むかし話、ルツェルン訪問
いまのところ、人生で唯一のルツェルン訪問は、1989年でした。
25年、四半世紀も前の出来事。
そう、わたくしの新婚旅行だったのですよ。
少人数のツアーだったけれど、チューリヒ、ウィーン、ミュンヘン、ヴュルツブルク、ルツェルン、ジュネーヴ、パリ。
豪華な1週間。
そのなかに、ウィーンでのオペラ鑑賞や、ふんだんな自由時間、憧れのワーグナーのノイシュヴァンシュタイン城も入ってました。
思えば、いまやクラシック音楽と無縁の、かみさん。
よく、着いてきてくれたもんだ。
いま思えば、奇跡とも呼べる。
現在、そんな企画を持ち込もうものなら、「あんた、ひとりで、勝手に行ってくれば、お金はしらないよ・・・」という定型文が、冷たく言い放たれます。
ルツェルンは、コンパクトで、ルツェルン湖を中心とした、歴史とドイツ中世的なヨーロッパの雰囲気あふれる、とても美しい街でした。
湖の周辺は、このようにリゾート感あふれる光景。
ちょっと中に入ると、教会の尖塔が立つ、厳かで清廉な雰囲気。
一番最初の画像が、ルツェルンの代名詞とも呼ぶべき、湖とつながるロイスを横断することのできる「カペル橋」。
木製の、中世当時そのままの歴史的建造物。
橋の中は、このように全面、通し屋根に覆われていて、梁の部分には、宗教画があしらわれているんです。
ところが、このカペル橋は、私が訪れた4年のち、火災で焼失してしまいました。
いまは、復元されてますが、ほんとうにいい時期に見ておいてよかったです。
メインの橋(焼けてしまった)から西側には、旧橋があります。
この景色の美しさ。
シューベルトが、佇んでいそうな雰囲気でしたよ。
教会や、湖畔の公演、中世の歴史感じる史跡、そして、かのワーグナーゆかりの館など、ルツェルンの街は、音楽好きにとって、外せない街なんです。
(1989年、ルツェルンで入手した地図の一部)
左手が、カペル橋。
真ん中に赤マルしたとろが、コングレス・ザール。
いまの、文化交流センター、ルツェルン音楽祭の本拠地です。
ホテルが、またきれいで、ホスピタリティ満載でした。
荷物の取り違えがありましたが、それは、日本人内のツアーの仲間同士。
お互いに、あれあれ、と笑い合うことで問題ないのでしたが、ホテル側は、そんなこととは関係なく、最高の部屋をあてがってくれたし、その部屋には、とんでもなく素晴らしいフルーツの盛り合わせと、お詫びのレターが添えられてました。
ドイツ語圏のスイスに、日本人として、おおいなる親近感と、感謝をいだいたものです。
そこゆくと、同じスイスでも、フランス語圏のジュネーヴは、もっとラフで、おおざっぱ。
イタリア語圏は、行ったことありませんが、それまた違うのでしょうね。
夜、ひとりで、ルツェルンの街に散策にでてみました。
市街のあちこちにひろがる、こんな素敵な絵のような光景。
ともかく、人も少なく、行き交う人も、他人を気にとめることもなく、安全きわまりありません。
昼に渡ったカペル橋の西の旧橋を渡って、対岸を歩きました。
ルツェルン音楽祭の、コングレスザールの手前に差し掛かりました。
ほんとに、小さな市民劇場があり、そこは、周辺が真っ暗な中にも、暖かな暖色の照明によって、浮かびあがってました。
ヨーロッパの街々は、当時、日本のように、すべてが明るい照明によって白日のもとにさらしだされる雰囲気はまったくなくって、暗さと明るさの対比が豊かで、安らぎの美しい雰囲気があった。
そんなことを思っていたら、耳に届いた劇場からの音楽。
チレーアの「アドリアーナ・ルクヴルール」でした。
ドイツ語圏のここ、ルツェルンで、まさかに聴いたイタリアオペラのフレーズ。
劇場の外へ、まる聴こえ。
そのすべての節々を、当時から理解していた大好きなオペラ、「アドリアーナ」を、ここで立ち聴きしようとは!
ルツェルン湖のほとりで、わたくしは、いつまでも、音響対策の緩い劇場から漏れてくる音楽に、ひとり聴きいったのでした。
開演中だったし、ともかく、ひとっこ一人いないんです。
湖には、白鳥さんも。
このルツェルン訪問から14年後、最愛のアバドが、自らオーケストラを立ち上げ、音楽祭の中心になろうとは、思いもよらぬことでした。
2010年に、行こうと思えば行けた。
仕事のこともあり、決断できませんでした。
残念なことをしましたが、アバドがこの地を愛したことが、自慢じゃないけどよくわかる。
ともかく美しく、優しい街、ルツェルン。
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