カテゴリー「ラヴェル」の記事

2018年2月11日 (日)

ラヴェル 「ダフニスとクロエ」 小澤征爾指揮

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海と月。

いまさら1月のスーパームーンの写真ですいません。

こういう光景に、ドビュッシーとかラヴェルの音楽を思い起こしてしまう、音楽好きのサガ。

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  ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」

     小澤征爾 指揮 ボストン交響楽団
           タングルウッド音楽祭合唱団

                (1973.10 ボストン)


アバド、メータときて、70年代の若手三羽がらす、小澤さんのラヴェル。

当時の3人の写真、いや、実際に自分の目で見た3人は、とても若くて、とてもアクティブで、指揮姿もダイナミックだった。
でも、3人のうちの二人が病に倒れた。
復帰後の活動は縮小したものの、より深淵な音楽を聴かせてくれるようになった。
でも、亡きアバドも、小澤さんも、痩せて、すっかり変わってしまった。

そんななかで、メータはひとり、大病もせず、ふくよかさは増したものの、風貌からするとあまり変わらない。
カレーのパワーは大きいのだろうか・・・

雑談が過ぎましたが、「小澤のラヴェル」。
1975年、高校生のときに単発で「ボレロ」の1枚が出て、そのあと一気に4枚組の全集が発売されました。
ラヴェル生誕100年の記念の年。
高値のレコードは眺めるだけでしたが、その年、もうひとつの手兵だったサンフランシスコ響を率いて凱旋し、ダフニスとクロエ全曲をメインとする演奏会が文化会館で行われた。
前半がP・ゼルキンとブラームスの2番で、アンコールはピチカートポルカ。
テレビ放送され、食い入るように見たものでした。

あと思い出話しとして、当時、小澤さんのコンサートを聴くために、新日フィルの定期会員になっていて、ラヴェルが多く演奏され、ダフニスも聴いております。
小澤さんの指揮する後ろ姿を見ているだけで、そこに音楽がたっぷり語られているようで、ほれぼれとしていた高校・大学生でした。

小澤さんのラヴェルは、こちらの70年代のものだけで、再録音はなく、その後はオペラしか録音していないので、貴重な存在。

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抜群のオーケストラコントロールで、名門ボストン響から、しなやかで、美しい響きを引き出すとともに、ダイナミックな迫力をも感じさせる若さあふれる演奏。
ボストンの時代が、自分には親しみもあるし、後年の落ち着き過ぎたスマートすぎる演奏よりは、熱さを感じる点で、より本来の小澤らしくで好き。
だって、「燃える小澤の」というのが、当時のレコード会社のキャッチコピーだったんだから。
まだまだミュンシュの残影が残っていたボストン響。
精緻さと豪胆さを兼ね備えていたミュンシュの魂が乗り移ったと言ったら大げさか。
それに加えて、俊敏なカモシカのような、見事な走りっぷり。
「海賊たちの戦い」の場面のド迫力を追い込みは見事だし、なんたって、最後の「全員の踊り」のアップテンポ感は興奮させてくれる。
 こうした熱き場面ばかりでなく、冒頭から宗教的な踊りにかけての盛り上げの美しさ、そして当然のごとく、そして、ボストン響の名技が堪能できる夜明けとパントマイムも端麗。

30~40代の颯爽とした「小澤のラヴェル」、ほかの曲も含めて堪能しました。

小澤さんのボストン就任の前、DGはアバドとボストンと「ダフニス」第2組曲を録音しましたが、そちらの方が落ち着いた演奏に聴こえるところが面白い。
もちろん、アバドも歌にあふれた美しい演奏です。
アバドが亡くなったとき、ボストン響はのメンバーがアバドの思い出を語っている様子が、youtubeで見れます。
アバドのボストン響客演は、そんなに多くはありませんが、80年代まで続き、シューマンの4番や、マーラーの2、3番など、魅力的な演目がありました。
どこかに録音が残っていないものでしょうか。

アバド、没後4年にあわせて、70年代のメータと小澤も聴いてみました。

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2016年1月11日 (月)

ラヴェル 「ラ・ヴァルス」 ブーレーズ指揮

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1月2日、日の出から間もない、吾妻山山頂。

いつもの帰郷は、今年は川崎大師は行かなかったけれども、この晴れやかな山頂と、箱根駅伝での母校の目覚ましい活躍に、日頃の鬱憤が吹き飛ぶような想いを味わったものでした。

最近、更新が滞りななか、年始からのシリーズ造りとして、ウィーンをモティーフにしたワルツ。
そんなテーマを考えておりました矢先。

ピエール・ブーレーズの逝去の報が、飛び込んでまいりました。

90歳という年齢でしたが、常に、ハルサイを指揮し、自作も次々に作り上げる、圧倒的なパワーの持ち主に、終わりはない、と思いこんでおりました。

その突然の死去に、自分にとって、ブーレーズといえば、コレ!
という曲を、まずは、聴いて、記事にしてみました。

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          ラヴェル  ラ・ヴァルス

   ピエール・ブーレーズ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック

                           (1974 NY)


わたくしが、ブーレーズを聴いたのは、クリーヴランドとのCBSハルサイからで、セルとともに来日した1970年の大阪万博の年だった。

作曲家であり、指揮者としても、近現代と前衛しかやらない、気難しい人との認識が、まず埋め込まれました。

そして、1974年、ニューヨーク・フィルの指揮者として、バーンスタインとともに再度来日。
この時、高校生のわたくしは、文化会館で聴くことができました。
プログラムは、マイスタージンガー前奏曲、メンデルスゾーン・イタリア、クルクナー・管弦楽のための音楽、ペトルーシュカ。
こんなユニークな演目で、いま思えば、ブーレーズのメンデルスゾーンなんて、極めて貴重なものでしたし、これらの曲を、70年の来日のときの写真で見て知っていた、気難しい顔のブーレーズが、腕っこきのNYPOの面々を前に、にこやかに指揮していたのでした。

バイロイトのDG「パルシファル」、CBSから出たNYPOとのワーグナー曲集なども聴き、バイロイト100周年の記念のリングの指揮者に抜擢されたブーレーズに、ワーグナー指揮者として、大いに期待をしたのも、そのすぐあとのこと。

さらに75年に、BBC響とともに来演し、NHKがそのすべてを放送してくれたものだから、ブーレーズのにこやかさ、プラス、本来の、とんがった姿をまざまざと体感できたのでした。
そのときは、自作や、ベルリオーズ、ドビュッシー、ラヴェル、バルトーク、ストラヴィンスキー、マーラー、シェーンベルク、ウェーベルン、ベルクなど、まさに、ブーレーズの顔とも呼ぶべきレパートリーの、オンパレード。
いまだに、当時のエアチェック音源は大切なコレクションとなってます!

そして、76年のバイロイト・リング。
ここからの5年間は、ブーレーズ自身も、さらの演出家シェローのリングとの格闘です。
年々、向上する演奏の質。
ぼろぼろだった初年度と、録音に残された最終年度とでは、演奏の精度と出来栄えには、雲泥の開きがありました。

演奏家としてのブーレーズの凄さを、まざまざと感じさせたのは、実は、このバイロイト・リングでした。

その後の、ブーレーズの亡くなるまでの40年の歩みは、そのすべてを聴いてはおりませんが、概ね、70年代に成し遂げたことの、正確かつ、緻密な繰り返しではなかったでしょうか。
その証左として、2004年のバイロイトでの再度の「パルシファル」で、60~70年代の演奏と変わらぬ鋭さと、新鮮さを保っていたし、何度も指揮をしたハルサイも、若き日のフランス国立放送のものより、ますます若々しくなっていったのを聴くことができました。

作曲家としての評価は、ワタクシは疎い分野なので、言及はできませんが、今後は、バーンスタインの作品のように、多くの演奏家に取り上げられ、スタンダートと化してゆくものと思います。

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クールで正確無比なラヴェルを聴きながら、そう、まさに冷たいうえに、輝くような響きを持ったブーレーズの演奏で、その逝去を偲びたいと思います。

ピエール・ブーレーズさんの、魂が永遠でありますように、ここのお祈り申し上げます。

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1月2日の日の出。

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朝一番の日差しを浴びた水仙。

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2015年6月14日 (日)

神奈川フィルハーモニー第310回定期演奏会  パスカル・ヴェロ指揮

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神奈川フィル定期演奏会の日の定点観測地点から。

蒸し暑かった土曜の午後、これからフランス音楽特集を聴くのだ。

今シーズンは、土曜の午後が多くて、集客にはよろしいですが、なんだか、金曜の夜も懐かしい今日このごろ。

夜の方が聴くに相応しい音楽もあるからして・・・・

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   ラヴェル      組曲「マ・メール・ロワ」

              ピアノ協奏曲 ト長調

   ショパン      練習曲作品25 第1番「エオリアン・ハープ」~アンコール

              ピアノ:小菅 優

   サン=サーンス  交響曲第3番 「オルガン付き」

              オルガン:石丸 由佳

       パスカル・ヴェロ指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                       (2015.6.13@みなとみらいホール)


夜と昼、コンサートの時間について、冒頭書きましたが、自分的には、ラヴェルは夜、サン=サーンスは、白中。
そんなイメージですが、もちろん、昼のコンサートで聴いたからといって、ラヴェルの精妙な音楽の素晴らしさは、少しも劣ることはありません。
 ふだんCDでは、全曲盤を聴くことが多い「マ・メール・ロワ」ですが、こうして本来の組曲版で聴いても、マザーグースの夢の世界は、変わりなく素敵なものでした。
計算されつくされたラヴェルの精緻な音楽は、こうして生で聴くと、ほんとうによく出来てるなと思う。
そして、神奈川フィルの繊細・美麗なサウンドが、ラヴェル、そして、なんといってもこのお伽の音楽にぴたりと符合します。
各奏者が、少しづつですが、あまりにすてきなソロを奏でるのを、まるで夢見心地で聴いておりました。
なんてたって、石田コンマスの美しい、あまりに美しいソロがちょこっとはさまれる「妖精の園」。思わず涙ぐんでしまいました。
白昼のまどろみ誘う夢の世界を、優しく導いたのは、久しぶりのヴェロさんの指揮。
若々しいイメージだった南仏生まれのヴェロさんも、ずいぶんと落ち着きを増してきました。

きらめくラヴェルは、次いでピアノ協奏曲に引き継がれました。
シンプルで明快、弾むリズムのこの曲、初小菅さんですが、音楽への集中度、のめりこみ具合が、拝見してて楽しく、そして、その溌剌たる演奏がぴったりでした。
 ことに、第2楽章アダージョは、ふたたび涙ぐんでしまうほどに、美しく、そして内省的でした。
長いソロ、オーケストラは休止してますが、オケの皆さんは、ときに目を閉じ、じんわりと小菅さんのピアノを聴いて、出に備えます。
鈴木さんのコールアングレのソロが、ふるいつきたくなるような美しさ。
みなさん、小菅さんのソロに感じて、同質の音のパレットをゆったりと広げてくれました。
急転直下の華麗なエンディングも、見事に、オシャレにきまりました!

アンコールは、流れるような流線型の音楽、ショパンのエチュードからでした。
おフランスの流れに沿った、エレガントな選曲に、演奏にございました。
小菅さん、今度は、プロコフィエフあたりを聴いてみたいな。

 休憩後は、豪奢なサン=サーンス。
ヴェロさんの、自在かつ即興に溢れた指揮姿は、後ろから拝見してても、面白い。
大振りはせずとも、オーケストラから強大なサウンドを引き出し、そればかりでなく、抒情味に富んだ1楽章の第2部が、神奈フィルの弦の魅力もたっぷり味わうことができて、極めて魅力的でした。
弦楽器が、分奏で弾き分けて、きめ細かくその抒情の綾が成り立っていくのを目で確認しつつ聴くのも、実に楽しいものでしたね。

 それと対比して、2楽章2部のゴージャス極まりない音の洪水。
涼やかなピアノも楽しい第2主題、強大なフォルテも濁らずに、すっきり聴こえます。
CDで聴いてると、途中で虚しくなってしまう音楽ですが、ライブはいい。
集中できるし、なんてたって、お馴染みの神奈川フィルの面々が夢中になって演奏している様子を拝見しながら、音楽に入り込むことができるから。
神戸ティンパニ、豪放乱れ打ちを伴って、圧倒的な大迫力で最後の一音を、これでもかとばかりに伸ばしたヴェロさん。

オルガンの石丸さんを称えるヴェロさん、いかにもフランス紳士らしく、さりげなく、そしてオシャレでしたよ。

みなとみらいホールのオルガンが、こんな風にして大音響として鳴り響くのを聴くのは、実は初めてなんです。
オルガンリサイタルでも聴いてみようとは、前から思ってましたが、ここで聴いたそのオルガンは、豪快さよりは、明るい鮮明さが際立ち、この豊かな響きのホールに似合うものでした。
優しい音色というとパイプオルガンらしくない表現ですが、石丸さんのオルガンは、きっとそんな響きなのでしょうね。
ソロや協奏曲で是非、と思いましたね。
それと、神奈川フィルには、次は、ヴェロさんとプーランクですな!

鳴りやまない声援と拍手に応えて、「(この曲は)、ちょっと、うるさいですねぇ、でももう一回」と、2楽章2部を短縮して再演。
今度は、さきほどと、少し表現を変えて、より演奏効果を高めていたように思いますし、神戸さんも、叩き方が違ってました。
そして、さらに、最後の和音を引き延ばし~

大ブラボー飛び交いました。

気分すっきり、頬も紅潮したまま、この日は、都内で用事がありましたので、仲間や楽員さんへのねぎらいもせず、すぐさまホールを後にしました。

演奏する側は、きっとテンションの維持も含めて大変な演奏会ではなかったでしょうか。
お疲れ様でした。
そして、いつも、素敵な演奏をありがとう、神奈川フィル

We Love神奈川フィルのみんなは、お約束の横浜地ビールの店で、こんな美味しそうなのを食べてたみたいですよ。

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2015年1月11日 (日)

新春ピアノ三重奏 Japan×France

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新春を感じさせるお花が、受付に飾られてました。

音楽と花と香り。

そんな五感をたっぷり楽しませていただける、コンサートに行ってまいりましたよ。

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 新春ピアノ三重奏

   花と共に奏でる<日本×フランス音楽>の世界

     宮城 道雄   「春の海」

     日本の四季 メドレー

     ドビュッシー  「月の光」

               映像第2集~「金色の魚」

     ラヴェル    「ツィガーヌ」

     サン=サーンス   動物の謝肉祭~「白鳥」

     フォーレ    エレジー

     ラヴェル    ピアノ三重奏曲

       アンコール  「花は咲く」

       ヴァイオリン:松尾 茉莉

       チェロ:    行本 康子

       ピアノ:     加納 裕生野

         フローリスト:元木 花香

         司会     :田添 菜穂子

                (2015.1.10 @目黒パーシモンホール)


神奈川フィルのヴァイオリン奏者であります松尾茉莉さんと、その仲間たちによるコンサート。

Megro

日本のお正月・新春に相応しい宮城道雄の「春の海」で、たおやかに始まりました。

ご覧のとおり、日本の音楽と、フランスの音楽のたくみな組み合わせ。
みなさんのソロをはさんで、最後はラヴェルの色彩的な名作で締めるという考え抜かれたプログラムでした。

日本の四季の歌の数々が「ふるさと」を前後にはさんで奏でられ、会場は、ふんわりとした優しいムードに包まれました。

そのあとの加納さんのドビュッシーは、実に美しく、情感もたっぷりで、この作曲家に打ち込む彼女ならではの桂演でした。

エキゾティックなムードと超絶技巧満載のツィガーヌは、いつも前向きな松尾さんらしい、バリッと冴えた演奏。

後半は、静かな語り口で、超有名曲と、フォーレの渋い曲を弾いてくれた行本さんのチェロでスタート。

最後は、3人の熱のこもったラヴェル。
4つの楽章を持つ30分の大曲ですが、あっと言う間の時間の経過。
1914年の作曲で、いまからちょうど100年前の第1次大戦直前の頃の音楽は、夢想的なロマンと、熱気と躍動感という、ラヴェルのいろんな顔のすべてが、ぎっしりと詰まった音楽です。
きらきら感と、3楽章の神秘的な味わいをとてもよく弾きだしていたのが加納さんのピアノ。
柔らかな音色の行本さん。
そして、松尾さんは、しなやかさと、ひとり神奈川フィルとも呼びたくなるような美音でもって、魅了してくれましたね。
 若い3人の女性奏者たちによるフレッシュで香り高いラヴェル。
堪能しました。

最後は、「花は咲く」で、うるうるさせていただきました。

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そして、香りといえば、花と香りのアロマを演出されたのが元木さん。
3人が生花をつけて演奏し、しかも、ドレスはトリコロール。
ホワイエには、檜の香りが漂い、いただいた栞にも、お花の香りが。
 おじさんのワタクシですが、音楽と香りのマッチングに、思わず、頬がほころぶのでした。

センスあふれる企画と演奏、いただきました。
 

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2014年11月16日 (日)

神奈川フィルハーモニー第304回定期演奏会  金 聖響指揮

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今年も、やってきました、冬のクリスマスに向けたイルミネーション。

みなとみらいホールへは、桜木町より歩いて向かいます。

ランドマークプラザには、11月の定期では、毎回、出来たてのツリーイルミが輝いていて、これより聴く神奈川フィルの演奏する音楽への期待と不安も、美しく飾り立てて迎えてくれます。

さて、11月は金聖響さんが定期に戻ってきました。

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  クセナキキス   「ピソプラクタ」

  ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第3番 ハ短調

        Pf:ギューム・ヴァンサン※

  ブーレーズ    「メモリアル」

        Fl:江川 説子

  ラヴェル      バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲

      金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

   ※アンコール

  リスト       ハンガリー狂詩曲第6番

  ショパン     ノクターン第1番 op9-1

                 (2014.11.15 @みなとみらいホール)


どうですか、このプログラム。

もう前衛とは呼べないけれど、現代音楽を、前半・後半のあたまに。

それに、王道コンチェルト(でも、3番とはまた渋いねよ)と、オーケストラの花形作品をエンディングにもってくるという、ひとひねりも、ふたひねりもあるプログラム。

こんな演目がのると、いつもと違うお客さんも聴きにいらっしゃる。
もちろん、わたくしのまわりには、いつもと同じお客様がいらっしゃって、きっと、一緒になって、ひぇ~、とか、えぇ~、とか、なんじゃそりゃ、的な思いで聴いていらしたと思います。

コンサートって、これだからおもしろい。

会場の空気を感じながら、音楽を聴くこと。

 で、その空気が、張り詰めた緊張感と好奇心で満たされたのが、クセナキス。

わたくしは、クセナキスその人の存在を、大阪万博のとき以来、名前のみを脳裏に刻みつけてはおりますが、その音楽を、まともに聴くのは、実は初めて。
アバドがウィーン時代に録音した曲を持ってますが、それがなにか思いだせないくらい。
 ですから、この作品も、ブーレーズ作品も、わたくしには語る資格がございません。

尊敬する音楽仲間、IANISさんに、神奈川フィルの応援ページに、クセナキスとブーレーズ作品について、紹介記事を投稿していただきました。→こちらをご参照

ピソプラクタ=確率的行為、というお題が、こうして生演奏で聴いてみて、なるほどと納得できる作品にございました。
弦・ウッドブロック・シロフォン・トローンボーン、合計49名。

弦のみなさんが、楽器を膝に立てたりで、一斉に、それもばらばらに、無秩序に、その胴を、コトコトと叩くところから曲は始まりました。
 ウッドブロクが、カツンカツンと決めゼリフのように、合いの手を入れるなか、弦は、ちゃんと弾くかと思いきや、それぞれの奏者が、思い思いに、ちょいちょいと弾いたり休んだり。
お馴染みのメンバーの皆さんを、右に左に目で追いながら、あっ、ここで弾いた、あっやめた、あっ、ピチカートだ、おっ、トロンボーンもぶわーーっときたし、シロフォンもコキンコキンやるし、ともかく、どこもかしこも気が抜けないし、目も耳の離させない。
 いったい、どんな風な譜面なんだろ。
ひとつの譜面を二人で見ながら、全然違うとことやってるし。
 お家に帰って、聴けばきくほど、悩みが多くなる。
そして、オーケストラのみなさんも、たいへんだったご様子で、それが痛いほどわかりました。
そして、指揮者は、よく振れるもんだと感心。
 同行の造詣深いIANISさんは、もっとはじけてもいい、おっかなびっくり弾いているとのご指摘でしたが、このようなチャレンジを重ねることで、オーケストラは成長するし、わたくしたち聴き手も、おおいなる刺激を与えられて、耳が豊かになっていくのだと思います。

 その次は、ほっと一息ベートーヴェン。
でも、ウィーンの当時は、びんびんの現代音楽作曲家だったベートーヴェンさん。

配置換えで、久しぶりに出てきたバロック・ティンパニに、あっ、今日は聖響さんの指揮だった・・・・と、思い当たり、ちょっと不安が走る。
でも、クセナキスがあったし、対向配置はなくて、通常。
そして、弦も管も、みんな普通にヴィブラートかけてます。
クセナキスのあとですから、潤い不足を感じることなく、自宅に帰ったかのような、ほんわかムードを味わうことができましたよ。
ことに、第2楽章は、素晴らしく優しく、抒情的。
 そう、この日のソロは、見た目はオジサンですが、91年生まれの若きフランスのピアニスト・ヴァンサン氏で、麗しくも優しいタッチの持ち主で、明快かつ透明感ある音色は魅力的なのでした。
 オケもばっちりで、ことに、神戸さんの叩くティンパニが、スコンスコーンときれいにホールにこだまして、とても心地がよろしいこと、このうえありません。
 クセナキスの緊張感が、ここでは薄れて、わたくしは、夢の中に、誘われそうな瞬間も何度かありました。あぶないあぶない。

大きな拍手に気をよくした、ヴァンサン氏。
いきなり、リストの大曲を弾き始めました!
繊細さとともに、驚きのバリバリの爽快超絶技巧を披歴してくれましたよ。
ベートーヴェンで見せた顔と、違う姿をわたくしたちに、見せたかったのでしょう。
ともかくすごかった。

割れんばかりの拍手に応えて、あれあれ、また1曲。
 今度は、しんみりとショパン。
わたくしの周りでは、ため息すら聞こえましたよ。
若いということの可能性と、魅力をたっぷり味わえました。
 もっとアンコールをしかねない雰囲気のヴァンサン君。
それを察したかのような、われわれ聴衆も、もうお腹いっぱい、と拍手の手を休めました(笑)

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 後半は、短いですよ。

初聴き、ブーレーズ作品。
こちらも、IANISさんの解説をどうぞ。→こちら

これはもう、フルート協奏曲かも。
ホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ2、チェロ1の室内楽スケールの、透明感あふれる音楽で、ブーレーズが率いてきたアンサンブル・アンテルコンタンポランのフルート奏者追悼のオマージュとして作曲されたそうな。
こうした曲は、ともかく身をゆだねるしかありません。
聴いていて、わたくしは、ワーグナー(とくにトリスタン)→ベルク→ウェーベルン→ドビュッシー→武満・・・・というような音楽の流れを感じ、受け止めました。
 江川さんのフルートソロが、まったくもって素晴らしかった。
音の艶と粒立ちが明快で、音楽が耳に次々に届いてきました。

次ぐ「ダフニスとクロエ」でも、江川さんは桃源郷のようなフルートの音色を聴かせてくれました。
ベートーヴェンで首席をはった山田さんとともに、神奈川フィルのダブルフルート首席は、頼もしい限りです。

そして、その「ダフニス」。
われわれ聴衆の溜飲を下げるかのような、大爆発。
文字通り、たっぷりぎっしりのフルオーケストラでもって、まさに「全員の踊り」は、やったぁーーと叫びたくなるような快感と五感の喜びをもたらせてくれました。

IANIS兄貴が言ってたとおり、ブーレーズの精緻な音楽から、そのまま、ラヴェルの「夜明け」につながるような、そんな連続演奏も望ましいと思いましたが、神奈川フィルの本領発揮と思われる、美しくも眩しい、その夜明けでした。
そして、先にふれた無言劇はステキすぎだし。
ラストは、打楽器陣が、8人で、ばりばり!
爽快すぎるラストは、聖響さんのひと振りも見事にきまった!

いやぁ、面白いコンサートでした。

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クィーンズスクエアのツリーは、まだ点灯してません。

また来なくちゃ。

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そして、野毛に進攻!

今回は、新潟からお越しの仲間に、さらにほんとうに久しぶりのお方や、若いお兄さん、そして、いつもお世話になってる楽団事務局の方にもご参加いただき、まいど楽しく、飲み食べ、そして、大いに盛り上がりました。

こちらは、湘南野菜の盛り合わせ。

カラフルざんしょ?
生でパリパリ食べちゃいました。

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しらすピザに、たこ焼きも焼いちゃいましたよう~

みなさま、お世話になりました。

そして神奈川フィルのみなさま、いつもいい音楽を聴かせていただきありがとう。

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2013年11月30日 (土)

スキタイ、シュールホフ、中国役人、馬鹿な男、ラ・ヴァルス ゲッツェル指揮

Shimbashi

サラリーマンの聖地、新橋駅前のSL広場。

そのSLも、冬の装いを纏うようになりました。

毎年違います。

酔ったお父さんたちは、これを見てウキウキして、そして元気に電車に乗って、お家に着いたら小さくなっちゃうのでしたぁ。(By 自分)

でも、この機関車のように、元気に力強く、いつまでも突っ走りたいものです。

今日は、そんな気分まんまんにしてくれる、威勢のいい、そして派手な1枚を!

もう、もう、最高なんだ、これ!

指揮は、サッシャ・ゲッツェル。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者です。

Goetzel

 プロコフィエフ  「スキタイ組曲」

 シュールホフ   バレエ音楽「オジェラーラ」より

 バルトーク    組曲「中国の不思議な役人」

 ホルスト      歌劇「パーフェクト・フール」からバレエ音楽

 ラヴェル     「ラ・ヴァルス」

  サッシャ・ゲッツェル指揮 ボルサン・イスタンブールフィルハーモニー管弦楽団

                   (2011.6 @イスティンエ、イスタンブール)


激しかったり、おもろかったり、血の気が多かったり、そして優美でお熱かったり。

このCDのコンセプトは、20世紀初頭の各国の舞踊音楽にあります。

彼らの1枚目のCDも、同じようでして、レスピーギに、F・シュミット、ヒンデミットです。
そちらは、また1月に入りましたら取り上げます。

まずは、このコンビのご紹介。

サッシャ・ゲッツェルは、1970年、ウィーンフィルの第1ヴァイオリン奏者を父として、ウィーンに生まれる。
そして、ウィーンならではの、自身も優れたヴァイオリン奏者としてのウィーンフィル入り。
われらが小澤さん、ムーティ、メータらのもとで、オペラやオーケストラコンサートで奏者としてしっかり活動。
そして、フィンランドの指揮者輩出の名指導者パヌラの教示も受け、指揮者としても活躍を始める。
ヨーロッパ・北米・日本とその指揮活動は、またたく間に広まり、現在、フィンランドのクオピオ交響楽団、トルコのボルサン・イスタンブールフィルの指揮者を務めるほか、フランスのブルターニュ・フィルハーモニクと神奈川フィルハーモニーにもポストを得ております。
 オーケストラばかりでなく、オペラの力量も秀逸で、ゲルギエフのキーロフで「ドン・ジョヴァンニ」を指揮したり、ウィーンのフォルクスオーパーではウィーンフィル創設者の「ウィンザーの陽気な女房たち」を指揮し、さらに日本公演も行いました。

親の七光りを越えて、ゲッツェルさんは、指揮者として完全独立。
世界の楽壇が今後求める、有力な指揮者の仲間入りをしております。

神奈川フィルは、ほんとうにいい指揮者を見つけ、つかまえたものです。

初共演を聴くことは逃しましたが、そのあとのマーラーを振った定期を聴きました。
その時の、面白さは、のちのちでも自分の書いたブログを読んで、悦に入ったりしてしまうくらいのナイスなもので、あんな爽快かつ気分のいいコンサートはなかったな。
オケメンバーも大絶賛、このときがこのコンビを決定づけるきっかけとなりました。

ボルサン・イスタンブールフィルは、1999年スタートのまだ若いトルコの首都のオーケストラですが、最初は室内オーケストラから始まったようです。
東西の接点、アジア・ヨーロッパの融合するトルコのイスタンブールのオーケストラですよ。
オケ好きとしては、とても気になる存在だった。

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欧米のオケは、メジャーは当然として、いまやいろんなマイナーレーベルから、各国のオケが、日本のオケもふくめて聴ける時代で、ほんとうに珍しいのは、東南アジアや南アジア、中近東、南米、アフリカのオーケストラ。
トルコは、それに比したらずっと先進的だし、ヨーロッパ。
イスラムの国でありながらのヨーロッパ国としてのオーケストラです。

それをウィーンの指揮者が指揮をする。
こんな面白いことはありません。

こんな激しさと特徴あふれるダンス音楽ばかり、気をてらったわけではないでしょう。
だけど、民族臭は少なめで、思ったよりスタイリッシュで、そのアンサンブルも緻密で完璧。
でもさすがに、フォルテの場面や、アレグロでは、元気がとてもよろしい。

ゲッツェルさんの、ジャンピングホップが目に見えるようだ。

でも、演奏に聴く、切れば血が吹き出るような鮮烈さはどうだろう。

プロコフィエフのまがまがしさと、モダーンなダンディズムにも妙にあってるし、シュールホフの世紀末退廃系のごちゃまぜ感も、なぜか納得の混在ぶりですよ。

ゲッツェルの指揮の鮮やかさは、この前半ふたつで持ってよくわかります。
キレがいいし、思いきりがいい。

マンダリン(中国役人)では、摩訶不思議な、怪しさが、思いのほかすっきり明快すぎるのだけれど、この軽快なまでの快走ぶりが実によろしい。
と思っていたら。
最後の追いつめ方は、だんだんと切羽つまってきて、もー、どーにでもしてくれ的に荒れてしまうのがイイ。

ホルストの「パーフェクト・フール」は、「どこまでも馬鹿な男」と訳されるけれど、皮肉たっぷりの含蓄に富んだオペラ。
ファルスタッフやパルシファルといった、最高のオペラ作曲家が行きついた先をもじったりしてる。その音楽もユーモアと哀調いりまじる、なかなかに含蓄ある曲。
 これをゲッツェルさんは、構えることなく、英国音楽ならではの、しみじみ感を醸し出しつつで、聴きごたえある演奏を行ってる。
①序奏と地の精の踊り、②水の精の踊り、③火の精の踊り

最後は、歌い口も鮮やかな「ラ・ヴァルス」。
タメも充分、細かなところまで微細に心くだきながら、最後のフィナーレまで、生き生きと、ラヴェルの鮮烈な音楽を盛り上げていきます。
 

これを聴いたら、誰しも、イェーイ、ブラボォーーってなりますよ!

Goetzel

ともかく、ゲッツェルさん、生きがよくって、粋もいい。
しゃれじゃないけど。
その音楽は、いま生まれたばかりのような、鮮度の高さがあって、きっとその音楽性と指揮ぶり、人間性に、オーケストラという有機体が惚れ込んで、一体化して輝かしいものとなって生まれてくるんだと思う。

知られてないけど、こんな面白くていい指揮者は久しぶりだよ。

このCDでは、ゲッツェルの魅力は完全にわからない。
実演で、こんどは、思わず笑えるくらいの激しい指揮ぶりを体感していただきたい。

まだ、あの4点ジャンプは健在なのだろうか・・・・!

神奈川フィルへの1月の登場は、あと1ヶ月後。

Goetzel_kanapfill

  ブラームス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲

      石田泰尚&山本裕康

  ワーグナー タンホイザー序曲

  R・シュトラウス ばらの騎士組曲

   サッシャ・ゲッツェル指揮 神奈川フィルハーモニー

         2014年1月26日 14:00 ミューザ川崎


ウィーン人が指揮する、素晴らしいプログラムでしょ。

ゲッツェル主席客演指揮者就任披露。

R・シュトラウス生誕150周年。

これから完全ブレイクする指揮者ゲッツェルさんの本格コンサート、是非立ちあってみませんか。
わたくしもまいりますよ!


過去記事

 「ゲッツェル&神奈川フィル マーラー」

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2013年7月 4日 (木)

ラヴェル 「クープランの墓」 ハイティンク指揮

Minatomirai

お昼のコンサートで、休日とはいえ、もうビルのフロアの明かりも少なくなっている、この夜の光景。

なんでいつもこうなっちゃうんだろ。

それもこれも、音楽を聴く楽しみと、仲間と語り合える嬉しさ。

神奈川フィル定期は、しばらくお休みだけど、後半のスタートにはまたいつものみんなが勢ぞろいして、あれこれ楽しく過ごしたいです!

Ravel_haitink


  ラヴェル 「クープランの墓」

   ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

                        (1973 @アムステルダム)


ラヴェルの数ある作品のなかで、わたくしは、「優雅で感傷的なワルツ」と「ラ・ヴァルス」のふたつの円舞曲、そしてこの「クープランの墓」と「古風なメヌエット」が好き。

ほかの曲も、もちろんよく聴くのですが、過去に軸足を置いて、少し懐古調なところと、フランス風に鼻に抜けるよな洒落た雰囲気と、格調の高さ。そんな感じのラヴェルが好き。

熱烈な愛国主義者だったラヴェル。
第1次大戦では、パイロットを志願したものの叶わず、従軍の看護兵として傷病兵の看護や運転手として活動。
そこで書き続けた作品が、6曲からなるピアノのための組曲で、この戦争で亡くなった知人たちの名をそれぞれに付して18世紀の音楽の形式と意匠をこらして、愛国心と伝統への尊敬を思いを通じて、レクイエム的な追悼の思いをここに込めた。

フランスの伝統と、尊い命を国に捧げた人々へのオマージュともいうべき高尚かつ、愛情にあふれた桂作。
本来のフランス語の原作名の意味は「墓」ではなく、「亡き偉人を偲ぶとか、尊んで」という意味合いがあるようです。
ピアノ曲からラヴェル自身が4つ選んで、室内オーケストラ規模の編成の音楽にしましたが、ここでは全曲にわたって、オーボエとイングッシュホルンが大活躍。

プレリュードの冒頭からまさに古風なイメージを奏で、次いで木管どうし、木管と弦とのかけあいが愛らしく楽しいフォルラーヌ、さらに、オーボエが古(いにしえ)を懐かしむように古雅な雰囲気をかもしだすメヌエット
そしてその最後は、まるでマジックにかけられたように夢見心地にうっとりと終わります。
ラストの快活なリゴードンでは中間部にオーボエの懐かしくも洒落たソロがあります。
このあたりの詩的な美しさいかにもラヴェルの音楽そのものに思うものです。

ともかく素敵の一言につきるラヴェルの「クープランの墓」。

こんなこ洒落た音楽をハイティンクとコンセルトヘボウは、ブラームスやブルックナーをどっしりと演奏するあのコンビとは、とうてい思えないくらいに、軽いタッチでもって、ふんわりと聴かせてくれます。

このコンビのフランス物は、一様に素晴らしく、ドビュッシーではもう少しくすんだヨーロピアン・セピアトーンを聴かせ、少し重さも加えたりもするんですが、ラヴェルでは、オランダのカラーとしてイメージされるオレンジ色風の明るさも加えて、落ち着きとあでやかさのバランスの兼ね合いがとても素晴らしく聴こえます。

フランドル調のラヴェル。

この曲では、あとなんといっても、アンセルメ、クリュイタンスの往年の名演が忘れがたいところ。
ボストンでもラヴェルを再録しているけれど、やはりコンセルトヘボウの魅力には敵わない。

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2013年6月13日 (木)

ラヴェル 「ボレロ」 プレヴィン指揮 

Sagar_2

眩しい海辺で食べるカレーです。

鬱陶しいお天気が続くもんだから、5月の陽光を懐かしんで実家近くのカレー屋さんの画像を。

Sagar_3

晩ご飯済ましたのに、こうして画像を見てたらまたお腹がすいてきてしまった。

カレーは別腹か?

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   ラヴェル  ボレロ

    アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団

             (1979.6 @キングスウエイホール、ロンドン)


急にボレロが聴きたくなったから、ボレロ。

カレーみたいに、急に聴きたくなるのがボレロ。

その顛末がわかっちゃいるけど、だまされて興奮するのがボレロ。

音楽史上もっともシンプルな造りだけど、その反復感が人を刺激しまくるのがボレロ。

小太鼓奏者の方にブラボーが集まるのがボレロ。

そのオリジナルバレエは、いまやフラッシュモブとも呼べる集団効果がボレロ。

誰が演奏しても、そこそこウマくいくのがボレロ。

チョー~長~いクレッシェンドともいえるのがボレロ。

あぁボレロ、されどボレロ、しかしボレロ、何故におまえはボレロ、人を惑わすのか。

まだまだ、どしどし書けそうなボレロ。

ディアギレフのバレエ・リュスのところにいた、イダ・ルビンステイン夫人の独立に伴い彼女のために書かれたバレエ音楽。

CDでも、ライブでも、もう知り尽くしたと思って聴いてると、いつの間にか、思わぬ興奮状態に高められてしまう、ルーティン化の常習性あるアブナイ音楽の一つといっていいかも。

オケの名技性よりも、ここは指揮者の腕の見せ所だ。

ライブで聴いた1番は、小澤さんと新日。
指揮棒を持たず、最初は指揮もせず、体を揺らすのみで各奏者を目で率いて行く小澤マジック。
拍子をとりだしたのは弦が出てきてから。
あとはもう魔法がかけられたみたいに、小澤さんのしなやかな指揮姿に見とれるのみで、そこから独特の熱いうねりが生まれて、いつしか熱狂の域に達していったのを覚えている。もう30年以上前だ。

CDでは、格式高く味わい深いアンセルメ、全体を熱い弧のようにひと筆に描ききったミュンシュ、エレガントでスマートなクリュイタンス、オケを夢中にさせ熱狂の淵に落とし込んだアバド。
そして今宵、久々に聴いたプレヴィン盤は、おそらく最長に近い、全編17分13秒をかけたジックリ型のインテンポ演奏。
プレヴィンという人は、元来、腰の重たい演奏をする人で、そこにスタイリッシュ感と、優しい眼差しの貫かれた柔らかな歌い回しが加味される訳で、決してポップで軟な指揮者じゃないのです。
そんな、ときに粘りさえも感じるこのボレロは、ロンドン響のめちゃくちゃウマいのと、レスポンスの豊かさでもって極めてユニークな演奏に思います。
お約束の終盤の盛り上がり感は、これまた尋常でないほどですが、クール感も残したところがまたプレヴィンらしいところ。

面白かった。

と思って聴いてたら、NHKで佐村河内さんが出てました。

すかさず、「みなとみらい」でのピアノソナタ演奏会をプレオーダーしましたがいかに。

Sagar_4

静かな海はいい。

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2012年12月28日 (金)

ラヴェル マ・メール・ロア ブーレーズ指揮

Yurakucho20121227

有楽町駅前の交通会館周辺は、まだご覧の通り、クリスマスしてございましたよ。

ワタクシ、ウレシイデス。

Yurakucho20121227_a

馬しょった「豆しば」がそこに。

有馬記念までのカウントダウンだそうで、それも「豆し馬」だそうな。

アベノミクスで何故か元気になった雰囲気が漂う街。

でもそうじゃないんだろーな・・・・。

今宵は、いい夢みたくてこんな曲。

Ravel_boulez

 ラヴェル  バレエ音楽「マ・メール・ロア」

   ピエール・ブーレーズ指揮 ニューヨーク・フルハーモニック

                      (1974.@NY)


ラヴェルの作り上げた、音楽のおとぎ話。

ピアノ連弾版の原曲が1908~10年、オーケストラ版が1912年。

前回のバックスの作品と同じ頃の、英仏での創作。

ドイツ・オーストリーではマーラーが亡くなってしまい、新ウィーン楽派が表現主義音楽で走っていた頃。
ちょいと調べたら、この年、タイタニックが沈没、日本では明治天皇が崩御、大正時代の元年でした。

ともかく、過去の歴史はダイナミックで、いまある私たちの日々は、未来、どのように評価されるのでしょうか?
ばかだなぁ~なんて孫子(まごこ)に言われないようにしなくちゃ。

この曲は、ピアノ版をそのままオケ編成にした組曲版より、そこに前奏曲・間奏曲・紡ぎ車の踊りなどをあらたに加えた全曲版の方をこそお薦めしたいです。

大人の音による童話ともいうべきラヴェルの優しいタッチと、精緻なる筆致により生まれた柔和で夢見心地な世界。
聴いてる、わたしたちも、日々の不満や不安をいっとき忘れ、ホワ~ンとした心地と、そんなお顔になります。
オーケストラのみなさんも、きっと優しいタッチでの演奏に心がけ、柔らかなお顔になっているのでしょう。
指揮者も、それこそ指揮棒を持たず、5つの指を微妙に駆使しつつ、ともかく優しく優しく、首なども傾けつつ指揮するのでしょう。

そんな理想的なイメージの演奏を、かつて小澤さんと新日フィルで聴きました。
誰でも思い浮かぶとおりの、そのお姿にございますよ。

で、今日のブーレーズの指揮は、そのイメージからすると、冷徹無比のお顔で、表情なし、よけいな動作もなし。指揮棒なしだけど、拍子以外はなし。
おとぎ話とは無縁のオッサンに思われがちだけど、これがどうして、スンバらしいんです。

ベルリン・フィルとの再録音は、ことごこく聴いたことがないけれど、CBS時代のアメリカ録音は、そのどれもが好きです。
ことに、このレコード。
ニューヨーク時代全盛期の録音で、その万華鏡みたいなジャケットの裏には、微笑むブーレーズの写真がありました。
あの頃、とかく冷たいお人のイメージがあったブーレーズも、鬘を装着し、微笑む人になっていったのです。
そんな外面はともかく、クリーヴランドとニューヨークとのラヴェルは、オケの機能を美的なまでに引き出し、触れると熱い、鋼鉄のようなサウンドを聴かせてくれました。
このレコードは、ラ・ヴァルスと古風なメヌエットもカップリングされていて、そのどちらも、わたくしは、それらの演奏のアバドとならぶ最高のものと思っております。

クリュイタンスやアンセルメが、いい意味で持っていた、フランス風な甘いタッチは、ときに弛緩するオケがそこにあったりしました。
それは実は味わいになるのですが、ブーレーズは、そんな曖昧な情緒は許すわけがありませぬ。
きっぱり、きっちり、ラヴェルの持つ鏡のような透明で冷たい音楽、それがおのずと暖かく響くさまを、あきれるくらい見事に描ききってみせたのです。
ここでの夢の数々は、リアルすぎて、次の朝も鮮明に思い出せそうなくらいに明確です。
しかし、そこが美しい。
さらに、「妖精の園」における感動の盛り上げも、胸が熱くなるほどの巧みさで、あんなそしらぬ顔して振ってるくせに、けっこう盛り上げ上手なブーレーズに感心することになるんです。

というわけで、高校時代に買ったレコードを思いだしつつ、CD復刻盤を聴いた今夜でございます。
さぁ、いい夢見ようっと!

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2012年10月16日 (火)

ラヴェル 「優雅で感傷的なワルツ」 プレヴィン指揮

Minatomirai_5

桜木町駅からほんの少し歩いて撮影。

神奈川県人だけど、横浜までは45分もかかる海辺が実家だから、子供時代は通常は平塚か茅ヶ崎、藤沢へ、ハレの日の買い物に。
とうぜん、各駅にあったデパートの食堂がお目当て。(茅ヶ崎はデパートじゃなくってダイクマだったから、アツアツのたこ焼きだ)

姉が横浜の大学に通うようになって、我が家もグレードアップして、休日に横浜へいくようになったのが中高時代。
西口と石川町ばかり、というか、当時は伊勢佐木町は大人の街だったし、桜木町なんて、それこそなんにもなかった駅だったような記憶が。
そして私は、大学時代は渋谷だったので、横浜から東横線でした。

わたしの、ノスタルジーは渋谷と横浜の街に多くあるんだけれども、渋谷はご存じのとおり、別の街に変貌してしまいました。
でも、横浜は横浜博を境に街の具合が変わりましたが、今も当時も本質は変わりません。
同じく、大洋ホエールズも川崎から移動してきても、名前やオーナーが変わっても変わりません。

いま住む、千葉にも愛着はありますが、神奈川の田舎だけど、そちらへの想いはまた別格。
歳とともに強く感じるし、若き日々の選択を苦く思う、今の歳を経た自分であります。

Ravel_previn

  ラヴェル  「優雅で感傷的なワルツ」

    アンドレ・プレヴィン指揮 ロイヤル・フィルハモニー管弦楽団
                        
                   (1985 ロンドン アビーロードスタジオ


ワルツが好きだったラヴェル。
「ラ・ヴァルス」(1920)より早く、1911年にピアノによるワルツとして書かれ、その好評に気をよくして、翌12年にオーケストレーションがなされた曲。

ウィーンのワルツや熱狂的な舞踏会をオマージュして書かれた「ラ・ヴァルス」と合い和するように、こちらではシューベルトのスタイル、すなわちレントラーでありましょう、を思わせるようにして書かれた連作ワルツです。

華やかで爆発的な「ラ・ヴァルス」と違い、こちらは一服の幻想曲のようで、渋くて内面的、でもとってもお洒落な音詩。
8つの円舞曲は、ほぼ18分くらいで、それぞれ繊細でもあり、ダイナミックでもあり、痛快洒脱でもあり、です。
 でも繰り返しますが、ともかく、「オシャレ」。
パリのシャンゼリゼを闊歩するかと思うと、ふと秋色のショーウィンドウを足を止めて眺めたり。オープンカフェでソーセージをつまみながら白葡萄酒を飲むの雰囲気。
こんなおフランスしてる曲なのに、いまひとつ大衆的な人気がないのは、先に書いたとおり、ラヴェルならではの爆発的なエンディングがなく、静かに後ろ髪引かれつつ終わること。

でも、じっくり聴いてください、このワルツ。

フランスの光と影、ちょっと寂しくてシックな光景、それがきっとどなたの耳にも伝わるんじゃないでしょうか。

かつて聴いたこの曲を含むしなやかな名演。
小澤さんがラヴェルのアニヴァーサリーイヤーにラヴェルを連続して取りあげた年。
この曲と「ラ・ヴァルス」を休みなしに演奏しました。
そのあとは、武満の「カトレーン」初演と「ボレロ」だったかな?

ともかくお洒落じゃなくちゃいけません。
この曲は。

プレヴィンロイヤルフィルの希少な演奏は、少し腰が重いけれど、歌いまわしの豊かさと、ビューティフルな音色の配合では素晴らしいものです。

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