カテゴリー「フォーレ」の記事

2015年1月11日 (日)

新春ピアノ三重奏 Japan×France

Megro_persimmon_2

新春を感じさせるお花が、受付に飾られてました。

音楽と花と香り。

そんな五感をたっぷり楽しませていただける、コンサートに行ってまいりましたよ。

Megro_persimmon_1

 新春ピアノ三重奏

   花と共に奏でる<日本×フランス音楽>の世界

     宮城 道雄   「春の海」

     日本の四季 メドレー

     ドビュッシー  「月の光」

               映像第2集~「金色の魚」

     ラヴェル    「ツィガーヌ」

     サン=サーンス   動物の謝肉祭~「白鳥」

     フォーレ    エレジー

     ラヴェル    ピアノ三重奏曲

       アンコール  「花は咲く」

       ヴァイオリン:松尾 茉莉

       チェロ:    行本 康子

       ピアノ:     加納 裕生野

         フローリスト:元木 花香

         司会     :田添 菜穂子

                (2015.1.10 @目黒パーシモンホール)


神奈川フィルのヴァイオリン奏者であります松尾茉莉さんと、その仲間たちによるコンサート。

Megro

日本のお正月・新春に相応しい宮城道雄の「春の海」で、たおやかに始まりました。

ご覧のとおり、日本の音楽と、フランスの音楽のたくみな組み合わせ。
みなさんのソロをはさんで、最後はラヴェルの色彩的な名作で締めるという考え抜かれたプログラムでした。

日本の四季の歌の数々が「ふるさと」を前後にはさんで奏でられ、会場は、ふんわりとした優しいムードに包まれました。

そのあとの加納さんのドビュッシーは、実に美しく、情感もたっぷりで、この作曲家に打ち込む彼女ならではの桂演でした。

エキゾティックなムードと超絶技巧満載のツィガーヌは、いつも前向きな松尾さんらしい、バリッと冴えた演奏。

後半は、静かな語り口で、超有名曲と、フォーレの渋い曲を弾いてくれた行本さんのチェロでスタート。

最後は、3人の熱のこもったラヴェル。
4つの楽章を持つ30分の大曲ですが、あっと言う間の時間の経過。
1914年の作曲で、いまからちょうど100年前の第1次大戦直前の頃の音楽は、夢想的なロマンと、熱気と躍動感という、ラヴェルのいろんな顔のすべてが、ぎっしりと詰まった音楽です。
きらきら感と、3楽章の神秘的な味わいをとてもよく弾きだしていたのが加納さんのピアノ。
柔らかな音色の行本さん。
そして、松尾さんは、しなやかさと、ひとり神奈川フィルとも呼びたくなるような美音でもって、魅了してくれましたね。
 若い3人の女性奏者たちによるフレッシュで香り高いラヴェル。
堪能しました。

最後は、「花は咲く」で、うるうるさせていただきました。

Megro_3_2

そして、香りといえば、花と香りのアロマを演出されたのが元木さん。
3人が生花をつけて演奏し、しかも、ドレスはトリコロール。
ホワイエには、檜の香りが漂い、いただいた栞にも、お花の香りが。
 おじさんのワタクシですが、音楽と香りのマッチングに、思わず、頬がほころぶのでした。

センスあふれる企画と演奏、いただきました。
 

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2012年9月26日 (水)

フォーレ ヴァイオリン・ソナタ第1番 ガロワ=モンブラン

Shiseido_green

わたくし、メロンソーダが大好きです。

それも緑の濃い~の。

駄菓子屋で売ってる粉のヤツを口にそのまま含んだりもしてましたよ。

そして、こちらのとてもセンスあるショーウィンドウは、資生堂パーラーです。

ちょっとレトロな感じがいかにもいいんです。

Faure_violinsonata_montbrun

   フォーレ  ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調

     Vn:レイモン・ガロワ=モンブラン

     Pf:ジャン・ユボー

             (1969.10)


フォーレの音楽作品の主体は大きく分けると、室内楽、ピアノ曲、声楽曲、この3つでしょうか。
もちろん、管弦楽作品も、オペラもありますが、作品の数と生涯に満遍なく作曲されたことからすると、この3つのジャンルなのでしょう。

だいたい10作品ある室内楽作品は、その充実度からして後期ロマン派としては、ブラームスやドヴォルザークに並ぶ存在であります。

作品13、このジャンルの最初期のヴァイオリン・ソナタ第1番は、1875年、フォーレ30歳の音楽。

ともかく、若やいでいて、フレッシュな様相が全編をおおっていて、熱を帯びたようなロマンがここでは交錯しているように感じます。
しかもそれがフランス語風に鼻に抜ける母音の語感を感じさせる甘さと官能に結びついているんです。
フォーレの音楽、ことに室内作品を聴くときにとりわけ思うこの感じ。
わたしの感覚が変なのですかね?
ですからね、葡萄酒などを口に含んで、グルグルと味わうときに鼻腔を抜けてゆく、あの芳香・・・・・・。
前にも書きました。
日曜の夕方、明日からまた始まる日常をちょっと憂いながら、ワインを含みながら聴くフォーレの音楽。
そんなひと時を過ごす週末がワタクシにはかつてありました。

4つの楽章からなるカッチリとした外観のヴァイオリン・ソナタ第1番。
第2楽章のシンプルだが、ソロとピアノが拮抗しあいつつ、夢見るように歩むたおやかさは極めて美しいです。
3楽章の愉悦にとんだお洒落加減もいいです。

モンブランとユボーのお菓子のような名前の二人のコンビは、センスが極めてよろしく、さりげなく、濃厚さとは一線を画したタッチが素敵な演奏に感じましたね。

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2010年12月 4日 (土)

神奈川フィルハーモニー定期演奏会 現田茂夫指揮

Dogyard

横浜ランドマークタワーのドッグヤード。
周辺やクィーンズスクエアには、美しいイルミネーションがたくさんあって、イルミ好きのワタクシですから、たくさん写真を撮りました。
でも、それらはまたの機会に。
今回の演奏会の曲目や、諸々鑑みて、華美なものは相応しくないと思いまして。。。

Kanagawaphill201012

    團 伊玖磨  管弦楽のための幻想曲「飛天繚乱」

    サン=サーンス  チェロ協奏曲第1番

            チェロ:遠藤 真理

    フォーレ      レクイエム

          S:幸田 浩子   Br:山下 浩司

       現田 茂夫 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                 神奈川フィル合唱団
                 合唱指揮:近藤 政伸
                     (2010.12.3@みなとみらいホール)

現田さんらしい、いいプログラムです。
今シーズン、期待してたコンサート。しかもマーラーばかりだからよけいにそう。
フランスの作曲家ふたりに、日本人作曲家。

奇異な取り合わせと思いつつも、初聴きの團伊玖磨作品であったが、これが面白くて、そこにドビュッシーやラヴェル、ルーセルらのフランス音楽テイストを感じ取ったのであります。さらに近代北欧系の雰囲気も。そして当然に日本の和テイストも。
18分のなかなかの大曲で、編成も打楽器多数の大所帯。
オケがガンガン鳴ったのはこの曲のみ。
そうした場面も爽快だったけれど、印象に残ったのは最後の方の、フルートソロによる長いソロ。優雅に舞う天女でしょうか、山田さんのソロが美しすぎ。
あと、弦楽器奏者たちが楽器を抱えて、それこそギターのようにつま弾く場面。
都合3度ほど出てきたけれど、これは見ていて楽しかったし、奏者の皆さんもなんとなく楽しげ。そう、石田コンマスも大真面目にやっておりましたよ。
 こうした曲は、現田さんはうまいもんだ。

そのあとは編成が少なくなってのサン=サーンス
人気と実力を兼ね備えた遠藤真理さん。
初に聴きます。
出てきたのは、小柄な可愛い女性でしたが、その第1音からグイッと引き込まれる深い音色。
まさに中低音域の楽器、純で無垢なチェロそのものの音色に感じる。
現田&神奈フィルの軽やかで小粋な背景に乗って歌う第2楽章は、もっとも素敵な場面だった。
敢然としたテクニックも見事なものだが、緩やかで抒情的な場所での歌い回しに彼女の素直なチェロの良さを見出す思い。
いい演奏でした。9月にN響でも聴いたけれど、そちらよりずっと自分に近いところで響いてくれたサン=サーンスに、曲のよさもようやくわかってきました。
元気に曲が閉じると、これまた元気にブラボーが、わたしの斜め後ろから飛んできました。
おじさん、やるね。と同時に少し不安に・・・・。

休憩後は、フォーレ
演奏会で聴くのは初めて。
オーケストラはさらに編成が少なくなり、打楽器はゼロ。
オルガン参加はもちろんながら、弦の配置もがらりと変わった。
左手から第1ヴァイオリン、ヴィオラとその奥に第2ヴァイオリン、そして一番右がチェロ。
ヴィオラとチェロが活躍するこのレクイエム。
その配置からしても、オーケストラもオルガンの響きそのものを意識したものといえるのでしょう。
そのあたりの渋くて、かつ神々しい雰囲気が、いつものこのコンビらしからぬ響きから立ち昇るのを感じ、この曲を愛してやまないわたくしを冒頭のイントロイトゥスからして、祈りの世界へと導いてくれました。
最初の方こそ、合唱が決まらず、ざらついたけれど、喉が温まるとともに精度も高まり、滋味あふれるフォーレの世界を、オケの皆さん、独唱者ともども、心の底から感じながら演奏してます。
それを束ねる現田さんは、動きも少なめで、まるで音楽に奉仕しているかのように、静かな指揮ぶりです。
こんな現田さん、初めて見た。

宗教曲としての存在や、癒し的な慰めの音楽としての「フォーレのレクイエム」。
そいう意味では、今回の演奏はちょっと違う次元にあるように感じた。
どこまでも音楽的に美しく鳴り響き、それが結果として、純粋に優しい気持ちで人の心をつつみこんでくれたような結果となったのでは。
以前に、この曲を取り上げたとき、フォーレの音楽の持つ陶酔感というようなことを書いたけれど、そうした感じはちょっと薄めで、音楽の美しさのみで勝負した感があり、いつものビューテフルな現田サウンドではなく、淡い薄口の音色に、なんだか日本人的なものを感じてしまった。

しかしこのレクイエムは、どうしてこんなに美しいのだろう。
最初からうるうるしながら両手を握りしめて聴いていたけれど、ピエ・イエズではこらえ切れずに涙ひとしずく。
最後の、イン・パラディスムでは、天から降り注ぐかのようなオルガンとハープ、女声合唱の調べに、先に亡くなった伯叔父ふたりの安らかな顔や、昨年同じく亡くなった従姉のお顔、そのほか親しかった人々の姿がまぶたに去来して、そして唯一元気な母を思ったりして、もう涙が止まらなくなってしまいました・・・・・。
情けないくらいに涙もろい最近のワタクシでございます。

幸田さんのピエ・イエズは、声の微妙な揺れが少し気になったけれど、相変わらずピュアで美しいです。存分に泣かせていただきました。
そして素晴らしかったのは、山下さん。ホスティアスとリベラ・メ。
どちらも、まろやかで優しい歌を聴かせてくれました。
山下さんは、昨年の「カプリッチョ」で見事な劇場支配人を演じ歌ってました。
注目のバリトンです。

天国的な最終章が静かに終わって、ホールはしばしの静寂。
ほんとうはこの曲には拍手は相応しくないんだけれど、演奏者を讃えなくてはなりませぬ。
少し遅れて、わたくしも拍手に参戦。
ところが、さっきのおじさんブラボーが出ましたよ。
ちょっとやめて欲しかったな。

終演後、yurikamomeさんから、現田さんのお母様が亡くなったとのお話をお聞きしました。それを聴いて、指揮をしていた現田さんの後ろ姿を思い出し、これまた涙があふれそうになりました。謹んでお悔やみ申し上げます。

Kirin

終演後のアフターコンサート。
いつものメンバーに新しいお顔も加えて、いつもの店で、いつものものを食べる。
でもこの夜は、しっとりと日本酒を飲みたい気分。
ピザをつまんで日本酒を飲むという試みに、いたく満足の「さまよえるクラヲタ人」なのでした。
みなさま、お世話になりました。

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2010年6月15日 (火)

フォーレ ピアノ四重奏曲第1番 ユボー

Ajisai_sumidahanabi
ガクアジサイ、「墨田の花火」という粋な名前がついてます。
気がついたらそこらじゅう、紫陽花が満開になってる。
そして、鬱陶しい梅雨に色どりを与えてくれる。

Faure_deux_quatuors
意外に思われるかもしれませんが、レクイエム以外のフォーレの音楽に目覚め、音盤を鬼集したことがあります。
フランスに初めて行って、おフランスの香りを嗅いでしまってからであります。
もう20年以上も前のことにございます。
ヨーロッパは地続きだけど、川や国境を超えると国柄も人柄も全然ちがう。
そんなことを思い知ったのは、ドイツからフランスにひとっ飛びしたときだ。
なにもかも違う。驚いたね。
さらに後年、英国と仏国を交互に訪れたときもそう。

いろんなフランス系作曲家の作品を集めたけれど、いちばんしっくりきたのが、フォーレでありました。
浮ついたところがなく、でも適度にフランス的な官能と情熱が溢れている。
でも宗教的なストイックなところもあったりで、なかなかに多面的な作曲家でもあるんだ。
 日曜の夕方、室内楽作品や歌曲、ピアノ曲などを聴きつつ、葡萄酒などを傾けたりするのが最高の楽しみだった。
いまは、そんな呑気なことしてらんないけど、今度は休日の朝早く起きて、熱いお茶をすすりながら、フォーレを聴くのが好きだったりします。

フォーレの室内楽曲は全部で10曲あって、そのなかでも一番有名で、メロディアスで聴きやすいのが、ピアノ四重奏曲第1番ハ短調。
作品番号は15で、フォーレ34歳の比較的初期作品で、4つのそれぞれ明確な楽想を持つわかりやすい構成となっている中にも、豊富な溢れ出るメロディが耳に心地よく、4つの楽器の対比も明快。

なかでも夢幻的で陶然となってしまう第3楽章のアダージョが素晴らしくて、ここが大好き。
ロマンの極みであります。
その極みといえば、第1楽章。一度聴いたら忘れらない熱っぽい素晴らしい旋律で開始され、次の主題は、うって変わって愛らしい。この二つの旋律が絡みあうさまが素敵すぎ。
スケルツォは、コロコロと転がるおフランス調。
終楽章は、ロンド形式でとらえどころがないが、フォーレ独特のリズムの刻みが心地よい酩酊感を生む・・・。

平日の夜だけど、久しぶりのフォーレのこの作品。
3回も聴いてしまった。
テレビでは、NHKで「ミス・ポター」をやっていて、美しい英国の湖水地方に見入りながら、フォーレを聴くという、なんともアンバランスなことになってしまったけれど、曲は止められず、これはこれで何だかマッチしてたような、してなかったような・・・・。

 ピアノ:ジャン・ユボー    ヴァイオリン:レイモン・ガロワ=モンブラン
 ヴィオラ:コレット・ルキアン チェロ:アンドレ・ナヴァラ
                          (1969.5月)

このメンバーで、フォーレ室内楽を全部そろえてしまった。
まったくもって芳香にあふれた、素晴らしい演奏であります。
これを機に、フォーレ作品もシリーズ化しよっと。

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2010年5月 3日 (月)

フォーレ ドリー組曲 カサドシュ

Tokyo_tower
連休まっさかり。
神奈川フィルと焼肉以外、私は日頃できない事務仕事や、CDの整理等で、淡々と過ごしてます。
 こちらは、休み前、4月上旬の東京タワーの足元の様子。
鮮やかですねぇ。
風もあって、泳ぎっぷりもよし。

Casadesus_french
ドビュッシーの子供の領分を聴くか悩んだけど、より優しいフォーレの音楽。
フォーレのピアノ連弾のための唯一の音楽、組曲「ドリー」を聴いてみましょう。

こちらも、フォーレが描いた子供目線の音楽。
のちに、ドビュッシーの2度目の夫人となるエンマ・バルダックの娘「エレーヌ」の誕生祝いに書かれた作品で、エンマはフォーレの妻のつながりから知己を得たのだけれど、どうも愛人であったらしい。
エレーヌ自身も、もしかしたらその二人の子供では、と言われてるようです。

そのエレーヌの愛称が「ドリー」だったとの由。

「子守唄」「ニャーオ」「ドリーの庭」「キティ・ワルツ」「やさしさ」「スペイン風の踊り」
この6曲からなる、心優しく愛らしい連弾組曲。

どう聴いても、私は第1曲の「子守唄」が大好きであります。
誰しも聴いたことがあるかもしれないし、初めて聴いてもすぐに馴染んでしまう無為なまでの天上の音楽。
単純で優しいフレーズの繰り返しから、どこまでも知れぬ安らぎを感じます。
 活発な「にゃんこ」の飛び回る音楽の「ニャーオ」。
小花の咲き乱れるがごとくの小洒落たガーデンを思わせる「ドリーちゃんの庭」。
飼い犬の優雅な動きを音楽にしたという「キティ・ワルツ」に、「やさしさ」では夢見るような茫洋感が印象派を思わせる。
そして、最後は快活な踊り。幸せあふれるスペイン風の踊り。

カサドシュ夫妻の優雅かつ典雅、そしてキリリとしたピアノは、まさにフレンチ。
陽光あふれるなか、軽いキューヴェル・ヌイジーヌのランチに、ちょっとドライな白ワインを飲んでみた感じ。

フォーレにも、こんな顔があるんですな。

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2009年8月 1日 (土)

フォーレ レクイエム  コルボ指揮

Horaibashi どこまでも続く橋。
こちらは、静岡県島田市、大井川にかかる「蓬莱橋」。

世界一長い木の橋。
全長897mあります。
ずっと先は黄泉の世界みたい。

今日は、あまりに悲しい日だった。
それも夜だけ。

20時からのミューザ・サマーフェスタ。
今宵は、金さん指揮する神奈川フィルの番だった。
それもバーンスタインばかり。しかも石田ヴァイオリンで、セレナードが聴けるという。
チケット売り出し早々に購入し、楽しみにしていた。

が、しかし、運命は無常だった。
8時始まりだから、7時過ぎに出よう、とか思っていながら仕事をダラダラとしてしまい、気がついたら7時25分。やべぇ、とばかりに駅へ向かい、京浜東北線のホームに駆け降りると1本行ったあと。
次は、蒲田止まりじゃん。その次じゃもう間に合わない・・・・・。
あちゃあーーー。でも一応行こうかと、蒲田行きに乗り、蒲田で待つことに。
しかし、川崎駅の雑踏を抜けてホールの席までにたどりつく頃には、「キャンディード」が始まっちゃう・・・・。
もう若くないし、思い切り走れないし、汗だくになっちゃうし、とかなんとか考えていたら、もうすっかり萎えちゃって、諦めちゃって、反対側の電車にそそくさと乗り換えたのであります。

チケット代2000円よさらば、なさけない自分にがっかりしつつ電車に揺られていたら、携帯が鳴った。電車だから出ないでおいたら、留守電が録音された。
車中、それを聴いたら愕然としてしまった。
従姉が亡くなってしまった。

Faure_requiem_corboz そんな悲しい時に、フォーレレクイエムほど心の襞に染み入るように、そして心の空白感をも優しくなだめてくれる音楽はない。

フォーレの音楽に、私は一時かなりのめり込み、歌曲に室内楽、ピアノ作品にと、そのほとんどを聴きつくした時期があった。
フォーレといえば、このレクイエムと「ペレアスとメリザンド」くらいしか知らなかったのに、である。
 きっかけは、フランスに実際に行ってみて、その文化に直接触れてみて、エスプリに満ちた音楽を心も耳も求めていたから。
 だから他のフランス作曲家たちもたくさん聴いた。
でも、フォーレはエスプリとかじゃなくて、音楽の一途感が真っ直ぐだったので、聴く私も陶酔にも似た酔いを覚えるようになった。
この感覚はいったいなんだろう。
日曜の夕方などに、葡萄酒をちょっとたしなみながら聴くフォーレのヴァイオリン・ソナタやピアノの重奏曲、弦楽四重奏、チェロソナタ・・・・。
ワーグナーへの陶酔は、心も体も数十年来慣れ親しんだものだが、それとはまったく違うたぐいの陶酔感。
 それは、無為の自然体がなすがままの感覚であり、それはフォーレを始めとするフランスやラテン系の作曲家たちの体に染みついたカトリック的な篤い信仰心なのであろうか。

このレクイエムが、亡き人を、そして残された人を優しくいたわるような滋味にあふれているのも、そうしたフォーレ独特の陶酔感を導き出されるが故であろうか。

人は死ぬ時に、麻薬の症状にも似た体を麻痺、そして高揚させる何かを分泌するとかいうことを読んだことがある。
不謹慎ながら、亡くなった方のお顔は、ご尊顔とでも形容したいくらいに美しく平安に満ちている。
神様がすべてを解き放つように仕向けてくれるのだろうか。

フォーレのこの音楽が、そうした作用を、送られる人、送る人々それぞれにしてくれるような気がしてしまう。
多くの方がそう思うように、私も、死出へのはなむけには、このレクイエムを欲したい。
あとは、まだたくさんあります。それはまたいずれ。

ミシェル・コルボの演奏は、フォーレのこのレクイエムの演奏に優しさと自然さとを持込み、当時はその言葉さえなかった「癒し」と音楽を結びつけてしまった記念碑的な1枚なのだ。
ボーイ・ソプラノが今聴くとあざとく感じられるかもしれないが、まったく無垢で自然体のこの演奏にはまったくもって相応しい選択であったことは、依存がないと思う。

もうこれ以上、言葉は要りませんね。この作品と演奏には。。。。

私の従姉は、私とひとつ違い。
このところ伯母が亡くなったり、親族じゃないけど、若杉さんが亡くなったりと、私にとって悲しい別離が相次いでいて、死と不遇が私の周りで渦巻いているよう・・・。
それでもこうして、ブログを起こしてしまう。
ブログの効能は、いい意味で自分に対して冷静でいられること。
こんな独り言も、どこかで読んでいただけているという不思議な満足と連帯感。
こんな私的な記事をどうぞお許しください。

諸所あり、数日更新はお休みいたします。

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2008年7月 2日 (水)

フォーレ 組曲「ペレアスとメリザンド」 マリナー指揮

2 このタイトルを見たとたん、私がブログの方向をどちらへもって行こうか、おわかりになったことと思います。

それは、次にお話しするにして、こちらの画像は、数年前の夏に家族旅行で訪れた、秋田県の田沢湖のほとりに立つ、「たつこ姫」像。
私の住む千葉から、自家用車で盛岡経由、田沢湖、そして日本海を南下し、山形まで回った。
運転は嫌いじゃないものだから、ともかく走る。
どこまでも走る。へたすりゃ、北海道や九州まで行っちまう。

たつこ姫伝説は、美貌の娘が永遠の美しさを得ようとして、竜に変身してしまったという伝説。
湖は、コバルトブルーに輝き、深さによっては、エメラルドカラーにも見える。
とても神秘的な湖だった。
往生したのは、湖畔に車を止めていたら、蜂の群れが車を覆い尽くしてしまった!
私の車は、シルバーなんだけど、どうもそれに寄ってくるらしい。
そこのに乗り込むのは、まさにパニック状態。私は、田舎育ちだから平気だけれど、子供たちは恐怖のどん底。こんなことも、たまにはいいことじゃよ。

Faure_pelleas_marriner_2 さて、音楽のはなし。
先週、ドビュッシーの幽玄なオペラを観たが、その原作、ベルギー生まれのメーテルリンクの「ペレアスとメリザンド」に触発された音楽は、いくつか残されている。
文学と音楽。切っても切り離せない分野で、数々の文学の名作に、歴代の作曲家たちが音楽をつけている。

その代表作は、シェイクスピアの「ロメオとジュリエット」と、ゲーテの「ファウスト」、そしてこの「ペレアス」ではなかろうか。
他にあったかしら?ありましたら、ご教授ください。
表題音楽が好きなワタクシに、そんなブログ企画もいいもんだ。

原作の劇作が初演されたのは、1898年。
その上演用の劇付随音楽として、前奏やいくつかの間奏を書いたのが、フォーレ(1845~1924)なのだ。
だから、メーテルリンクの原作に一番近いオリジナル音楽は、フォーレのこの作品なわけ。
この儚くも悲しい劇を観たドビュッシーがオペラを作曲したのが、その4年後の1902年。
当時、この劇がいかに芸術家たちの心を奪ったかが想像される。

フォーレは、オリジナルの音楽のなかから4曲をまとめあげ、組曲を作りあげた。
  ①前奏曲
  ②糸を紡ぐ女
  ③シシリエンヌ
  ④メリザンドの死
いずれも、フォーレらしい優しく、抒情に満ちた桂曲。
あまりにソフトフォーカスな音楽ではあるけれど、その雰囲気のよさは癒し系の音楽として、心にじわじわと染み入ってくる。
糸車の廻るような2曲目。あまりにも有名なシシリエンヌは一度聴いただけで忘れ得ぬ情感を湛えた音楽。そして、楚々と悲しみを歌い上げる終曲。

こうしたデリケートな音楽は、マリナーとアカデミーのさっぱりとした、エヴァーグリーン的な演奏こそ相応しい。
情にまさりすぎると、ツライ音楽だけに、このコンビにはうってつけの音楽に思う。
さて、次なる「ペレアス」は・・・・。

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2006年9月26日 (火)

フォーレ レクイエム  バレンボイム

Baremboim_faure このところ毎日のように、車や交通機関の事故、それもバカどものあきれた過失による事故が続出している。そのため命を奪われるのは無力な子供達だ。あまりに辛くむごい。
新首相が掲げる「優しさにあふれた国」、「美しい国」はやってくるのだろうか?

このCDの解説によると、5大レクイエムと呼ぶ作品は、「モーツァルト」「ケルビーニ」「ベルリオーズ」「ヴェルディ」「フォーレ」であると、評論家高崎保男氏が述べているという。
うーむ、ケルビーニはまた地味やな。ブラームスは純粋レクイエムではないのか。
ドヴォルザークは?デュルフレは?ブリテンやディーリアスは特殊?

まあいろいろ議論はあるにしても、3大レクイエムなら、「モーツァルト」「ヴェルディ」「フォーレ」に決まりであろう。
そして聴く者を優しくつつむ癒しのレクイエムこそフォーレ。
声高に叫ばず、死者を、残された人々を優しくいたわる。

今日の演奏は1974年、バレンボイムがパリ管の音楽監督就任初期に録音したもの。  

    S:シーラ・アームストロング   Br:フィッシャー・ディースカウ
        パリ管弦楽団とエディンバラ音楽祭合唱団

冒頭の「入祭唱」開始から、ただならぬ思い入れを込めた入念な響きに驚く。え?フォーレだよね?と、最初はびっくりしてしまう。低音もズィーンと良く響く。
全編にわたり、オケも合唱もかなり克明に演奏し歌う。これは、ブラームスである。
その雰囲気に拍車をかけるような、フィッシャー・ディースカウの言葉一語一語を歌いこんだ歌唱。「ピエ・イエズス」でのアームストロングは、なかなかに清澄な歌いぶりであるが、私の好きな「バーバラ・ボニー」ちゃんの無垢な声とは遠い。
せっかくパリ管なのに、ブラームスじゃん・・・・。

とか言いながら、実はこれはこれでそのシリアスさがすごく面白く、私は充分に堪能した。
一筋縄ではいかないこの頃のバレンボイムの個性は、今では味わえないものだ。
フォーレのレクイエムも、その時の気分でコルボやクリュイタンス、ヘリヴェッヘなどで聴き分ければいい。

余白に入った「パヴァーヌ」。レクイエムがそぉっと終わったあとに洒落た組合せである。
ここではオケと合唱のバージョン。

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