カテゴリー「ホルスト」の記事

2018年12月30日 (日)

ホルスト 第1合唱交響曲 ウェットン指揮

Yuurakucho_2

有楽町駅前の交通会館のイルミネーション。

安定の美しさ。

クリスマスが終わっても、ウィンターシーズンはずっとやってますので、うれしい。

そして年末、あと2日で、音楽界は第9ばかりで、スーパーに行っても喜びの歌が流れてる。

これだけあふれかえると食傷気味に。

あの合唱の4楽章ばかりでなく、その前の3つの楽章を、じっくりと聴いてほしいものである。

で、わたくしは、ホルストの「合唱交響曲」を。

Holst_sym

     ホルスト  第1合唱交響曲 op41

       ソプラノ:リン・ドーソン

    ヒラリー・デイヴォン・ウェットン指揮

         ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団

         ギルドフォード・コラール・ソサエティ

                (1993.3 @ヘンリーウッドホール)

「惑星」ばかりがホルストじゃないよ、と英国レーベルにかなりあるホルスト作品を収集してます。
確かに「惑星」の面白さや、作品としての精度の高さはないかもしれないが、どの曲も、ホルストならではの神秘感や東洋風の雰囲気、ゴージャスな響き、それと、英国詩情なども聴き取ることができて楽しいものです。

ホルスト(1874じゃら1934)の作品分野に多いのは、合唱作品。
自国の文学や、インド文学などに傾倒していたこともあり、それらを素材にした作品が多く生み出されたし、朋友のR・V・ウィリアムズの影響もあったりして、洒落たパートソングなどにも、多くの曲を残しています。

交響曲の分野では、若いころの「コッツウォルズ交響曲」が、純粋オーケストラ作品であるほか、あとは、合唱とソプラノソロを伴った「第1合唱交響曲」があるのみ。
「第2合唱交響曲」は、スケッチのみが残され、完成されずじまい。

1923~24年に書かれた1番の方の合唱交響曲は、作曲家と教師としての名声をすでに得ていた充実期の作品ながら、25年のリーズでの初演は、そこそこの成功となったものの、その後の再演が不評で、以降、あまり返り見られることのない作品として埋もれてしまった。
逆に、「惑星」が有名になりすぎてしまったことの反動でもあります。
ちなみに、その「惑星」は、1916年の完成。

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Yuurakucho_4

曲は長さにして約50分。
プレリュードを含む5つの部分となっていて、そのプレリュード以外の4つの部分が交響曲の体をなしております。

18世紀末のイギリスの詩人、ジョン・キーツの詩をそのテキストに用いてます。

「前奏曲」 Invocation to Pan

   重苦しいなかに、合唱が祈りともつぶやきとも取れない抑揚のない歌を。
  神秘的な、まるで秘儀に立ち会うかのような感じ。

「バッカナールの歌」 Song of Bacchanal

  ヴィオラソロとソプラノによる、まるでV・ウィリアムズのような
 晩秋の様相たたえた美しい出だし。
 その後は、ソロと合唱が交互に、ことに合唱はにぎにぎしくなり、
 バッカスをたたえる。

「ギリシアの壺に寄す」 Ode to Grecian Um

 キーツの代表作に付けた第2楽章=緩徐楽章的な存在。
 木管が印象的な合いの手をうちつつ、合唱が語りかけるように歌い進める。
 ギリシアの壺に書かれた絵をみて、あれこれ思いをめぐらすキーツの原詩。
 ときに、慰めに満ちた葬送風なところもあり、最後の最後の1節にソプラノが
 美しく登場。

「スケルツォ」 Fancy Chorus

  ここでのオーケストラは、まさに「惑星」の「天王星」のよう。
 早口の女声コーラスにハープがからんで面白い。
 ベルや木琴、チェレスタも登場し、楽しいスケルツォ。
 繰り返すが、惑星っぽい。

「フィナーレ」 Finale

 19分あまりの一番大きい楽章。
 ソプラノがアカペラで歌いだす。
 「魂よ」という詩で、そのあと合唱も加わって荘重な雰囲気に。
 そしてまた、ソプラノに明け渡され、弦とハープを背景に美しい。
 さらに合唱も、ソットボーチェで歌い始めると、背景は金管が重々しい。
 ここは、「土星」っぽい。
 やがて、もりあがり、トランペットがぴきーーんと鳴り響き眩しい。
 さらに、再び静まり、ハープとソロヴァイオリンを伴ったソプラノ。
 ここは実に美しい。
  パターン的に、こうして超美的なシーンを経て、そのあと、合唱が爆発。
 という具合に、喜びと感謝、実りの果実を戴く賛歌となる。
 各声部がフーガのように橋渡しをしてゆくのも楽しい。
 しかし、最後の最後は、音楽は弱まって、この章の冒頭の「魂よ」に戻って
 ソロの歌を合唱が引き継いで、静かに、静かに終わっていきます。

こんな流れの合唱交響曲。

正直、テキストは難解です。
物語性もなく、対訳もなく、英詩を眺めていてもさっぱりわかりません。
この作品によく言われるのは、キーツの詩が散りばめられているだけで、詩と音楽の流れと融合性がないとのこと。
まさにそのように思いますが、わたくしは、シンプルに、ホルストの筆致をそこそこに感じ、聴きとることで、この作品の良さを味わうことができました。
ことに、抒情的な部分は、きわめて美しく、優しい味わいがありました。

この作品の初録音が、今回のハイペリオン盤。
なじみのない指揮者ですが、合唱を主体として、うまくまとめていると思います。
その合唱はなかなか巧いが、おなじみのドーソンが、最初の方、ちょっとフラットぎみで不安定。でも静かな部分はとても素敵。

最近、A・デイヴィスがシャンドスに、ヒコックスの後を引き継いでホルスト作品を継続的に録音しtれおり、この作品も出ている様子。
そちらも是非聴きたいものです。

Yuurakucho_1

年末ぎりぎりまで、いろんなことが起きた2018年。
平成30年、最後の投稿は、あともうひとつ。

「惑星」以外のホルスト作品 過去記事

 「雲の使者」 ヒコックス指揮
 

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2013年11月30日 (土)

スキタイ、シュールホフ、中国役人、馬鹿な男、ラ・ヴァルス ゲッツェル指揮

Shimbashi

サラリーマンの聖地、新橋駅前のSL広場。

そのSLも、冬の装いを纏うようになりました。

毎年違います。

酔ったお父さんたちは、これを見てウキウキして、そして元気に電車に乗って、お家に着いたら小さくなっちゃうのでしたぁ。(By 自分)

でも、この機関車のように、元気に力強く、いつまでも突っ走りたいものです。

今日は、そんな気分まんまんにしてくれる、威勢のいい、そして派手な1枚を!

もう、もう、最高なんだ、これ!

指揮は、サッシャ・ゲッツェル。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者です。

Goetzel

 プロコフィエフ  「スキタイ組曲」

 シュールホフ   バレエ音楽「オジェラーラ」より

 バルトーク    組曲「中国の不思議な役人」

 ホルスト      歌劇「パーフェクト・フール」からバレエ音楽

 ラヴェル     「ラ・ヴァルス」

  サッシャ・ゲッツェル指揮 ボルサン・イスタンブールフィルハーモニー管弦楽団

                   (2011.6 @イスティンエ、イスタンブール)


激しかったり、おもろかったり、血の気が多かったり、そして優美でお熱かったり。

このCDのコンセプトは、20世紀初頭の各国の舞踊音楽にあります。

彼らの1枚目のCDも、同じようでして、レスピーギに、F・シュミット、ヒンデミットです。
そちらは、また1月に入りましたら取り上げます。

まずは、このコンビのご紹介。

サッシャ・ゲッツェルは、1970年、ウィーンフィルの第1ヴァイオリン奏者を父として、ウィーンに生まれる。
そして、ウィーンならではの、自身も優れたヴァイオリン奏者としてのウィーンフィル入り。
われらが小澤さん、ムーティ、メータらのもとで、オペラやオーケストラコンサートで奏者としてしっかり活動。
そして、フィンランドの指揮者輩出の名指導者パヌラの教示も受け、指揮者としても活躍を始める。
ヨーロッパ・北米・日本とその指揮活動は、またたく間に広まり、現在、フィンランドのクオピオ交響楽団、トルコのボルサン・イスタンブールフィルの指揮者を務めるほか、フランスのブルターニュ・フィルハーモニクと神奈川フィルハーモニーにもポストを得ております。
 オーケストラばかりでなく、オペラの力量も秀逸で、ゲルギエフのキーロフで「ドン・ジョヴァンニ」を指揮したり、ウィーンのフォルクスオーパーではウィーンフィル創設者の「ウィンザーの陽気な女房たち」を指揮し、さらに日本公演も行いました。

親の七光りを越えて、ゲッツェルさんは、指揮者として完全独立。
世界の楽壇が今後求める、有力な指揮者の仲間入りをしております。

神奈川フィルは、ほんとうにいい指揮者を見つけ、つかまえたものです。

初共演を聴くことは逃しましたが、そのあとのマーラーを振った定期を聴きました。
その時の、面白さは、のちのちでも自分の書いたブログを読んで、悦に入ったりしてしまうくらいのナイスなもので、あんな爽快かつ気分のいいコンサートはなかったな。
オケメンバーも大絶賛、このときがこのコンビを決定づけるきっかけとなりました。

ボルサン・イスタンブールフィルは、1999年スタートのまだ若いトルコの首都のオーケストラですが、最初は室内オーケストラから始まったようです。
東西の接点、アジア・ヨーロッパの融合するトルコのイスタンブールのオーケストラですよ。
オケ好きとしては、とても気になる存在だった。

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欧米のオケは、メジャーは当然として、いまやいろんなマイナーレーベルから、各国のオケが、日本のオケもふくめて聴ける時代で、ほんとうに珍しいのは、東南アジアや南アジア、中近東、南米、アフリカのオーケストラ。
トルコは、それに比したらずっと先進的だし、ヨーロッパ。
イスラムの国でありながらのヨーロッパ国としてのオーケストラです。

それをウィーンの指揮者が指揮をする。
こんな面白いことはありません。

こんな激しさと特徴あふれるダンス音楽ばかり、気をてらったわけではないでしょう。
だけど、民族臭は少なめで、思ったよりスタイリッシュで、そのアンサンブルも緻密で完璧。
でもさすがに、フォルテの場面や、アレグロでは、元気がとてもよろしい。

ゲッツェルさんの、ジャンピングホップが目に見えるようだ。

でも、演奏に聴く、切れば血が吹き出るような鮮烈さはどうだろう。

プロコフィエフのまがまがしさと、モダーンなダンディズムにも妙にあってるし、シュールホフの世紀末退廃系のごちゃまぜ感も、なぜか納得の混在ぶりですよ。

ゲッツェルの指揮の鮮やかさは、この前半ふたつで持ってよくわかります。
キレがいいし、思いきりがいい。

マンダリン(中国役人)では、摩訶不思議な、怪しさが、思いのほかすっきり明快すぎるのだけれど、この軽快なまでの快走ぶりが実によろしい。
と思っていたら。
最後の追いつめ方は、だんだんと切羽つまってきて、もー、どーにでもしてくれ的に荒れてしまうのがイイ。

ホルストの「パーフェクト・フール」は、「どこまでも馬鹿な男」と訳されるけれど、皮肉たっぷりの含蓄に富んだオペラ。
ファルスタッフやパルシファルといった、最高のオペラ作曲家が行きついた先をもじったりしてる。その音楽もユーモアと哀調いりまじる、なかなかに含蓄ある曲。
 これをゲッツェルさんは、構えることなく、英国音楽ならではの、しみじみ感を醸し出しつつで、聴きごたえある演奏を行ってる。
①序奏と地の精の踊り、②水の精の踊り、③火の精の踊り

最後は、歌い口も鮮やかな「ラ・ヴァルス」。
タメも充分、細かなところまで微細に心くだきながら、最後のフィナーレまで、生き生きと、ラヴェルの鮮烈な音楽を盛り上げていきます。
 

これを聴いたら、誰しも、イェーイ、ブラボォーーってなりますよ!

Goetzel

ともかく、ゲッツェルさん、生きがよくって、粋もいい。
しゃれじゃないけど。
その音楽は、いま生まれたばかりのような、鮮度の高さがあって、きっとその音楽性と指揮ぶり、人間性に、オーケストラという有機体が惚れ込んで、一体化して輝かしいものとなって生まれてくるんだと思う。

知られてないけど、こんな面白くていい指揮者は久しぶりだよ。

このCDでは、ゲッツェルの魅力は完全にわからない。
実演で、こんどは、思わず笑えるくらいの激しい指揮ぶりを体感していただきたい。

まだ、あの4点ジャンプは健在なのだろうか・・・・!

神奈川フィルへの1月の登場は、あと1ヶ月後。

Goetzel_kanapfill

  ブラームス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲

      石田泰尚&山本裕康

  ワーグナー タンホイザー序曲

  R・シュトラウス ばらの騎士組曲

   サッシャ・ゲッツェル指揮 神奈川フィルハーモニー

         2014年1月26日 14:00 ミューザ川崎


ウィーン人が指揮する、素晴らしいプログラムでしょ。

ゲッツェル主席客演指揮者就任披露。

R・シュトラウス生誕150周年。

これから完全ブレイクする指揮者ゲッツェルさんの本格コンサート、是非立ちあってみませんか。
わたくしもまいりますよ!


過去記事

 「ゲッツェル&神奈川フィル マーラー」

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2013年10月19日 (土)

神奈川フィルハーモニー第293回定期演奏会 広上淳一指揮

Minatomirai20131018

これから聴く音楽会にちょうどお似合いの写真が、いい感じに撮れましたよ。

Kanapo201310

  ブリテン   ヴァイオリン協奏曲

  ラヴェル  「カーデッシュ」(ふたつのヘブライの歌)から

          Vn:ダニエル・ホープ

   ホルスト   組曲 「惑星」

      広上 淳一指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                 神奈川フィル女声合唱

           (2013.10.18 @みなとみらいホール)


近代英国音楽の夕べ。
生誕100年のブリテン(1913~1976)と、最近、先月のアルプス戦争とともに、各オーケストラがよく取り上げ、惑星戦争ともなっているホルスト(1874~1934)の人気曲。

英国音楽好きとしては、今シーズン、楽しみにしていた演目のひとつ。

世界的存在、旬の英国ヴァイオリニスト、ダニエル・ホープさんを迎えてのブリテン。
背の高いダニエルさんと、鮮やかな対比の広上さん。
指揮台にたってもまだ、ダニエルさんの方が大きい(笑)

そのポール・ダニエルさんの先導で、ブリテンの音楽は進行し、オーケストラもヴァイオリンソロが引っ張って行くような印象。
それはそうです。
CDも録音してるし、すっかり手のうちに入った曲ですから。
ヴェンゲーロフのCDと、同じヴェンゲーロフの自家製放送録音のサヴァリッシュ、大植英次、ヒコックスなどの音源で、ようするにヴェンゲーロフばっかりで聴いてきたわたくし。
いわば、骨太で雄弁なヴァイオリンで聴いてきたワケです。

しかし、冒頭の親しみある旋律から、ダニエル・ホープさんのヴァイオリンは繊細。
その繊細さは、曲が進むにつれ、大胆さと抜群の切れ味も加わって、耳が、心が釘づけとなってしまうのでした。
超絶的に難解技巧のこの曲を、いとも鮮やかに弾くその顔色は、まったくのポーカーフェイス。
ブリテンの音楽は、ともかくクールで熱いのですが、ダニエルさんのヴァイオリンも同じく、クールでその内包するサウンドは熱い。
驚きの技巧は、第2楽章の最後にある長大なカデンツァ。
しなやかに、かつ激しく、弓は上下し、左手でもピチカートを奏でる。
それがこれみよがしにならずに、正攻法で勝負してるから、とても音楽的で、聴く人を内面から引きつけるものがある。
当然に、指揮者は見ずに、わたしは、ヴァイオリンソロに目も耳も集中。

神奈川フィルも最高に素敵なブリテンを響かせてる。
ブリテンの音楽は透明感と切れ味の良さ、そしてしみじみ感が大切。
そのいずれも、オーケストラは完備してました。
後半の演目を聴くにおよび、これは、ダニエルさんの効果によるものと自身判明。

それにしても、ブリテンの音楽はすばらしい。
オペラを中心に、そのほとんどの作品を聴きつつありますが、常套といってもいいくらいに、曲の最終局面で、感動的なシーンが待ち受けている。
それはたいてい、曲全体を見通すようにして回顧したり、主要主題が最高の姿で回帰したり、はたまた、急展開でバッと終ったり。
そして、このヴァイオリン協奏曲は、5分近くに及ぶアダージョが訪れ、澄み切った浄化されたかのような世界が静かに、感動的に展開します。
ダニエルさんのヴァイオリンが、どんどん、どんどん、高みに昇るようにして飛翔し、秋空のように澄み渡って行くさまを、息がとまるほどのの感動を持って聴きました。
オーケストラの皆さんも、一緒に耳を澄ませているのもわかります。

静かに曲を閉じて、わたくしは、つぶやくようにブラボー献上。

もうこれで、この日はいいや、とも思いましたが、でもホルストですよ、「惑星」ですよ。

指揮棒を持たない広上さんの動きは、正直いって、つらい。
何が辛いかって、面白過ぎるからですよ。
後ろから見ててもオモシロ姿なのだから、オーケストラの皆さんはよく辛抱できるな。
いや、体操は見てないわ(笑)
P席のお客さんも、よく平気だな(笑)
あとで、聞いたら、P席でお二方ほど、笑いをこらえてクスクスしてるご婦人がいたそうな(笑)。

辛口の評価になりますが、いくつか不満を。
1、大すきな金星がせかせかしすぎで、平和を司るヴィーナスもあわただしく過ぎ去るの感あり。ホルン女子ちゃんも、毒に煽られ気の毒。しかし、石田&山本のソロは完璧に自分の世界を供出。
2.音の濁りが散見。指揮者のコントロール不足か、バランスが悪いヶ所数点あり。
3.女声合唱がリアルにすぎ、かつ人数多過ぎ。
しかも照明を明るくしたのは失敗では?神秘感吹っ飛んだ。
2階左右に振り分けたステレオ効果はバッチリだったが・・・・。

でも素晴らしいこともたくさん。
いつも感嘆するティンパニ。そして今回はダブルティンパニでばっちり。
打楽器群は超強力。
木管の柔らかさ。ことに4人のフルート勢ぞろいと、4人の各種オーボエは圧巻。
ファゴット陣も雄弁。
煌めく金管も好調ですね。
弦楽器はいうに及ばす、素敵すぎます。
こうして、神奈川フィルは、この夜も好調なのでした。

次は、しばらくぶりにブラームス。そしてラフマニノフ。
いずれも3番です。ブザンソン優勝の垣内さんの指揮。

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神奈川フィルのマスコット、ブルーダル君。

ビールに向かってるのか、うしろ姿を見せてますよ。

今回のアフターコンサートは、和食系でまいりました。

ビールに焼酎、わたくしは、しみじみと、熱燗をいただきましたよ。

みさなまお世話になりました。

そろそろ、忘年会のことも話題になる季節となりました。

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2013年10月17日 (木)

神奈川フィル定期演奏会Vol.293 前夜祭~惑星祭り

Gyoukoudori_1

ホルストの作品のひとつに、「雲の使者」という大きな合唱作品があります。

「惑星」の少し前に書かれた曲で、インドの詩人カリダサの叙事詩に付けた壮大な音楽です。弊ブログで取り上げてます→「雲の使者」

「惑星」以外の、ふんだんにあるホルスト作品に目を向けることで、また「惑星」が違った風に聴こえるようになります。

神奈川フィルの10月の定期演奏会は、イギリス音楽ですっ。

どんなに楽しみにしているか、英国音楽好きのワタクシです、おわかりでしょう。

   ブリテン   ヴァイオリン協奏曲

          Vn:ダニエル・ホープ

   ホルスト   組曲 「惑星」

      広上 淳一指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
                 神奈川フィル女声合唱

   2013年10月18日 金曜日 19:00 みなとみらいホール


そこで今夜は、「惑星祭り」と称して、わたくし独断のランキングをやってみます。

Onegai_planet

こんなものまでこさえてしまう、おバカなワタクシ。

いまや人気曲として、CDやDVD音源も、それこそ星の数ほどあります。

わたしの保有する音源は、たかだか17種類に過ぎませんが、その中からベスト7を。

7なワケは、惑星好きならおわかりですよね~

  ① メータ指揮     ロサンゼルス・フィルハーモニック

  ② プレヴィン指揮  ロンドン交響楽団

  ③ マリナー指揮   コンセルトヘボウ管弦楽団

  ④ ボールト指揮   ロンドン・フィルハーモニック

  ⑤ ハイティンク指揮 ロンドン・フィルハーモニック

  ⑥ ハンドレー指揮  ロイヤル・フィルハーモニー

  ⑦ ラトル指揮     フィルハーモニア


なんだか、ロンドンのオーケストラばかりになってしまった。

わたくしの音源の中には、世間でいう名盤、新旧カラヤンや、レヴァイン、マゼールなどは含まれておりませんことをあらかじめ申し上げておきます。
ちょいと天の邪鬼なものですからして。

メータは、中学生のときに聴いた、それこそ刷り込み演奏。
アカデミー賞もとった、惑星時代興隆の今にとって恩ある名盤。
精度はいまやもっと高めを求めたいけど、ダイナミズムと語り口の巧さ、録音の優秀さでもって、わたくしにはこれがいまもってイチバン。

メータ後に登場した、これもまたストーリーテラー的な語り上手のプレヴィン盤。
のちのロイヤルフィル再録も悪くない。EMI録音も、これはいい。

なんといってもコンセルトヘボウの魅力が全開。
ハイティンクによって培われた魅惑のベルヴェットサウンドは、フィリップスの優秀録音あってのもの。ヨーロピアンを絵に書いたような惑星。

悠揚せまらぬ英国紳士の剛毅かつ柔和な惑星。
LPOが素晴らしい。

同じLPO。こちらはいくぶん、くすんだ音色が魅力で、コンセルトヘボウ化しているのは、ひとえにハイティンクの指揮。着実でゆるぎないサウンドは生真面目。
英国音楽してます。

この勢いあるサウンドと迫力は気合充分。抒情にもあふれ、ボールトとはまた違った意味での英国。
300円の駅ナカ、ワゴンセールにしとくには、もったいなさすぎる名演ナリ。

若きラトルは、いまよりずっとずっとぶっ飛んで、はじけてた!
スピード感と豊かなリズム感は、耳にも心地よく、興奮を呼ぶ。
しかし、EMIののっぺり録音がいかん。

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ほかも、いろいろありますし、実はカラヤンも聴いてます。
その新旧カラヤンは、憎いほどに上手で、文句のつけようがありませんでしたが、いま手元にはありません。
ただ、そこにないのは、英国的な奥ゆかしさと、ノーブルな歌い口。
 この曲の場合、あまりに、うますぎて、雄弁すぎるのは考えもの。
金星や土星の静かな部分にも心くだいて、不器用でも、じっくりと歌いあげた演奏の方を、わたくしは好みます。
メータのお上手演奏が1位は、中学時代の思い出がたっぷり詰まっているし、ノスタルジーでもあるからです。

神奈川フィルの惑星、楽しみ。

それと、ダニエル・ホープが弾く、ブリテンのヴァイオリン協奏曲。
マジで楽しみだ。
協奏曲は、今回、神奈川フィルでしか演奏しません。
ブリテンの協奏曲は、ベルクにも通じる甘味さと、スペイン情緒、超絶技巧、それぞれが聴きどころ。
ヴェンゲーロフ盤で、聴き馴染みました。(過去の記事)

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2013年10月15日 (火)

ホルスト 「サーヴィトリ」 ヒコックス指揮

Yasukuni2013103

前にも出しました、都会のど真ん中、靖国神社の日本庭園。

池にはビルも映ってます。

騒音ゼロ、静かな雰囲気に、気持ちも研ぎ澄まされます。

Holst_savitri

   ホルスト  歌劇「サーヴィトリ」

    サーヴィトリ:フェリシティ・パーマー サティアワン:フィリップ・ラングリッジ
    死神:ステファン・ヴァーコー

     リチャード・ヒコックス指揮 シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア
                      ヒコックス・シンガーズ

                         (1983.6 @ロンドン)


グスターヴ・ホルスト(1874~1934)は、前にも書きましたが、生粋の英国人ではなく、父方はスゥエーデン。
ゆえに、グスターヴという北欧風の名前なのです。

そして、ホルストといえば、判で押したように「惑星」なわけですが、作品番号が付いているだけでも、200曲以上の作品があり、その主力は、声楽・合唱作品にあるとみていいと思います。
もちろん、管弦楽作品にも捨てがたい曲がいくつもあって、「エグドン・ヒース」などは、最高に素晴らしい曲だし、数々の組曲作品も捨てがたいです。

主力の声楽作品では、「合唱交響曲」や「雲の使者」などは、わたくしの最も好きな作品ですし、しゃれたパートソングの数々も涼しげで心地よい音楽たちです。

さらに、オペラのジャンルでは、8つの作品(うちひとつは未稿)が残されました。

ホルストは、親友のヴォーン・ウィリアムズとともに、イギリス各地の民謡を収集し、それらは素敵な合唱作品の一部に結実していて、いかにも英国風な趣きがあります。
 一方で、若い日々から、インドのサンスクリット文化にも感化され、東洋風なエキゾシズムにあふれた音楽もいくつも書いている。
「惑星」における占星術的な思想も遠からずこの分野から発したものでありましょう。

そのサンスクリット文学から、叙事詩「マハーバーラタ」に素材を求めたオペラ「Sita」を1906年に完成し、リコルディ社から発刊。
その初演も行われないうちに、今度は「ラーマーヤナ」の中からの一編を抜き出して、次ぎなるオペラを作曲したのが1908年。

それが、「サーヴィトリ」であります。

大きな前作に比べ、こちらはミニオペラで、登場人物も3人。
オーケストラは12人の奏者だけ、合唱は女声によるアカペラのみ。
約32分くらいのコンパクト・オペラです。
ですから、筋立ても大仰なものでなく、寸劇みたいな動きの少ない、かつ内面的なものでもあるんです。

劇の概要

ある森のなか、晩。

前段として、貞淑な王女サーヴィトリが結婚した相手は、スティアワン。
ところが彼の余命は結婚当初すでに1年。
あともう時間のないある晩のこと・・・・・

「死神(マヤ)がサーヴィトリの名を呼び、自分は誰もが必ず通らなくてはならない道であり門であると呼びかける。
サーヴィトリは、ただならない雰囲気に緊張する。
サティアワンは、サーヴィトリの名を口にして讃えるが、不調を訴え、やがて手にした斧も落としてしまい力が抜けてしまい倒れる。
 サーヴィトリは神様に、夫なしには生きていけない、活き返らせて欲しい、さもなくば、自分の命をと懇願する。
神への訴えは、死神マヤをも屈服させ、サティアワンはよみがえる。
死は、人間の活きる夢を統治するのだ、と核心的なことをつぶやき、消え行き、サーヴィトリは汝とともに・・・と最後に歌う。」

というような内容かと。

英語の歌詞はついてますが、これがまたどうにもわからない。
普通のオペラのように、惚れた腫れたの会話じゃなくって、観念的な言葉が並んでて、約しようがない。
なんのことはない内容だけど、ラーマーヤナによれば、サーヴィトリは、「40人の子供を産みます」と宣言。死神も、それはいいね、頑張りなさい、みたいなことを言って奨励するんだけど、サーヴィトリは機転を利かせて、「わたしゃ、サティアワンじゃなくちゃ駄目なのさ」と開き直って、見事活き返させるということになるらしい。
そして、ふたりは、ほんとうに子宝にめぐまれ、サーヴィトリは良妻賢母の代名詞みたいに祀られてるってわけなそうな。

音楽は、かなりに神秘的かつ東洋風で、あっちの世界にも足を踏み入れたみたいな彼岸な雰囲気もまんまんです。
冒頭の死神さんの、無伴奏での歌の怪しげな様子、甘々のサティアワンは、いかにも英国テナーの声にぴたりの役。
無伴奏女声コーラスは、後半になると、サーヴィトリの神との対話や、よみがえりの場面での伴奏となっていて、これがまた清らかかつ、神がかった雰囲気。
惑星の「土星」みたいな老成化したムードも死神の歌には出てくる。

万人向けでは決してありませんが、ホルストの一面を端的に味わえることには違いありません。
カレーは食べたくなりませんが、不思議の国インドを思い描くこともできる作品です。

ホルストは、じつにおもしろい。

3人の英国歌手は完璧にクール。
ときおり唸り声も入る、ヒコックス入魂の指揮です。

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2012年8月10日 (金)

ホルスト 「惑星」 ユロフスキ指揮

Syutokou_shibuya

天使の梯子と呼ぶのでしょうか。

ヤコブの梯子とも言うそうでして、シェーンベルクの未完の声楽作品がありまして、旧約聖書のヤコブの天啓の物語です。

首都高速を疾走中、写したものです。いい感じに撮れました。

お盆期間に、また天体ショーがいくつかあるみたいだけど、お天気はどうでしょう。

Nitsusyoku_31

あと、まったくダメだったのは、今年5月21日の日食の撮影。

甘く見すぎてました。

日食グラスなんかじゃ、豆粒みたいでわからない。

コンパクトデジカメでは、まったく歯が立たない。

曇ったことが幸いして、それでもこんなもんでした。

望遠で、フィルター付けて、三脚かまして準備万端の人のみが撮すことができたんでしょうな。

まったく遺憾なことに存じます。。。。

イカンといえば、今日も遺憾が連発。

遺憾以上だろよ、あれは!腰引けすぎだ。

Tthe_planets_jurowsky

      ホルスト 組曲「惑星」

  ウラディミール・ユロフスキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
                           〃            合唱団

                        (2009.5@ RFH)


これは、出色の「惑星」です。
ご覧のとおり、ロンドン五輪に調子にのって、ずっと英国音楽をやってますが、見慣れぬ作曲家や曲ばかりで、引いてしまわれる方も多かったのではないでしょうか。

ご安心ください、今日は「惑星」ですよ。

「惑星」は、英国音楽としては異例なまでのヒット作で、ホルストの名を、これ1曲で世に残すこととなってしまった名曲だし、日本じゃ、「ジュピター」の曲で、「威風堂々」クラスの人気を得ることになってしまった訳でありますな。

ロシア出身のユロフスキは、早くにドイツに移り、オペラハウスでの下積み的な活動も経験していることから、オペラの実績がふんだんにあります。
グライドボーンの指揮者だったこともあって、自然な流れでロンドン・フィルの主席となった40歳の若手。
ロンドンの5大オケの中では、ちょっと地味に陥りがちだった(先代がMズアだったし)LPOを、一番輝かしい存在にしつつあるウラディミール君は、親子指揮者でもあります。
親父の方も、なかなかの屈強で、珍しいレパートリーを披歴するユニークな存在。

ユロフスキの惑星を聴いて思うのは、43分という早いタイムながら、それを感じさせない、堂々たる恰幅のよさを備えていること。
そして、強弱のバランスが豊かで、ここぞという場での盛り上げが実にうまく、木星の歌いっぷりに、天王星のかっこよさ、火星の逼迫感など、決然とした若者らしさが横溢してます。
一方で、歳を経て渋いところに耳が行くようになったワタクシをも喜ばせる、金星の抒情の雫を感じさせるような美しさや、土星の底光りする老性感。
惜しむらくは、最後の海王星が、少しばかりあっさりとしすぎているところか・・・。

ユロフスキは、スヴェトラーノフが君臨した、ロシア国立響の指揮者にも就任していて、あのオケをどうさばいていくか、今後注目です。

そして、ロンドン・フィルは、ハイティンク・ショルティ時代の黄金期をもう一度迎えることができるでしょうか。

「惑星」録音は、ロンドンのオーケストラがダントツに多いと思います。
次いで、でっかいアメリカ。
ロンドンの中でも、LPOが一番多くて、ついで、LSO、PO、BBC、RPOの順でしょうか。
英国音楽として、英国のオケで聴くのが好きです。

それと要望として、神奈川フィルで聴いてみたい
本日、仕事で、サマーミューザの神奈フィルを聴きにいけなかった・・・・。
だって、遠いんだもん。
登戸や向ヶ丘遊園じゃ厳しすぎ。
ミューザは、来年春の再開らしいです。
                  

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2012年8月 1日 (水)

ホルスト コッツウォルズ・シンフォニー ボストック指揮

Kunitachiyakuzen_3

暑いときにもカレーがやたらと食べたくなりますな。

スーパーで、昔では考えられないくらいに多彩なレトルトカレーが売ってます。

国立薬膳カレーを食べてみましたよ。

「こくりつ」ぢゃぁなくって、「くにたち」ですから。

野菜だけ、多彩なスパイスとハーブ、低カロリーがうたい文句のすぐれものは、ピリッと爽やかな美味しいカレーでございました。

Kunitachiyakuzen_1

一度お試しあれ。

Holst_cotswolds_sym_bostock

  ホルスト   コッツウォルズ交響曲

   ダグラス・ボストック指揮 ミュンヘン交響楽団

           (1999.5 @ミュンヘン)


グスターヴ・ホルスト(1874〜1934)といえば「惑星」。

英国音楽の中でも、絶大な人気と実力を誇る名曲ゆえ、オンリー・ワン的な作品となってしまい、ホルスト=惑星ということで、なかなかホルストのほかの作品に親しむ機会がないのが現実でありましょう。

もちろん私も「惑星」から入りましたし、ずっと「惑星」と、せいぜい「セント・ポール組曲」ぐらい。
でも、英国音楽を貪欲に聴くようになって、ホルストのほかの作品も次々に聴いております。
記事では、まだまだ惑星ばかりですが、これまでに聴いた「雲の使者」や「パートソング」、「イエス讃歌」、オペラ「サーヴィトリ」、「エグドン・ヒース」、「ピアノ作品」など、とてもいい曲ばかりですよホルストさん。

今日の「コッツウォルズ交響曲」は作品番号8で、1900年、ホルスト26歳の若い作品。
王立音楽院を卒業後、スコテッシュ管弦楽団やオペラのオーケストラでトロンボーンを吹きつつ、作曲活動を開始していた時期。
同郷のヴォーン・ウィリアムズと親交を結んだ頃でもあり、ふたりでイギリスの各地方の野辺を散策しつつ、民謡の採集に勤しんでもいた。

そんな背景も感じさせる、どことなくのどかで、親しみあふれる30分くらいのシンプルな交響曲は、オーケストラの編成もさほど大きくなく、シンフォニエッタみたい。
若き日々はワーグナーの影響下にもあり金管の扱いなどにそんなことを匂わせる。
でも基調は、師匠のスタンフォードを思わせるし、ブラームスのように古典風で、ドヴォルザークのように民族風でもあります。
明るい色調で拍子抜けの場面もありますが、この交響曲の白眉は、第2楽章エレジー。
ウイリアム・モリス(William Morris)の思い出に・・・と題されております。
モリスは詩人でありデザイナーであった人で、ホルストのこの交響曲が作曲される前、1896年に亡くなっていて、それに触発されてのこととも言われます。
そのデザインは、東洋風な装飾で、サンスクリット文化をも後に愛するようになるホルストがきっと好んだものでありましょう。

あと、解説によりますれば、この時期は、イギリスは海外覇権も盛んで、南アフリカでボーア戦争を行っていて、コッツウォルズ地方からも戦地に赴く人も多く、それを思っての楽想であるともいいます。
ボーア戦争は、英国びいきとしては、極めてよろしくない戦でして、アフリカの金やダイアモンドの利権争いが生んだ人間の暗黒面を映し出したもの。
強制収容所まで作ったりで、ナチスもびっくりの蛮行も行われたという。
このあたりのことを、わたしは小説で読んだことがありまして、あんまりいい気分はしなかったものです。

ともあれ、そんな現地のことはホルストは知る由もなかったはずで、純粋に戦争に赴き、名前を失ってゆく人々のことを思ってのレクイエムだったのです。
ともかく美しく儚い音楽です。

ボストックとミュンヘン管は、この手の珍しい作品をたくさん残してくれました。
ありがたい。
最近、ナクソスからも出たみたいです。

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2012年3月17日 (土)

ホルスト 「惑星」 エルダー指揮

Kinshicho1

東京の夜景は、林立するビルとともに、夕暮れの空がとても合います。

子供の頃、ニューヨークの高層ビル群の夜景の下敷きを親父からもらって、それはもう、美しくて、憧れでもありで、アメリカの最先端文明への羨望を感じた。

日本には、霞が関ビルしか高層はなかったので。

いまや、日本では、各地でにょきにょき。

マンションも高層で、その高層ビルに人が居住する時代。

そして、アメリカの象徴のような高層ビルは、日本ばかりでなく、いまや本数では中国が一番多いのでは・・・・・。

文化・文明・経済が地球を一巡し、各地に行きあたりつつあるいまの地球は、これからどこへ行くのか。

Kinshicho_3   

少し前の写真で、いま話題の、木星・金星の接近は見れません。

いずれにしても、カッコイイ都会の夕暮れ画像です。

Holst_ahe_planets_elder

ホルスト 組曲「惑星」

スペキュトラーな音楽だけど、わたしには、れっきとしたイギリス音楽です。

今日聴く「惑星」は、「冥王星」追加バージョン。

ホルストが作曲完成時の1916年、まだ発見もされてなかった「冥王星」が1930年に発見され、まだ存命だった作曲者は、同じ頃、その晩年に組曲「惑星」の第8曲として作曲に取り掛かりながらも未完で終わったもの。

そうしたオリジナルの試作バージョンとは別に、ホルスト研究家で作曲家のコリン・マシューズが、「海王星」につながるバージョンとして、「冥王星」を作曲し、2000年代前半、いくつかのレコーディングもなされた。

その一環が、このCDで、マーク・エルダー指揮のハルレ管弦楽団のもの。

ところが、2006年国際天文学会にて、惑星の地位をはく奪されて、準惑星に降格された「冥王星」。
寂しい結末となりました。
以来、ホルストの「惑星」は、元来の姿に戻りましたとさ・・・・。

マシューズの「冥王星」は、静かな「海王星」の終結につなげて、ミステリアスな開始とともにありながら、全編、暴力的な迫力サウンド。
サブタイトルは、「The Renewer」
新たなる者・・・と訳すべきでしょうか。
J・ウィリアムズも真っ青の宇宙的でかつバーバリステックな映画的な音楽になってまして、これのみいけば悪くない。
でも、ホルストの「惑星」の7つの独創的な組曲の後に、連続して聴くには居心地悪い曲。

冥王星が消えてよかった、と思わせる補追版なのでした。

そして、それにしてもよく書けてるホルストの「惑星」。

5拍子の戦闘的な「火星」。5拍子は、春祭やダフニスでも争いと勢いあるムードをかもし出すもの。
夢見心地で、夕暮れの光景を思わせる「金星」は一番星。
元気で快活な「水星」は親しみ深い。
そして、かのジュピターの「木星」。メロディアスなあの中間部は、やはりオリジナルが一番。あの歌や編曲ものは、クラヲタにはあまりに酷な音楽になっちまいした。
「土星」・・・重いっす。でもここで聴く英国ならではの重厚さは、英国帝国の終末、すなわちエルガー以来の母国の没落への思いが老人言葉で語られようです。
味わい深い。
一転魔術師の「天王星」は、諧謔と遊び心あふれる音楽。
しかして、最終「海王星」は神秘主義者のタイトルならではのミステリアスぶり。

やっぱり、これでいい。

いま英国音楽をしょってたつ存在となりつつある、マーク・エルダー。
エルダーは82年代のバイロイトのマイスタージンガーの指揮をしたこともあるオペラ指揮者。
聴かせ上手じゃないけれけれど、丹念に英国音楽の延長としての「惑星」をしっかりと聴かせる演奏です。
この「惑星」を聴いて火星や木星、天王星のダイナミックで派手な雰囲気を期待したら大間違い。
むしろ、それ以外の曲を味わい深く聴かせるエルダーとハルレ管です。

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2011年8月17日 (水)

ホルスト 「This have I done for my true love」~パートソング集

Azumayama201108_1

いつもの山のうえ。

盆休みに神奈川の実家に行ってきました。

暑いお盆でした。

朝早く起きて、汗だくになりながら登頂。

木陰が涼しげ。

向こうは相模湾。

Azumayama201108_2

速咲きのコスモスが五分咲き。

強い日差しに耐えて薄色ですがきれいに咲いてましたよ。

夏は空と海の境界線も曖昧。

当然に富士山も見えません。

Azumayama201108_3

秋が待ち遠しいけれど、去る夏も寂しいものがあります。

Holst_partsong

グスターヴ・ホルスト(1874~1934)のパート・ソング集。

ホルストといえば、「惑星」。
それのみの印象で終始してしまい、「惑星」以外は「セントポール組曲」ぐらいで、ほかはなかなかに聴くことをしない聴き手が大半。

「惑星」も大好きな英国音楽のくくりとして捉えているので、そのホルストの他作品も結構聴いてきたわたくし。
オーケストラ作品、器楽曲、オペラなど。
なかでも、合唱作品には素晴らしいものがたくさんあります。

パートソングは、英国でいう無伴奏の合唱作品で、世俗的な歌から聖歌風のものまで、気の置けない家族や仲間で、つつましく親密に歌う合唱作品をいうのです。
エルガーやディーリアス、RVWなどに素敵な作品があるほか、ホルストもたくさん残しております。

ステファン・レイトン率いる、ホルスト・シンガーズの1枚。

 1.Ave Maria
 2.Of one that is so fair and bright
 3.A Welcome Song
 4.Jesu, Thou the Virgin-born
 5.Terly, terlow
 6.Lullay my liking
 7.Bring us in good ale
 8.Diverus and Lazarus
 9.This have I done for my true love

10.
Songs from ”The Princess” 全6曲~女声合唱

11.O spiritual pilgrim
12.My sweetheart's like Venus

13.ふたつの東国の絵~春、夏

14.Light leaves whisper
15.In youth is pleasure

16.6つの合唱のためのフォークソング


これらの中で、本国英国で人気のある作品が、本CDのタイトルにもなっている、9.This have I done for my true love。
聖霊降臨祭に際して書かれた宗教的なテイストの曲で、真摯な内容と篤い思いが、爽やかに融合した美しい合唱曲。

ほかの諸曲、そしてまたホルストの音楽にいえることであるが、朋友RVWとともに行ったケルトやスコットランドを含む全英にわたる民謡収集の成果と、没頭したサンスクリット系の文化。
これらが、どこかローカルな雰囲気のよさと、東洋的なエキゾシムとなって、ホルストの音楽に滲みでてくる要素なのです。

熱い夏に、これらの雰囲気を伴ったホルストの無伴奏合唱曲を聴いていると、数度はクールダウンできます。
おまけに、4と5の曲には、オーボエとチェロが哀愁を感じさせるようにソロ伴奏として合唱に付きまとってます。
なんて、いい雰囲気なんでしょう。
愛らしくも、哀しい。

それから、13では、ハープが伴奏です。
こちらの涼しげで清らか響きに、英国の庭園にて、大きく影を落とす木陰で涼しい飲み物で喉を潤す自分を思い浮かべることができました。

女声だけによるパートソングも、とても心和む爽やかなものです。

英語の美しさも存分に味わえます。

わたしも歌ってみたい、と思わせる素敵なホルストのパートソングでした。

「惑星」以外のホルスト 過去記事

 「雲の使者 ヒコックス指揮」

 「エグドン・ヒース プレヴィン指揮」

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2009年11月 6日 (金)

ホルスト 「エグドン・ヒース」 プレヴィン指揮

Toyokawa_1 白い彼岸花を発見。
彼岸花の季節だから、少し前に撮ったものです。

赤と交互に咲いてましたよ。

この世ならぬ雰囲気と美しさ。

Brittenholst_2 ギュスターフ・ホルスト(1874~1934)は、「惑星」だけではありません。

交響曲こそないが、オーケストラ作品から室内・器楽・オペラ・声楽・合唱・吹奏楽と広範なジャンルにわたるオールマイティ作曲家。

本ブログでも「惑星」は数回登場しているが、それ以外の作品は、声楽の大作「雲の使者」のみだ。
そちらは、インド・サンスクリット文化に感化されていた頃のホルストらしく、エキゾシズムに満ち溢れたユニークな音楽だった。

今回とりあげるのは、管弦楽による幻想的な作品「エグドン・ヒース」。

「エグドン・ヒース」という名は、トマス・ハーディがその作品のひとつである「帰郷(The Return of the Native」の中で、その舞台となった地イングランド南西部地方のドーセット州の荒野を呼び与えた地名のこと。

Egdon_heath イングランドの荒野というと、イメージとしてはブロンテの「嵐が丘」にあるような風の強い荒涼と殺伐とした景色を思い浮かべるが、まさにその通りの場所がヒースの茂るような悲しく空しい光景。
場所そのものが、物語の重要なキーである、というかメインの登場人物に匹敵するくらいに強い存在となっている物語。
「嵐が丘」を読んで、私はそれを強く感じた。
そしてディーリアスやバックスの音楽を聴いて感じる、英国やアイルランドのまだ見ぬ光景も、その音楽から充分に読み取ることができる。

ホルストは、その光景を実際の景色からばかりでなく、ハーディの「帰郷」の中の荒野の描写に強くインスパイアされて、この「エグドン・ヒース」を書いた。
そのスコアには、「トマス・ハーディ」を讃えてという言葉が添えられているという。

「A place perfectly accordant with man's nature - neither ghastky ,hateful, nor ugly; neither commonplace, unmeaning, nor tame; but ,like man, slighted and enduring;  and withal singularly colossal and mysterious in its swarthy monotony.」


惑星の一部にある華やかなオーケストラサウンドは、ここにはない。
惑星に類似点を求めるならば、金星の澄み切った純な響きと、土星の老成した渋い音色であろうか。
14分あまりの曲に、人生と荒野を重ね合わせた心象風景を描きだしてみせたホルスト。
60歳で世を去るホルストの53歳の作品は、人生を経てハーディの描いてみせたイングランドの自然の中に、人の本性を見た。
渋いけれど、ほんとうに味わい深く、彼岸の音楽のようにも聴こえる名作だと思う。

この作品に、プレヴィンは手兵のロンドン交響楽団と目線の穏やかで明晰な演奏を残してくれた。プレヴィンらしい鮮やかな棒さばきが、作品が過度に晦渋にならずに、惑星の作者の延長にあるものと思わせることにも成功している。

このCDには、オペラ「パーフェクト・フール」のバレエ音楽や、ブリテンの名作も納めていて、いずれも私の好きな演奏のひとつとなっている。

 
 

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