カテゴリー「ベーム」の記事

2016年12月 5日 (月)

モーツァルト セレナード第9番「ポストホルン」 ベーム指揮

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丸の内、仲通り、恒例のイルミネーション始まってます。

年々LEDも進化し、明るさを増し、一方で消費電力もますます低減されているとのことが、丸の内のイルミネーションのHPに書かれてます。

社会人になった頃は、このあたりはビルだけの殺伐としたオフィス街だったし、70年代に過激派が起こした大企業を狙ったテロ事件も記憶にあって、あのときはビルのガラス窓も散乱し、死傷者がかなり出た。

ブランド店や飲食店が立ち並ぶ整然としたこの一角を見ると、過去のことが嘘のようだ。

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暖かなウォーム・トーンの装飾。

いまは、これでいい。

これがいい。

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  モーツァルト セレナード第9番「ポストホルン」

   カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

             (1970.5 @ベルリン、イエスキリスト教会)


12月5日は、モーツァルトの命日です。

いまから225年前の今日です。

そんな命日に、喜遊曲なんていうのもなんですが、ともかく最近、音楽に飢えてきたもので、かつての耳タコ的にお馴染みの、このベームの演奏を聴いてみたくて、取上げました。

このベーム盤は、もう10年も前に、このブログでも取上げてました。

大好きなこの曲、マリナーや、レヴァイン、アバドなども聴いてきましたが、あと、有名どころではセルとか、いまや廃盤のデ・ワールトとか、聴いてみたいものもたくさん。
 でも、やっぱり、このベーム盤が、自分には一番で、刷り込み盤なのです。

日本発売は、たしか、1971年の11月か12月。
あの頃は、レコード業界も、クリスマス系の音盤や、第9のアルバムばっかりを繰り出してきて、レコ芸の広告欄も、ヨーロピアンな雰囲気が満載となりました。

そんななかで、群を抜いていたのが、日本グラモフォンとロンドンレコード(キング)。
前者は、DGであり、いまのユニヴァーサルレーベルですよ。

ベームのポストホルンのジャケットは、前褐のとおり、ブルーとグリーンな夜の庭園のもので、ともかく、中学生の子供だった自分の想像力と夢想を大いに刺激するものでした。

そして、そのレコードを手にしたのは、ほどない時期で、茅ヶ崎のダイクマのレコード売り場でした。
カップリングの「セレナータ・ノットゥルナ」と併せて、何度も何度も聴きました。

この曲のイメージが、このベームとベルリンフィルの響きで出来上がってしまいました。

このシンフォニックともいえるセレナードは、喜遊的な側面とともに、どこかほの暗い部分も持ち合わせているけれど、モーツァルトを愛し抜いたベームの厳しくも優しい眼差しは、そのどちらのシーンも、はなはだ音楽的に誇張なく、自然体で表出しつくしてます。

そのある意味厳しさと優しさに、色を添えているのが、ベルリン・フィル。

豊かな広がりを感じさせる能動的なサウンドは、ともかく明るい。
ことに、この曲は、木管たちが大切。

当時のベルリンフィルの名手たちの、ギャラントとも呼べる華やかさと、同時に、お互いに聴きあいつつ繰りひろげる自在な音声空間がもたらす解放感。
聴き手のワタクシは、もう呆けてしまうしかない。
ゴールウェイ、ブラウ、コッホ、トゥーネマンたちでしょうか!

加えて、イエス・キリスト教会の豊かな残響をともなった美しい録音もステキにすぎる。

ウィーンフィルとではどうだったでしょうか・・・。

わたくしには考えにくいほどに、このベルリンフィルの音盤が、愛すべき存在なのです。

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2015年5月10日 (日)

モーツァルト 「コジ・ファン・トゥッテ」 ベーム指揮

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もう、ここ千葉では、とっくに見ごろを過ぎてしまいましたが、千葉市富田の都市農業交流センターです。

船橋から東金にかけて、徳川家康が造らせた鷹狩のための道筋。
御成街道(おなりかいどう)をずっと下った千葉市若葉区にある農業公園です。

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紫に、赤に白・・・・こうして細かな花がたくさん集積して、一色に。
マスとしての美しさと、ひと花、ひと花の可憐さ。

明るく、陽気もいい。

さぁ、モーツァルトでも。

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  モーツァルト  歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」

      フィオルディリージ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ 
      ドラベッラ:クリスタ・ルートヴィヒ
      フェルナンド:ルイジ・アルバ
      グリエルモ:ヘルマン・プライ
      ドン・アルフォンソ:ヴァルター・ベリー
      デスピーナ:オリヴェラ・ミリャコヴィチ

   カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
                ウィーン国立歌劇場合唱団
             演出:ヴァーツラフ・カシュリーク

                         (1969年製作)


モーツァルトの名作オペラ、「コジ・ファン・トウッテ」。

1790年作曲の、ダ・ポンテとのコンビの生み出したブッファで、同じ、ダ・ポンテ3大オペラ(フィガロ、ドン・ジョヴァンニ)の中でも、際立つ個性は少なめながら、アンサンブル・オペラとして、形式上も、ドラマ仕立ても、そして歌手たちのあり方も、シンプルでシンメトリーな構成が美しく完結しております。
 そして、その音楽は、ギャラントで、ロココ調な美質と抒情を有しています。

そんな「コジ」のわたくしにとって理想ともいえる映像作品が、ベームの指揮により、映画版。

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 予算上も、演出上も、いまやなかなかありえない、オペラの映画化。
60~80年代前半ぐらいまでが数は少ないけれど、全盛だったように思います。
その代表が、今回のベーム盤。
カラヤンのカルメン、カヴァ・パリ、ラインゴールド、ベームのサロメ、アリアドネ、レヴァインのトラヴィアータ・・・、いくつも名作が残されました。

そして、自分にとって忘れられない憧れのツールが、かつて存在した、「クラシック・イン・ビデオ」という製品です。

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ポニー・ビデオ(いまのポニー・キャニオン)が、ポニー・クラシックという法人を設立して、家庭向けビデオと、カラヤンを中心とするビデオ映像作品をパックにして販売しておりました。
71年頃だったと思いますが、当時の価格で、38万円!
いまでは、その何倍もの感覚の金員ですよ!
子供心に、欲しくてたまらなかったけれど、そんなもの、一般家庭では、高嶺の花。
毎日、憧れと、想像力ばかりが高まるばかりの少年でありました。

それが、いま、映像作品も簡単に手に入るし、はるかに鮮明で、かつ豊かなサウンドで、いとも簡単に、それらの作品が楽しめる世の中になりました。
ほんと、この分野も隔世の感ありありですね。

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 さて、モーツァルトのオペラでも、「コジ」をもっとも得意にし、愛したベームですから、その音源も、非正規もいれると、ほんと、たくさんあります。
ですが、代表作は、74年のザルツブルク・ライブと、62年のフィルハーモニアEMI盤、そして、この映像版ということになるでしょうか。

理想的な歌手の顔ぶれは、それぞれの全盛期で、ビジュアルも歌声も言うことナシ。
そして、オーケストラがウィーンフィルで、69年当時のこのウィーンならではの芳醇な音色といったらありません。

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序曲は、オペラ全体に共通する、白基調のロココ風邸宅が、スタジオ内にしつらえられ、そこに懐かしのウィーンフィルの面々が陣取って、高座にいつもの、ニコリともしないベーム。

コンサートマスターは、ウェラー。その横には、やたらと若いヒンク。
フルートには青年のようなトリップ。オーボエはトレチェクかな。
つくづく、この頃から、ベームやアバドとの来日の頃が、ウィーンフィルにとっても、自分にとっても、いい時代だったな、とつくづく思います。

 オペラ本編は、ゴージャスなリアル衣装に、シンプルだけど、写実的な舞台装置に、本物ばかりの小道具。
鮮明な映像で、それらが実に見ごたえあります。
まさに映画ならではのリアル・カットで、往年の歌手たちの若き日々も、アップに耐えうるものです。

場面の転換ごとに、インターバルがあって、字幕による簡単なト書きや、場面説明があって、オペラの流れが無味乾燥にならず、とてもいい効果をあげております。
 さらに、ときおり、シルエット影絵も挿入され、登場人物たちの心象や、よからぬ妄想(ちょっとエッチだったり・・・笑)をあらわしたりもしてますよ。

ユーモラスな仮面を装着した、背景人物たちも含め、主役の歌手たちの演技は、今風でないことは事実ですが、モーツァルトの音楽の懐の深さは、これこそが、ぴたりと符合するように、ことに、わたくしのような世代の人間には、そう思われます。
同時に、昨今の時代考証を自由に動かし、いろんな意味合いを込めた現代演出にも、モーツァルトの音楽は、しっかりと似合ってしまうところが、すごいところなのですね。

ベームの「コジ」に、必須の歌手。
ヤノヴィッツ、ルートヴィヒ、プライ、ベリーの4人は、もう完璧で、愉悦と軽やかさ、そして軽妙さに加えて、しっとりとしたモーツァルトの品位を歌いだしていて、文句なし。

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ことに、揺れ動く心を、そのクリスタルな美声でもって聴かせるヤノヴィッツは素晴らしいと思います。
 ルートヴィヒもそうですが、声の揺れが気になる、方もいらっしゃるでしょうが、後年のよりも、声はハリがあって若々しくていいですね。

もちろん甘い美声に、しっかりとしたフォルムを持ったルイジ・アルバのモーツァルトは、ロッシーニ以上にステキなものだし、セルビアの名花ミリャコヴィチの狂言回しも楽しいですよ。

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ほのぼのと、モーツァルトのよさ、ウィーンフィルの味わいのよさ、そして往年の耳にすっかり馴染んだ歌手たちのよさ。
そしてベームのオペラの素晴らしさを堪能した土日でした。

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2012年12月23日 (日)

ベートーヴェン 「フィデリオ」 ベーム指揮

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樅の木の匂いも好きです。

大好きクリスマスツリーです。

1年の一時しか楽しめないのが残念でなりませんよ。

でも今日は、クリスマスとは関係ない音楽を。

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  ベートーヴェン  歌劇「フィデリオ」

   レオノーレ:グィネス・ジョーンズ フロレスタン:ジェイムズ・キング
   ドン・フェルナンド:マッティ・タルヴェラ ドン・ピツァロ:グスタフ・ナイトリンガー
   ロッコ:ヨーゼフ・グラインドル   マルツェリーネ:オリヴィア・ミランコヴィッチ
   ヤキーノ:ドナルド・グローベ    第一の囚人:バリー・マクダニエル
   第2の囚人:マンフレッド・レェール

    カール・ベーム指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団/合唱団

         演出:グスタフ・ルドルフ・ゼルナー

                  (1969、70 ベルリン)


ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」は、わたくしはどうにも苦手でして、驚くべきことに、その音源をレコード時代からいまに至るまで所有しておりませんでした。
その音源をたどると、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、ベーム、カラヤン、バーンスタイン、ショルティ、ハイティンク、デイヴィス、アバド、ラトル・・・・・綺羅星のごとくの指揮者たちがその録音を、そのときの名歌手たちを起用して残しております。

それらをひとつも持ってません。
これまでは、FM放送のエアチェック音源で聴いてきましたから、曲の隅々まで把握はしております。ベームのバイエルン国立劇場の上演ライブです。

何故?といわれてもなかなか答えられませんが、モーツァルトのオペラにある人間の心の機微を照らし出したような万華鏡のような先天性、ワーグナーの劇的かつ有無をも言わせぬ壮大な総合劇音楽。でもベートーヴェンのオペラには、そうした力が欠けているように常に思ってました。

新国立劇場での上演も体験しましたが、妙に浮ついてしまった演出が歯切れ悪くて、上記の印象をやはり払拭できません。
そこで投入したのが映像によるオペラ映画としてのベーム盤。
購入3年目にして、ようやく視聴いたしました。

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懐かしいベームの指揮姿、名歌手たち、それもワーグナー・メンバーの見事な歌唱、リアルで余計な解釈のない演出。
これらがわたくしの「フィデリオ」苦手を変えてくれるか?

そう、結果は上々でした。

これならいいかもです。

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美しいソロや重唱、劇的なアリアなどが引き立つ無難な映像は、40年前のものとは思えないクオリティで、まるで夫婦愛を唱和するかのようなオラトリオのような「フィデリオ」を楽しむ最良の在り方のように思いました。
CDだと台詞が苦痛だし、当時の因習としての番号オペラの繋ぎと場面の居座りの悪さ、そのあたりがテレビドラマを見るようなこの映像作品では緩和して感じたのです。

初版から最終版まで、9年をかけて、3度も造り直した苦心のオペラだけれど、ベートーヴェンはオペラの世界では、革新性も幕開けも切り開くことができなかった。
でも、いまではそれもベートーヴェンと、納得して微笑ましく、このオペラが持つ素敵なアリアや重唱を楽しむとします。
それと、レオノーレ序曲第3番の挿入は、そのあとがあっけない幕切れだけに、かえって劇性を弱めるものとして不要に思えます。

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でも、この物語はかなり無理とありえない理想とがありますな。
女性が男装して、娘の許嫁にまでされちゃうという無理。
ちょっと触ればバレますがな。
夫を埋める穴掘り作業についてきて、早く手伝えといわれても、なかなかやらないレオノーレ。しかも女性にゃ、そんな重労働はムリだよな。
極めつけは、悪漢ドン・ピツァロが刃を向け、そこに躍り出たレオノーレ。ピストルを手にしていながら、相手は手ごわい悪代官。そこに偶然、というかあまりのタイミングのよさでもって来訪する正義の味方の大臣さま。でも、ここでの緊迫感と鳴り渡るトランペットの劇的な効果。これは実にすばらしいです。
とってつけたような賛美の合唱によるフィナーレ。。。。
でもこれらを受け入れて真摯にベートーヴェンを聴いていこう。

厳しい眼差しのベームが繰り広げる劇的かつ緊張感の高い指揮によって、この映像はピシリと一本筋が通ってます。

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若いデイム・ジョーンズの声の張りとその清々しさ。
キングのフロレスタンは、数あるヘルデンによるフロレスタンのなかで最高。

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わたしにとっての「ザ・アルベリヒ」、ナイトリンガーの貴重な映像ははまり役。
グラインドルもタルヴェラも、いずれも懐かしい60年代バイロイトの充実期を担った人たち。

なんだかんで楽みました「フィデリオ」。
晴れて、アバドのCDを購入してみようか!

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 過去記事

  「新国立劇場 上演 2006年」

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2012年4月 1日 (日)

バッハ マタイ受難曲 ベーム指揮

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まだ梅の咲く頃、某教会にて、外壁にある十字架に日の光があたって輝いておりました。

今年の教会暦では、イエスが十字架に架けられた聖金曜日が4月6日。

復活祭は、4月8日(日)。

キリスト教国、ことにヨーロッパでは復活祭(イースター)は、クリスマスとともに大きな催しでにぎわい、連休も続きます。
キリストの生誕以上に、イエスの受難とその復活は、キリスト教の根源なので当然でありましょう。
海外の宗教的な意味での祭事が、日本では商業的な意味の催事になってしまうことのおかしさ。
それは、いまや中国でも同じみたい。

そして欧米では、各地で、バッハのふたつの受難曲がさかんに演奏されるのもいまこの時期。
われわれ西洋音楽を愛好するものにとって、イエスの十字架上の死を、見つめて考えてみるのに、バッハの受難曲ほど最上の作品はありますまい。

ウィーンでも毎年、受難曲が演奏されております。

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 バッハ  マタイ受難曲

   エヴァンゲリスト、T:フリッツ・ヴンダーリヒ
   イエス:オットー・ヴィーナー   S:ヴィルマ・リップ
   Ms:クリスタ・ルートヴィヒ    ペテロ、Bs:ヴァルター・ベリー
   ピラト:ペーター・ウィンベルガー ユダ:ロベルト・シュプリンガー
   ほか

   カール・ベーム 指揮 ウィーン交響楽団
                 ウィーン学友協会合唱団
                 ウィーン少年合唱団
                   (1962.4.18 ウィーン)


「ベームのマタイ」です。

これを見つけたときはビックリした。

そして、前段で書いた、これはウィーンのマタイ。
フルトヴェングラー、カラヤンもマタイを指揮していたウィーン。
マーラーもきっと演奏していたはず!

あとなんといってもヴンダーリヒが福音史家を歌っているのがベームの指揮と並んで魅力的。
ほかの歌手も当時のドイツ系歌手の最高の布陣で、このメンバーで「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が上演できます。

そして息をこらして聴くこと2時間30分。

少し短めなのは、カットがそこここになされているから。
リブレットを対比しながら確認した省略曲は、ソプラノのアリア「Ich will der mein Herz schenken」、バスのアリア「Gerne will ich mich bequemen」、コラール3つ。
そして、福音書に基づく人々のやりとりの一部。
ベームの考えによるものか、ウィーンの譜面か、通例かは不詳なれど、非常に残念ではあります。

重い足取りを感じさせる冒頭合唱から重厚かつ分厚い響きを感じこそすれ、最初は、普通に演奏しているバッハに思われ、なんのことはないな・・・、と聴いておりました。
そして、いまの編成少なめ、ヴィブラート少なめのバッハ演奏に耳も心も慣れている自分には、圧倒的な質量の響きにも感じます。

しかし、聴くほどに音楽に引き込まれてゆき、その音の物量にもすっかり慣れてしまう。
そしてベームの指揮にだんだんと熱が帯びてくるのがわかる。
正規のライブ音源でもなかなかお目にかかる(お耳に)ことのない、うなり声が目立つようになってくる。
いくつも繰り返されるコラールが、受難の進行によってイエスへの同情と人間への反省を強めてゆくと同時に、そのコラールが徐々に感情移入も強くなってドラマティックになってゆく。
通奏低音をかなり重厚に響かせ、ときに思わぬ強調をすることでも、福音の聖句や、レシタティーヴォを際立たせることになっている。
それとリタルダンドも曲の終結にかなり多用されるように感じます。
ベームの音楽造りには、あまり似合わないと思われるが、これも時代でしょうか、ウィーンの譜面でしょうか。
これもまた、曲の進行とともに、そして劇性を高めるとともに、効果を上げて聴こえるところが面白いところ。
ウィーンの管楽器の音色も、いまでは聴けないまろやかなものです。
こんな風に、ベームのマタイは、ストイックなものかと思ったら、歌手の選択もあわせオペラ的な様相のマタイに思いました。

歌手は、ヴンダーリヒの独り舞台といってもいい。
福音史家とテノール独唱をかね、歌いどころももっとも多い。
当時32歳、でもこのあと4年後に事故で亡くなってしまうこの美声の歌手で、マタイが聴ける喜びはとても大きい。
端正でクリーンな歌声は、福音史家にぴたりとはまるし、ときに思わぬ劇性を漂わせて聴き手を聖書の世界の一員のように巻き込む手腕は天性の嫌みのない清潔な歌唱ゆえ。
ペテロの否認を語るヴンダーリヒには思わず息を飲んでしまう・・・・。

そのあとのルートヴィヒも泣かせてくれます。
「Erbarme dich, mein Gott,」
~憐れみたまえ、わが神よ わたしの苦い涙をお認めください~
これほどに、誰しもの人間の心に宿る弱さを悲しみを持って歌った音楽を知りません。

若々しい、ヤノヴィッツやリップの鈴音のような歌声も魅力的です。

放送録音音源で、当然にモノラルですが、音はしっかりしていて聴きやすいもの。
いずれ、オルフェオあたりが正規に復刻してくれるものと思われます。 

最後の合唱 「Wir setzen uns mit Tranen nieder」
 ~わたしたちは、涙を流してひざまずき、
    お墓のなかのあなたに呼びかけます
   お休みください 安らかにと ~

この素晴らしい合唱が終わると、拍手はなく、おそらく聴衆はそのまま静かに感動を暖めながら帰宅したことでありましょう。
このような音楽には、そうありたいものです。

 マタイ受難曲 過去記事

 「グスタフ・レオンハルト盤」

 「ウィレム・メンゲルベルク盤」

 「ハンス・スワロフスキー盤」

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2006年2月 4日 (土)

モーツァルト「ポストホルン・セレナード」 ベーム指揮

モーツァルトのポストホルン・セレナードを聴く。この曲に関しては、ベームとベルリン・フィルが一番だ。昨夜、大阪アインザッツでマスターと共感したばかり。そこで聴かせてもらったヘンシェンとアムステルダム・フィルの演奏も管の国オランダらしく美しい演奏で驚き。

Posthorn_bohm 帰宅後、どうしても聴きたくて、ベーム盤を取り出した。やはりイイ。
手持ちのCDジャケットは陳腐だが、高校生の時に買ったレコードジャケットは本当に美しく、このイメージを音楽にもダブらせ引きずってきた。

何といってもベームのかっちりした指揮が良い。
そして、セレナードといいながら、交響曲のような構成感豊かな曲だけに、枠組みをしっかりつけたベームの指揮のもと、ベルリン・フィルが実に堅実な音を聴かせる。
名手たちが思いのほか色彩豊かに歌いまくる。
ベルリン・フィルの管楽器の響きは、私は大好きで、ウィーンのそれとはまた違った美しさをもっている。特に、当時のツェラー、ゴールウェイ、コッホ、ライスター、ピースクといった主席がお互いを聴き合いながら、実にギャラントな雰囲気を響かせている。3・4楽章はもう、うっとりとしてしまう超名演である。
イエス・キリスト教会の響きの豊かな録音もすばらしい。

ウィーン・フィルだったら・・・と思わせない、モーツァルトの名演。
レヴァインが後年ウィーン・フィルと録音しているが、あまりにリアルであっけらかんとしている。指揮者の格の違いであろうし、デジタル録音の初期の頃の潤いのない録音がマイナスになっている。ベームともう一度残して欲しかった。

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