2008年6月 8日 (日)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Kanagawa_phl_200806 今日は、午前中はお仕事。午後は、横浜へ行って神奈川フィルを聴く。
シュナイト音楽堂シリーズを楽しむようになって、土曜はこんなパターン。

今期のシューマン・シリーズ最後は「ライン」を取り上げることもあって、ほぼ満席。
でも、ブラームスとシューマンという、ドイツロマン派本流のプログラムは、渋いといえば渋い。


  ブラームス ハイドンの主題による変奏曲
  
  シューマン チェロ協奏曲
           VC:山本裕康

          交響曲第3番「ライン」

          ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー
                                  (6.7 県立音楽堂)      


20080607_1 ブラームスのハイドン変奏曲を冒頭に持ってきたのは、オーケストラにとってもその実力開示の試金石みたいな曲だけに、なかなか大変だったのではないかしら。低弦だけの伴奏の上に乗って管が奏でる主題。硬さがひとつもなく、暖色系のトーンはこのコンビならでは。この曲、生て聴くとオーケストラの各楽器がいろんなことをやっていておもしろい。ピッコロやトライアングルも入ってピロピロ、チンチロやるが、そこはブラームス、浮ついたところがひとつもない。
そのあたりの燻し銀の中に南ドイツ風の響きを感じさせるところが、シュナイト師の毎度の真骨頂か。

チェロ首席の山本氏をソリストにした、協奏曲。
この旋律の明確でない、何か模糊とした協奏曲は演奏効果を発揮しにくい曲。
CDで聴いても、どうも判然としないことが多い。晩年のシューマンの持つ晦渋さを、どう解きほぐすか。そのあたりが聴きものだった。
山本氏のチェロ、1楽章は硬くまだほぐれていない感じで、う~むの雰囲気。
対するオケは、シュナイト師に絶妙にコントロールされて素晴らしい伴奏ぶり。
2楽章、山本氏の紡ぎ出す美音は、ここでついに本領発揮。弦楽器のピチカートに乗って、ロマンテックな旋律をそれは綺麗に歌う。オーケストラのチェロ独奏との絡み合いも、さすがに息のあった雰囲気で心和む。
リズミカルな3楽章の難しいパッセージの連続も難なく易々とこなし、オケを見渡しながらの演奏ぶりで、とてもリラックスしていた様子。
やはり、オケの一員としての協奏曲の演奏。シューマンのこの曲の場合、それでいいのだろう。とてもよかったが、この曲はやはり捉えどころがないな。
 むしろ、「明日はシューマンの誕生日。ということで、バッハを」と笑いをとってのアンコール、無伴奏チェロ組曲「サラバンド」が、息を飲むほどに、抜群に素晴らしかった。
同僚のコンマス石田氏とのやりとりも楽しかったし、シュナイトさんの山本氏への思いやりとユーモア溢れる動作も微笑ましかった。

Top2 「ライン」は、シューマンの交響曲を聴き始めるのに「春」とともに、真っ先に馴染む曲。
私も、この曲から入ったけれど、ほかの番号の方(はっきり言って2番)にだんだんと魅力を感じ始め、この5楽章のバランスの悪い交響曲をあまり聴くことがなくなってきた。
 そんな浮気な私に褐を入れんばかりの、シュナイト/神奈フィルの演奏。
1楽章の出だしから、ガツンとやられてしまった。
何と言う芳醇かつ暖かな音色なのだろう。すべてが自然で、いろいろ言われるシューマンの楽譜をいじくりまわした形跡など微塵もない。
有名な2楽章には、とうとうと流れるラインの様子を思い浮かべてしまう大らかさが充溢し、愛らしい雰囲気をやさしく表現した3楽章もこんなに楽しく聴いたことはないと思う。
そして、圧巻は4楽章。この楽章の重々しさと、終楽章の一転明るさが、いつも居心地悪く感じるのだが、そんなことを感じてた自分を恥じなくてはならないくらいに、その対比が見事だった。聖堂の大伽藍を仰ぎみるような気分で聴いた4楽章に、宗教的なものすら感じることができた。さすがに祈りの指揮者シュナイト師!
明るい終楽章は、走らず着実な演奏で、最後までテンポを守りぬいた堂々たるラスト。
満員の聴衆が湧いたのは、申し上げるまでもないです。

いやはや、なんだかんだで、このコンビに、またやられちまいました。
これで、9月までシュナイトさんの指揮はお休み。ひとまず、ドイツへお帰りになることだろうが、また元気に帰ってきて欲しい! 自他ともに認める「浜ッ子」なのだから。

アフターコンサートは、毎度お馴染み「神奈フィルを勝手に応援する会」が開催された。
今回の例会場は「一の蔵」が満杯であったので、小粋な中国家庭料理の店へ。
居酒屋と違い、酒飲みにとって「間」が持つかなとも思われたが、なんのことはない。
こちらもなんだかんだで、楽しく時は過ぎ、いい時間に。皆さんお世話さまでした。

シューマンの響きを思い起こしつつ、うつらうつらと、東京湾を半周して帰還。
あまりに満足だったので、寝ながらヨダレなんぞ流してなかったかしら・・・・・。

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2008年5月24日 (土)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Img 神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期公演を聴く。
お馴染みハンス=マルティン・シュナイト師の指揮。
このオーケストラ、特にこのコンビが繰り出す名演の数々に魅かれてついに定期会員となってしまった。

千葉在住、都内勤務の自分にとって、金曜日の夜に横浜に登場するのは、なかなかにタイヘンだし、まして定期会員になることは、ちょっとリスキーだったが、5公演をチョイスできるフェイヴァリット会員なるシステムがあって大助かり!
郷里のオーケストラへの愛着がなせる技なり。
(今、住む千葉のあのオケはいったいどうなってしまうんだろ・・・)

前段が長くなってしまったが、またもやドイツ音楽の真髄を味わわせてくれた名演との遭遇に心が震えた。

       ブラームス 交響曲第3番
   
       ヒンデミット 交響曲「画家マティス」

  ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                         (5.23@みなとみらいホール)

両曲合わせて75分くらいのシンプルなプログラムながら、その渋い、いや渋すぎる組み合わせに、もうワクワク状態。
ふたつともに、生で聴くのは初めて。

Kana_phil_2  ブラームスの3番は、かなり好きな曲で、力強さとともに、豊かな歌と哀愁に満ちた雰囲気が堪らなくいい。
冒頭から、一音一音をかなりゆったりと鳴らし、かつ引っ張る。これは、じっくりとやるぞ、と思い、こちらも心して構える。
そう、すみずみまでよく歌わせるシュナイト節が35分間展開させられた訳である。
繰り返しは省略されたものの、堂々たる冒頭主題に続く木管で歌われる牧歌的な主題。
この対比が実によろしい。時おりホルンが突出してしまうところをシュナイト師は、巧みに抑えながらバランスをとっている様子がうかがえた。
癒やしの音楽ともいえる第2楽章は、木管群が活躍。暖色系の音色が、このコンビによって見事に紡ぎだされる。さらに、こんどは、弦楽器の活躍する第3楽章。
曲が始まる前、有名な旋律をまず奏でるチェロのメンバーたちに、指揮者がよ~く歌ってよ・・・・なんて風に目で合図している様子。メンバーたちは、わかってますよ~とばかりににこやかに頷く・・・。こんなやりとりがあった。
そして音楽は、その様子のとおりに、思わず引き込まれるくらいに歌い、かつ泣きの名演。聞き古したこの旋律が、なんと豊かに響いたことであろうか。
コンマス石田氏の動きも気合いの入った終楽章。熱くてほろ苦い展開が、やがて静かに収束に向かい、いつものように祈るような指揮でピアニッシモの音が静かに消えた。
またもや、美しくも筋張の瞬間。堪え切れない人の拍手がぱらぱらと起きたが、大満足のエンディングで、シュナイト師もにこやかに楽員を讃えていた。
考えたら、この曲、すべての楽章が静かに終わる音楽なんだ。

休憩後のヒンデミットの「画家マティス」。
この曲や、グリューネヴァルトの絵については、アバドのCDの過去記事をご参照。
時代を考えると保守的なヒンデミットの作風。
ヒンデミットの作品にいえること、とっつきが悪く、なかなか微笑んでくれない。
アバドの演奏でも、アバドはまるで得意とするムソルグスキーを演奏するかのような渋いくて内省的なものだった。
はたして、シュナイト/神奈フィルはいかに。
 そう、それはそれは、美しくも輝やかしく、歌心と祈りにも欠けていない素適な名演だった。
オケがちょこちょこと踏み外すことはあったが、そんなことは全く気にならない。
あのムッツリ顔のヒンデミットの曲を、こんなにキレイに演奏できるんだ!

第1楽章「天使の合奏」は、曖味さのまったくないまさに天から光りが徐々に降り注いでくるかのような演奏。CDだと、もやもやした演奏に聞こえるが、素晴らしいホールで聴くこのコンビの演奏には、そうしたところが一切ない。
第2楽章「埋葬」。木管による哀感そそられる楚々とした旋律とそれを包み込む弦の伴奏が心を打つ。指揮棒を置き、ニュアンス豊かなシュナイト師の背中を見ているだけで、その音楽が感じられる。ソロオーボエ、毎度ながらにいい。
そして、フルートとこの音楽で大活躍のピッコロ、この二人がまた素晴らしい!
長大な第3楽章「聖アントニウスの誘惑」。強烈なフォルテの打激が数回、ここへ来てリズミカルで、賑やかなフルオーケストラが聴けるが、この演奏には華やかさなどひとつもない。クライマックスに向いつつ、オケが夢中になってシュナイト師の指揮に着いていっているのを目のあたりにして、聴くこちら側もどんどんと引き込まれ、ドキドキしてきてしまう。
さして、騒然とした中から、光明のようにコラールが管で奏でられ、それがやがて全オーケストラの合奏に引き継がれてゆくとき、私はもう感動で胸が一杯になりむせってしまいそうになった・・・。曲が高らかに終っても、身動きひとつしない指揮者と楽員。
またやられてしまった、シュナイト/神奈フィルに!

Landmark2 この音楽を見直すことのできた素晴らしいコンサート。
でもこんなの聴いちゃうと、CD聴けないヨ、罪なコンビ・・・・。

アフターコンサートは、神奈川フィルを愛するメンバーの方々とおいしいお酒で楽しいひと時を過しました。みなさん、お世話になりました。

         

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2008年5月11日 (日)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Schneidt_schuman2ハンス・マルティン・シュナイト指揮神奈川フィルハーモニーによる「シュナイト音楽堂シリーズ
今シーズンはシューマン・シリーズで、前回はかわいいプティボンと重なり聴けなかったもの。
このコンビのドイツものは、必聴ゆえ、午前中仕事をこなし、万全を期して横浜へ。
生憎の雨と、ど渋いプログラムもあって、今日の県立音楽堂は約7割の入り。
めったに演奏会では聴けない二つの円熟ロマン派音楽なのに、もったいない!

  ブラームス   セレナード第2番 イ長調
  シューマン    交響曲第2番 ハ長調

 ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
   (5月10日 神奈川県立音楽堂)


Schneidt_schuman ビオラ、チェロ、コントラバス、木管、ホルンというユニークな編成によるブラームスのセレナードは、若書きとはいえ、どこをとっても我々が思い描くブラームスの音世界。
その楽器編成ゆえ、音楽は普通に喋る人声のようで、声高なところがいっさいなく、極めて落ち着き、かつマイルドなものである。
ゆったりとしたテンポをとったシュナイト師の指揮は、ほのぼのとした響きと深い呼吸を神奈フィル・メンバーから導き出していて、聴いていてほんとに気持ちがのびのびとしてゆく思いだった。ビオラのアンサンブルにやや難ありながら、木管がカバーしていたし、細かなことを気にせず、大らかな気分で楽しめた。
田園風景を彷彿さえるかのような1楽章と、ピッコロの活躍する終楽章がとりわけ楽しい。

休憩後は、シューマン。
同じ2番の洒落たプログラム、のどかなブラームスのセレナードに比べ、何と晦渋で渋い趣きを持つことか。出だしの序奏の部分でそう痛感した。
日頃聴いているCDでも、2番はいずれもそういう、くすんだ印象が先行する曲だ。
 ところが、この日のシュナイト&神奈フィルは、主部が始まると、それはそれは活気と推進力に満ちたもので、音はきらめきすら感じてしまった。テンポも心持ち速めでノリが良い。
前半降り番で、張り切るコンマスの石田氏の大きなアクションが、弦を中心に全体を引っ張っていて、どうやらそのあたりに要因がありそうだ。
そこに、シュナイト師の南ドイツ気質が混ぜ合わされ、稀なるシューマン演奏となってゆくのだ。
2楽章のユニークなスケルツォも同様に、一気呵成。最後の音が鳴り終わって、その響きが緊張感とともにホールに「こだま」したものだ。
そして、美しかったのが3楽章。よくよく聴けば、同じ単純な旋律が各楽器で橋渡しされているだけだが、どうしてこんなに美しいのだろうか。シューマンの歌に対する天性の素晴らしさにちょっと感心。そんな場面をここでは、じっくりとしたテンポを設定し、実によく歌っていた。楽章が始まる前の、アウフタクトで、シュナイト師は「歌うように」との指示を指揮棒を置いた右手で出していたのが印象的。ヴァイオリンがともかく美しい。
そして、終楽章で今日のシューマンはものの見事に決まった!
明るく決然とした響きに強力なカンタービレ、今まで聴いていた2番は一体なんだったのだろうか、とドキドキしつつティンパニ(見事だった)の連打による大団円を迎えることとなった。ホールは、4楽章では、熱気につつまれそこここで、体を揺らす人、指で拍子を取る人などが見受けられた。ご一緒したyurikamomeさんのお話では、涙をぬぐうご婦人もいらっしゃったとか!

盛大な拍手とブラボー。シュナイトさんも楽員も満足で上機嫌の面持ち。
シューマンの新たな面を垣間見させてくれた、素晴らしいコンサート。
至福の土曜の午後であった。

その至福は、アフターコンサートでの歌声聞こえる居酒屋「一の蔵」での楽しい語らいで倍増されました。先生、yurikamomeさん、どうもお世話さまでした。

毎度ながら、ちょっと飲み過ぎ。でもいいお酒だから、今朝も快調。
早く起床し、仕事で狭山・川越まで車で高速を飛ばして、ただ今帰還。
シューマンの響きが頭をかけめぐりつつ、ちょうどよいドライブになった。


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2008年4月 6日 (日)

ブラームス ドイツ・レクイエム シュナイト指揮

Schneidt_deutsches_requiem

4月3日は、ブラームスの命日だったそうな。
出張先の車の中で聴いたFM放送で知り、その放送では、ウラッハのクラリネット五重奏曲を流していた。
車を運転しながら、聴き入ってしまったけれど、あまりのロマンチックな泣きの演奏に、かえって辛い気分になってしまった。
名演だけれど、いま、このシテュエーションでは違うなって演奏ってある。
天に唾を吐くような思いだったが、ウラッハとウィーンの演奏は、まさにそう聴こえた。

ブラームスの音楽の聴き方が、曲にもよるがだんだんと変貌してきているように思う。
フルトヴェングラーやワルター、バーンスタインのようなロマン派的な演奏や、カラヤンのような響きを重視した演奏、ケンペ、ベーム、ザンデルリンクのようにカッチリした演奏。
これらも大いに好んで聴いているが、歌謡性もあってまろやかで豊かな詩情や歌に満ちたブラームスに、私は惹かれることが多い。

こんなことを長々と書いてきたのも、今日聴いたシュナイト師のドイツ・レクイエムがまさに、そうしたブラームスだったから。

         ブラームス    ドイツ・レクイエム

          S:平松英子    Br:トーマス・バウアー

    ハンス=マルティン・シュナイト指揮 シュナイト・バッハ管弦楽団
                          コンサートマスター:石田泰尚
                                                                      シュナイト・バッハ合唱団
                           (4月5日@オペラシティ)
   

Schneidt_deutsches_requiem2 昨年1月に、神奈川フィル定期で、シュナイト師のドイツ・レクイエムは聴いていて、その南ドイツ的な響きと精緻な音楽に感激したものだったが、今回はそれを上回る完成度で、75分あまり縛りつけられたように聴き入ることとなった。

こうした渋い演目となると、聴衆も心地よく眠りの境地へいざなわれてしまうもので、その対策としての飴やガムを口に運ぶガサガサ音が発生して気分を害してしまうのだが、今日はそれが皆無。
満席のホールの観衆は、宗教的な儀式に参列しているかのように、まんじりともせずに集中していた。
それゆえか、咳をする方が、やたら目立ってしまうことに・・・・。

この曲の試金石ともいえるような冒頭の静かな出だしから、慈しむような優しさに満ちていた。
そして、合唱がマタイ伝の一節「悲しんでいる人たちは幸いである・・・・・」と歌い始めると、もう私は感動で胸が一杯になってしまった。
ティンパニの痛打も全曲に渡って極めて印象的で、シュナイト師は、低音を時おり煽ったりして、充分響かせることに心を砕いていた。
第3曲のバリトンは、若いバウアー。この人の美しくも甘さをたたえた声は実に魅力的で、その誠実な歌は、宗教作品やリートにぴったり。
経歴をみると、レーゲンスブルクの聖歌隊の出身で、ここでシュナイト師との接点があったのであろう。
同じように、第5曲で清潔で天国的な歌声をホール一杯に響かせてくれた平松英子さんも、シュナイト師に師事したひとり。

このように、歌手も神奈川フィルが主体のオーケストラも、有志の合唱団も、すべてがシュナイト師を奉じて集まり、一丸となっていて、その絆というか、結びつきが作品の背景にある宗教心などをも越えてしまった音楽する喜びに到達していたように感じる。
それは、われわれ聴衆にも伝わってきて、こんな渋い音楽なのに、時おりブラームスらしい木管の優しい合いの手などを見つけては、微笑みさえ浮かべてしまう自分なのであった。

この作品のクライマックスであろう大規模なフーガを内包する、第3曲と第6曲が素晴らしかったのは当然として、優しさに満ちた第4曲と第5曲。
慰めに満ちた終曲。ハープのゆるやかなアルペッジョに伴なわれて静かに曲を閉じたとき、祈るようなシュナイト師の後姿を見つめながら、われわれ聴衆は拍手もなくじっと佇むのみであった。

「音楽の幸せ」ここに尽きる。

ライブ録音もなされていたので、そちらも楽しみ。
是非、多くの方に聴いていただきたい。

アフターコンサートは、新宿3丁目の素晴らしくも味わいゆたかな居酒屋の名店にご案内いただき、音楽の余韻を楽しみながら、おいしい酒と肴をいただきました。
みなさん、ありがとうございました。

 「ドイツ・レクイエム」自己リンク

 シュナイト/神奈川フィル
 尾高忠明/札幌交響楽団



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2008年3月15日 (土)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Img神奈川フィルハーモニーの定期演奏会を聴く。
出張のため危ぶまれたが、春の嵐のような悪天候のなか、無理くりに時間調整してギリギリにみなとみらいホールへ。

こんな熱い気持ちになるのも、シュナイトさんの指揮が集中して聴けるのは神奈川フィルしかないこと。
おまけに回を重ね聴くたびに、神奈フィルの美質に魅入られてしまったこと。

すっかりこのコンビのファンになってしまった私。
はたして、昨晩もたいへんな名演が繰り広げられ、地味な演目ながら私を含む聴衆は、このコンビと合唱団がおりなす美しい世界に、食い入るように聴き入ってしまったものだ。
バレンボイムの演奏をもっていたはずだが、行方不明。
ショップには、ヨッフムやチェリビダッケ、リリンクのCDが出ているが、珍しい演目なので、真面目に聴いたのは今回初めて。

   ブルックナー   ミサ曲第3番 ヘ短調

           S:平松  英子     Ms:竹本 節子
           T:福井 敬        Br:福島 明也

    ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                            神奈川フィルハーモニー合唱団
                           (3月14日 みなとみらいホール)

演目は、3曲あるブルックナーの若書きのミサ曲第3番の1曲。
70分あまりの曲ながら、これ一曲で勝負するシュナイトさん。祈りの音楽として、じっくりと受け止めて欲しいとの強い思いのあらわれではないだろうか。

ともかく美しい音楽であり、オーケストラの美音が際立った。
本格的な交響曲の作曲前ながら、どこをどう聴いてもブルックナーの響きがする。
独得のリズムに、永遠に続くかのような弦の刻み、オーケストラのユニゾン・・・・。
随所にそうした特徴が聴かれ、うれしくなってしまった。

合唱が終始歌い、ソロは控えめ。
テ・デウムのように、石田氏のヴァイオリン・ソロの活躍も多いが、ヴァイオリンとビオラのソロに管が優しく絡む場面など、オケの聴き所もたくさんある。

あれ、どこかで聴いたことがある。というシーンもいくつかあり、帰りの電車で解説を読むと第0番や第2番に引用されている旋律だった。
もっとも印象に残っているのが、ベネディクトゥス。
これぞまさに、私の大好きな1・2・6番あたりの緩徐楽章の楚々とした美しい世界。
アルプスの山々を見渡す野辺に咲く花々を思い起すかのような音楽に、私は陶然としてしまった。2番への引用もなされたこの章の、神奈川フィルの弦と、フルートの素晴らしさといったらなかった。
そして誠実極まりない合唱も掛け値なしに見事。
 それに続く、アニュスデイも天上の音楽のように響きわたり、ホールが教会であるかのような安らぎに満ちた空間になってしまった。
合唱が歌い終え、最後に弦とオーボエが残り静かに曲を閉じた時、シュナイトさんは両手を胸の前に併せて、祈るようなポーズをとって静止した。
合唱もオケも、そして聴衆もまんじリともしない。
長いながい沈黙がホールをつつんだ・・・・。

Top2 またしても、素晴らしい演奏が刻みこまれた。
シュナイトさんのつくり出す響きは、ドイツ的で低音も豊かだが、全体の基調は明るい南ドイツ風のものに思う。
そこに神奈川フィルのきれいな響きが加味されるので、独得の雰囲気が醸し出される。
専属合唱団もアマチュアとはとうてい思えない素晴らしさ。各声部のバランスがとてもいい。豪華な独唱陣ももったいないくらいの出来栄え。なかでもソプラノの平松さんの清潔な歌唱がとてもよかった。

いつもより早くはじまったお馴染みのアフターコンサート反省会でも、絶讃のコンサート。
楽しいひと時を過せました。
今年は、全国でシュナイトさんのコンサートが聴ける。
横浜はもちろん、札響(田園)、仙フィル(グレイト!!)などなど。いやはや困ったぞ。






                           

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2008年3月 8日 (土)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Kanagawa_fill200803 素晴らしい瞬間に遭遇すると、人は無口になってしまう。
春めいてきた、土曜の午後。
言葉に尽くせない音楽を耳にして、まるで酩酊状態。
足取りはふわふわと覚束ない。
同じ経験をした方々も、お互い交わす言葉もとぎれがち。
ビールで乾杯したら、堰を切ったように言葉があふれてきた。

そんな体験をしてしまった。
ハンス=マルティン・シュナイト指揮の神奈川フィルハーモニーの演奏会。
このコンビは、そうした秘蹟にも近い名演をこれまで何度か繰り広げてきたが、これほどの秀演とはお目にかかったことがないかも・・・・。

        ハイドン       交響曲第82番「くま」
        ベートーヴェン   交響曲第6番 「田園」
                        (3月8日 神奈川県立音楽堂)

日頃、高カロリーの血液ドロドロ系音楽ばかり聴いている私には、まさに耳の洗浄効果をおよぼすかのような、あっさりメニュー。
ハイドンの「くま」は真剣に聴くのは初めての曲。
何てすっきり、くっきりした音楽なんだろう。コンサートマスター石田氏がグイグイとオケを引っ張ってゆく。終楽章、なるほど、「くま」か・・・と思いながら、楽しく聴いた。

そんな呑気なことを言っていられたのは、ここまで。
「田園」が始まると、私の思いはここになく、まさに自分自身の田園風景に飛んで行った。
完全に心奪われ、解放されてしまったのだ。
 私のその風景とは、子供の頃によく遊んだ、実家の隣町にある母親の里にある小川の流れる場所。
弁天様があって大きな木が立ち、そこには小川がさらさらと流れ、周辺の田んぼには蛙の鳴き声、空にはひばり・・・・。
ここは、いま厳島湿生公園として保存されている。

Hanns_martin こんなことを思いながらの「田園」。
描写的な演奏ではなく、オーケストラがシュナイト師の指揮棒を信じて一心になった極めて純音楽的な演奏だった。
早すぎず、遅すぎずの約45分。どこがどうだった、あそこがちょっとなんていうこと自体がヤボになるけれど、最高の場面は、終楽章の最後の場面。
テンポも音量も落して、回顧するように第1主題が現れるとき、シュナイト師は思い切り押さえて、そして心を込めてオーケストラを鳴らした。
ここで私の涙腺は完全に緩んでしまった・・・・。

今更ながらの「田園」を聴いて、こんな思いを不覚にも味わったのは初めてだし、これを限りになるのではないだろうか。

ホールの外は、春めいたとはいえ、冷たい風が頬に気持ちよかった。
毎度、神奈フィル詣でのあと、お世話になった方々と祝宴に直行するが、皆さん冒頭に書いたとおり、言葉が少ない。
注文も忘れてしまうくらい・・・。
でも飲みだすとほんとに楽しい、クリムト直行便?
ウィーン・ホイリゲンシュタット・ツアーをまじで企画したいです。
それにしても、野毛入口という場所にありながら、なんと芸術的な居酒屋だろうか。
音楽を語るわれわれ、神奈フィルのメンバーも散見、グリークラブと思しき方々が隣では素晴らしいハーモニーを聴かせている・・・・・。
まさに、ホイリゲ状態。

困ったことに、ブリテンの戦争レクィエムと連ちゃん。
いくら好きでも、こんな「田園」のあとでは、ちょっと気が重いなぁ。

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2007年10月12日 (金)

シュナイト指揮 神奈川フィル演奏会

20071012_1 神奈川フィルの定期演奏会
10月は音楽監督のハンス・マルティン=シュナイト師。
プログラムは、右のとおり、私の好きな作品ばかりの純ドイツもの。
これを聴かずにいられようか!

実によく考えられたプログラム。この演目の3曲はいずれも静かなエンディングを迎える。そして秋のムードにぴったりで、寂寥感とともに死を予感させる渋い3曲。
こんな見事なプログラミングに聴いくまえから感動の先触れが。

「未完成」は、私の交響曲フェイリバリットにも選出された(偉そうですが?)お気に入りだけれども、本日のシュナイト師と神奈フィルの演奏はほかの誰ともことなるユニークなもので、まずはそのテンポ。
だれよりもゆったりで、隅々まで丁寧。ゆっくりとは言っても、鈍長だとか重厚だとかは無縁。音はむしろ明るく柔らかい。神奈フィルの音色に毎度言えることだが、これはこのオケの個性でもある。
 がしかし、アフターコンサートでご一緒いただいた神奈フィル団員の方のお話では、なんでも合わせられるフレキシビリティが神奈フィルの得意とするところ、とのことで、これには驚き! ってことは、オケの個性でもある以上にシュナイト師の音楽性でもあるのだろうか。ミュンヘンに代表される南ドイツは、そこのオケも暖かくまろやかな優しさと明るさが

ある。この名指揮者のもとで、本場南ドイツにも劣らない音色を奏でているのが、われらが神奈川フィルハーモニーということになる!!

E_pict_hanns_martin3 35分くらいかけた「未完成」、このテンポにオーケストラもしっかりと付いていった。われわれ聴き手も一生懸命にならざるを得ない。1楽章が終わったときに、思わず大きなため息が出てしまった。いやため息というか、息継ぎのような気分。でも重々しくないから、気持ちは安らか。
2楽章ではもう天国的な気分に満ちてしまった。
弦のやさしい刻みの上に、管がたうたうように流れ、歌う。
全曲が終わり、マーラーを聴いたかのような満足感に満たされたものだ。

休憩後のR・シュトラウスのソリストは、松田奈緒美さん。沖縄出身の新鋭であるが、すでにドイツや国内でオペラとリートに実績を積んでいるらしい。
彼女の繊細にして強い発声は、まるでバーバラ・ヘンドリックスを思い起こすかのようなもので、第1声から聴衆を虜にしてしまったかのようだ。
そして彼女をやさしく包み込むかのような声楽の神様の指揮するオーケストラ。
歌が入ると音を巧みに押さえ込み、オケの間奏では心の底から歌わせる。
石田氏のヴァイオリンソロを始め、ホルンも木管も絶美の世界。
「夕映えのなかで」での日の沈みゆく空に飛ぶ鳥の鳴き声のような美しいエンディングに、松田さんも感極まって涙を浮かべる姿もあった。
 実演ではかつて一度だけ、J・ノーマンと小沢征爾を聴いたことがあるが、その圧倒感とはまた全然次元の異なる、まるで水彩画のような美しい名演であった思う。

若書きの「死と変容」は、これまたゆったりとしたテンポによる堂々たる演奏。
こんなにじっくり延ばしに延ばして、聴きなれないフレーズまでよく聴こえてしまう。
細部にこだわらず見通しが良いからもたれない。むしろここでも音色は明るく、きらめいて感じたくらい。本日の演目のなかで唯一最強のフォルテが数回ある曲に、終始腰をかけて指揮をするシュナイト師も3回立ちあがった。
死と戦う苦闘の結末というよりは、明るく澄み切った境地の死を感じさせるエンディングに、音が鳴り終ってからマーラーの第九のあとのような静寂がしばらく続いた。

071012_173812 毎度深い名演をしてのけるシュナイト/神奈フィル、いつもながらドイツを聴くなら横浜へ、「イキマショー」。
アフターコンサートも楽しいひと時でした。皆さんありがとうございました。

そして私もドイツもので固められた生涯初の、怒涛の4連荘。気が付くと手帳が連日埋まってしまった。えらいこっちゃ。

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2007年7月29日 (日)

神奈川フィルのテレビ放送

Photo NHKの教育テレビで、去る6月の神奈川フィルの演奏会が放映されたので、急ぎ記事にしてみた。

1時間の放送枠ゆえ、ストラヴィンスキーは割愛されたがブリテンとベートーヴェンの1番の名演がしっかりと放映された。

神奈フィルの活動状況と、歴代指揮者、そして現在の充実期を楽員が生き生きと語り、シュナイト師の厳しい中にも暖かな人柄も短い時間のなかで、巧みに紹介されていた。

Photo_3 しっかりとビデオ収録し、速攻確認。
大勢が判明した選挙はもういいわ。

盛り上がる聴衆のなかに、自分を発見し、まずは自己満足で、悦に入る。

このベートーヴェンは本物だ。

どこに出しても恥ずかしくないどころか、本場ドイツでも聴けない域に達していたのでは。

というわけで、世界旅行の合間に緊急神奈フィルでありました。

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2007年6月 3日 (日)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Schneidt2_2 2日(土曜)、横浜で神奈川フィルを聴き、そして心の底から楽しんできた。
先日の忘れられないブラームスから、まださほど日がたっていないのに、音楽監督シュナイト氏と神奈フィルは、またまたスゴイ名演をやってくれた!

会場は、横浜の音楽シーンにその名を刻んできた趣きある「神奈川県立音楽堂」。
そんなこと言いながら、私はほぼ30年ぶり!
今となっては懐かしいピアニスト「宮沢明子」を聴いていらい。
その記憶ははるか彼方に・・・・・。

ちょっとデッドな響きだが、音が真近に感じることができて、その粒立ちが手にとるような臨場感があった。

  1.ブリテン        「シンプル・シンフォニー」
  2.ストラヴィンスキー  「プルチネルラ」組曲
  3.ベートーヴェン    交響曲第1番

こんな洒落たプログラム。若書きの作品が、新古典主義のバレエ音楽を挟み、それぞれがまた古典の粋でつながっている、というよ~く考えられた選曲に脱帽。

ブリテンの曲は、あまり真剣に聴くことがなかった。シリアスな作品ばかりを聴いていたけれど、こうして聴くとなんていい音楽だろう。特に、第3楽章の優しい抒情は、若きブリテンがエルガーやRVWらの先達につながっている、英国作曲家であることが今更ながらに理解できた。こんな桂曲を名コンマス石田氏率いる、神奈フィル・ストリングスは心にくいほど気持ちよく演奏した。
シュナイト氏の指揮も、次のストラヴィンスキー共々、背中が楽しそうに感じられた。
 「プルチネルラ」では管が活躍するが、後半登場のトロンボーンのマイルドな音色と万全の技巧に驚き。最初のあたりで、自分としてはやや停滞感を感じてしまったが、これでこの曲はサマになったどころか、ストラヴィンスキーの諧謔的な遊びの境地が楽しめた次第。

休憩をはさんで、ベートーヴェン。
1番が「トリ」だなんて、あまりきいたことがない。(でしょ?)
ところがですよ、今日のシュナイト/神奈フィルの1番は、決まるべきところが決まり、収まるところへ収まった、という感じで、音の充実感で30分の交響曲がベートーヴェンのほかの大交響曲に匹敵する音楽であることを示してくれた。
冒頭の序奏の和音から思わず背筋を伸ばしてあらたまってしまった。
慌てず騒がずのじっくりした動きだが、決して遅くはない。
全曲にわたって、我々がイメージする重心が下のほうにある、ドイツ音楽そのもの。
それが鈍重にならないところが、シュナイト氏のすごいところ。
オケの清新な響きと楽員のやる気がまた耳に、目に嬉しい。
音楽が終わると、ブラボーの嵐。1番で、こんなに盛り上がるなんて!! 感激!!

シュナイトさん、ご満悦で、聴衆に向かって「みなさんの神奈川フィル、そして私はハマっ子」とやらかしたものだから、会場は大ウケ。
練習は厳しく、音楽も厳格だけれど、指揮台を降りると、人のいいドイツのオッサン。
次回の登場は秋、「未完成」とR・シュトラウスですよ!
仕事をサボって横浜へ行こう。

Yokohama アフターコンサートは恒例となった「神奈川フィルの余韻を楽しむ会」(yさん、この名前イタダキ!)

コンサートの余韻を文字通り楽しみつつ、音楽談義に時間の経つのも忘れて楽しく酔いしれました。
皆さんお世話になりました。

今朝は、毎度おなじみの酒の余韻も楽しんで(?)おりまする。

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2007年5月12日 (土)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Minatomirai昨晩の横浜みなとみらい地区。
夜景の美しさではダントツですな。

そして、「みなとみらいホール」がある。このホールの音ばかりか、立地の素晴らしさも数あるホールのなかでもトップだと思います。
コンサートの前後のホールへのアプローチの楽しさ。
感動に上気した頬を海風が優しく鎮めてくれます。渋谷のNホールの劣悪ルートとは雲泥の差といえよう!(U先生風に)

20070511_1 昨晩は、神奈川フィルハーモニーの定期演奏会に行ってきた。
いつもお世話になってますyurikammomeさんの強いお誘いもあって、1月のドイツレクイエム以来の神奈フィルであります。
しかもブラームス・アーベントとあっては行かないわけにはいきません。おまけに、「ハンス・マルティン・シュナイトさん」の音楽監督就任記念公演でもあり、仕事もそこそこに、横浜へ。

ヴァイオリン協奏曲のソロは、若い米元響子さん(84年生まれ!)。
何の予備知識もなく聴きはじめて、彼女のヴァイオリンに魅了されてしまった。なんという豊穣な音色、レンジの広さ、確かな技巧。
オーケストラを聴きながら、指揮者とアイコンタクトをとりながら、時に音楽に合わせ体を動かし・・・。ステージマナーもとても良く、音も仕草も年齢に似合わずたいしたもの。わたしは気に入ったぞ。
とりわけ素晴らしかったのが、第2楽章。オーケストラの木管(オーボエ・ソロgood)の素敵な旋律にいざなわれて、米元さんのソロは天衣無縫に歌い、飛翔するかのようだった。

メインの第2交響曲の演奏の素晴らしさの前には、それを書き記す言葉を持てない。
楽員の心が指揮者のもとに一丸となって、そうまさに「自分たちの最高の音楽監督」を得た喜びが歓喜のように溢れ出た演奏。
繰り返しはないのに50分近くを要したにも係わらず、遅いとは感じない。
音楽が常に流れていて、停滞することがないし、細かな部分にいろんな発見があったから。一例は1楽章のせつない第2主題の歌わせ方の妙、ビオラ・チェロが実によろしい。
うるうるしちゃった。同様に、ブラームス独特の中音域の渋みが味わえる第2楽章など、こんなに感動したことは久しぶり。
着実に爆発を築いた終楽章。ホールはものすごいブラボーの渦につつまれた。
この日、「ハマがバイエルンになった!」
満足そうな、ドイツの田舎のオッサンのようなシュナイトさんの笑顔。
厳しく鍛え上げた楽員を讃えるあたたかな仕草に大きな拍手は鳴り止まなかった・・・・。

Schneidt2

アフター・コンサートにホールの上で、「音楽監督就任記念交流会」が行われ、yurikamomeさんやお仲間とご一緒させていたただいた。
楽団やホールの理事の方々の楽しいお話に続いて、米元響子さんの挨拶。
こうして拝見すると、普通の若くてかわいい女性。
ヴァイオリンを手にした数時間前の彼女と大違い。
音楽の力は偉大なり。

Schneidt そして、マエストロ、シュナイトさん登場。
ユーモアたっぷりのスピーチや仕草に会場は沸きっぱなし。「神奈川出身の前首相に来て欲しい」とか、「私はハマっ子(日本語で)」な~んて愉快そうに話しちゃう。

こんなナイスなおじさんも、指揮台に登るとむちゃくちゃ厳しくて、こわ~いおじさんに変身してしまうそうな。
音楽を愛し、献身する真の芸術家ゆえ。

こんな素晴らしいコンビを聴かないテはありませんよ、首都圏の皆さん。定期公演は平日夜になってしまったけれど、仕事をサボってでも聴く価値は充分すぎるほどアリマス。聴かないと後悔シマス。
常任の現田氏、金氏、広上氏など、魅力的な顔ぶれが登場しまっせ。
もうひとつ、名物コンサートマスターの石田氏!
茶髪にピアス、赤のチーフにゴールド系のブローチ。大股開きに派手なアクション。
日本のナイジェル・ケネディなのだ。
音楽性は抜群で、彼が神奈フィルを引っ張っている部分も大という。
交流会の会場の外で平服(?)の彼を見かけた。まるでどこかの組のお方のようなお姿をしてました。楽しいたのしい。

今日はyurikamomeさんのお株を奪ってひと言。
「みんな~、神奈川フィルを聴きにハマへ行こうついでにハマスタにも行こう」by yokochan)

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2007年1月21日 (日)

ブラームス ドイツ・レクイエム 神奈川フィル

Yokohama_baybridge 正月に大黒パーキングより垣間見た「みなとみらい」ベイエリア地区。
無粋な柱や、ビルが邪魔をしてスッキリ見えない。
観光現場なのだから、パーキングからの眺望も考えて欲しいわい。
高速運転中は、必死こいて運転しているから景色が拝めないもの。

Kanahil_brahms 今日は、そのまさに「みなとみらい地区」にお邪魔して、待望久しい「神奈川フィル」を「みなとみらいホール」で聴いた。
いずれも初物づくし。
C県民の仮面をかぶっていても、心はK県民なんだよう。
いつかはデビューしようと願っていた「神奈フィル」と「みなとみらい」。

しかも、いつもお世話になっている「yurikamome」さんのお誘いで、アフターコンサートを素晴らしいお仲間をご紹介いただきながら楽しむことができました。本当に楽しかったです。皆さん、ありがとうございました。
いろいろと、お教えいただくことばかりで、私なんぞ、うなずくばかりでした。(ペコリ)

        ブラームス    ドイツ・レクイエム
           S:澤畑恵美   Br:福島明也
     ハンス=マルティン・シュナイト 神奈川フィルハーモニー
                         神奈フィル合唱団(近藤政伸)

デビュー戦には、もったいないくらいの演目と顔ぶれに、期待は高まるばかり。
75分以上を要する大曲で、7つの楽章があり、決して聴きやすい曲ではない。
山場は少なく、起伏もなだらかで、全体に緩やかなカーブを描くように曲は進行してゆく。
細かいことは考えずに、ブラームスのように後ろ手を組んで、ゆっくりと逍遥するように、音楽を受け入れればいい。そう思って聴くことにしている。

シュナイト氏の作り出す音楽は、腰をおろしながらの指揮とは思えないくらい、全体を見渡し、細かいところまで充分に配慮しつくしたものでが、あくまで自然体。
でも出てくる音は、以外やドイツの森を思わせる深々としたものを感じた。
低音も豊かで、その上に乗る中音域の弦楽器は美しく、木管の中間色の合いの手もブラームスそのもの。「みなとみらい」がドイツの地方都市となった。

昨年春、まだ寒い札幌で「尾高・札響」のドイツ・レクイエムを聴いた。
あの時も大感激だった。日本人の繊細な手による完璧なブラームスだった。
今回は、ドイツの響きをより強く感じた。

最後にハープを伴ないながら、静かに音楽が完結した。シュナイト氏は、動きを止め、楽員も止まったまま。静寂がホールをつつんだ。静かにシュナイト氏が譜面を閉じる。
その後も静寂は続き、ようやくぱらぱらと拍手が起こり、やがて盛大な拍手につつまれた。
実にいいエンディングだった。昨年のアバド・ルツェルンのマーラーを思い起すような、最高の瞬間。シュナイト氏の満足そうな顔が印象的だった。

独唱では、札幌と同じソプラノの澤畑さんが素適だったが、福島氏は声が届かなかった。
以前も同じ思いをしたことがあるバリトンだ。美しい声なんだけど。
合唱もいいし、なんと言っても、神奈フィルの豊かな音色に二重マル。

おいしいビールと楽しい会話で、気持ちよく東京湾を対岸に向かう電車に揺られて帰宅。
ニューフィル千葉では、湾岸戦争も相手にならないな・・・・。
また聴こう「神奈フィル」。

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