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2022年12月 4日 (日)

ラヴェル ダフニスとクロエ ハイティンク指揮

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初冬の夕暮れの海岸。

西の空は淡く暮れ、遠景は箱根の山々。

海の夕焼けは、子供のときから大好きでした。

夜明けの音楽だけれど、今日はダフニス。

Ravel-haitink

  ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」

   ベルナルト・ハイティンク指揮 シカゴ交響楽団

        (2007.11.8~10 @オーケストラホール)

ダフニスとクロエは演奏会では第2組曲が主流で、ネット放送の海外演奏会でも第2組曲ばかり。

でも自分では、ダフニスは全曲版と決めております。

ラヴェルの管弦楽曲集をやるとなると、第2組曲をラストに持ってくるのが一番盛り上がる。 

しかし全曲版をコンサートのメイン、後半に持ってくるなら、前半の選曲に多彩な選択ができるし、50分あまりの光彩陸離たるラヴェルならではの音楽絵巻は充実のコンサートを約束すること間違いなし。

かつて経験した小澤征爾と新日フィルのライブでは、前半がヴェルディの「聖歌四篇」というユニークなプログラム。
小澤さんといえば、サンフランシスコ響と凱旋したとき、Pゼルキンとブラームスの1番の協奏曲にダフニス全曲。

こんな具合に意味深いプログラミングができるダフニス全曲。

今回のハイティンクとシカゴの前半は、このCDにも納められたプーランクのグロリアでした。

ハイティンクはラヴェルを得意としましたが、なかでもダフニスとクロエは大好きだったようで、30代の若き頃にコンセルトヘボウと第2組曲を、40代に今度は第1と第2の組曲。
さらに50代にロンドンフィルとの全曲版ライブ録音、60歳でボストン響と全曲、78歳でシカゴ響と全曲。
このように、ずっとダフニスを指揮し、録音も残してきました。

最後の録音であるシカゴ盤は、ともかく録音がよすぎて、ダイナミックレンジがむちゃくちゃ広い。
静寂の美しさを楽しもうとボリュームをあげて聴いてると、突然にリアル巨大な音塊が襲ってきて、とんでもなくびっくりしてしまう。
最高の装置なら難なくピアニッシモからフォルティシモまで均一に味わうことができるだろうが、我が家ではそうはいかない。
この録音の良さが、シカゴ響のべらぼうに巧い技量のほどを見事にとらえていて、ハイティンクの目指すシンフォニックなダフニスの魅力をあますことなく味わうことができます。
ハイティンクのダフニスは、ラヴェルの精緻な音楽をスコアを信じて、そのままに音にしたかのようで、舞台が目に浮かぶようなストーリーテラー的な表現はありません。
ともかく、いつものハイティンクらしく、真摯にラヴェルに取り組み、さりげなくも堂々たる演奏を完遂してしまう。
オーケストラの全幅の信頼と尊敬をもとになりたつ、指揮者として最高のレヴェルに立った存在としてなしうる芸術行為であろう。

前奏からして水際経つオーケストラの美しさと透明感、場面の変転は大らかながら、安心感があり、音楽の流れに身をまかせるだけでいい。
このあたりの安定した音楽づくりがハイティンクのよさだろう。
ベートーヴェンもブルックナーもマーラーもみんなそう。
ボリュームの操作さえ間違えなければ、最高と安定のオーケストラサウンドを堪能できるハイティンクのダフニスです。

続いてボストン響との演奏を聴くと、シカゴとはまったくちがったオーケストラの味わいがある。
ながらく培ったラヴェルの演奏の伝統が染みついたオーケストラの馥郁とした音色は、中間色に強みのあるハイティンクの指揮にばっちり。
シカゴにない味わいが醸し出されているのがボストン盤。

ロンドン・フィル盤は未聴。
70年代のコンセルトヘボウ盤は、まさにフランドル調の渋いけれど、耳に優しく柔らかくも柔和なラヴェルサウンド。
華やかさとは無縁の絹折れの世界。
できれば、コンセルトヘボウと79年頃の、このコンビの最盛期にも全曲録音を残してほしかった。

Sodegaura-2_20221114212401

ハイティンクのラヴェルはいい、好きです。

クープランの墓、高雅で感傷的なワルツ、古風なメヌエット、マ・メール・ロワなど、コンセルトヘボウ盤が最高に好きなんです。

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