マリスのニューイヤーコンサート
今年のウィーンのニューイヤー・コンサートは、お気に入りのマリス・ヤンソンスの指揮とあって、録画したものをこの休みに堪能した。私にとってのニューイヤーは、クライバーやアバドの時代が去って全くのご無沙汰状態で、久方ぶりの視聴なのである。
こうしてじっくりとウィーン・フィルの面々を見ると、メンバーがだいぶ若返り入れ替わっている。ことに管楽器にその傾向は著しい。ウィーン・フィルの個性がだんだんと国際化により薄まっていくのが今更ながら懸念される。かってはチャイコフスキーさえろくに演奏したことがなかったのに、今は指揮者の顔ぶれからしても、ストラヴィンスキーやラヴェルやファリアなどを当たり前にやるようになってしまった。世界的な兆候とはいえ「お国柄」はそれぞれ保っていてほしいものである。
まあ、そんなことは抜きにして観てみれば、このコンサートはまったくすばらしいものであった。気が付いてみるといつものヤンソンスの音楽にオーケストラと共に乗せられ、すっかり楽しい気分にさせられてしまった。楽譜を見ながら(眼鏡をかけてないから、確認程度の譜読みだろう)の生真面目な指揮ぶりであるが、出てくる音楽はめっぽう生き生きとしていて、ワルツがこんなに弾んで聴こえたのはクライバーやアバド、ムーティなど以来か。アンコール好きのヤンソンスだから、こうしたアンコールの集大成のようなコンサートは本当にうまいもの。パロディー物をいろいろ味わえたのも楽しい。
「青きドナウ」が今から約140年前の作品とは今更ながらの驚き。こうした、古今の名曲も体が動いてしまうような演奏で、指揮と能動的なこのオーケストラの個性が相まって素晴らしい聴きものとなった。「いいぞ、マリス君」!!
来年は「メータ」の年らしい。このままヤンソンスでいいや、と思うのは私だけ?あと意外と「ハィティンク」なんかも結構いけると思うんだがねぇ。
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コメント
うーん、確かに袴のおっさんは濃かったですねぇ。しかも目を閉じているように見えるので、ステージを見ていないのかと、気になってしまいました。
僕は一度ストコでニューイヤーを聴いてみたかったです。
投稿: リベラ33 | 2006年1月10日 (火) 16時14分
あのおっさんはテレビのベストアングルに陣取ってましたので、気になる方も多かったでしょうね。ストコのニューイヤーなんて想像するだけでニヤニヤしてしまいそうですね。マゼールがもっと何十年も長生きしたらその域に達するのでしょうか?
投稿: yokochan | 2006年1月11日 (水) 09時40分