東京交響楽団定期演奏会 ヴァンスカ指揮
いつも楽しみにしているサントリーホールのカラヤン広場の飾り花壇。
季節に応じた花を配したその見事さは、素人にはできない見事さ。
6月に聴くラフマニノフに相応しい紫陽花の色どりです。
東京交響楽団 第741回定期演奏会
ベートーヴェン 交響曲第8番 ヘ長調 op.93
ラフマニノフ 交響曲第2番 ホ短調 op.27
オスモ・ヴァンスカ指揮 東京交響楽団
コンサートマスター:小川ニキティングレブ
(2026.6.13 @サントリーホール)
昨年3月に東響に初客演したオスモ・ヴァンスカ、私もなんどかその機会を図っていた指揮者でしたが、そのときが初ヴァンスカ。
都響とのシベリウスを聴き逃してしまったが、早くも実現した1年後の東響への登場は、その素敵なプログラムとともにおおいに楽しみだった演奏会でした。
昨年夏にノット指揮で聴いたベートーヴェンの8番。
そのときにアクティブで攻めの姿勢に富んだ8番と違い、同じく比較的大きめな編成ながら、ヴァンスカの方はヴィブラートは控えめながらも、おおらかで音もたっぷりと響かせた大人な演奏だった。
東響で聴くベートーヴェンは、この1年間でマルッキの田園、ノットの第8・第9、ヴィオッテイの1番と、そのどれもがまったく異なり、オーケストラのフレキシビリティの高さもわかるわけだが、ベートーヴェンの音楽がそのアプローチの仕方でまったく違って聴こえるということも味わえたことで、会員になっているありがたみも痛感した次第。
ヴァンスカの指揮は、その指示ぶりなどを見ていると、強弱へのこだわりと、旋律線ばかりか内声部を際立たせたりして、オーケストラもそれに瞬時に反応して、聴き慣れた音楽でも息が抜けず、耳に新しい発見を伴わせてくれる。
これは1年前に感じたことだけれど、ベートーヴェンとラフマニノフでは、それがさらに徹底されていた。
たっぷりと鳴り渡った1楽章、正確なリズムを刻みつつも低弦の動きが面白く楽しめたりもした2楽章。
ソロに向かってまるきり指揮していて、きっと緊張したろうなと思いつつも、それに応え見事だった上間さんのホルン。
スピード感あふれつつも、どの楽器もそれぞれに浮きあがるように引立って聴こえた終楽章。
ミネソタ管とのベートーヴェン全集をこれは聴いてみなくては、と思いましたね。
シベリウスやマーラーのCDを聴いてきて思うヴァンスカの音楽造りの緻密さ。
いろんな声部を巧みに響かせ、新鮮な驚きを与えつつも、旋律線は明快に澄んで聴かせる北欧の音楽家ならではの手腕。
こうした印象が、そのままラフマニノフで感じ取ることができた。
これまで数えきれないほど聴いてきたラフマニノフの2番。
プレヴィンとスラトキンは、思い入れが先行したという感情が入り込んだものだったので、それらを別格にして、これまででいちばんの演奏だったと思う。
甘さや旋律に溺れることのない、むしろ渋い演奏。
ゆったりめの運びで克明な演奏に徹した1楽章。
当然にくり返しあり、演奏時間も他音源に比べても長いのではなかったか。
ラフマニノフの音楽は、ヴィオラがとても重要な存在だと思っていて、そのあたりの思いを確信させてくれるように、そのヴィオラとチェロを浮き上がらせるように、よく鳴らしていたし、首席3人を揃え、お馴染みの青木さんがセカンドプルトにいるという豪華版は、ますますヴィオラ陣のしっかりした音に力を与えていたと思う。
久々のコンマス・ニキティンさんもノリノリで、ヴァイオリンを立てるようにして激奏、ヴァイオリン陣は第1も第2も、今宵はともかく熱演で、気持ちよくみなさん弾いているのが拝見できました。
速めにズバズバ進行した2楽章は、おおらかな前の楽章と対比もあざやか。
打楽器も小気味よく、ヴァンスカの指示も各奏者に向け細かに振り分けている。
甘美な旋律に溺れることなく客観性を保ちつつも、しかしラフマニノフの音楽の旋律のよさをとことん味わわせてくれたのが3楽章。
ヌヴーさんの鮮やかだけど、繊細なるクラリネットソロに導かれ、ともかくまんじりとせずに思い切り集中して聴いた。
指揮棒を置いての丁寧な指揮ぶりは、やはりソロ奏者にむけて振るので、当事者はそれこそ大変だなとも思ったが、なにがおこるか毎回わからないノット監督に鍛え上げられた東響はヴァンスカの厳しい指揮に動じることなく、完璧に応えていた。
のめり込むようにして夢中になってしまうこの楽章のクライマックスは、そこに至るまでが着実な積み重ねで浮つきがまったくなく、その流れの必然として頂点が築かれたように感じ、この音楽の真の美しさとラフマニノフが得た自信のようなものまで思いをはせることができた。
ビューティフルなプレヴィンとはまた全然違う精緻な美しさに酔った、涙も出た。
終わらないで欲しいと思った。
カッチリじっくりやるだろうと思った4楽章は、終始熱がこもり、この作品の総決算とも呼ぶべき完全無欠ぶりで興奮誘うものだったのだ。
大好きな第2主題、これはもう指揮者もオケもみんな、ここにむかってやってきたといわんばかりの気持ちいい歌いっぷり。
各章を回顧するシーン、3楽章の振り返りのあと、かなり長く感じられた休止を置いたのが印象的。
聴き手にも間違いなく緊張感が高まったのは事実で、その後から展開される怒涛のフィナーレへと期待とワクワク感が高まりました。
もうあとは、わたくし、指揮者にオーケストラのみなさまにと、きょろきょろしつつ興奮のしっぱなし。
徐々に高まり、ついにあの第2主題が高らかに!
もうダメだ、わなわなしっぱなしの大興奮。
かなりの追い込みをかけたヴァンスカの棒が振り下ろされるや否や大ブラボー大会でした。
ワタクシは慎ましく、一声のみ参加。
いやぁ、素晴らしいラフマニノフが聴けた。
今回ライブ録音されたらよかったが、ヴァンスカさんには、ミネソタ管で正規録音を残して欲しい。
ノットやヴィオッテイとタイプのまったく異なる職人気質でありつつ、オーケストラの力を巧みに引き出すヴァンスカさん。
常連指揮者になって欲しいです。
むかしのふくよかなイメージの強かったヴァンスカさん。
ずいぶんスリムになられました。
また登場して、シベリウスならクレルヴォやレンミンカイネン、プロコフィエフは6番やネフスキーなどをやって欲しい・・・
関東は梅雨本番を迎えます。



















































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