カテゴリー「シューマン」の記事

2015年6月 8日 (月)

シューマン ヴァイオリンソナタ第2番 クレーメル

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わたくしの住む関東地方も、本日、6月8日に、梅雨入りしました。

昨年より、3日遅いそうですが、それでも、ちゃんとやって来た梅雨。

どたぴしゃ降らないで、日本らしく、しっとり、しとしとした梅雨になって欲しいものです。

そして、今日、6月8日は、205年前、ドイツ・ザクセンのツヴィッカウにR・シューマンの生まれた日です。

Schumann

  シューマン ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 op121

          Vn:ギドン・クレーメル

          Pf:マルタ・アルゲリッチ

                  (1985.11 @スイス、ラ・ショー・ド・フォン)


シューマン(1820~1856)には、番号付きのヴァイオリン・ソナタが3つありまして、そのいずれもが、40代になってからの作曲。

1番と2番は、期を接していて、1851年。
残りの3番は、ちょっとその生い立ちが変わっていて、ディートリヒという作曲家と、ブラームスとの3人で、ヨアヒムのデッセルドルフ訪問を歓迎する意図で共作した作品から、自作部分に、プラスして書き足して、全作をシューマン・オリジナルとしたもの。
 そして、3人の共同作品は、ヨアヒムのモットーにちなんで、F・A・Eソナタと呼ばれてます。

ブラームスも3つのソナタがあり、F・A・Eもありで、やはり師への思いは、なにかと格別だったのですね。

実は、わたくし、シューマンのソナタは、3番の音源を持ってませんで、このクレーメル盤にある、2曲しか聴いたことないのですよ。

作品番号は離れているけれど(1番:op105)、このふたつは、姉妹作で、先にあげた年、1851年の秋の作です。
3楽章形式で、情熱的な1番の出来栄えに、ちょっと不満を抱いたシューマンは、すぐさま、2番に取り掛かり、より規模と構成の大きい、4楽章形式のソナタを、ほぼ1週間で書き上げました。

この頃のシューマンは、デュセルドルフで、指揮者としても活動しており、これまでライプチヒや、ほかの都市では、その楽壇との折り合いもよろしくなく、さらに、精神疾患も患うなか、ライン沿いの明るい陽光にあふれた新しい街で、充実の活動を始めておりました。
 それでも、シューマンの内面には、さまざまな形での疾患の予兆が出始めていた。

そんな、明るさと、内面の複雑さとが、織り交ぜになった二つのヴァイオリンソナタですが、ちょっと、取っつきが悪く、晦渋な顔付きですが、よく聴けば、いいえ、どう聴いても、そこはシューマンらしさが一杯であります。

静かに、という表示が付いた3楽章の歌心にあふれた旋律には、とても癒されますし、それがまた変奏形式でもって、表情を変えつつ繰り返されるのには、堪らない魅力を感じます。
この旋律は、コラール「深き苦しみの淵より、われ汝を呼ぶ」です。

長い充実の第1楽章は、ドラマティックで、序奏のあとの主部は、ときおり、シューマネスクな世界を垣間見せるピアノが素敵であります。
スケルツォ風の第2楽章、そして、先にあげた3楽章。
終楽章は、音符の動きの忙しい展開と、ちょっと落ち着いた楽想の第2楽章とが交差する、ちょっと不安も感じさせる、これもまた、この時期のシューマンの心情を反映させる内容に思います。

全曲で30分あまり。
聴いて、終わって、感動や充実感とは違う、シューマンの世界を垣間見たという感想を抱きます。
そんなところが、またシューマンなところなのでしょうか。
 シューマンのヴァイオリン・ソナタは、まだ初心者ですので、これらの曲の魅力を、お聞かせいただければ幸いです。

クレーメルとアルゲリッチのいくつかあるソナタ録音の中でも、このシューマンは、お互い、異なる個性が、微妙にマッチングして、明快でありつつも、シューマンのほの暗さや、歌を巧みに聴かせてくれているように思いました。

3番も、いつか聴かなくちゃ。

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2015年4月12日 (日)

神奈川フィルハーモニー音楽堂シリーズ第4回定期演奏会 川瀬賢太郎指揮

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ところにより、雪まで降らせた先週、寒の戻りにもほどがある。

週末の横浜も、こんな空のもと、寒かったです。

うららかな陽気と春の空のもとで、楽しみたかった音楽会ですが、ご覧のとおり、頑張ってる桜を愛でてから、音楽堂へ向かいましたよ。

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  モーツァルト   ホルン協奏曲第3番 変ホ長調

  ピアソラ(大橋晃一編)  アヴェ・マリア~アンコール

         ホルン:豊田 実加

  ハイドン      交響曲第45番 嬰へ短調 「告別」

  シューマン     交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」

     川瀬 賢太郎 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                  (2015.4.11 @神奈川県立音楽堂)


神奈川フィルの新シーズンの始まりは、まずは、音楽堂シリーズから。

春は、出会いと別れ、そんな初々しさと、ウィットに富んださみしさ、そして気分爽快さ。
そんな感じのプログラムでした。
 そして、プログラムを読んで、気付かせていただいたこと、3つの作品に共通する、「3」。
その調性に、フラットないしは、シャープが3つ。
また、それぞれの曲の意味する「3」を巧みに解説されてました。
なるほどでしたね。

それはそれ、わたくしは、神奈川フィルがおりなす、いつもの柔らかく親密なサウンドに、心地よく浸ることができました。

まずは、実加ちゃんと、楽員さん、われわれ聴き手からも、親しまれるようになった神奈フィルの若い顔、豊田実加さんのソロでモーツァルト。
いつもホルンセクションの中にいるときは、小柄な彼女ですから、譜面の上から、ちょこんと頭だけが見えていただけですが、本日は、ソリストとして、臙脂に近い赤いステキなドレスで颯爽と登場。

わたくしを含む、多くの方が抱く、父親目線(笑)。
頑張るんだよ、と念じつつ、最初はちょっと緊張ぎみだったけど、暖かな川瀬さん率いる神奈フィルのバックに支えられつつ、いつもの彼女らしい柔らかで、素直な音色が、聴こえてまいりました。
音量でいうと、厳しいものがあるかもしれませんが、それを補う安定感(ときに、冷やっとさせてくれちゃうのも、いつもご愛嬌)と、艶のある音を引き出す彼女。
 1楽章のカデンツァは聴きものだったし、たおやかな2楽章では、緩やかな春風のようなサウンドを聴かせてましたね。
そして、快活な3楽章は、キビキビしたオーケストラにのって、とても楽しそうに演奏してらっしゃる。
こうしたオケ仲間同士の、家族的なムードも、聴いて、拝見していて、われわれ聴き手は、ほのぼのとしてしまうのでした。

大きな拍手に迎えられて、アンコールは大橋さんの手によるピアソラの作品。
ロマンティックで、まるでノクターンのような感じのこの曲をホルンで聴くのも、とても心地よく、そしてとてもステキな演奏にございましたね~

素晴らしいホルンでした。いつかは、R・シュトラウスを朗々と吹いていただく日がくるかも!

終演後、「We Love 神奈川フィル」有志で、実加ちゃんにブーケ贈呈しました。
ご了解もいただきましたので、こちら。

Mikachan

 次いで、曲調はうってかわって、短調に。

舞台袖には、「めくり」が置かれました、ん?、またなんかやるぞ。

疾風怒濤期の感情の嵐のようなこの「告別」交響曲。
緩急をものすごくつけて、鮮やかさ際立つ第1楽章で、モーツァルトの春の世界から、いきなり、春の嵐へ引き込んでくれた川瀬さん。
3拍子のキレもよく、思いきりのよさが、前にも増して出てきたと思います。
オーケストラも、その指揮にピタリとついていきます。
 次ぐ2楽章の静かな穏やかさでは、前の楽章との対比が聴きものでした。
弦の音の動きを聴いていて、モーツァルトの40番を思い起こしてしまいました。
 そして、可愛いメヌエット楽章は、チャーミングなフレージングが新鮮。
すっと消えてしまった3楽章のあと、仕掛け満載の、これはある意味ハイドンらしい終楽章は、元気一杯、これまたキッレキレで開始。
疾走感がまたある意味快感で、ハイドンの良さをストレートに伝えてくれる演奏。
音が弱まり、アダージョとなって、第1ヴァイオリンの下手から始まり、各奏者さんたちが、そろりそろりと、ときには、仲間を誘いつつ、指揮者の顔色をうかがいながら、ステージを去っていきます。
 観客を振り返って、あれ?どーなってんの?的な困惑顔を見せる川瀬さん(笑)
かなり少なくなって、まさかの石田コンマス立ちあがり。
これがまたフェイントで、トップの崎谷さんと入れ替わり。
そして、その崎谷さんも、上司の顔色を伺いつつ、こっそり退却。
最後に残ったのは、石田さんと、小宮さん。
ついには、指揮者の川瀬さんまで、こそこそと静かに逃げ出し、照明も落ちて、ふたりのソロで静かにエンディング。
握手を交わすお二人、拍手を受けながら舞台を去りつつ、石田さん、あの「めくり」をそれこそ、ひとめくり。
そこには、「休憩」と記されてまして、われわれ聴き手は、ひと笑い!

ナイスでした

 後半のシューマン。
編成を増やすかと思ったら、コントラバスが増えただけで、前半と同じプルト数(8・8・6・5・3)。
それでも、なみなみと鳴るオーケストラ。

神奈川フィルのシューマンで忘れ得ないのは、シュナイトさんとのもの。
同じ音楽堂で聴きましたが、そのときのプログラムは、ブラームスのハイドン変奏曲と、シューマンのチェロ協奏曲(山本さん)と「ライン」というものでした。
そのときの感動は、まだ覚えてますよ。
ヨーロッパの景色が思い浮かぶ、そして聖堂の大伽藍さえも、思い起こすことのできる充実極まりない演奏でした。

そして、その7年後の、若いシェフによるシューマン。
感じたままを、音にぶつける若い感性が、活きてましたね。
個々を捉えると、まだ消化しきれていない部分もありますが、それでも、その感性が最初から最後まで、一本貫かれていて、それが実に頼もしくも、眩しいのでした。

たっぷりと響いた1楽章。
弾けるティンパニ、ホルンの咆哮、突き抜ける弦。。。。とても爽快。
響かないシューマンのスコアを、ことさらに細工することなく、ストレートに鳴らすことの、ある意味快感を味わいましたね。これは、全曲にわたっていえたことです。
 ときには、たっぷり弾いて、たっぷり鳴らすことの大切さを感じましたね。
音楽に生気が宿って、生き生きとしてくるんだ。

有名な大らかな旋律の第2楽章では、スケルツォ部分と中間のトリオ、とてもメリハリをつけて、フレーズを大きく強調する場面も新鮮。
 神奈川フィルらしさ、優しい木管としなやかな弦の交差するさまが美しかった第3楽章。
どこをとってもシューマンらしい愛らしさが。

次ぐ4楽章と終楽章の対比も、この曲を聴くうえでの楽しさ。
あまり荘重すぎず、淡々と、描いた緩除楽章は、トロンボーンも加わり音楽堂の木質の響きが心地よく、次いで休みなくアタッカで始まった終楽章では、早めのテンポによる疾走感がとてもよい。
シューマンのぎくしゃくしたオーケストレーションをそのままに、流れを大切に、ここでも気持ちいい演奏に変わりはなし。
 エンディング・コーダでのアクセルの踏み具合もとてもよろしくって、感興あふれる興奮のもとに、ばりっと曲を閉じました。

大きなブラボーが飛び交ったのは、いうまでもありません。

 奏者も指揮者も、神奈川フィルの若い顔が、その個性にどんどん磨きをかけ、ベテランの皆さんたちと、いろんな融合や反応を起こしていくこと、それを見守ること、われわれファンの大きな楽しみとなりました!

あとひとつ、退団の方もいらっしゃり寂しい一方、ヴィオラ首席に大島亮さんが決まり、この日も、内声部がいっそう引き締まり、克明になったような気がしますこと、ここに記しておきます。

体調不良で、お休みしましたが、いつもの応援メンバーは、こんな美味しそうなものを食べながら、楽しかった演奏会の余韻に浸りまくったみたいですよ。
みなさまも是非、ご参加くだされ

Kamon

湘南しらすピザ~

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2015年3月15日 (日)

シューマン 「女の愛と生涯」 エデット・マティス

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ハートの花キャベツであります。

世では、ホワイトデーとかいう日があったようです。

 そして、哀愁とロマン、ほんわかとした愛情を感じるシューマンの女声用の歌曲を。

Schumann


  シューマン 歌曲集「女の愛と生涯」

     ソプラノ:エデット・マティス

     ピアノ :クリストフ・エッシェンバッハ

                                    (1982)


シューマン(1810~1856)が、歌曲の年1840年に作曲した、女声のための歌曲集「女の愛と生涯」。

その年、訴訟をしてまで、クララとの愛を成就させ、結婚することのできたシューマンは、愛する妻への想いも込めてこの歌曲集を書いた・・・・、のだろうか。

いや、きっとそうだろう。

時代の流れで、その価値観、というか考え方も変わるもの。

夢見るような少女が、男の人に憧れ、恋をして、妹たちに祝福されて、結婚し、そして、可愛い赤子を産み、しかし、夫の死を見送る・・・・。

そんな女性の生きざまは、多様化した生き方のなかで、ほんの一例ですが、原詩も、作曲も、男性の手によるところが、実はとても興味深いところです。
 わたしも、そこそこの年代の人間ですから、自分の母が、そのような生き方をしていたと感じていたし、父は、早くに世を去ってしまったから余計です。
男性からみた視点には限界があります。

もっと後年、女性を多面的に描くことでは、天才的だったR・シュトラウスは、ホフマンスタールというパートナーも得て、格別な存在であったと思います。

 フランス系ドイツ人の作家シャミッソーの同名の詩集を選んだシューマン。
原作は、それこそ、女性の生涯を描いていて、夫亡きあと、孫の婚礼までを詩にしているものの、シューマンの歌曲では、夫との別れで終了。
 筋立ては、もしかしたら、一方的ですが、シューマンの素晴らしすぎる音楽は、そんなことをちっとも感じさせません。

 1.あの人に会ってから

 2.彼は誰よりも素敵なひと

 3.わからない、しんじられない

 4.わたしの指の指環

 5.手伝って、妹たち

 6.やさしい人、あなたは見つめる

 7.わたしの胸に、わたしの心に

 8.今、あなたは、初めて、わたしを悲しませる


以上の8曲で、さほど長くはないので、いつでも、軽い感じで聴けるのは、その内容が、7曲目までは、幸せに満ちていて、明るい色調だからです。

それでも、同じ、幸せな思いも、それぞれのシテュエーションによって、それぞれに異なる喜びが歌い込められてますね。

出会ったときのときめきを、じわじわと歌う第1曲。
ピアノの伴奏が、全編にわたって、いかにもシューマンらしいロマンティシズムに満ちているのも素敵です。
 毅然として、彼への愛を歌う第2曲に、揺れ動く女心も感じさせる3曲目。
自分の指にはまった指環を見ながら、しみじみとする第4曲。
婚礼のわくわく感を、妹たちへの想いに込めただい5曲目。
 そして、愛する人とふたりきり。愛するがゆえの不安の涙も。
でも、やがて生まれ来る天使への予感も静かに歌いこんでる6曲目は、いかにも、シューマネスクな世界です。
 そして、我が子を、その胸にした喜びの表現は短いけれど、幸せに溢れている第7曲。

でも、一転、曲調は短調に転じ、夫の死へと直面する第8曲。
止まりそうなくらいの独白に胸が詰まる。
 でも、「あなたがわたしの世界だった・・・・」と歌い、そのあとは、長い長い、ピアノの後奏が、しみじみと続いて、静かに曲を閉じますが、この部分は冒頭と同じ旋律。
ここで、聴き手に与えられる、安らぎと、安堵感は、ほんとうに感動的です。

さらに、物語を発展させて欲しいという思いも、このシューマンの美しい音の世界の中に、見ごとに完結される思いです。

すばらしき、シューマンの歌曲とピアノの世界の融合。

 清潔・清廉な、エデット・マティスの歌声で聴く「女の愛と生涯」。
それは、麗しく、正直で、疑いもない、美しい愛の結露と聴こえます。
加えて、ドイツ語のディクションの正しさも、耳にさわやかです。

 そんな歌に、エッシェンバッハの雄弁なピアノは、不釣り合いと思われるでしょうが、それが、それぞれに、美しい均衡を保っているところが、またシューマンの歌曲のゆえでしょうか。
聴き惚れるほどに巧みな、ナイーブなピアノに、まっすぐなソプラノ。

この曲の、名演のひとつですね。
                 

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2014年10月27日 (月)

シューマン 幻想曲 ポリーニ

Zoujyouji

ある日の夕焼け。

都内増上寺の境内にて。

夕焼け大好き、ロマンティックおじさん。

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  シューマン 幻想曲 ハ長調

      ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ

        (1973.4 @ミュンヘン ヘラクレス・ザール)


今夜は、思い入れのある1曲、そして1枚。

レコードでさんざん聴いていたけれど、CD時代になって、CD再購入をしていなかった。

レコード・CD、両時代を知るものにとって、こんな風に、妙に宙に浮いてしまった1枚ってあるんじゃないでしょうか。
レコードプレーヤーを再稼働させることもないと、こうなります。

先日、思いついたように、中古屋さんで、入手しました。

そして、CDプレーヤーに乗せるや否や、あの頃の、ポリーニの硬質で、かつ、ブルー系のピアノの音色が、一挙に、わたくしを、若き日々へと誘ってくれました。

あぁ、なんて、素晴らしい音楽に、演奏なんでしょう。

外は、冷たい風が吹き始めました。

でも、このシューマンの音楽は、暖かく、ロマンティックで、人肌を感じさせます。

 幻想曲という名は、自由な構成感から来ているもので、本来、シューマンは、ベートーヴェンの没後10年という意味合いを込めて、気合を入れて作曲に没頭した。
しかし、なかなか、そのアニヴァーサリーには完成できず、1年後の1838年に仕上がった。

3つの楽章からなりますが、この曲の白眉は、きっと緩徐楽章である、終楽章でありましょうか。
初めて聴いていらい、つねに、その楽章に焦点を絞って聴いてきました。

ショパンでも、リストでもない、シューマンにしか書けなかった、本物のロマンティシズム。
「星の冠」と、当初は名が与えられたのも、さもありなん的な、美しくも、陰影も感じさせるシャイな音楽だと思います。
 この楽章は、キリリとした、白ワインがぴたりときます。

ポリーニの、硬質ななかに、明るい透明感あふれる演奏が、この楽章を、神々しいまでの純粋な音楽に昇華しております。

 もちろん、ほかのふたつの楽章も、好きですし、ポリーニの演奏も明晰極まりないのですが、わたくしの耳は、かつての昔より、この3楽章に首ったけなのでした・・・・。

はぁ・・・・、もう40年近くの年月が経つんだ。。。。

遠い目線に、遠い思い出。

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2014年8月 1日 (金)

シューマン 交響曲第3番「ライン」 ジュリーニ指揮

Sakikata

どこぞの滝か忘れてしまいましたが、過去画像から。

秋田県のどこかです・・・。

夏に滝は、実によいですね。

マイナスイオン出まくり。

滝音も近ければ轟音でですが、そこそこから聴けば涼しげな音に聴こえます。

あぁ、暑くてせわしいところを脱して、リゾートりたい。

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  シューマン  交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」

   カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ロザンゼルス・フィルハーモニック管弦楽団

              (1980.12.1@シュライン・オーディトリアム、LA)


久しぶりにシューマンの3番を聴く。

演奏会での記事は書いてますが、もしかして、音源記事は、これが初かも。

そんな3番です。

4つのシューマンの交響曲のなかでは、1番を「春」という題名からしてすぐに聴くようになり、次いで同じく標題付きの3番を聴いて馴染んだ。
そのあと来たのは4番で、テレビでバーンスタインとウィーンフィルの演奏を見てから。
 熱狂の渦を造り出すバーンスタインの指揮もさることながら、ぎくしゃくとしたリズムや、いびつなまでの、のめり込みの情熱にほだされたものです。
 最後にやってきたのは、2番。
メータとウィーンフィルのFM放送を録音し、何度も何度も聴くけれど、地味感しか印象として残らない・・・
そして、ここでも、バーンスタインでして、札幌でPMFの若いオーケストラに必要なまでに、シューマンの極意を伝授しようとしていた姿が忘れられない。
そこから、2番が自分の中では、イチバンと思うようになり、最近では、アバドの録音も登場して、ますます、2番好きが高まってます。

実演では、なんといっても、シュナイト&神奈川フィルの黄金コンビで、4番を除く3曲が聴けたことが大きいです。
南ドイツの大らかさと、構成力のしっかりした佇まいでもって、ドイツの作曲家シューマンを実感させてくれました。

 前置き長いですが、3番「ライン」の、わが愛聴盤は、サヴァリッシュ、ハイティンク、ジュリーニであります。
ありきたりの、お馴染みのメンバーですが、そろそろ、新しい可能性にあふれたシューマンの指揮が登場してもいいだろうと思ってます。
そんなこと言いつつ、最近のシューマン演奏を、ひとつも聴いてない自分が言うセリフではありませんがね・・・・。
でも、ほかの作曲家たちの交響曲が、清新な息吹きを吹きこまれるような演奏が続出しているのに、シューマンとメンデルスゾーンは、ちょっと、その立ち位置が微妙に思えたりするもんですから。

 旧フィルハーモニア盤は、聴いたことがなのですが、ジュリーニ&ロスフィル盤は、ほんとにいい演奏だと思います。
ハイティンク&コンセルトヘボウには、コクの味わいがあり、サヴァリッシュ&ドレスデンには、オケの古雅なまでの味わいがあり、こちらのジュリーニは、古式あふれる中世武士の心意気のような味わいがあります。

全体を覆う、レガート感。
弦楽を中心に、音をたっぷりと弾いて、豊かな響きも醸し出してます。
それが実に雰囲気よろしく、シューマンのラインに相応しいのです。
テンポも、当然に、ゆったりめに聴こえます。
ドイツの音楽であるとか、イタリア人指揮者であると、オケがアメリカ・ウェストコーストのものであるとかの、そんな字面の印象はまったく感じることがなく、ここにあるのは、まさにシューマンの想い描いたサウンドではないかと思います。

明るさも充分、壮麗さも充分、深刻さもしかり、おおらかさもあって、最後には、見事なアッチェランドで、息を飲むほどの勢いと感銘を与えてくれます。

ジュリーニとロスフィルのコンビは、シカゴのそれと並んで、わたくしは、一番素晴らしい果実を残してくれたと思っております、はい。

そして、同じく果実といえば、シュナイト&神奈川フィルの名演の数々を、わたくしは、ありがたくも、美味として数々頂戴しました。

 シューマン3番のライブ記事

死ぬまでに、一度行ってみたいな、ライン地方。

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2014年6月 4日 (水)

シューマン 「森の情景」 ピリス

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緑がまぶしい。

そんな感覚の、新緑の季節は、5月の思いのほか強い日差しにあって映えるもの。

6月は、こんどは、そんな緑が、しっとりと落ち着いた雰囲気にそまる。

季節おりおり、自然もいろんな色合いを見せてくれますな。

今日は、緑の季節に合わせて、そんな選曲と思いましたが。

Schumann_pires

   シューマン 「森の情景」

     ピアノ:マリア・ジョアオ・ピリス
  
                (1994.1 @ミュンヘン)


われわれが思う、「森」は、日本の緑豊かな森であったり、鎮守の森であったりと、ときに怖い一面は別途あるかもしれないけれど、そうした生活に密着もした、親しい場所、みたいな感覚を持ってます。

シューマンのピアノ作品、「森の情景」の「森」は、「ドイツの森」です。
ですから、ちょっと怖くて不気味なところと、妖精さんが出てきそうなところとが、混在したような、ファンタジーの世界なんです。

1849年頃までに書きあげられた、シューマンとしては晩年として、あと生涯を7年間残すのみの時期の作品です。
ピアノ作品としては、もっとも後半生のもののひとつでもあります。

9曲の小品の連なりですが、ラウベやアイヘンドルフらの詩に啓発されたものとされ、それぞれに詩的な標題がつけられ、自身も短い詩をつけたともされてましたが、のちに、それらは、ヘッベルによる詩が第4曲に残されたのみで、すべて省かれてしまいました。

ゆえに、われわれ聴き手は、9つの詩的なタイトルから、短い2~3分の各曲を聴きつつ、ドイツの緑の森を思い描きながら聴くという、ある意味、自由なファンタジーの世界に遊ぶという所作が許されるのです。

こんな夢想的な音楽の聴き方ができるのもまた、シューマンならではですし、この時期、ちょっと、軋みの入り始めた彼の心のことも思いつつ、揺れ動く音楽と大胆な表現に身を任せてみるのも、またシューマンの聴き方でしょう。

   1.「森の入り口」
   2.「待ち伏せる狩人」
   3.「もの悲しい花たち」
   4.「呪われた場所」
   5.「親しい風景」
   6.「宿屋」
   7.「予言の鳥」
   8.「狩りの歌」
   9.「別れ」


森に分け入る楽しさと、ちょっとの不安を抱いたかのような「森の入り口」、シューベルトの死の世界観を感じさせもする不安に満ちた「呪われた場所」。
半音階の世界に足を踏み込んだような斬新で、ちょっととりとめない「予言の鳥」。
曲の終わりらしくない、どこか腑に落ちない、そんな終わりかたが、どこか言い足りなさそうで、後ろ髪ひかれる「別れ」。

優しさと鋭い感受性で持って深みのある演奏を繰り広げていたDG時代のピリス。
もう20年前となりますが、いまだに鮮度の高いピアノに思います。

なんか、このところ、シューマンとバッハ、コルンゴルトと英国音楽ばかり聴いてます。

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2014年6月 1日 (日)

「森園ゆり グリーン・ウェーブ・コンサート」

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今年もまたやってまいりました、グリーンウェーブコンサートの日が。

神奈川フィルハーモニーの第1ヴァイオリン奏者の、森園ゆりさんと、ピアノの佐藤裕子さんによるリサイタルコンサートです。

保土ヶ谷区仏向町にある、ハンズゴルフクラブにある、吹き抜けのレストランを会場に行われる、ヴァイオリンとピアノによるお洒落なコンサートなんです。

その収益金は、「かながわトラストみどり財団」に、ゴルフ場からの同額も添えて寄付され、神奈川の緑の保全と育成の資金として役立てられております。
震災後は、被災地支援にも充当されました。

音楽を聴くという、聴き手にとっての喜びの享受という行為が、このようにして社会貢献へと循環するということは、まことに喜ばしく、こうした試みを毎年、果敢に行っていただける「ハンズゴルフクラブ」さんに、あらためまして御礼申し上げます。

いつもお馴染みの、森園さんのヴァイオリンを聴けて、おいしい軽食やスイーツもふんだんにいただき、緑もたっぷり浴びることができるなんて、そんな喜びはありませんからね!

Grennwave2014

    フォーレ           「ドリー」組曲~子守歌

    ヘンデル          ヴァイオリンソナタ第1番 イ長調

    モーツァルト         ロンド ハ長調  K373

    サラサーテ        「序奏とタランテラ」

    シューマン         「アラベスク」

    パガニーニ        「カンタービレ」 

    クライスラー        「踊る人形」

    シンディング     組曲より「プレリュード」

    エルガー        「夜の歌」、「朝の歌」

    ヴィニャフスキ    「ファウスト幻想曲」

    森園 康香       「緑のうた」

          ヴァイオリン:森園 ゆり

          ピアノ:    佐藤 裕子

               (2014.5.31 @ハンズゴルフクラブ


例年どおり、森園さんご自身の選曲と、曲目解説のプログラムには、作曲家の年譜つきで、時代の相関関係がよくわかる仕組みとなってます。

そして、毎回、掲げられるテーマは、今年は、「春の輝き」。

MCの方が、今年は妙に間が折り合わず(笑)、少し浮足立ったスタートのフォーレ。
ピアノ連弾が原曲の素敵な曲だけど、ヴァイオリンで聴くのもまたいいものでした。
 たおやかな様相を折り目正しく伝えてくれたヘンデルに、やっぱりモーツァルトって、いいわ、可愛いわ、と思わせるロンド。
このあたりで、会場は、いつものような、ほんわかした、いいムードに。

外は、真夏のような暑さだったけれど、会場内は、ほんの少し季節が戻って、うららかな春となりました。

サラサーテは、初聴きの曲だけれど、昔、AMラジオから流れていたような懐かしいメロディの序奏が素敵。
森園さん、情感たっぷりに弾いてらっしゃいましたよ。
そして、一転、超絶技巧のタランテラへの転身がすごい。
毎回、書いてるかもしれませんが、オーケストラの一員として拝見してる森園さんが、バリバリ系の違うお顔を見せる、そんな瞬間なのですが、この日の森園さんは、技巧は確かですが、ちょっとそんなお姿は抑え気味に見受けられました。
鮮やかに曲が終わると、会場内からは、ほぉ~ともとれるため息が。

思わず、緑の映える外を、仰ぎ見てしまいたくなったシューマンのアラベスクは、佐藤さんのピアノソロで。
いい曲、気持ちのいい呼吸豊かな演奏。
前夜の平井さんのヴァイオリンによるシューマンもよかった。
シューマンのピアノ曲、室内作品、歌曲、いま始終聴いてます。
昨今の不安のやどる自分自身の日々に、英国音楽やコルンゴルトとともに、ぴったりのシューマンなのです。

Grennwave2014_5

はじける技巧曲でなく、情感豊かなゆったり系のパガニーニが選択されました。
その名も「カンタービレ」、これ、いい曲ですね。
FM番組のテーマ曲にもなってました。
こんな曲を、感情こめて演奏するお二人、いいですね。しみじみ。

誰もが知るボルディーニの有名な原曲を編曲したクライスラー作品。
伴奏とのリズムの取り方が難しそうな、そしてピチカートの合いの手も妙に難しそうな、意外と難曲に感じましたが、面白い作品でしたね。

森園さんのお話のなかで、思えば毎年聴いてると知ったシンディングの組曲からのプレリュード。
プレストで一気に演奏される勢いと情熱の曲でありますが、サブリミナル効果なのでしょうか、完全に知った曲と、頭の中でしっかり認識されております(笑)。
シンディングは、北欧歌曲のCDなどに必ず入ってる名前ですが、この3曲からなる組曲も、ヴァイオリンがよく鳴り響く、素晴らしい音楽だと思います。

そして、わたくし的にお得意の曲たち、エルガーの「夜の歌」「朝の歌」。
紅茶でもいかがですか?と勧められてるような、エレガントで柔和な音楽に演奏にございました。

以前にも演奏されました、リストのコンソレーションのミルシュテイン編によるヴァイオリン版。
この日の、しっとり情感系の森園さんの演奏の流れの中では、まさにぴったりの曲目。
こんな風に、いろんな時代を横断しながら、多様な作曲家の作品を賞味してくると、それぞれの時代と作曲家の顔の違いに、あらためて新鮮な思いを抱くことになります。
こんな風な音楽の聴き方や、コンサートのあり方って、とてもいいことだと思います。

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最後のトリは、大曲、15分かかりますよ、と覚悟を促す森園さんのお話を受けて、MC嬢も、みなさん、頑張ってと激励(笑)
ヴィニャフスキのファウストラプソディは、グノーの同名のオペラの旋律・アリアをベースにした、初聴きの曲です。
ピアノの部分を、それでも少し割愛しましたとの、お話でしたが、なかなかの充実の大作。
ヴァランティンとマルガレーテのアリア、メフィストフェレスの「金の子牛」、そして華やかなワルツなど、オペラ原曲から素敵な旋律が次々と登場しつつ、そこに華麗な技巧とアリアさながらの歌が満載に散りばめられた音楽でした。
 もう一度、じっくりと聴いてみたい作品です。
この日、森園さん、一番の挑戦曲ではなかったでしょうか。
佐藤さんと、おふたりの熱演に、大きな拍手と掛け声が飛び交いましたよ。

アンコールは、このところのお約束。
ドイツ在の娘さん、森園康香さんの新作の世界初演(!)です。
さきの、康香さんのリサイタルでも、母が初演しますと語っておられました。
「緑のうた」、いかにも爽やかで、優しい音楽。
この日のテーマに相応しく、こぼれる緑と優しく揺れるその影を感じさせましたね。

暖かな気持ちで、We love神奈川フィルメンバーは、緑の会場をあとにして、保土ヶ谷のナイスな居酒屋さんで、喉を潤おして、気持ちよく帰りの途につきました。

 こんなことおこがましいですが、以前の演奏を存じあげませんで恐縮ですが、ちょっと新たな方向へと向かいだした想いを抱いた森園さんのヴァイオリン。
さらに楽しみです。

いつもながら、いいコンサートです。

来年もまた、という前向きな気持ちにもなりました。

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こんな美味しいもの、木漏れ日のなかで、いただいちゃいました。

音楽も、お食事も、どちらも、ごちそうさまでした


これまで聴いたグリーンウェーブコンサート。

 「2011年 第13回」

 「2012年 第14回

 「2013年 第15回」
  

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2014年5月31日 (土)

「平井茉莉 ヴァイオリン・リサイタル」

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3年前に開館した、鶴見駅、ほぼ直結の「サルビアホール」。

鶴見区の文化施設として、区民文化センターとしての役割を担う存在でもあります。

都内から東へ向かう、一番近い、ヨコハマという意味合いもあって、市の中心部へ行くよりは、わたしのような、都内ないしは、千葉からのリスナーにとっては、手軽な場所でもあるんです。

鶴見は、ご覧のように、線路が複数、交錯する駅でもあるんですね。

相当な乗降客数の、激しい流れに、右往左往しながらたどりついた、「サルビアホール」なのでした。

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さて、今宵は、神奈川フィルの第1ヴァイオリン奏者として、わたくしたち、かなフィル応援団としても、お馴染みの、平井茉莉さんの、初夏の頃、恒例のリサイタルに行ってまいりました。

なにかとお幸せの彼女、そんな想いや、音楽への情熱が、たっぷり詰まった、素敵なコンサートになりましたよ。
心から楽しかった。

  クライスラー プニャーニの様式による前奏曲とアレグロ

  シューマン  ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調

  パガニーニ/クライスラー編  ラ・カンパネラ

  
  ブラームス  ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 「雨の歌」

  岩田 匡史  「Mari」

  ブラームス  ヴァイオリン・ソナタ第3番~第4楽章 

            ヴァイオリン:平井 茉莉

            ピアノ    :加納 裕生野

                     (2014.5.30@サルビアホール、鶴見)


前半・後半のメインに、ロマン派のふたつの1番。
そのそれぞれ前に、クライスラーにまつわる技巧派の華やかな作品を配した、よく考えられたプログラム。

すっかり手の内に入ったと聴いたクライスラーとパガニーニ。
特に、のっけからアクセル全開、スパートを掛けたかのような「前奏曲とアレグロ」では、ホール一杯に、その音色を響かせる前向き志向の明るい演奏で、いかにも平井さんらしい。

シューマンのヴァイオリンソナタは、とっつきの悪い作品にいつも思ってて、どことなく彼の疾病による綻びも感じさせる曲だなと感じてました。
でも平井さんの、求心力高い演奏は、この曲にロマンティックな色合いをずいぶんと添えていたように思います。
自分は、クレーメルの辛口の演奏によるCDしか聴いたことがなかったものですから、余計です。
ことに、第2楽章が可愛らしく、シューマンならではの甘い語り口が、平井さんの艶やかなヴァイオリンと加納さんの優しく寄り添うピアノとで、とても麗しく感じられました。
 そして、両端楽章での情熱の奔流とも呼ぶべき熱い演奏ぶり。
オーケストラの一員として、いつもは拝見してる、「茉莉ちゃん」なんですが、ソロで接すると、こんなに明快で、キレのよいヴァイオリンなんだ!といううれしい驚き。
よく鳴るホールも、後押ししていたように感じますね。

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 彼女のMCで紹介された、コンサートの3つの仕掛け。

ひとつめは、こちらのポストカードを頂きました。

何種類かありまして、わたくしは、これ。

まさに、このカードのとおりのお二人でしたよ。

そして、五月雨の季節を迎えるまえの、ブラームスって感じで、素敵でしょ。

ふたつめは、お花。

エントランスにも、お二人の髪にも、そして譜めくりの女の子の髪にも、淡いパステル系のお花が。
みなさん、いい仕事してらっしゃる。

 そして、後半のブラームス。

まさに、しっとりと、女性らしい情感にあふれた演奏に、会場は聴き入りました。

シューマンとブラームス、こうも違うものなのだね、と、あらためて実感。

成熟したブラームスの音楽を、若い平井さんが感じたまま、そして、この曲に大切な、気品をもよく導きだしてました。
彼女なりに歩んできた、傍から拝見するに、きっと、思いきりの一生懸命の毎日。
そんな中の一日を、立ち止ってみたかのような心情あふれるブラームス。
きっと、これから、まだまだ進化して、この先、もっと大人のブラームスを聴かせてくれるのではないでしょうか。
そのときもまた、楽しみなのであります。

神奈川フィルの若い常任指揮者もそうですし、どんどん増える若い奏者のみなさん。
聴き手のこちらは、どんどん歳を重ねてしまうけれど、そうした若い方々の演奏を聴き、元気をいただき、そして、その成長を見守ってゆくというのも、音楽を享受するひとつの楽しみであります。

そんな、暖かな気持ちを、きっとみなさんもたれたでしょう、素敵なアンコール曲。
彼女のこと、「Mari」を作曲されたのが、神奈川フィルでお仕事をされてる岩田さんのチャーミングな作品。
この曲が、3つめの仕掛けでした。

最後は、情熱的に、バリっと、ブラームスの3番の終楽章のプレスト。

ご家族とお友達、多くのお客さんの暖かい拍手に囲まれ、素敵な演奏会でした。

平井さん、加納さん、ありがとうございました、若さと元気を頂戴しました。

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2014年4月20日 (日)

神奈川フィルハーモニー第298回定期演奏会 川瀬賢太郎指揮

Minatomirai201404

またしても冷たい雨が。

新シーズンの始まりの、みなとみらいは、肌寒くて、季節が逆戻りしたみたい。

でも、コンサートは、熱かったですよ。

ブラボー飛び交い、拍手はやむことがありませんでした。

Kanapill201404

  バックス    交響詩「ティンタジェル」

  シューマン  ピアノ協奏曲 イ短調

             Pf:伊藤 恵 

  ブラームス  交響曲第1番 ハ短調

    川瀬 賢太郎 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                  (
2014.4.18 @みなとみらいホール)

新常任指揮者、1984年生まれの川瀬賢太郎氏のお披露目定期演奏会であります。

3月には、お別れがありましたが、4月は、出会いと新規のスタート。

神奈川フィルの公益財団化後の4月、定期演奏会のバリエーションも増え、さらに崎谷新コンマスや、新加入のメンバーも迎えての4月。

なにかと、おニューな、定期演奏会なのでした。

第1曲目に、バックスをもってくる大胆さ。
自慢じゃないけど、わたくしは、バックス・マニアです。
英国音楽を広範に愛するワタクシ、バックスは、ケルト臭のするファンタジックな作曲家として、そして、海や森、妖精といった自然を感じさせる世界が大好きなのです。

ですが、こんなヲタクを喜ばせはしても、多くの聴き手が、誰?的な反応と、とらえどころのない芒洋感に戸惑われたことと思います。

ですが、音楽会は知った曲、有名曲、人気曲ばかりじゃ面白くありません。
現代曲も含めて、知らない作曲家、知らない曲に触れ合うことも、定期演奏会の楽しみであり、必需のことなのです。
バックスの、この素敵な曲を聴いて、ほかの作品を聴いてみたいと思われたら、それこそ、バックスファンとして本望です。

そして、その演奏は、金管が少し強過ぎると感じたほかは、さすがは神奈川フィルの弦セクションの美しさ。
懐かしさと透明感あふれるバックスならではサウンドと、シャープさが実に素敵なものでした。
川瀬さんも、曲に率直に向き合い、伸びやかな指揮ぶりでした。

 神奈川フィルのシューマンのピアノ協奏曲には、いろいろ思い出がありますが、シューマンといえば伊藤惠さん。
その彼女が、ソリストにやってきた今回は、これまで聴いた神奈フィルシューマンP協のなかで、もう最高。
安定感と安心感が、あふれ出てくるその演奏。
明るい黄緑色の春らしいドレスと、同系色のハンカチをもって、若い川瀬クンを伴って出てきた伊藤さんを拝見した瞬間に溢れる、今宵のシューマンの成功の確信。

確かな打鍵、しなやかな歌い回し、あふれるシューマンへの愛情がとめどなく感じられる。
すみずみまで、一音一音、心がこもっていて、無駄な音はひとつもないように思いました。
オーケストラも、柔らかく、抒情的。
川瀬さんは、柔和な表情を常につくり、ことに、ソロもオケも難しい3楽章では、にこやかな橋渡し的な役柄に撤しておりました。
その終楽章では、少し祖語が生まれたようにも感じましたが、それがまた、この曲の怖いところ。
ともかく、素敵すぎの伊藤惠さんのピアノにございました。

後半は、勝負のブラ1。

ズンズンくるかと思いきや、意外と柔らかな出だし。
低弦から、ほんの少し早く入ったのも、思いのほか新鮮。

誰もが知悉している、これほどの名曲となると、普通じゃいけない。
自分のブラ1を聴いてくれ、という意気込みが欲しい。

この曲から、川瀬氏は、右に左に正面に、自在に指揮しまくり、ときに棒も止めたりとアクティブ。
普通すぎるのも面白くないけど、実は、その動きが、ちょっと、こちらには疲れを催すものだった。
 細部まで、よくよく見つめて、この曲に対する畏敬の想いも感じるのですが、そのこだわりが、いろんなものを拾い過ぎちゃって、かえってモザイクのような、ばらついた印象をわたくしにはあたえたことも事実です。
終楽章の名旋律開始前の、長めのパウゼ、そのあとの抑制したその名旋律の奏で方など、一例をあげればユニークなヶ所も多々。

 ふだん聴こえない内声部を引き立たせて、あれっ、と思うような瞬間も多々ありました。
そのあたりが、今後、しっかり表現として結びついて、音楽の局面と全体像がしっかりと結びついてくることを期待します。
 そして、若い指揮者ですから、ガンガンいって欲しいものです。

終楽章のコラール、それ以降の、熱い中にも、堂々としたエンディングは、オーケストラの地力にも助けられ、おおいなる盛りあがりを見せました。

ちょっと辛口に書きましたが、まだまだスタートだし、なんといっても若い可能性を大いに秘めてる。
オーケストラとの共同作業という見方からしても、大いに楽しみだし、なによりも、神奈川フィルの、わたしたちが好きな美しい音色を、しっかりと引き出してくれそうだし、それをしっかりと守ってくれそうな、川瀬さんなのです。

 そういう安心感を、オーケストラメンバーの笑顔と、聴衆の暖かな拍手に感じました。

これから、一つづつ、指揮者と、このコンビの成長とその成り行きを見守るという、大きな楽しみが生まれました。
 同時に、おなじみの皆さんに加えて、若い奏者も増えてきた神奈川フィル。

伝統を守りつつ、進歩・変化なくしては、オーケストラはいけません。

引き続き、応援してまいります!

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終演後の新シーズンスタートの乾杯式。

初々しい川瀬さん。

楽団理事長のお話のあと、黒岩県知事の巧みなトークや、崎谷コンマスのご挨拶もございまして、おおいに盛り上がりました。

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10時過ぎの、We Love神奈川フィルアフターコンサートは、大忙しでした。

みなさま、お疲れ様でした。


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2014年4月17日 (木)

神奈川フィル定期 予行演習 アバド指揮

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桜のあとは、つつじがやってきますな。

連休のイメージもあり、汗ばむ陽気も思い起こすことができます。

四季の巡りも、年々早く感じるようになりましたよ。

神奈川フィルの新シーズンは、新体制でフレッシュ・スタートです。

  バックス    交響詩「ティンタジェル」

  シューマン  ピアノ協奏曲 イ短調

             Pf:伊藤 恵 

  ブラームス  交響曲第1番 ハ短調

    川瀬 賢太郎 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

            2014年4月18日 (金) みなとみらいホール


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  バックス  交響詩「ティンタジェル」

バックスは、かねてより大好きな作曲家で、何度も書きますが、その独特のケルト臭は、わたくしには、まるで、ピート臭満載のアイラモルトウイスキーを口に含むがごとく感興を引き起こすものです。

1917年に、バックスのピアノ作品のほとんどにインスピレーションを与えた女流ピアニスト、ハリエット・コーエンとともに訪れたイングランド南西部のコーンウォール半島にあるティンタジェルの街。
大西洋を望む、その地の、夏の風のない昼間、崖から見る絶景。  
さらに、そこに位置するティンタジェル城は、遠くローマの時代に端を発するもので、のちにケルト、アーサー王の伝説もある場所です。 絶海の様子や、潮風や潮の匂いすら感じることのできる、魅力的な音楽であるとともに、その城の由来のイメージを音楽に織り込ませています。  

コーンウォールといえば、ワーグナー好きならば、「トリスタン」の故郷として思い浮かびます。
メロートの剣に倒れ、忠臣クルヴェナールによって運ばれた里が、コーンウォール。 海の見える朽ちた城で、トリスタンは海を遠く眺め、イゾルデの到着を恋い焦がれるのです。
 この「トリスタン」のことも、思い浮かべつつ、さらにバックスは、トリスタンの様々な動機と関連づけられる旋律も、この交響詩に織り込んでます。

ですから、この作品は、ティンタジェルの自然、その城の背景にあるアーサー王、そしてトリスタンというふたつのケルトにまつわる要素がからみあった、描写的かつ心象的な交響詩なのです。

手元には、バルビローリ、ダウンズ、トムソン、エルダーのCDがあります。
それぞれに、特徴があって、どれも大好きな演奏。
ゆったりと、コーンウォールの風情を愛でるような演奏のバルビローリは、その歌い口が優しく、少しばかりの憂愁も含んでおります。
 ですが、演奏時間でいうと、バルビローリが約15分なのに、最長はエルダーで17分。
丹念に緻密に描いたそのエルダー盤も、最近、超好き。
あと、男の海、みたいなダイナミックさあふれる、ブライデン・トムソン。
ライブならではの、盛り上がりのよさと、スマート感あるのは最速14分のダウンズ盤。

さて、神奈川フィルはその美音で、わたくしを痺らせてくれるでしょうか!

このコンサートで、一番楽しみな演目なんです。

 (一部、ファンサイトで書いた記事を引用してます)

Schumann_pcon

シューマンのピアノ協奏曲を、アバドは、4回録音してます。

その聴き比べは、かつての こちら→

ブレンデル、ポリーニ、ペライア、ピリスと4人の奏者。
アルゲリッチもアバドで録音して欲しかった。
これほどに、奏者たちからも愛されたアバド。

この4種の中では、ブレンデル盤が一番好きです。

ブレンデルのまろやかなピアノに、アバドとロンドン響が醸し出すヨーロピアンな落ち着きのあるウォームトーン。
ロマン派の音楽っていうイメージ通りの素敵な演奏です。

もちろん、ほかの盤もみんな素晴らしいのですよ。
でも大学時代の思い出とかも加味して、ブレンデル盤には、格別な思い入れがあるのです。

伊藤恵さんを、ソリストに迎えることの、この贅沢シューマン。
神奈川フィルのシューマンには、いろんな思い出がありますね。

Abbado_brahms_1

ブラームスの交響曲第1番は、2度録音。
全集自体を2回。
4つの交響曲で、アバドは2番が一番得意だったし、その音楽性にもあってました。
ついで、4番かな。

1番のイメージは、アバドにはそぐわないかも。

ベルリンフィルの演奏では、重厚さと壮麗なカラヤンにくらべて、輝かしさと自然な流れのよさが際立ち、あの威容あふれるブラ1も、軽やかなのです。
でも、やはりウィーンフィルのものが、この曲への扉を開いてくれたこともあって、懐かしくも、いまだに新鮮な演奏。
70年代初頭のウィーンフィルの美質が満載で、それと一緒になって、嬉々として指揮をしているアバドの姿が思い浮かびます。
明るく、前向きな気分にさせてくれるブラ1。
さんざん聴き尽したブラ1だけど、このユニークな演奏に帰ってきます。

この曲に限らず、神奈川フィルのブラームスにはたくさんお世話になりました。
シュナイト師で聴けた全4曲や、ドイツレクイエム、協奏曲、合唱曲。
ずっとずっと胸に秘めておきたい大切な思い出です。

若い演奏家が果敢にいどむ、ブラ1。
思いきり、輝いて欲しいです。

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