東京交響楽団定期演奏会 ヴィオッテイ指揮
サントリーホールまでいつものように新橋から徒歩でのアプローチ。
日陰を選びながら歩きましたが、ホール裏手まで来ると坂も多く正面のアークヒルズでしばし身体を冷やしました。
楽しみだったブラームスとドヴォルザークの素敵なシンフォニー・プログラム。
東京交響楽団 第743回定期演奏会
ブラームス 交響曲第3番 ヘ長調 op.90
ドヴォルザーク 交響曲第7番 ニ短調 op.70
ブラームス ハンガリー舞曲第1番 ト短調
(アンコール曲)
ロレンツォ・ヴィオッテイ指揮 東京交響楽団
コンサートマスター:小林 壱成
(2026.07.18 @サントリーホール)
ありそうでなかったように思えるこの2曲によるプログラム。
ドヴォルザークが影響を受けたブラームス、とりわけ3番の交響曲には大いに触発され、ブラームスもドヴォルザークの才能を認めるという、そんな仲の作曲家による作曲年代もほぼ同じ時期という2曲。
ヴィオッテイはかつて東響で同じドヴォルザークを指揮しているし、各地でも何度も取り上げている得意の曲目。
どちらも譜面台を置かずに暗譜での指揮。
①私のようなオールド・リスナーは名曲全集などの解説本に、ブラームスの英雄交響曲などと書かれていた時代を音楽聴き始め時期として過ごしたのですが、そんなことを一笑に付したくなる、そんな柔和で洗練された演奏だった。
冒頭のモットーは、やわらかく、ふんわりとした感じで扱われスタート。
ここでこの演奏の抒情性を重んじた方向性がわかった。
くり返しはせず、テンポは中庸からゆったりめ。
おおらかに、よく歌い、すみずみまで磨き抜かれた東響の各セクションの音が実に美しい。
この演奏に闘争的な要素はゼロなのだ。
美さは、大好きな2楽章に最大にあらわれ、微笑むような吉野さんのクラリネットを主体とする木管陣の中間色の音色はまさに至福の美さ。
次の3楽章とともに、ヴィオッテイのなかにあるヨーロッパ、その音楽であることも認識できてしまう。
その3楽章は甘くならず、むしろ渋い演奏だったが、ここでもよく歌わせるので音楽が心地よく、ホルンも見事。
アタッカ気味に一瞬の間のみおいて開始した終楽章のダイナミックな展開が、これまでの精妙な美しさとの対比で引立つ。
ここでの情熱的な様相は、次のドヴォルザークにも引き継がれるが、ブラームスの3番の面白さは華やかな大団円でなく、1楽章を回顧しつつ後ろ髪を引かれつつ穏やかに収束していって曲を静かに閉じるところだ。
こうして、柔らかな演奏に徹したヴィオッテイの意図もよくわかったような気がした。
静かな終結に、音が鳴り終わってもホールは静寂に。
この3番の交響曲、すべての楽章が静かに終わる、そんな作品なんです。
ロビーにはこんなパネルが。
②ドヴォルザークは、1楽章から指揮の気合の入れ具合が違って感じ、うしろから見ていても左右に指示が細かくなされていた。
ブラームスの影響下にあるものと、ボヘミア的なもの、そこに情熱のほとばしりがある、そんな交響曲が7番だと思います。
克明ななかにも、ヴィオッテイらしい洗練されたセンスの良さを感じさせる1楽章は、第2主題の展開が牧歌感よりはもっと純音楽的な美しさであり、やや厳しい曲調の第1主題との展開が聴いていてとても面白く、しいてはドヴォルザークの曲作りはすごいな、うめぇもんだなぁと感心する始末で、コーダの追い込みから寂しげな終結まで、ヴィオッテイと東響の息も抜群。
その感心でいうと、ブラームスと同じくこれまた大好きな第2楽章がともかく素晴らしく美しく、ワタクシは涙ぐんでしまうのでした。
竹山さんのフルートが最高でした。
ここにおけるドヴォルザークの調べもまさにヨーロッパ、それも中欧を思わせる音楽。
ヴィオッテイは音楽と一体化したような指揮ぶりで、ときに指揮を止めオーケストラに任せ、自ら聴き入るような様子。
ソロのあったみなさんは、それこそ大変だったでしょうが、このあたりのオケの導き手としての指揮者の存在感やあり方、楽員の主体性を重んじ引き出すようなそんな指揮に、今後続くこのコンビの幸せな結びつきを見た思いだ。
それから、この楽章にチェロとヴィオラの分奏があるのを、何度か演奏会で聴きながら、いまさらながらにわかりました。
メランコリックな3楽章も素敵な演奏で、指揮者のリズム感のよさ、オーケストラの反応の良さを味わう。
そして、いつものように休止はほどんど取らずに緊張感を保ちつつ終楽章へ突入。
ただならない熱気を伴い維持しつつブラームスのときとはまた異なる情熱の吐露。
一転チェロによるステキな旋律の第2主題では、思い切り歌うように大きく両腕を広げ、楽員さんたちもほんと心を込めて演奏しているのがよくわかり、観て聴いて、こちらも心躍る思いだったのだ。
次の展開で打点のよく効いたメリハリ感豊かな追い込みも迫力あり、この楽章の楽想の展開の早さで耳も忙しいが、オーケストラも指揮者の厳しい要求に次々と応えついてゆく。
そして迎えた大団円では大見得切る様子も堂に入っており、その盛り上げ方もごく自然に沸き起こったものと感じ、オーケストラの夢中っぷりもこちらの興奮誘うもの。
この曲の終結でも、ホールはしばしの静寂があり、ヴィオッテイが腕を下ろし、楽員さんも構えを崩したのを見計らっての盛大な拍手とブラボー。
スラブ舞曲でもやらないかな?と真剣に願っていたら、なんとリトル・サプライズと一言で、ハンガリー舞曲。
聴衆のおっ!という声も。
それがまた興奮誘う快速ハンガリーで、息もつかせぬ鮮やかさとオケの超名人芸っぷりをワタクシ、体を揺らすようにして堪能したのであります。
もう大ブラボー大会でございましたよ。
聴き手の心を鷲掴みにしてしまうヴィオッテイ兄貴に参りました。
次はサマーミューザです。
暑いし、熱い演奏になりそう。




















































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