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2022年9月 5日 (月)

ウクライナ戦渦で変わった音楽シーン

Maaalts

どんなときでもビールは美味しい🍺

困ったものですが、ともかく美味しい。

まだ暑いから、まだまだ美味しい。

2月末のロシアのウクライナ侵攻から半年。

この間、この影響で世界中、我が日本人にも、ありとあらゆるところで影響が出てます。

経済の停滞に加え、円安が生じ、輸入によってなりたっていたものが次々と値上げや商流の変更を余儀なくされ、即、わたしたちのお財布に影響を与えてます。

そして、世界がつながっていた音楽産業、とりわけ、クラシック音楽界でも多大な影響が出ております。

半年を経たいま、まとめておこうと思います。

Leningrad

学生時代に聴いたムラヴィンスキーとレニングラードフィル。

シベリウス7番とチャイコフスキーの5番。

恐るべき畏怖すべき演奏でしたが、このような演奏は、もう未来永劫味わえないでしょう。

世界のオーケストラ・ランキングでは、レニングラードフィルが必ず上位に食い込んでいた時代でした。
しかし、レニングラードは、レーニンの名前、そのものでした。

ゴルバチョフ氏も亡くなったことも、今年は印象深く、ソ連共産党体制にとどめを刺した功績は極めて大きいです。
でも、ウクライナ取り戻しの考えには賛同していたようで、そう考えるとロシア帝国の再興はかの国の潜在的な思考なのでしょう。

ウクライナ侵攻で、ソ連崩壊で民主化されたはずのロシアが、実は領土拡張主義の、かねてのロシア帝国再興を意図していることを知り、あわせて悲願の北方領土返還も難しいことを確認できてしまった。

音楽では、ロシアはこれだけ私たちに馴染みがあり、大音楽家と素晴らしい演奏家の宝庫であるのに、なんであの国は、ああも無謀かつ攻撃的なのでしょうか。

音楽する現役のロシア音楽家たちがみな、かつてのロシア帝国の復興に心を砕いていると思いたくもないが、かれらが、日本から不当に奪い取った樺太と北方領土を自分たちのものとして教育され、信じていると思うと、今回のウクライナのことがあるだけに許せないし、複雑な思いになることは悲しいけれど避けられないです。

①ロシアのオーケストラの来日が不能に

サンクトペテルブルクフィル、モスクワフィル、チャイコフスキー記念響(いわずとしれたモスクワ放送響)、モスクワフィル、ロシア国立響(ソビエト国立響)、ロシア・ナショナル管、キーロフ劇場管
これまで何度も来ていたお馴染みのオーケストラが、この先ずっと日本にはきません。
クルレンツィスのムジカエテルナもロシア政府からの支援もあり、難しいだろう・・・・
 こうしてみると、来日するとチャイコフスキーの後期交響曲、ショスタコ5番ばかりの日本商材だけれども、ロシアのオケの威力は、われわれ日本人は、存外に全国各地に公演してくれるから、その多くが聴いていて親しみをもっていることだろう。

年末には、ロシア系の怪しげな団体や、ウクライナ系なども、何故かやってきて、第9やクリスマス音楽をやってしうまう、そんな美味しい音楽市場だった日本。
人気のみの日本人ソリストをメインにした来日公演もしばしば行われた。
これらもなくなっていまい、ロシアにしても音楽ビジネスが美味しい市場だった日本を失ったことは大きい。

ムラヴィンスキー、スヴェトラーノフ、ロジェストヴェンスキー、コンドラシン、フェドセーエフらに率いられて日本全国を巡ってくれた凄腕のロシアオーケストラは、実演ではもう聴けないのかもしれない。

②オペラ団も来なくなる

近時はキーロフ・マリンスキー劇場が日本のロシアオペラを独占しているが、彼らも無理に。
かつて、日本に本物のロシアオペラを見せつけてくれたボリショイオペラ、ここも来演不能だろう。
これぞ文化の喪失、海外のオペラ団は、その国の総力をあげての来日だけに、その国の文化そのものを味わえるのだから。
そんななか、旧キエフオペラ、いまは国立ウクライナ歌劇場と名変したオペラ団が年明けに来日するらしい。
侵攻されている国がオペラ団を海外に派遣するとは。。。
演目は、ロシアオペラをやるわけにはいかないのか、「カルメン」とガラコンサート、第9で、ガラではヴェルデイの「行け思いよ・・」とか第9の終楽章なんかをやるって。
なんだかなぁ~という気分ですよ。

③指揮者はそれぞれ事情あり

・まずはゲルギエフ
プーチンとの親密さが明かされて、進攻後もそれを否定せず、沈黙を守った。
それによって、ミュンヘンフィルの地位をはく奪され、世界のあらゆるポストを失い、指揮する場所をロシア以外の地で失った。
有能で精力的な指揮者だったから、反ロシア側の国々のオーケストラやメットなどのオペラでは、あれだけのカリスマ性のある指揮者の喪失は大きいかもしれない。

・ロシア批判派
侵攻に関して、実際に非難をした指揮者たち
シナイスキー(75)~祖父がウクライナ人、チェコのオケでポストあり
ソヒエフ(44)ボリショイ劇場と仏トゥールーズ管、双方を辞任してキャンセルカルチャーを批判。一番、男を上げたと思う。
K・ペトレンコ(50) ロシアを出て久しいが、当然に非難し、ウクライナ支持
V・ペトレンコ(45)ロシア国立響を辞任し非難、ロイヤルフィルに専念
ユロフスキ(50)侵略を非難し、芸術家による署名活動を起こす、バイエルンオペラ、ベルリン放送

・ロシアに留まる派
フェドセーエフ(90)チャイコフスキー記念響に長期君臨、ロシアの最長老として尊敬を一身に。
テミルカーノフ(83)サンクトペテルブルクに留まるも、指揮のスケジュールはなさそう
シモノフ(81)モスクワフィルの指揮者として君臨。いまも演奏会あり

・わからない派(調査不足)
キタエンコ(82)ドイツでの活動歴の長いキタエンコ、どのような表明をしているか不明
ラザレフ(77)日本でも桂冠ポストあり、不明
プレトニョフ(65)意向は不明なれど、6月に東京フィルに来演してる

・微妙な派
クルレンツィス(50)ギリシャ人、ロシアでの活動歴長く、手兵のムジカエテルナがロシアよりの支援もあり当団との活動が微妙
西側の人で音楽界が手放さない人材なれど、手兵との関係如何か。

④歌手たち
・なんといっても世界のプリマドンナ、ネトレプコ
プーチンと一線を引く立場を表明するように声明を求められ、自分はいち芸術家だから、政治などには組しないし、それを表明する立場でない、と言った。
わたしなどは、そうだよね、ネトレプコ偉いと思ったりもしたが、ロシア憎しの一方的なアメリカなどはまったく許すことなく、あれだけMETの女王のような存在として活躍したのに出演不可の状態が継続中。
ロンドン、ウィーン、ドイツ各地もだいたい同じ対応ですが、それ以外の劇場などで、少しづつ出演できるようになっている現状。
ネトレプコもまた、世界の音楽シーンでは、なくてはならぬ存在だから、アメリカ以外は徐々に復権していくと勝手に思います。
いや、この際だから、ネトレプコがなかなか来なかった日本ゆえ、思い切って新国は無理だが呼んでみてはどうだろうか。
旦那のテノール氏は、制約なく、奥さんより活躍している逆転現象も起きている。

 ほかのロシア系歌手は、あんまり詳しくないのでここまで。
ともかく、欧米の各地で活躍していたロシア系歌手に、出演の制約ができてしまっことは、オペラハウス側にとっても頭の痛い問題だろうし、ロシア系のレパートリーの選定にも、素材と歌手選びで課題の残る結果を呼びおこしました。

⑤ピアニスト、ヴァイオリニスト、室内楽団体など・・・
すいません、あまり知りません。

ロシア人であることで、選別され、その活動の機会を奪われるいまの世界的風潮には反対です。
ウクライナ侵攻は悪行で、それを支持してはマズイと思いますが、それに対する賛否の態度を強要する姿勢はどうかと思う。
誰しも自分の国は愛する対象であるはずだ。
愛する祖国が、間違った方向に進んだとしても、芸術家はそれを批判する自由も、しないで本来の自分の芸術活動に専念するのも自由で、いずれの自由も尊重されなくてはならないとも思う。
ゲルギエフは体制に寄りすぎでいたし、ネトレプコは芸術と政治の判別強要の狭間にたってしまった。
歳を重ねた指揮者たちは、もうロシアで安住しようとし、海外のポストもある演奏家たちが、今後の活動の幅も維持しようするのも、よくわかる判断だ。

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ともかく、世界の分断は決定事項。
生でも、西側のメディアでも聴けなくなってしまったオケや演奏家を今後も楽しむことは難しくなった。

ソ連・ロシアの演奏家をふんだんに聴けた、これまでがもはや懐かしい。
北方領土の平和裏の返還はもう望めず、その点では憎しみが残ってしまい、それが確定した。

ともあれ、音楽を聴くには平和がいちばんだ。

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コメント

思ってもいなかった事態になりました。ご指摘の通り私もロシア人演奏家の恩恵を全身で浴していました。もう10年は生演奏に接することは無理だろうなー、、下手すりゃあ20年以上かもしれない。私の年齢を考えると絶望的です。所有レコードの棚を見てもロシア音楽ものがかなり多い。好きな作曲家の上位にチャイコ、ショスタコ、Rコルサコフ、ムソルグスキーは必ず入ります。世界の現状を見てロシア憎しとの思いは日に日に募りますが、一方でロシア作品への強い愛着は少しもゆるがない。1940年代を生きた人々はドイツ音楽や演奏家をどう見ていたのだろうか。とりわけワーグナーの作品や演奏をどう思っていたのだろう。今を生きる私たちはロシア音楽とどう向き合うべきか。ただいまチャイコを聴きながら書き込みをしています。私の中で心が二つに分裂していきます。ロシア許すまじ!と、ロシア麗し!音楽のためにも演奏家のためにも私たち愛好家のためにも一刻も早く平和な世界に!

投稿: モナコ命 | 2022年9月11日 (日) 19時10分

モナコ命さん、こんにちは。
ご返信遅くなりました。
昨日のプーチンの動員令の発令で、ますます戦渦は深みにはまっていきそうです。
同時に、ますますロシアの音楽家を直接に聴くことが難しくなったといえますね( ノД`)
どうして、あんなに素晴らしい音楽がロシアから生まれるのか?
皇帝を倒してしまって赤に染まってからかの国は変節してしまいましたね・・・・

投稿: yokochan | 2022年9月22日 (木) 08時33分

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