クリスマス with アカデミー マリナー指揮
クリスマスがやってきました。
今年ほど世界が不穏で、日本もまたその影響を受け、われわれ庶民の実生活にもその影響がおよんだ年はないでしょう。
それでも世界はクリスマスを祝い、楽しむ気持ちは忘れていません。
いろんな国々の街の様子をリアルタイムで見ることができるネット社会の恩恵。
キリスト教国でない国でも、街々は華やかなイルミネーションでキラキラしてます。
素敵な宗教画、ヨセフとマリアに幼子イエス、そして当方の3博士。
イエスの生まれた場所、ゆかりの地などが、いま世界の紛争の当時地になっているという悲しみ。
1.3時を過ぎて(英キャロル) 2.神の子は今宵しも(18th)
3.ディンドン (仏キャロル) 4.木枯らしの風は吠え(ダーク)
5.シンフォニア(バッハ) 6.昔、ダヴィデの村に(ゴーントリット)
7.サセックスキャロル 8.何とかぐわしい(仏キャロル)
9.御子がお生まれに(仏キャロル) 10.キリストの幼児から(ベルリオーズ)
11.サン・ファミーユの休息(ベルリオーズ) 12.薔薇の花がほころんだ(プレトリウス)
13.きよしこの夜 14.静かに、静かに(独キャロル)
15.イエスのために(プレトリウス) 16.ひいらぎと蔦は(英キャロル)
17.聖なる3博士(コルネリウス) 18.明日が私が踊る日(英キャロル)
19.神の子イエスさま(カートパトリック) 20.パーソナント・ホディ(独キャロル)
21.もろびと声をあげ(独キャロル)22.りんごの木なるイエス(ボストン)
23.あめにはさかえ(メンデルスゾーン)
教会の鐘:聖バーロソミュ教会、クルカーン、サマセット州
S:ジョシュア・ローズマリー
T :イアン・ボストリッジ
Br:ジェラルド・フィンリー
サー・ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
(1994.1.4~8 @セント・ジョンズ教会、ロンドン)
本格的なクリスマスアルバムです。
伝統的な英仏独のクリスマスキャロルを中心に、中世からバロック期の作品、バッハやメンデルスゾーン、ベルリオーズといった本格クラシカル作曲家のクリスマス作品を一堂に集めた1枚。
正直いって渋いです。
キラキラしたクリスマスのイメージを期待すると100%裏切られます。
ヨーロッパでずっと聴かれ、歌われてきた人々の伝統あるクリスマス音楽。
アメリカの楽しくワクワクするようなクリスマス音楽、日本の商業主義におかされたその場だけのメリークリスマスとはまったく異なる世界がここにありました。
マリナーとアカデミーだから、楽しくさわやかなものなのだろうと思い込んでいたら大間違いでした。
CDの冒頭と最後に、教会の清らかな鐘の音がおさめられてます。
聖バーソロミュー教会、いかにも英国国教会の厳かな雰囲気
滋味あふれる優しいマリナー卿に導かれ、心休まる静かなクリスマスが過ごせました。
イブや、クリスマス当日の家人が寝静まった夜更けに、しずかに聴くに限ります。
たいへんなこと、嫌なことばっかりあった年だなぁ、と思いつつも、こうして静かなクリスマスと年末を安全に過ごすことのできる幸せをかみしめることができました。
お馴染みの定番の曲も、ここでは手作り感さえ感じる温もりの優しさにあふれてました。
バッハのクリスマス・オラトリオ、ベルリオーズのキリストの幼児も、いずれもサワリにすぎませんが、充足感あふれる素晴らしい演奏です。
マリナー卿が亡くなって、もう8年ですが、たくさんあるマリナーの録音の数々、まだ聴いていない音盤もたくさんあります。
それらのうちの1枚でした。
マリナーは、アンダーソンや定番クリスマスソングなど、フィードラーやオーマンディらが何度も録音した、いわゆる「クリスマス・アルバム」を意外にも録音しませんでした。
膨大なレコーディングを残したマリナー卿の以外な一面ですが、それもまたマリナーらしいところなのかもしれません。
まだ手にしていないマリナーの音盤で、来年の目標としては、ハイドンのネイムズシンフォニー全曲、シューベルトの交響曲全集、シューマンの交響曲全集、モーツァルトの交響曲の後半、セレナーデなど、たくさん、たくさんあります。
思えば、未聴のマリナーがあることの楽しみよ。
よきクリスマスを🎄
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