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2005年12月19日 (月)

厳冬のエルガーの交響曲

寒い日が続く。大阪の方が寒く感じたが、さすがに日曜は強風が吹き荒れ、千葉も身も縮む寒さであった。BBC響のライブから、サー・ジョン・プリッチャードの指揮する「エルガーの交響曲第1番」を聴く。

pritchard_ergar プリッチャードという指揮者は、英国人でありながら、あまり自国の音楽を残さなかった人だ。どちらかというと、オペラ指揮者のイメージが強く、ベルカント系やヴェルディのイタリア物やモーツァルト、特にイドメネオ、などを得意にする人とばかり思っていた。残念ながら他にこの人の演奏を聴いたことがなかったので尚更である。

このライブに聴く演奏は、以外やドラマティックであった。温厚なエルガーになりそうだな、と思っていたが、かなりメリハリや緩急がついた、いわばオペラティックな雰囲気さえ漂うものであった。

エルガーの交響曲2曲(3番は余興に思っている)は、私にとって外せないレパートリーで、何枚集めたかわからない。1番の出だし、ゆったりとノーブルな旋律が始まり、繰り返しながら徐々に盛り上がってゆく。この場面でもう、私はジーンとしてしまう。一転して主部はグローリアスな展開になるが、どこか後ろ髪引かれるような過去への追憶のような雰囲気がつきまとう。3楽章の緩徐楽章にいたっては、こわれんばかリのはかなさや哀惜感に、こちらもつらくなってしまう。終楽章の最終場面で、冒頭の主題が力強く再現され、ここにいたって私は感激にむせぶのである。

プリッチャードの演奏は、私がここはこうして欲しいという部分をほぼそのまま再現してくれる。全体に早いテンポで、2楽章が元気すぎるとは思ったが、終楽章最後の決めの場面では思い切りテンポを落として熱くじっくりと歌い上げるものだから、こちらの感動もひとしおであった。この指揮者、もう少し長生きをして、本来本流であったところの、自国音楽をもっと聴かせてほしかったものであるよ。

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コメント

はじめまして。ほんのつい最近ですが、貴ブログを知りました。
エルガーの1番はいいですね。2番は苦手なのですが。第3番はエルガー自身は断片的なスケッチしか残しませんでしたが、私は最近はまってます。(苦笑)
で、今日書くつもりです。よろしかったらお越し下さい。
なお、第1番については、曲の内容には殆ど触れてないのですが、TBさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

投稿: | 2005年12月19日 (月) 09時34分

ご訪問ありがとうございます。この曲、「エニグマ」と並んで無性に好きなのです。バルビローリやボールトの古き良き演奏が涙ものです。貴プログにもおじゃまさせて頂きますので、よろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2005年12月19日 (月) 19時39分

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