ベートーヴェン 交響曲第5番 クライバー
このところプレヴィンばかりを聴いていたので、また花粉症の症状が出始め不快な自分に「渇」を入れようと、「クライバーの第五」を取り出した。
33分を1枚にゆったり収めた初期盤で。(極めてもったいない)
あまりにも有名な演奏だけに、愛好家は一家に1枚的なCD。
そんな定番だけに、何も語る必要なし。ないが少しだけ語る。
「魔弾の射手」に続く2作目で74年の録音。カルロスにとってはオーケストラはどこでもよかったかもしれないが、ウィーン・フィルにとってはカルロスしかなかったのでは、と思わせる演奏。
決然とした響きは、練習魔のカルロスだけによっぽど吟味したのだろうが、そうと感じさせないあまりにも自然と発した「心の叫び」のよう。
カルロスが、もうこうするしかない、という感じで迫ってくるものだから、聴いているこちらも、そんな気持ちに追い込まれ、何か悩みでもあったら「えい、くそ」とふんぎってしまわせるような決断をさせてくれるような、力に満ちた強い演奏なのだ。
ウィーン・フィルの連中は、こんなにドライブされながらも若いクライバーに食らいついていて面白い。後の7番では、このコンビの良さが裏目に出てしまった部分もあるような気がしてならない。「過ぎたるは及ばざるが・・・・」っていうような感じなのだ。
後のバイエルンとの演奏ではまったく気にならない「くどさ」のようなものが。
この5番には、そうしたかすかな不満なんぞ皆無。
私にとって、明日へのビタミン剤のような活力源のような演奏。
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コメント
一家に一枚的な演奏ですね。VPOとの7番も凄かったですね。
聴けば必ず元気が出てきます。「寄らば切るぞ」という感じの、居合い抜きのような緊張感がたまりません。
投稿: mozart1889 | 2006年3月19日 (日) 09時36分
LPステレオ世代の一家に1枚は、カラヤンの運命・未完成でしたが、今はカルロスの第5・第7なのでしょうね。日本中を元気にして欲しいものであります。
投稿: yokochan | 2006年3月19日 (日) 22時40分