チャイコフスキー 交響曲第1番「冬の日の幻想」 マリナー指揮
「チャイコフスキーが好き」と堂々と言えない。ワーグナーを中心に独・英音楽を愛する者にとっての正直な気持ち。いやはや、恥ずかしいけど好きなの。でも思い切って言おう。「チャイコフスキーの6曲の交響曲が大好きなのだ!」
そんな私のフェイバリットが「マリナーのチャイコフスキー」なのだ。オーケストラは当然「アカデミー(室内)管弦楽団」。大いに偏見をもって、ハスに構えて聴いて欲しい。こんなに爽やかで、気持ちよいチャイコフスキーってあるだろうか?一応フルオーケストラの構えでの演奏だが、どこまでも風通し良く、停滞せず、心持速めのテンポは全くもたれない。深みや強い個性はない。その代わり音楽する心に満ち満ちている。楽しくも聴いていて元気になれる。明日もまたやって来る、そんな気持ちにさせるチャイコフスキーなのである。
「冬の日の幻想」は高名なティルソン・トーマスの演奏で開眼したが、それを思わせる「爽やか演奏」がこのマリナー盤。アバドもよいが、オーケストラ(シカゴ)が巧過ぎるのと、やっつけ録音の感あり。ハイティンクは音楽的で雰囲気豊かな名演なるも、やや重たすぎる。ロシア系や昨今のチェコ系は聴いてないが、私のとっては、この英国産すっきり系がこの曲の場合しっくりくる。とりわけ2楽章と3楽章は管楽器が美しく理想的な演奏。
そんなマリナーも今や高齢で、一時はカラヤンも凌ぐほどのレコーディング量を誇ったが、このところさっぱり耳にしない。海外ではそこそこの活動をしているはずなので、どんな円熟ぶりか確かめてみたいものだ。
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コメント
先日、お客さんにロンドンSOが1964年に来日時のパンフをみせていただきましたがメンバー表に第2ヴァイオリンの主席としてマリナーの名を見つけました。写真も載っていました。そしてなんと作曲家のアーサー・ブリスが指揮者として同行してたんですね。びっくりしました。
投稿: einsatz | 2006年1月18日 (水) 02時16分
おはようございます。
マリナーのチャイコフスキーをエントリーされるのは珍しいかもしれません。拙ブログの4番交響曲をTBさせていただきました。
アカデミー室内管らしい爽快な演奏でボクは好きです。ロシア臭くないのも良いんじゃないかと思っています。
HMVの通販で全集を購入したんですが、そのページのレビューでは酷評されていました(^^ゞ。
「冬の日の幻想」、よく聴くチャイコフスキーの一つなんです。マゼール盤もなかなかイケます。
投稿: mozart1889 | 2006年1月18日 (水) 06時24分
einsatzさま
64年のロンドン響とはすごいですね。モントゥーも来た時ですか。ブリスはたまに聴く作曲家ですが、何を指揮したんでしょう?昔のことだから「もりだくさん」のプログラムだったのでしょうね。確かマリナーはモントゥーの弟子だったはずです。
投稿: yokochan | 2006年1月18日 (水) 13時13分
mozart1889さま
こんにちは。そうです、マリナーがアカデミーと
フルオーケストラ曲を入れたものは結構好きなのです。レスピーギとかビゼーとかスコアが透けて見えるようなところが爽快です。さすが、mozart1889さん。4番をご紹介されているんですね。早速拝見し、強く共感いたしました。
マリナーにはブラームスやR・シュトラウスなんてのもやって欲しかったです。
投稿: | 2006年1月18日 (水) 13時20分
モントゥーは前年の63年来日時にLSOに同行していますがこの64年に他界していますね。だからブリスのほかはケルテスとデイヴィスが一緒に来てます。しかし豪華なラインナップですよね。
投稿: einsatz | 2006年1月19日 (木) 02時27分