曲GCD化されてますので、われわれ日本のアバドファンには印象深いライブでした。
ちゃんと映像化して欲しいライブでもありますね。
各種あるブラームスの2番、ウィーンフィルとはあまり演奏してなかったようで、聴いてみたかったです。

小ロシア、ベルリンとのライブをFM録音した記憶がありますが、そのカセットテープを紛失してしまいました。
件のザルツブルグ悲愴、過去記事にありますのでご覧いただけましたらと存じます。
あの悲愴は素晴らしいです。
シモンボリバルとのものも映像は持ってますが、やや触手が伸びません。
大編成でオケが張り切りしぎて・・・という印象がありますもので。
定期的にアバドを聴きますので、またよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2022年2月13日 (日) 09時32分

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