シュトラウス・コンサート スウィトナー指揮
2023年、令和5年がスタートしました。
ことしも、ゆっくりペースで音楽を聴き、更新してまいります。
よろしくお願いいたします。
シュトラウス・コンサート
オトマール・スウィトナー指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
(1979.12 @ルカ教会、ドレスデン)
ウィーンのオーケストラの専売特許じゃないとつくづくと思わせてくれる1枚。
かつて聴かれた馥郁たる柔和な響きと音色、ドレスデンのサウンドがここに。
ウィーンフィルもインターナショナル化してしまったが、ドレスデンも同じくそうだろう。
東西統一前のドレスデンの録音が東西のレーベルで盛んになされたことが今思えばありがたいことでした。
スウィトナー(1922~2010)のドレスデン時代は60~64年と短かったが、その共演と録音活動は長く続きました。
ベルリンは64~90年と長期にわたり総監督の地位にあったが、いずれもが東ドイツ時代。
チロル地方インスブルック生まれのスウィトナーがずっと東側で活躍し、西側での活動は日本でのものが一番知られ、アメリカやオーストリアでの活動はあまり記録に恵まれていないのも寂しい。
東西統一とともに、よくなかった体調もさらに悪化して指揮活動からも退いてしまったスウィトナー。
病気にならなかったら、ウィーンのオケとの共演もあったかもしれない、特にウィーン響などとの相性は良さそうだと思っていたので残念なことです。
イタリア人の血も引くオーストリア人であったスウィトナーの音楽は、わたしは明るく軽やかなものとの印象を持ってます。
モーツァルトが絶品なのはいうまでもないですが、ワーグナーも明快かつ歌謡性にとんだしなやかな演奏だったし、ブラームスやドヴォルザークも明るい基調だったと思ってます。
そんなスウィトナーだから、シュトラウスファミリーの音楽ものびのびとした硬さのない気持ちのいい演奏なんです。
こびを売るような効果のための歌いまわしはまったくなく、ストレートな解釈ですが、身に沁みついたウィーンのワルツやポルカの作法を、あの茫洋とした指揮ぶりで、ドレスデンのオケから難なく引き出していて極めて素敵なのです。
青きドナウ、アンネン・ポルカ、観光列車、オーストリアのむらつばめ
ハンガリー万歳、雷鳴と電光、芸術家の生活、百発百中
わが人生は愛と喜び、ラデツキー行進曲
ヨハン1,2世とヨゼフのシュトラウスファミリーの名曲をおさめた1枚だが、「オーストリアのむらつばめ」と「わが人生は愛と喜び」の弟ヨゼフ・シュトラウスのワルツの演奏が特に好き。
遅れて作曲家になったヨゼフの音楽は美しい旋律線をもつ抒情的なシーンが多いが、この2作品に息づく呼吸の良さというか、あふれる音の自然さがとても大らかで、まるで温泉にゆったりと浸かっているくらいに気持ちがよく、ほのぼのとした気分になります。
ポルカや行進曲も存外に弾みがよろしく軽やかです。
手元には、N響を指揮したエアチェックライブがありますが、ここでのスウィトナーも生真面目なオケから微笑みあふれるシュトラウスサウンドを引き出していて見事だと思いましたね。
スウィトナー、サヴァリッシュ、シュタインとN響の往年のドイツ系指揮者たち、今年はたくさん聴いていこうと思ってます。
お天気に恵まれたお正月。
箱根駅伝は残念だったけれど、いいお正月でした。
よき1年となりますように。
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