ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第4番 ミケランジェリ
実家近くの裏山の竹藪。
竹は、こうして見ていてとても美しく趣きがあるのですが、その成長と、他を圧する生存能力には脱帽です。
先だって、テレビでもやってましたが、放置された田畑が竹に浸食されて、おまけに地中でつながっているものだから、傾斜地では、表面の地表が地滑りを起こす危険性もあるといいます。
稚竹のうちに、どんどん収穫して食べてしまえばいいんでしょうけど、竹の有効活用を含め、数々あるそうですが、なかなか人手と経済性が伴わないらしいです。
難しいものです。
今夜は、若竹のように、新鮮で活きのいい音楽を。
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調 Op7
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
(1971.7 @ミュンヘン)
ベートーヴェンのピアノソナタシリーズ。
作品2の1~3番に引き続き、第4番は、単独で、作品番号7。
作品2では、あとのものほど、規模と充実度を増し、ここ4番では、さらにスケールアップし、ベートーヴェンの意気込みも、大いに増していることを感じ取ることができます。
その大きさから、出版当初は、グランド・ソナタとの命名もされていたそうな。
作品2の翌年、1796~7年の作曲。
当時ベートーヴェンが住んでいた家のお向かいの貴族、ケーグレヴィッチ伯爵令嬢にピアノを教えていて、事実、彼女は、弟子としても優れたピアニストだったらしい。
レッスンにやってくるときは、ときおり、ベットガウンにスリッパに、トンガリ帽子という奇異ないでたちで訪れたりしたらしく、そんなベートーヴェンが微笑ましく思えたりしますな。
その彼女に、このソナタは、捧げられ、この曲は、当時、「愛する女」と名付けられたとされますが、そのあたりの因果関係は今は不明であります。
曲は4つの楽章からなり、変ホ長調という調性から、大らかさと伸びやかさが支配し、後年の深刻さやヒロイックな様相は、まったくうかがえませんね。
1楽章は、アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオですから、まいどお馴染み、ベートーヴェンの第1楽章って感じの表記です。
スケールの大きさは、最初から、しっかり発揮されていて、活力に富んでいながら、しなやかさも見せる魅力的な楽章です。
2楽章は、少しばかり瞑想的なラルゴ。
ベートーヴェンの緩徐楽章の抒情を充分に感じとれますね。
3楽章は、普通にアレグロで、3部形式ながら、スケルツォでもなし、メヌエットでもなし、とかつてより評されてますが、親しみあふれるフレーズが続出。
そして、終楽章は、ロンド形式。トリルの目立つ楽章で、終わりを飾るスケール感はないものの、緩急が豊かで、長調と短調のやりとりの面白さを感じます。
次の5番へのステッアップへの布石も。
地味ながら、青年ベートーヴェンの姿を味わうに相応しい桂曲だと思いました。
今回は、ミケランジェリの懐かしの名演で。
このレコードが出たときは、ミケランジェリのDGデビューのひとつではなかったでしょうか。
贅沢にも、これ1曲で、1枚のレコード。
演奏時間にして、31分。
ほかの演奏では、23~5分ぐらいなのに、この演奏時間。
そう、全体にゆったりめで、丹念に弾いている結果です。
しかし、造型は堅固で、一部の隙もなく、完璧な仕上がりながら、冷たさは一切なく、明晰さからくる明るいカラーが全体を支配してます。
イタリアの音楽家らしい「明晰な美」への追及が際立った演奏ではないかと。
この演奏、CD時代になって、シューベルトのソナタや、ブラームスのバラードなんかもカップリングされて、さらにお安くなって、かねてとは隔世感を味わわせてくれたりもしてます。
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