バーンスタインのシベリウス「交響曲第1番」
シベリウスの1番は、個性のそれぞれ異なる7曲の交響曲のうちでも、幻想的で美しい旋律に満ちている。何故かチャイコフスキーの1番との同質性を感じる。寒い夜にはもってこいの曲で、ホット・ウィスキーなんぞが似合ってしまう。
今晩は、バーンスタインの最後の録音のひとつ、90年にウィーン・フィルを指揮したライブで聴く。1楽章のクラリネットのソロは極めて静やかに始まるが、すぐにヴァイオリンの情熱的な第一主題が始まり、バーンスタインの棒にもエネルギーが宿り、ウィーン・フィルからかなり迫真に満ちた響きを引き出している。打楽器の強打もすごい。
一転ロマンティックな2楽章では、ゆったりとウィーン・フィルの美しい管楽器の響きが楽しめる。遅いところは遅く、早いところは早く。そんな晩年のバーンスタイン節が聴かれる。
3楽章も中間部の牧歌的な美しさと、早い主部との対比が見事に決まっている。
最終楽章に至って、うねるように熱い調べを奏でまくり、大きく両手を広げてきれいな空気を思い切り吸い込んだような気持ちにさせてくれる。最後の場面では、マーラーをも思わせるような響きをかもし出している。
バーンスタインが亡くなってすぐに出たCDで、これを聴いて涙した覚えがある。ウィーン・フィルのシベリウスの以外な良さと共に、ムジークフェラインの素晴らしい音響をとらえた名録音に、残りの3・4・6番が未完に終わったことが残念でならない。
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コメント
初めてお邪魔します!Bernsteinも最晩年はいかなる批評も寄せ付けない独自の表現をしていたようですね。このシベ1はぜひ聴いてみます。シベリウスって、ほんとにいい演奏に出会ったことがないんです。
>何故かチャイコフスキーの1番との同質性を感じる。寒い夜にはもってこいの曲・・・
いやあ、チャイコの1番は私、とても好きなんです。とくにスヴェトラーノフの演奏が。2楽章の別世界ぶりがたまりません。
投稿: guuchokipanten | 2006年2月 9日 (木) 23時57分
こんばんは。私の勝手な思い込みかもしれませんが、両方の2楽章がイメージとして似て感じるのです。バーンスタインのチャイコの1番はやや元気すぎますが、このシベ1は良いです!
投稿: yokochan | 2006年2月10日 (金) 01時46分