タンホイザー
深夜に渡るバイロイト放送。今晩は「タンホイザー」、昨年の出来もティーレマンの指揮がすばらしく最高だった。 今年はいかに・・・。1枚目の音楽祭HPからの借り物写真は、ヴェーヌスブルクで官能に溺れるタンホイザーの図。でも全然そう見えない。カルタ取りでもしてるみたいだ。
この演出は、変にいじくりまわしてなく、シンプルでよさげだ。光の用い方も美しく、即物的ながらいいと思う。いずれにしても、舞台を見たい。このアルローという演出家、新国でもいくつか演出しており観ておくべきであった。
そして、ティーレマンの音楽がまたすばらしいものだった。バイロイトに登場の他の指揮者にくらべ、低音がズシリと重く響く。うなりを上げている。少し過去に軸足をおいた音楽表現かもしれないが、ものすごい集中力によって説得力は充分だ。この人特有の、音楽が止まってしまうかのようなゲネラルパウゼは以前ほど聞かれなくなった。というより、絶妙の間として音楽に有効に機能している。とくに素晴らしかったのは、普通間延びしてしまう2幕の後半、メルベトの胸を打つ熱唱と相まって引き込まれるような名演であった。3幕のヴェーヌスブルク再出現後、ウォルフラムのエリーザベトの一声!この後に聴かれるオーケストラのため込んだフォルテがすごかった。難しいエンディングも見事に決まった。
聴く者を興奮と感動に引き込む術を持ち合わせた指揮者である。歌手も皆良い。グールドのタンホイザーは力強い声で申し分なく、今後楽しみな存在で、他のワーグナーの諸役を各地で歌っているはず。エリーザベトのネルベトもいい。前述の熱演や3幕の美しいアリアも印象的。それから、私の好きなトレケルの友愛を絵にかいたような、清潔なウォルフラムもよろしい。
良いことづくめのタンホイザーでした。よかったよかった。来年のティーレマンのリングはいったいどんなことになるんだろう。
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