カテゴリー「ディーヴァ」の記事

2014年12月23日 (火)

La Belle Excentrique~パトリシア・プティボン~フランス歌曲集

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この冬も始まってます。

六本木けやき坂のイルミネーション。

シルバーにブルーが少し入って、とてもクールできれいです。

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そして、今年は、レッドにも切り替え。

知らずにいたものですから、急に消えて暗くなったと思ったら、すぐさま赤の世界に。

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反対側の坂の向こう。

こちらも美しいですな。

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そして反対側の赤。

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 La Belle Excentrique ~ 風変わりな美女

   フランス歌曲集

      ソプラノ:パトリシア・プティボン

      ピアノ :スーザン・マノフ

       〃  :デイヴィット・レヴィ(3,14)   ヴォーカル:オリヴィエ・ピィ

      チェロ :クリスチャン=ピエール・ラ・マルカ

      ヴァイオリン:ネマーニャ・ラドゥロヴィチ 

     アコーディオン:デヴィッド・ヴェニトゥチ

      パーカッション:フランソワ・ヴァレリー

                 (2013.9 @ベルリン テルデックススタジオ)


 1.サティ 「競馬」         2.フェレ:ジョリ・モーム

 2.サティ 「風変わりな女」より「大リトルネッロ」 ピアノ連弾のための

 3.プーランク 「祭りに出かける若者たちは」 「パリへの旅」 「昨日」

 4.ロザンタール 「夢」 「月を釣る者」

 5.サティ   「ブロンズの銅像」    6.プーランク 「ルネ少年の悲しい物語」

 7.サティ   「スポーツと気晴らし」より「ピクニック」 

          「そうしようショショット(Allons-y Chochotte)」

          「ジェ・トゥ・ヴ(Je te veux)」 「風変わりな女」より「カンカン踊り」

 8.フェレ   「愛するとき」       9.サティ 「快い絶望」

10.フォーレ  「憂鬱」          11.アーン 「フォロエ」 「クロリスに」

12.フォーレ  「ひそやかに」      13.プーランク 「バ、ベ、ビ、ボ、ビュ」

14.ロザンタール 「パリ植物園のゾウ」「フィドフィド」「動物園の年寄りサラダ」

15.プーランク 「オルクニーズの歌」 「白衣の天使様」 「ホテル」

16.フランシーヌ・コッケンポット 「原野のクロッカス」

17.フォーレ  「ゆりかご」


     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「風変わりな美女」って・・・・、この邦題なんとかならないかな、って思って、「La Belle Excentrique」をフランス語翻訳マシンにのせてみた。

そうしたら、「素敵な変人」とか、「美しいエキセントリック」とか出てきちゃって、さらに奇妙なことになってしまいました。

もともとは、サティのピアノ連弾ないしは、オーケストラ作品の組曲のタイトルだそうで、そちらを調べたら、邦題は、「風変わりな女」となっておりました。
このCDの中に、2曲そちらからピアノ連弾曲として演奏されておりまして、そちらをイメージしたのでありましょう。

ですから、この際、わたくしの大好きなパトリシア・プティボンさまということで、「美女」ということにしておきましょう。

長い序文でしたね。

プティボン2年ぶりのソロアルバムなんです。

その間、パリ管とのプーランクは出てますが、毎年コンスタントに、ユニークで考え抜かれたプログラムで、その都度テーマを定めて凝ったCDを出してきたプティボンでしたから、結構渇望していたんですよ。

プティボンのタグをクリックして、過去記事をご参照いただきたいのですが、大ブレイクしたのに、来日はずっとないし、国内盤もずっと出てなくて、ユニバーサルは、アイドル路線が引けない本格派歌手なので、国内発売にビビってるんじゃないかと推察してるんですよ。

でも、昨年の録音ではありますが、ここに鮮度バツグンのイキイキとしたパトリーの声が相変わらず健在なのを確認できて、とても嬉しいです。

今回のテーマは、自国もの、近代フレンチ・ソング集です。
ちなみに、これまでのアルバム・テーマは、「恋人たち」「イタリア・バロック」「メランコリー」「新世界」、、こんな風になってました。

全部で29曲。

そのうち5曲は、サティのピアノ作品で、伴奏とともに、プティボンの長くの相棒、スーザン・マノフ女史が極めて雰囲気豊かに、そして明るく楽しく弾いておりますよ。
先にあげたサティの「風変わりな女」から2曲と、「ピクニック」、冒頭の短い序のような「競馬」。それぞれ、元気で楽しい曲に、「快い絶望」は、ちょっとムードが変わって、アンニュイムードたっぷりで、これはステキな曲。

 さて、プティボンです。
千変万化、多彩な歌への適応力と、その表情の豊かさは、まいど聴いてきて舌を巻いてしまう彼女の本領でありましょう。
大きく分けて、元気で快活、はっちゃけてるのが前半で、後半は、しっとりとした女らしさと、憂愁の横顔を垣間見せてくれる。

 前半・後半のターニングポイント的な曲が、有名なサティの「ジュ・デ・ヴ」です。
チェロとピアノに伴われて、ゆったりと、そして色気も含みながら、しなやかに歌われる「ジュ・デ・ヴ」に、わたくしはとろけてしまいそうになりました。
チェロとピアノの伴奏もお洒落すぎていけませんよ、まったく。
この曲、1曲で、お酒が何倍も飲めちゃうじゃないの。

個々の曲について書こうと思えば書けちゃうくらいになってますが、そこは、みなさま、実際にお聴きになって、パトリーちゃんの歌声に感じちゃってくさだい。
あれこれ、言葉は不要、彼女の個性と、はじける才能を、とくと拝聴してくださいませ。

途中何回か、歌なしで、間奏曲のように、さらりと挿入されるインターバルの一瞬のフレーズは、「風変わりな女」や「競馬」の曲をもじってまして、この音盤の大きな流れに寄与してます。

そう、これ一枚が、一夜のコンサートのように仕立てあげられているように思います。

このあたりが、プティボンのクレバーなところで、彼女ばかりか、きっと、マノフ女史も、ほかのスタッフも含めて、いいチームが出来上がっているんだと実感します。

彼女のライブコンサートは、ほんとに楽しくて、エンターテイメント満載です。
その雰囲気が、このCDからも伝わってくるところが、毎度素晴らしいです。
 これまで、3回、その来日公演を聴きましたが、そこで歌われた曲もいくつか。
コンサートでは、自ら、小道具みたいに、楽器をさらっと奏でて歌いましたが、そんな曲も、あの時の歌声そのままにおさめられてます。

ときに、効果音的な声を出して、ニンマリさせたり、ふくろうの声だしたり、おきゃんな娘声になったり、シャウトしてみたりで、ともかくいろんなお顔を見せてくれます。

でも、クリスティーと共演してた頃の、古楽の軽やかなイメージから、いまは、声も重くなり、色合いも濃厚さも出すことが出来るようになりました。
 ですから、全体のイメージでは、ちょっと味わいが深くなり、その分、声が重たくなったような気もしなくもないです。
もともと声量もたっぷりで、技巧派でもある彼女ですから、「ルル」を歌うことで、声質が少し変化したのかもしれません。

ともかく、ステキな1枚。

パトリシア・プティボン、最高ざます、最高に好きheart02

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2014年12月 2日 (火)

グィネス・ジョーンズ オペラ・リサイタル

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12月になりました。

街は、集中しすぎの感はありますが、都会を中心に明るく着飾っております。

そして、昭和はますます遠ざかる思いをいだかせる著名人たちの訃報。
一方で、選挙も始まり、かまびすしく、流行語大賞も、レコードアカデミー賞もはやくも決まり、なんだかんだで、慌ただしいのであります。

そんななかで、暗くなると、そわそわしてきて、街を徘徊するオジサンひとり。

そうです、ワタクシ、イルミネーション大好きおじさんです。
そんなルミ男がワクワクしながら訪れたのは、恵比寿のガーデンプレイス。

ここは素晴らしい。

いまのところ、今年のイルミ大賞候補ですわ。

バカラのシャンデリアをいくつか組み合わせた、超ゴージャスなもの。
そして、ここへのアプローチは、イルミ並木に、ツリーが。

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 グィネス・ジョーンズ オペラティック・リサイタル

   ベートーヴェン 「フィデリオ」

      〃      コンサート・アリア「ああ、不実な人よ」

    ケルビーニ   「メディア」

   ワーグナー   「さまよえるオランダ人」

    ヴェルディ    「イル・トロヴァトーレ」

      〃     「運命の力」

      ソプラノ:デイム・グィネス・ジョーンズ

    アルジョ・クアドリ 指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団

                       (1966.11@ウィーン)


ウェールズ生まれの名歌手、グィネス・ジョーンズ、30歳のときの録音。

一般に、ギネス・ジョーンズと呼んでますが、Gwyneth Jonesなので、グゥィネスとか読んだ方が正しい。
ビールのギネスは、Guinnessで、こちらも微妙。
ジョーンズさん本人も、若い頃は、ギネスと呼ばれるので、その都度、「グゥイネス」と、正していたそうな。

70~80年代を代表するワーグナー歌手で、そのレパートリーは、ワーグナーにとどまらず広大で、R・シュトラウス、ヴェルディ、プッチーニまで。
そう、ビルギット・ニルソンに近い存在です。

でも、デイム・グィネスのその声は、人によっては賛否両論。
高音が強いので、耳にきつく響きます。
そのあたりが時として、声の威力に頼って、大味な印象にも結び付くからでしょうね。

しかし、わたくしは、昔から好きですよ彼女の声。

なんどか書いてますが、そのキンキンの高音と裏腹に、彼女の低音のグローリアスなまでの美しさは、極めて魅力的なんです。
だから、声のレンジが広い役柄が、もっとも素敵。
ブリュンヒルデ、ゼンタ、クンドリー、マルシャリン、バラクの妻、エジプトのヘレナ、トゥーランドットなどです。

わたくしは、彼女のイゾルデ、バラクの妻で、その舞台に接してますが、圧倒的なその声は、豊かな声量もさることながら、細やかでかつ体当たり的な迫真の演技とともに、いまでも忘れえぬ経験として、この身に刻まれております。
さすがは演劇の国、彼女の演技がまた素晴らしいのでした。
いくつも残された、DVDでそのあたりは確認できると思います。

そんな充実期の体験なのですが、この音盤は、まだ彼女が売りだしの頃で、コヴェントガーデンを中心に活躍し、ウィーンやベルリンでも歌いはじめたころ。
またバイロイトへの登場も、この年で、いきなりジークリンデでデビューしてます。
 ちなみに、翌67年には、NHKのイタリア・オペラ団の一員として来日して、「ドン・カルロ」でもって、日本デビューしてます。

 輝き始めのこちらの、彼女の声は、その魅惑の中低音域は、この頃からその片鱗がうかがえます。
静かな場面での、その歌声は、やはり、とても素敵なものでした。
しかし、強い箇所では、その強音が絶叫のように感じられ、まだそのあまりある声とパワーをコントロールできていないように感じます。
でも、30歳のビンビンの声は、それはそれで魅力で、ピチピチしてますよ。
ことに、ヴェルディがことのほか素晴らしかったです。
それと歌いなれた、フィデリオの迫真性と優しさ。
ゼンタのいっちゃってる感も素敵。

 それとこの音盤の魅力は、ウィーンのオケと、それを指揮する懐かしい名前、クアドリさん。
日本によくオペラを振りに来てましたね。
東京フィルにも再三登場。
雰囲気豊かなオーケストラは、やはり、オケピットの響きがしますし、この頃のデッカの強力録音陣は、豪華な音がします。
そう、エリック・スミスとゴードン・パリーの名前がクレジットされてますよ。
ショルティのリングの頃ですからね。

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         (バイロイトでのエヴァ:1968)

デイム・グィネス・ジョーンズの声に、若い力をいただいたような思いです。
78歳を迎える彼女、いつまでも元気でいて欲しいです!

最後に、ゴージャス恵比寿を1枚。

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2014年5月 1日 (木)

プッチーニ 「わたしのお父さん」 ネトレプコ&アバド

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雨にぬれた、椿の花。

先週のことですが、まだ頑張って、咲いてました。

この花が、ぼとん、と落ちてしまうのも、儚いですな。

「椿姫」を思うのは、オペラ好き、クラシック好きなわけですが、何度も書きますが、そもそも、「椿姫」なんて名前は日本だけ。
そうした方が、通名のようになっているから、いいのだけれども。

原題の「ラ・トラヴィアータ」という意味は、「道を踏み外した女」ということで、まさに、イタイ女、ということになって、日本語にすると、ちょっと議論を呼んでしまうことになる訳で、わたくしは、「椿姫」でなく、その意も不明にさせる語感の良さがある、「トラヴィアータ」と呼ぶようにしてますよ。

イタイ女性が、純なる愛に目覚め、幸福をつかむけれど、しかし、愛するがゆえに、自ら身を引いて、やがて病魔に倒れる・・・・。

そんな儚く、けなげな女性の物語なのだから、「椿姫」でよかったのかもしれないのに、原題が痛々しすぎる・・・。

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  プッチーニ 「ジャンニ・スキッキ」~わたしのお父さん

      ラウレッタ:アンナ・ネトレプコ

   クラウディオ・アバド指揮 マーラー・チェンバー・オーケストラ

                         (2004.2・3 @フェラーラ)


こちらは、イタイ女性じゃなくて、恋人も大好き、お父さんも大好きの可愛い娘。

トラヴィアータのヴィオレッタは、もっと大人で、気配りも豊か、超おバカな義父の説得を配慮して自らが、埃をかぶった。

ジャンニ・スキッキのひとり娘、ラウレッタは、もっと娘々していて、思いきり、お父さんに甘えて、甘えまくって、恋人を公認させてしまう。

もう恋人世代じゃ、とっくになくなったワタクシは、どっちの父親にもなりうる存在であり、立場となりました。

父親は、トラヴィアータのジェルモンにも、ジャンニ・スキッキにも、なりうる、そんな単純な存在なんです。
母親の、絶対性には、父は常になれないものなのですな・・・。

前置き長すぎの、本日のこの愛らしいプッチーニのアリアは、ほんの3分くらいの曲ですが、シンプルでかつ、この短いなかに、思いきり娘の思いが詰まっていて、いつでも泣かせてくれます。

そして、本日のこの演奏は、クラウディオ・アバドが正規に残した、唯一のプッチーニなのです。
パヴァロッティと「トスカ」の一節をライブで演奏した記録がありますし、わたくしもその音源は持ってますが、DGのちゃんとした録音はこれが唯一かもです。(たぶん)

ネトレプコの声は、ちょっとおネイサン入りすぎで、カワユサや、蠱惑感は薄目。
でも生真面目ななかの一図さが、とてもよろしくて、アバドのかっちりした指揮にも合ってます。

アバドが、ヴェルディはさかんに指揮したけれど、プッチーニだけは、指揮しようとしなかった。
インタビュー記事で読んだことがあるエピソードですが、「マノン・レスコー」を指揮する寸前にまでなったことがあると。
 その時は、同時に「ペレアスとメリザンド」が、舞いこんできて、そちらを優先させたとのこと。
ヴェルディは、きっと、イタリア人として血のたぎるところがあったけれど、プッチーニには、マーラーに共感はできても、コスモポリタンとしての、イタリアの魂に火を着けてくれる存在ではなかったのでありましょう。

いいんです、マエストロ・クラウディオ。
ワタクシが、その分、プッチーニが大好きで、そのすべてを聴き倒してますから。
この、「私のお父さん」だけでも、残してくれたことに、感謝です。

娘が、数年のうちに結婚することがあれば、わたくしは、自ら、この演奏を流したいと思います。
きっと、泣いちゃうんだろな。

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過去記事

 「アンナ・ネトレプコ アリア集 アバド指揮」

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2013年12月26日 (木)

スウェーデン歌曲集 フォン・オッター

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日本のクリスマスは、終わってしまいましたが、わたしの中では、新年を迎えるまでは、その気分。
あんなに街をキラキラと飾ったツリーも、昨日の夜中から朝ににかけて、みんな撤去。
電飾屋さんや、装飾屋さんは、さぞかし大変であったことでしょう。

せっかくなのに、もったいない。

ツリーはともかく、冬の間中だけでも飾って欲しいな。

新宿のこちらは、まだしばらく見れますよ。

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 「Wings in the Night」 ~スウェーデン歌曲集

         Ms:アンネ・ゾフィー・オッター

         Pf:ベンクト・フォシュベリ

                (1995.9 @ストックホルム)


 
 スウェーデンの西欧でいうところの、後期ロマン派から世紀末にあたる頃の、作曲家たちの歌曲。

  
 ショグレン        (1953~1918)

 
 
 ペッタション=ペリエル(1867~1942)

 ステンハンマル     (1871~1927)

  アルヴェーン      (1872~1960)

 コック           (1879~1919)

 ラングストレム     (1884~1947)


ちょうど、マーラーの晩年、シェーンベルクやR・シュトラウス、プッチーニたちの時代。

スウェーデンには、メジャーな大物作曲家はおりませんが、かの国は歌の国でもあります。

優秀な合唱団があるし、大歌手たちもたくさん輩出、ビョルリンク、スヴァンホルム、ゲッタ、ニルソン、リゲンツァ、シュティメ等々。
なんといっても、ドラマティック・ソプラノを輩出。

あと、歌でいえば、アバですね!

そして、いま、最も充実している、スェーデン出身の歌手といえば、アンネ・ゾフィー・オッター。
ストックホルム生まれのメゾソプラノです。

1980年頃から、ずっと第一線で活躍。オペラもリートも、古楽から現代音楽まで、その活躍の場もレパートリーも広大です。

柔軟で、クセのない歌声は、常に嫌味がなく、クリアにすぎる場面もあって、さらりとしすぎた淡泊感じも与えることがかつてはあったように思う。
いまは、声に艶と深みが出てきて、昨年のアバドとの「大地の歌」では、情のこもった、とても味わい深い名唱となっておりました。
これからの彼女、バッハを多く歌って欲しいものです。

95年に地元で録音された、このスウェーデン歌曲集では、まさにすっきりと、おいしい天然水のような、穢れない純白の歌唱を数々聴かせてくれます。

加えて、これら31曲のリートたちが、いずれも北欧らしい、しっくりと爽やかな歌ばかりなので、オッターのクリアボイスがよけいに引き立ちます。

いずれも、いい曲、素敵な歌ばかりなのですが、6人の歌の中から、自分的に気に入った曲は、ペッタション=ペリエルの「天の星のように」~静かに淡々と夜空の星を歌う美しい音楽、同じペリエルの楽しい「ボリエビー=ワルツ」、ラングストレムの神秘的な「パーン神」、美しい「夜への祈り」。
初聴きの名前の作曲家コックの「春宵の雨」はピアノがまるでドビュッシーのようでした。
メロディスト、アルヴェーンの「森は眠る」は、かなりロマンティック。
いかにも北欧のムード漂う、ショグレンの「谷や丘の上を飛んでみたい」。

厳しい冬を終え、束の間の春や夏を思う詩が多いのも、北欧の国、スウェーデンならでは。

スウェーデンといえば、家具の世界チェーン、IKEAだけど、北欧家具ということでお洒落なわけだけど、工場は中国だもんね。
あとは、H&Mもそう。
こうした世界チェーンを造り上げるのも、スウェーデンはお得意。
IKEAとは、ちょっとお付き合いがあるけれど、本国の指示が厳しくて、なかなか頑固なものです。日本流に染まろうとしないところが逆に魅力なのかも。
昔、日本上陸して失敗して撤退。
2度目の正直は、いまのところ成功のようですね。
レストラン部門の売上がなんでも日本は他国に比べて高いらしいですよ。

今年もあと5日。
都心は、心なしか、人が少なくなってきた感じです。

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こちらも新宿で発見。

まさに北欧の歌姫みたいでしょ。

 

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2013年3月 9日 (土)

R・シュトラウス 歌曲集 サヴァリッシュ

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横浜元町でみつけた花のツリー。

もうセールも終わり、この花のイルミはなくなってしまったかもしれません。

ウォルフガンク・サヴァリッシュの追悼と、あの震災から2年という節目への思いを込めて。

ピアノの名手でもあったサヴァリッシュは、室内楽にリートに、演奏会でも録音でも、精力的に活動しておりました。
オペラハウスの総監督をしていて、勉強も含めて、どうしてそんな時間が作れたか。
これはもう、われわれ凡人の及ぶところではありませんね。

いずれも、サヴァリッシュがピアノ伴奏をしたR・シュトラウスを聴きます。

ずっと以前からの愛聴盤。気がついたらみんなサヴァリッシュがピアノを弾いていた。

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  R・シュトラウス    歌曲集

      ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

              (1981.10 @ミュンヘン、83.9@ベルリン)


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  R・シュトラウス    歌曲集

       ヘルマン・プライ

              (1972.11 @ミュンヘン)


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   R・シュトラウス    歌曲集

       ルチア・ポップ

              (1984.9 @kloster seeon)


3枚のCDに共通する曲は、作品番号10の、「なにも」と「夜」。

シュトラウス18歳の若い作品の「なにも」は、女性賛美の朗らかな歌。
同じ時期の「夜」では、夜と森。ドイツならではのしじまを感じるロマンティッシュな作品。

明るい明晰な声と、言葉の意味合いの歌いだしの素晴らしさがフィッシャー=ディースカウ。

同じ明るい声でも、言葉への思い入れがもっと伸びやかで、近くにいつもいるお兄さん的な安心感のあるプライ。

蠱惑的なまでに、魅惑の声のポップは、微細な揺れ具合が抜群に愛おしい。
この方の声も、隣に住む気の置けないお姉さん声だった。

これら、わたしたちにとって、お馴染みで、いまや懐かしい歌声たちのピアノ伴奏を、名手サヴァリッシュは、その声を100パーセント理解したうえで、つかず離れず、巧みな在り方でもって、歌を引き立て、そしてシュトラウスならではの地中海的なクリアーさでもってもりたてています。

ほかの曲では、二人に共通して収録される曲で、あとこっちがあれば・・というような思いを抱く名唱・名曲があります。

FDとポップによる「帰郷」は、恋と故郷という懐かしい思いを感じさせてくれます。

シュトラウスの歌曲の中でも、もっとも好きな「明日には」~「Morgen」。
ここでは、プライとFDのふたりの素敵なバリトンで聴くことができます。

  そして、明日には太陽は再び輝き出るだろう

  そして僕の歩んでいく道すがら

  太陽は再びあの人に会わせ、幸せにしてくれるだろう

  日の光りを一杯に浴びている、この大地で

  そして、広々とした青い波の打ち寄せる岸辺に

  ぼくたちは静かに、ゆっくりと近づいてゆくだろう

  そして僕たちは黙って、目を見交わし合うだろう

  そのとき沈黙の密やかな幸せがぼくたちを包んでくれる・・・・。

               (ジョン・ヘンリー・マッケイ)


ここでも、耽美的なまでのピアノには、ほとほと参ってしまいます。
シュトラウスが描く世界は、ピアノ1台でも、極めて甘味でして、オペラの世界に通じるものです。
プライとFD、どちらも青春の切ないひとこまの、その一瞬を見事にとらえております。
切ないまでの美しさです。
願わくは、ポップの歌声でも聴きたかった。

同じく、ピアノのアルペッジョが魅惑的な「セレナーデ」は、これもFDとプライ。

有名な「献呈」は、わたしも歌いたいくらいの素敵な歌曲。
シューマンと並んで、大好きな歌曲を、ここでは真摯なプライと可愛いポップの歌で聴けます。サヴァリッシュのピアノは、ドラマティックかつ、オペラの一節のようです。

ほかにも、「万霊節」、「君を愛す」、「子守唄」、「ひどい嵐」などなど、伸びやかで屈託のない明るいR・シュトラウスの歌曲の魅力が味わえる名唱がそれぞれに味わえる3枚のCDなのでした。

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2013年1月16日 (水)

カーティア・リッチャレッリ アリア集

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お正月の時分の菜の花。

雪とその後の寒さでもって満開には足踏みでしょうが、2月の半ばくらいまで楽しめます

願わくは、ここにずっととどまって、一日の変化、季節の変化を楽しんでみたい。

そう、住んじゃいたい。

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  カーティア・リッチャレッリ in recital

         ベルリーニ 「カプレーティとモンテッキ」

    ドニゼッティ 「アンナ・ボレーナ」

            「ルクレツィア・ボルジア」

    ヴェルディ  「海賊」

             「運命の力」

    プッチーニ  「トスカ」

             「蝶々夫人」

    カタラーニ  「ラ・ワリー」

    チレーア   「アドリアーナ・ルクヴルール」

        ソプラノ:カーティア・リッチャレッリ

     ブルーノ・アマドゥッチ指揮 スイス・イタリア語放送管弦楽団

                     (1979,80 @ルガーノ)


リッチャレッリは、イタリアの生粋のソプラノで、1946年生まれ。

このところ名前は聴きませんが、まだ活躍中でしょうか。

声域はリリコ・スピント。スコットやフレーニがリリコからスタートして、徐々に声に力を加えていってスピントとなったのと違い、彼女は20代でデビューしたときからその実力を嘱望され、ドラマティックなロールもこなす逸材だったと記憶します。
デビューは、これも記憶の中ですが、「修道女アンジェリカ」とドミンゴと共演した二重唱、そしてガヴァッツェーニ指揮によるアリア集。
若くて美人で、まずはビジュアルからして、当時、重量系が多かったオペラ界に新風と嫉妬を巻き起こしたものです。
73年頃でしたでしょうか。
同時にデビューした、マリア・キアーラもビジュアルと歌の実力でも負けていなかったのに、ちょっと出遅れてしまったのも、レコード会社の戦略のせいだったと思ってる。

ともかくRCAが力を入れたリッチャレッリは、アバド、カラヤン、マゼール、デイヴィスら、そうそうたる指揮者に起用され、メジャーレーベルに次々に登場していった。
その多くは、ドラマティックな役柄だったけれど、でも彼女の本領は先輩と同じくリリコであったのではないでしょうか。
アバドやカラヤンはあえて、そうした歌手の選択をして、内面重視のオペラ造りをしたので、彼女も映えたし、その声が生きました。
でも、トゥーランドットはキツイなぁ・・・・

リッチャレッリを唯一聴けたのは、1976年のNHKのイタリアオペラの「シモン・ボッカネグラ」のマリア。
「シモン」が大好きなので、何度もその時のことは書いてます→「シモン」

ぽっちゃり度を少し加えつつあった彼女は、当時カレーラスとうわさもあって、一番輝いていたときだったかもしれない。

今日の音源は、79と80年のルガーノの春の演奏会からのライブで、録音状態もとびきりよく、リッチャレッリの全盛期の歌声を存分に楽しめました。
耳をくすぐるあざとさまで感じる歌い回しでもあるが、たぐいまれな美声と、低音にかけての振い付きたくなるような魅力と、対極にある艶のある鮮やか高音。
わたしの嗜好ゆえかもしれませんが、プッチーニ以降の作品での心惑わせる歌い口に、思わずホロリとされました。
イタリア語の語感も、とくにヴェルディにおいては美しく流麗で、耳が、そして心も洗われるような感銘を受けました。

こうしてつくづく聴いていると、人の声、歌手はいいです。
オケや楽器でも、その楽団や人、固有の音色があるのですが、歌手の声は歴然と判別できて、こうして往年の歌声を聴くと、自分が聴いて日々過ごしてきた過去が、その声でもって呼びさまされる思いがするのですよ。
最近の歌手たちは、いいと思って聴いていながら、実は名前も覚えられなくて、頭のなかで右から左。
自分の受容範囲も狭まってしまい、焦燥の念を抱きます。
でも、かつて聴き、親しんだ歌声を聴くとホッとして、そんな思いも救われた気がします。
明日はまた、どう思うかわかりませんが・・・・。

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2013年1月 2日 (水)

ヴェルディ 「ラ・トラヴィアータ」 ああ、そはかの人か デセイ

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銀座7丁目あたりのブルガリ。

まぁなんてゴージャスなんでしょう。

ことしの干支がビルを這ってますよ。

暮れに撮影しましたが、この交差点ではたくさんの人が撮影しておりました。

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  ヴェルディ 「ラ・トラヴィアータ」~ヴィオレッタのアリア
 

       「ああ、そはかのひとか~花から花へ」


        ヴィオレッタ:ナタリー・デセイ

        アルフレート:ローベルト・アラーニャ

    エヴェリーノ・ピド指揮 コンチェルト・ケルン

                      (2007.9 @ケルン)


ドイツのワーグナーと並ぶ、イタリアのオペラの大家ヴェルディ(1813~1901)。

今年生誕200年です。

オペラ作曲家として、その劇作品は26。

その作風と素材選びは年代とともに変化し、初期・中期・後期と大別できるヴェルディの創作スタイルを際立たせております。

そのあたりは、過去の記事でも何度もふれておりますが、アニバーサリーの今年、その記事も多くなるでしょうから大局的に触れていきたいとおもってます。

「ラ・トラヴィアータ」とは、「道を踏み外した女」の意で、オペラの原作、デュマの「椿姫」のタイトルとはまったく異なる意味であり、日本だけがずっとこの「椿姫」と呼んで夢見るような幻影をこのオペラに抱いてきたような気がする。
われわれ日本人にとって、花や草木の風物は思い入れ久しいものゆえ、「椿姫」という、いかにも儚いタイトルは、オペラのイメージとして定着しやすいものであったがゆえでしょうか。
もちろん、「椿姫」のタイトルのもと、これからも上演されることに異はありませんが、「トラヴィアータ」という言葉の持つ背景を理解したうえで接することも、このヴェルディのオペラの在り方を理解する大事なことにつながるでしょう。
オペラ演出もこのあたりを強めた、これまでの無難な演出から大きく踏み出した解釈がいまの主流になってきました。

ヴェルディが愛した女性が、父親の異なる子供を宿し、育てていた。
カトリック界では、もしかしたらあってしまうかもしれない。
妻泣きヴェルデイが愛した女性、その自分への戒めもあって、選んだこの「トラヴィアータ」の素材。

パリの高級娼婦が、純真熱情の青年との愛に目覚め、やがて身を引き、病で死んでゆく物語。
おバカなお金持ちの息子がまぶしい。
そして、権威をかさに着たその親父が鬱陶しい。
儚いヴィオレッタが愛おしい。

映画のようなドラマに、ヴェルディは、とてつもなく美しい旋律をつけました。

デセイの言葉の機微を完璧に歌い尽くしつつ、いたわしいほどの感情移入をみせる歌唱。
でも繊細で透明な歌声は、白痴美的な美しさを醸し出す。
この無意識かつ意識的な女優的な歌唱は、憎らしくも愛らしいのです。

あとここは、贅沢にも、ほんのチョイ役で、輝けるアラーニャ様ですよ。

ワーグナーに続き宣誓sign01

今年は、ヴェルディの全オペラを制覇します。・・・(?)

音源が確保できる前提で。

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2012年10月21日 (日)

「NOUVEAU MONDE」 パトリシア・プティボン

Asakusa_2

浅草の吾妻橋のたもとから。

アサヒビールのあれと、スカイツリーとお月さんを。

ゴージャスな墨田区役所も。

だいたいに、どうして行政区の建物は、このように超立派なのでしょうか。

都内の区はほとんどそうで、高層ビル化もしてるし、地方は地方で空虚なほどの庁舎が忽然とそびえております。

公僕っていってはいけないのかしら、いまは、やたらと腰がひくく丁寧になったお役所の皆さん。
仕事がら制服を来たや○ざみたいな方々と接するもとも多々ありましたが、いずれにしても、明日をも知れぬ中小・民間の人間との立ち位置の違いは巨大であります。
こうしたゴージャス庁舎に行くと、売店もあるし、なによりも食堂があって、一般人も、ばかみたいに安く食事ができるんですよね。それこそ、ばからしくなっちまいます。

あ、もうこのへんでやめときましょう。

スカイツリーを核としたこのナイトビューをついに撮ることができました。

甘味なる光景におもいましたね。

社会人になりたて、ここには、由緒正しいアサヒビアホールがありました。

Petibon_nouveau_monde

  「NOUVEAU MONDE」~ヌーヴェル・モンド 新しい世界

         S:パトリシア・プティボン

    アンドレーア・マルコン 指揮 ラ・チェトラ

                  (2012.2 @バーゼル)


わたくしのアイドル歌手、パトリシア・プティボンの新作が出ました。

年一回、だいたいこの時期に発表されるプティボンのCDは、毎回、異なる知的なテーマを掲げ、彼女の魅力を全開したユニークな歌唱とあまり聴くことのできない選曲でもってサプライズを与えてくれるんだ。
 それはもう、ビジュアル系のアーティストが繰り広げる、通常名曲のありふれ演奏とはまったく次元を異にする本格ぶり。
オペラアリア集から卒業してしまったプティボンは、もう自身がアクターであり、オペラの登場人物の域を超えてしまった存在なのかもしれません。
 ですから彼女の歌は音盤にはなかなか入りきれません。
プティボンが年一作、考え抜いて作り上げたCDは、それこそ彼女の魅力が凝縮された、彼女の舞台やオペラ映像にも匹敵するような濃密な出来栄えとなっているんです。

DGの専属となってから安定的に録音されるようになったこうした音盤ですが、理解しがたいことに、日本のユニバーサルミュージックは、昨年の「メランコリア」の国内発売を今にいたるまでしておりません。
来年、もしかしたら実現するプティボンの来日まで温存する気なのでしょうか。
リセウの「ルル」も同様。
完全に、プティボンをビジュアル系アイドル路線で売りこもうという目論見が、実は、驚ろくほどの本格路線に販売路線を見出せぬままになってしまったのが真相なのでしょうかね。
まったく、ばかやろうで、腹のたつ話ですよ。

もちろん、ファンとしては輸入盤をすぐさま手にして、彼女の進化ぶりを堪能しておりますゆえ、国内盤の有無は関係ありませぬが・・・・・・。

 1.ホセ・デ・ネブラ サルスエラ 「Vendado es amor, no es ciego」
 2.アンリ・ル・バイイ  「私は狂気」
 3.古謡     「マルティネス写本」より
   「Cachua a voz y bajo Al Nacimiento de Christo Niestro Senor」
 4.ホセ・デ・ネブラ サルスエラ 「Vendado es amor, no es ciego」
 5.パーセル  「ダイドーとエーネアス」~
                  「わたしが地中に横たえられたとき」
 6.ラモー    「優雅なインドの国々」~未開の人々のダンス
 7.ヘンデル カンタータ「決して心変わりしない」
                (スペイン・カンタータ)HWV.140より
 8.古謡     「マルティネス写本」より
         「Tonada la lata a voz y bajo para bailar cantando」
 9.作者不詳  「わが愛は遠くなりけり」
10.古謡     「マルティネス写本」より トナーダ「コンゴ」
11.シャルパンティエ   「何も恐れずこの森に」  
12.シャルパンティエ   「メデア」~3つの場面
13.古謡     「グリーンスリーヴス」
14.古謡     「I saw the wolf」
15.ラモー    「優雅なインドの国々」 寛大なトルコ人~エミリーの歌
16.パーセル  「アーサー王」~「もっとも美しい島」


以上、15の作品、全部で18トラックの多彩なるプティボンのめくるめく歌の世界。

「新世界」とタイトルされたこの内容は、ラテン・アメリカのバロック期の音楽と、それらにまつわる欧バロック作品を集めたもの。
古くは、ヨーロッパ中心から見た場合、ほかの国々はみんな新世界だったというのも乱暴な言い方だけれども、よくまぁ、こうした曲を集めてきたのもだと思います。
今回の2度目の共演マルコンの手腕にもよるところも大きいとも思われる。

それにしてもなんというバラエティの豊かさであろうか。

曲の配列のバラバラなようでいて、サルスエラ、伝承古謡、英仏のバロックオペラと巧みに配置していて、単に異国情緒を追いもとめただけの単純な選曲ではなく、かの地へよせる憧れや、隷属者の悲しみなどがプティボンの抜群の表現力でもって歌い込まれているから次々に飽きがこず、サプライズの連続でありました。
 概して欧州作者による異国への想いは、悲哀も美しいが、現地伝承やサルスエラなどのリアルで皮相的な悲しみの方が妙に明るかったりしてプティボンの明るい歌声が映える。

はまるでハイドンかモーツァルトみたいな古典のオペラみたいで、弾むリズムが楽しい。
②パーカションと南米ハープやギターが雰囲気ありありのサッドソングは、プティボンの超高音域が耳にビンビン響きます。
こちらも涼やかなハープとケーナを思わせる笛がこれまた情緒たっぷり。だんだんとアッチェランドしてって熱くなりますが最後は静かに終了。酒が飲める歌。
カスタネットも高鳴るムンムンする雰囲気に、プティボンのスペイン語の色気を感じます。
南米ムード満点のところに、高名なるパーセルのオペラから高貴なる悲しみに満ちたアリアが始まるともう、聴き手は次ぎの次元に。
こんな風にガラリと雰囲気が変わってしまう変幻ぶりはプティボンならでは。
涙の雫さえ感じるしっとりとした歌唱に聴き惚れます。
すると今度は、これもまたクリスティ&プティボンで有名になったラモーの軽快で特徴的なダンス。あの映像を思いだしつつ体が動いてしまう。
初めて聴いたヘンデルのこの曲。ここではカスタネットにテオルボが伴奏して、本当にヘンデル?と思ってしまう。歌唱もスペイン語。
ギターにドラム、ベース、ケーナとまたもや異次元に。
ルネサンス音楽をも思わせる不可思議サウンドに、プティボンの面白歌唱。
コンゴから連れてこられた奴隷の悲しくもユーモアある歌、プティボンのコンゴー!の威勢のいい掛け声がアクセント。
シャルパンティエの歌は、明るくユーモア一杯。そして溜息が色っぽいです、はい。
オペラの3つの場面では、共演者も登場して本格的。
抒情的なシャルパンティエの音楽が楽しめます。
まさかのグリーンスリーヴス。イングランド民謡なのに、何故に。
この女性の悲しみは、ここでは娼婦ともいわれますゆえ、プティボンはここで取りあげたかったのでしょうか。古雅な雰囲気でしんみりします。
わりと有名な「狼を見たよ」、⑨と似た雰囲気の楽しい曲でノリノリですよ。
もう一度ラモー。ここでは船に乗り異国から出国する主人公。囚われの身の悲しみです。嵐吹き荒れる情熱歌唱に感激です。
パーセルの有名なアリア。島(ブリテン島)を讃えるヴィーナスの歌。
高貴で麗しいパトリシアの歌唱は、清楚でとても感動的。
旅の最後を締めくくるに相応しい曲に歌いぶりです。

聡明な彼女、レパートリーを重たいものへと徐々に広げつつあって、ちょっと心配なところで、従来の羽毛のような軽やかさが少し後退したかな・・・と思うところもあります。
しかし、歌のうまさと心くすぐる甘味さとキュートな声はまだまだ健在。
思えば、いつもいろんな彼女の局面を見せつけられ、その都度驚嘆し、魅惑されているわけで、次はまた何をやってくれるかと楽しみになります。
 そして、そろそろオペラアリア集を所望したいところです。

DGサイトより、プロモーションビデオ

Petibon1

プティボンのソロCD

Petibon2

その2

下から順に新しくなります。
こうして、ますます個性的に、幅広い個性が際立つパトリシア・プティボンでありました。

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2012年6月 8日 (金)

レオンタイン・プライス プッチーニ&R・シュトラウス

Tokyotower

東京タワーをその足元から。

暮れる前の空と、オレンジが美しい。

「ALWAYS 3丁目の夕日」の世界は、ワタシが生まれた頃。

2作目の64年バージョンは、東京オリンピックの年。

高度成長に入った日本が、上を向いて走り始めた頃。
覚えてますよ、あのオリンピック。
競技の内容じゃなくて、あのファンファーレ!
カッコよかった。
そして、各国の国旗を集めました。
純心で、なにもかもが新しく、前向きに進んでいった頃でした・・・・。

Leonttne_price

いやだなぁ、このジャケット。

いったいどういう趣味なんでしょう・・・・。

RCAの、少し前に出ていたこの2CDのシリーズは、みんなこうだ。最低のジャケット。

でも、ここに収められたCD2枚は、わたしの最大フェイバリット作曲家、プッチーニR・シュトラウスのヒロインのアリアやモノローグがたっぷりと収めらていて、あまりにも好きな曲ばかりだから、これまで何度聴いたことかわからない。

ここで歌うは、往年の大ソプラノの一人と言ってもいいかもしれない、レオンタイン・プライス

プライスは1927年、ミシシッピー州の生れ。
父は製材所勤務、母は助産婦で、教会の合唱団でもあった。
そんな両親のもと、ピアノを習い、そして母のように教会で歌い、コーチも受けて合唱のなかでも頭角をあらわし、やがて学生時代の1952年に校内のオペラ(ファルスタッフ)でオペラデビュー。
ダラスで同年、「ポギーとベス」に出演して、オペラ歌手としてのキャリアを踏み出した。

 その後アメリカ国内で着々と地歩を築き、1956年、渡米中のカラヤンのオーディションを受けて(このときはサロメ)、1958年にウィーンでアイーダをカラヤンのもとで歌ってヨーロッパデビュー。
その後の、カラヤンやショルティ、ラインスドルフとの共演・録音。
もっとも成功した黒人ソプラノとして、燦然と輝く記録が数々残されております。

1985年に引退するまで、最盛期を過ぎても、思わぬところに登場して、プライスの名を残しておりました。
かつて共演した指揮者やプロデューサーたちは、彼女のゴージャスで、グローリアスな歌声が忘れえなったのでしょう。

CD1 プッチーニ

 1.「蝶々夫人」~「ある晴れた日に」「さよなら愛しの坊や」
 2.「トスカ」~「恋に生き歌に生き」
 3.「マノン・レスコー」~「晴れやかに着飾っても」「一人さびしく」
 4.「トゥーランドット」~「お聞きください」「氷のような姫君の心も」
 5.「修道女アンジェリカ」~「母もなく」
 6.「ラ・ロンディーヌ」~「ドレッタの夢」ほか
 7.「ラ・ボエーム」~「さよなら、あなたの愛の声に」
 8.「蝶々夫人」~「二重唱」 R・タッカー
 9.「マノン・レスコー」~4幕二重唱 P・ドミンゴ
10.「蝶々夫人」~花の二重唱 M・ホーン


    オリヴィエロ・デ・ファブリティース、エドワーズ・ダウンズ
    フランチェスコ・モリナーリ・プラデッリ、ジェイムズ・レヴァイン
    エーリヒ・ラインスドルフ

    ニュー・フィルハーモニア管弦楽団、ロンドン交響楽団、
    RCAイタリアオペラ管弦楽団、メトロポリタン歌劇場管弦楽団


CD2 R・シュトラウス

 1.「ナクソスのアリアドネ」~アリアドネのモノローグ
 
 2.「エジプトのヘレナ」~ヘレナのモノローグ
 3.「サロメ」~終幕の場面
 4.「影のない女」~皇后のモノローグ
 5.「ばらの騎士」~マルシャリンのモノローグ
 6.「グンドラム」~フライヒルトのモノローグ
 7.歌曲「万霊節」、「高鳴る胸」、「親しき幻(5つの歌曲)」
      「どうやって秘密にしておけるでしょう」

    ファウスト・クレーヴァ指揮   ロンドン交響楽団(アリアドネ)
    エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ボストン交響楽団(サロメ)
        〃             ニュー・フルハーモニア管弦楽団
    ダヴィッド・ガーヴェイ:ピアノ

プッチーニ
(1858~1924)とR・シュトラウス(1864~1949)は、ほぼ同世代のイタリアとドイツのオペラ作曲家。
こうして並べてみると同世代なことに驚きますでしょう。
プッチーニはイタリアオペラ界では、偉大なヴェルディの後継者となったし、R・シュトラウスは、同じく大ワーグナーの後継者。
イタリアとドイツを代表する後期ロマン派・世紀末の作曲家であります。

そして、もうひとり。
それは、マーラーです。
1860~1911年の生没年は、これらの伊独のオペラ作曲家にまったくかぶる存在なのです。
交響曲におけるマーラーの存在は、シュトラウスとプッチーニを刺激したかもしれないし、なによりもオペラ指揮者としてのマーラーは、特にシュトラウスとの結びつきが強い。

3人の作曲家は、ともにメロディストであり、自己耽溺型のロマンティストで、聴く側を陶酔の淵に魅惑してならない甘味さにも欠きません。
でもそうした表面的な魅惑以上に、大胆で斬新なオーケストレーションがあります。
緻密で繊細な響きから、不協和音が鳴り渡る大音響までのレンジの広さは、近代オーケストラを聴く喜びにほかなりません。

マーラーは、交響曲という形式に、自己の複雑多岐な思いや大自然を封じ込めて、それはもうオペラの劇世界にも足を踏み入れていたわけだけれど、プッチーニは、完璧なオペラ作曲家。
自己の厳しい目で厳選したドラマがあって、そして、自分の愛するソプラノ=女性のキャラクターがあって、そこに音楽が生まれる。
R・シュトラウスは、オーケストラは散々に極め尽くしたあげくのオペラの世界。
現実から遠い神話や、歴史絵巻があって、そこに思い思いの女性の心情を鮮やかに載せていき、自在な音楽をつけていった。

三様のドラマと音楽とのかかわりを強く感じますし、ワーグナー・ヴェルディ以降のこの3人の音楽が、いまさらながら愛おしく思い次第です。

レオンタイン・プライスの歌は、プッチーニもシュトラウスもいずれも毅然としていて、風格がたっぷり。
そして、どこか危ないきわどいくらいのがけっぷちの必死の歌いぶりに、聴くこちら側も乗せられてしまい、ドキドキすることとなります。
ドラマティックという一言では片付けられない刹那的な雰囲気を感じるのが、プライスの歌のすご味なんです。
やはり、プッチーニが場数を踏んだ抜群の表現力に満ちてまして、蝶々さんやマノン・レスコーは極めて素晴らしいです。
そして私の大好きな、「ロンディーヌ(つばめ)」なんかもう、そのハスキーな歌声に振い付きたくなるような魅力を感じましたよ。

対するR・シュトラウスは、渋いところが並んでます。
アリアドネは、ショルティ盤でも歌ってますが、これは評論家諸氏のご指摘のとおり、ドスが効きすぎで、この音楽の持つ地中海的な透明感や軽やかさが後退しすぎ。
J・ノーマンのアリアドネ、しいてはシュトラウスにも、わたしはそう感じてしまいます。
でも難役エジプトのヘレナの神々しさと真っすぐの歌声はバッチリですし、皇后も同じく凛々しいのです。
あとはなんといっても「サロメ」のド迫力と退廃感は、ラインスドルフ&ボストンというバックを得て、素晴らしいものがありましたね。

プッチーニとR・シュトラウスの音楽の同質性と異質性を、ひとりの大ソプラノでもって味わえる、素晴らしい2枚組。
いやなジャケットには目をつぶりましょう。

Shiba_park_2

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2012年6月 7日 (木)

I wish it so ドーン・アップショー

Rugne_1

琥珀色に身も心も酔ってしまった、ワタクシさまよえるクラヲタ。

久方ぶりに大阪へ。

今回は1泊のみだったので、大阪の音楽仲間の方々には声掛けできませんで残念でした。

ミナミで飲みました。

こちらは3軒目の、「PUBBAR IVROGNE」というバーでして、アイラモルトのボウモア。

なんば駅にも近い4丁目エリアは、かつてはちょっと怪しい雰囲気だったと聞きますがね、いまは個性的な、それも小さなお店が並ぶグルメエリアみたい。
どの店も、お客さんで一杯。

Upshaw

     I wish it so

          ドーン・アップショー  ソプラノ

        マイケル・スターン   ピアノ

わたしのお気に入りの1枚。

アメリカのソプラノ、ドーン・アップショーが歌う、アメリカのブロードウェイ・ソングブック。

アップショーは、ジンマン指揮するグレツキの「悲歌のシンフォニー」でブレイクしたリリックソプラノで、モーツァルトのスーブレット系の諸役やR・シュトラウスなどでメットを中心に活躍。
多彩で器用な彼女は、ミュージカルやジャズ、現代音楽も歌いこなすんです。

「I wish it so」は、マルク・ブリッツスタイン(1905~1964)が音楽を担当したミュージカル「JUNO」の中の1曲。
戦時のアイルランド、ダブリンに生きた働きもののジュノーの物語。
旦那はワークレスの飲んだくれで、彼女は家族をかいがいしく支えてゆく。

「そうだといいのに・・・・」

毎日、忙しくて、ずっとこんなだわ。心休むときもない、そしてベットにもぐり込むだけ・・・。
もうおかしくなりそう・・・。
そうなればいいに。。。。それは今夜、いや明日かも・・・。

少し哀しくも、どこか希望がある、とっても愛らしくも美しい曲なんです。

アップショーのクセのないクリアボイスはとっても可愛いのです。

疲れて、寝る前に、琥珀色の液体をくゆらせながら聴くのに最高の音楽なんです。

Rugne_2

個性的なバーがふたつ並んでました。

youtubeに、このアップショーの歌がありましたからどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=VDpNJgu7aWE&feature=related

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