カラヤンのブルックナー4番
昨晩に続き、ブルックナーを聴きたい気分のため、カラヤンとベルリン・フィルの4番のEMI旧盤を購入から1年目でようやく取り出した。mozart1889さんのブロムシュテットの4番の試聴記を拝見し、大いに同感しました。そして激しくブロムシュテットの4番が聴きたくなってきた。その渇を補おうと、このCDを取り出したのであります。
私は、カラヤンをワーグナーとシュトラウスとチャイコフスキーを除いてあまり聴かないが、(なぁーんだ、結構聴いてる)ブルックナーとの出会いがこの演奏だったのであります。7番との3枚組のレコードが、チャイコフスキーやモーツァルトの後期交響曲やトリスタンなどと同時期にEMIから発売されました。中学生だった私がそんな高価なレコードが買える訳もなく、FMをエアチェックして初めて体験するブルックナーを繰り返し聴いたものです。
その後、多くのブルックナーを聴くうちに、このカラヤン盤とはすっかりご無沙汰してました。 ここに久しぶりに聴いてみると、実に美しい。もちろん、ブロムシュテットとドレスデンの美しさとは、まったく違う。厳選素材を用いて、磨きあげられた美しさ、とでも言おうか。当時の録音場所だったイエス・キリスト教会の響きが、それに環をかけて美しい。しかし、これでいいのだろうか?という気持ちも否めない。金管が嵩にかかったように鳴り渡る。ピチカートも一音一音が感覚的。3楽章の馬上の狩人たちはピカピカに光る甲冑を着けているかのよう。深い森は整然と植栽されたかのよう・・・。
でも、この耳の心地よさはどうだろう。きれいすぎてコワイ。聴き進むうちに、こちらの耳まで洗練されてきたようだ。何だか気持ちがよい。終楽章の完璧な合奏力を前にもうお手上げ、夢中にさせられて、かくして、カラヤン・マジックにはまってしまうのでありました。
どうしてくれるんだ。だからカラヤンは嫌いなの。憎いあのヒト。
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コメント
おはようございます。
カラヤン、ボクは好きです^^。昔は嫌いでしたが、今は好きです。時がたつにつれて、好きになりました。いろいろな面で、大した指揮者だったんだなぁと思います。
カラヤンの「ロマンティック」は新しい方、DG盤で聴いています。例によってレガートの多い、流麗でなめらかなブルックナーなんですが(だから、初めは「こんなのブルックナーじゃないよな」と思っていたんですが)、終盤になるともう麻薬のように効いてきて、惚れ惚れします。
オケもメチャクチャに巧いんです。
何となく、カラヤンに騙されてしまったような感もあるんですが、やはりスゴイなと思います。
投稿: mozart1889 | 2005年12月12日 (月) 09時08分
このディスク、宇野功芳さんの御著書『モーツァルトとブルックナー』の、ブルックナーの演奏家たちなる章で、ボロくそでしたね(笑)。でも、東芝音工のEAA-80000番台の1枚カッティングのLP、時折取り出して、楽しんでますよ🖤
投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月21日 (月) 09時51分
記事にありますが、中学生のときの初ブルックナーが、このカラヤン盤だったのです。
カセットテープに録音したものですが、初出のときは、7番と合わせての3枚組。
今聴いても、ベルリンフィルの当時のゴージャスな金管にうなります!
投稿: yokochan | 2019年10月25日 (金) 08時24分
Warner、ユニヴァーサルのバジェット盤セット攻勢で、帝王の音源も手頃な出費で気軽に楽しめるようになりました。不謹慎なコメントでございますけれども、小舅めいた老人文筆家が順繰りに天に召され、のびのびとスピーカーの前に座れるように、なりました次第です(笑)。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月25日 (金) 13時19分
カラヤンのブルックナーは、長い間、日本では認められていなかったようだが、ご当地ヨーロッパでは逆で、「まるで神の声を聞く様だ」などと絶賛されていた。実際、カラヤン本人は、早い段階からブルックナーを取り上げており、DGGにも収録をしたいと申し入れていたようだ。同社にはブルックナーの権威ヨッフムの全集があるためにカラヤンの希望が叶わず、EMI盤の収録には随分と力が入ったのではないかと想像される。それでもロマンティックと第七だけだったが・・・。
結果として、カラヤンの数多いディスクの中でも最美のブルックナーが刻印されたことに感謝したい。コンサートホールいっぱいに鳴り響くブルックナーサウンドに魅了される。都会的過ぎるとか、教会的でないとか、批判したい人はどうぞご自由に。こんなに美しい音楽を楽しめない人は可哀想だなと同情する必要もないかもしれないが、ブルックナーの表現の可能性を拡げたことは間違いない。DGG盤とは、コンセプトも仕上がりも全く違うので、どちらも聴いておきたい。
模範的なDGG盤に対して、非常にユニークな、幻想的な世界のEMI盤。人工的な響きと評する人もいるが、私には、むしろ宇宙的というか、神秘的というか、何かこの世のものとは思ない様なサウンドに聞こえる。教会で録ったのに、教会的ではない。その辺りが、ブルックナーは教会的じゃないといけない、という固定観念の強い聴き手には受け入れ難いのかも。
録音芸術だからこそ実現できたこの『宇宙的な響き』に、私は存在価値を認める側に立つ。
投稿: ジャスミン | 2023年6月26日 (月) 19時47分
ジャスミンさん、コメントありがとうございます。
ご意見拝読して、うなずくことしきりでした。
DG盤もいくつか聴いてますが、キリスト教会とフィルハーモニーとの響きの違いも興味深く聴いてます。
DGへの60年代の第9が、いまさらながらに気に入りまして、よく聴いてます。
あちらもキリスト教会ですね。
DGとEMIを使い分けた70年代後半。
今思えば、毎月のようにカラヤンやバーンスタインの新譜が出てくる贅沢な時代でありました。
あらためて、カラヤンのブルックナー、併せて同時期のトリスタンやモーツァルトも聴いてみたいと思います。
投稿: yokochan | 2023年7月 2日 (日) 10時32分