ショパン 24の前奏曲 グヴェタッゼ
いつものお山にある、キバナコスモスの群生。
これはこれで、とても美しい。
オレンジと緑というと、わたくしには、かつての湘南電車を思い起させます。
子供時代は、床がまだ油の引いた板張りで、扇風機もついていたし、おとなのオジサンたちは煙草吸いまくりだったし。
あと、車両の連結部が怖かった。
あと、この色の配色は、川崎が本拠地だった「大洋ホエールズ」ですな。
高校時代にアンチGとなり、川崎時代からのファンであります。
現在のベイスターズの洗練さとは、かけ離れた野暮ったいチームでしたが、何が起きるかわからない爆発力がありましたな。
しかし、昨日はチクショーめ、です。
オレンジひとつで、いろいろな想いをかき立てられる。
それはノスタルジーでもあります。
んで、ショピンと書いてChopin=ショパン。
ショパン 24の前奏曲 op.28
ニーノ・グヴェタッゼ
Nino Gvetadze
(2017.06.12 @フリッツ・フィリップス・ムジークヘボウ、アムステルダム)
ショパンは好きだけれど、ふだん、オペラとかオーケストラ作品ばかり聴いているので、その決して多くない全作品をCD棚に網羅しているにも関わらず、最近はなかなか聴くことがなかった。
5年ぶりのショパン記事であります。
さる音楽仲間のご厚意で聴いた1枚が、とても鮮烈だったので、ここに当ブログ3度目の「前奏曲集」を取り上げることとしました。
長調と短調の繰り返し、バッハの「平均律」をリスペクトしつつ書いた前奏曲集。
ばらばらに書かれたとの説もあるものの、ハ長に始まり、その関係短調をおきつつ、5度循環で24の調性を並べた緻密な構成。
それらが、とりとめなく聴こえるけれど、真ん中の折り返しで、長調・短調、お互いに♯と♭が6つの調性となっていて、きれいな対称構造となっているところが素敵です。
そして、ショパンならではの、詩情と幻想にあふれているのが素敵なのであります。
ジョージア(かつての名はグルジア)出身のニーノ・グヴェタッゼは故郷のトビリシに学び、オランダへ出てそちらで研鑽を積み、リスト・コンクールで大いに評価され、アムステルダムを中心に活躍する注目のピアニスト。
エキゾチックな黒髪の美人で、その技巧の冴えもさることながら、見事なまでの緊張感を持って、一音一音を大切に、磨き込むようにして奏でるそのピアノは、抒情の滴りとともに、ショパンのほの暗い側面や情念をすら描きだしてやみません。
高名なる「雨だれ」も、そこだけが浮き立たずに、全体の24曲の長短の流れのなかに、しっとりと収まるべくしておさまってます。
そう、24曲の前奏曲、それぞれがそれだけでも個々に成り立っているように聴こえる、そんな聴き方もできる一方、全体を通して聴くことで、有名な旋律も、浮かびあがることなく、その瑞々しさもあいまって、一服の詩集を読んでみたような気分になりました。
カップリングのスケルツォ2番もいいです。
彼女の音盤はまだ少ないですが、すでにある得意のリストやラフマニノフの続編、そしてシューマン、ショパンのほかの作品などを録音して欲しいです。
ショパンがマジョルカ島で、この作品を完成したのは、1938年。
ベートーヴェンの没後から、まだ11年。
ワーグナーは、「リエンツィ」を書いてる頃。
日本では、幕末の天保年間、維新まで30年。
高度に発達していた江戸の文化ですが、当時の日本人がショパンを聴いたら、その詩情の深さに、きっと共感したでしょう。
しかし、親日国ポーランドのオーケストラが今年も含めて、たびたび来日するけれど、その演目が毎度、判で押したようにショパンの協奏曲とか、新世界やブラームスばかり。
パデレフスキのピアノ協奏曲なんて佳作だし、シマノフスキ、カルヴォーヴィチ、そしてブレイク中のヴァインベルクもポーランドだよ。
そろそろ招聘側の見識も問わねばならぬ、ね。
初秋の日の、雨模様にショパン♬
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