ジュセッペ・ディ・ステファノを偲んで
昨日は、トリスタンの夢を見たことを書きました。
そして、昨晩の夢も朝からうる覚えに記憶している・・・・・。
今回は、なんと「ラ・ボエーム」だったのである!
それも、最後の場面。ミミは登場しなかったけれど、ロドルフォが泣き叫んでいたんだ。
そして、その場面を家族に見せて、どう?泣けるでしょ? なんて、言っているワタシがいた。なんちゅう夢じゃ?
それと朝でも覚えている自分、歳を感じるなぁ~。今晩は、いったい・・・・。
3日、ミラノにて、世紀のテノールのひとり、「ジュセッペ・ディ・ステファーノ」が亡くなった。
享年86歳、新聞によれば2004年にケニアの別荘で、強盗に襲われ負傷。以来、昏睡状態だったという。
粋なディ・ステファーノとしては、本当に無念の亡くなり方ではなかったろうか!
1921年シチリア生まれ。生粋のイタリアン・テナーとして、デル・モナコ、フランコ・コレルリ、タリアヴィーニ、ベルゴンツィらと、まさにイタリアオペラの黄金時代を担ったステファノ。
直情的なドラマティコのデル・モナコと違い、もう少しリリックでベルカント系に強かった。
多少の歌い崩しがご愛嬌で、それが歌いどころでバッチリ決まってしまう味のあるテノールだった。型の決まったヴェルディよりは、ドニゼッティやプッチーニ、ジョルダーノが良かった。
そして何よりも、ステファノですぐに思いおこすのは、ナポリ民謡の数々だろう!!
何種類も録音が出ていて、誰もが一度は聴いたことがあるはずだ。
まさに、故郷の歌を気持ちよさげに、思いのたけを込めて歌うステファノの声に、明るい陽光を見る思いだ。
日本との係わりでは、よき伴侶だったマリア・カラスの復活公演に同行し、1974年にNHKホールでジョイントリサイタルを行なったこと。
ステファノがカラスをいたわり、立てつつも、衰えを隠せないカラス。
それに引きかえ、元気一杯・立派だったステファノ。
そして翌年75年には、カラスとステファノの「トスカ」が横浜で上演されることとなった。
だがやはり、カラスは無理で、カラスの指名を受けたモンセラット・カバリエがトスカを歌った。この模様は、NHKFMで生中継されたし、後日テレビでも放映された。
カヴァラドッシを元気一杯歌ったステファノは、お腹がポッチャリ・メタボだったけど、とんでもなく立派なもんだった。「ヴィット~リ~ア~~!」の聴かせどころも、もの凄かった。
この公演では、ステファノ自身が演出家もつとめた。
懐かしいカセットテープがあるはずなので探してみようか。
その後のステファノの活動は、あまり耳にしなかったが、悠々自適のいなせな後世を送っていたのだろうな・・・・・。
決して美声ではないけれど、感性のおもむくままに歌い上げた歌は、いつも心がこもり、時として音楽のフォルムを踏み外してしまうこともあったかもしれない。
その心の入れ込み具合を味わうのが、ステファノの歌を聴く醍醐味。
こちらの気持ちも解放され、大きく深呼吸する気分になる。
あまりに素晴らしい「カタリ」を聴きながら、今宵は偉大なテノール歌手を偲ぼう。
ご冥福をお祈りします。
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