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2006年3月12日 (日)

プロコフィエフ 交響曲第5番 プレヴィン

previn_prokofiev プレヴィンは86年からロイヤル・フィルと並行して、ジュリーニの後任としてロスアンジェルス・フィルの音楽監督も引き受けた。これは実に新鮮な顔合わせに思われ、ロンドン・ロス・ウィーンの3都を駆巡る多忙な活動時期は彼のキャリアのピークだった。
 結局ロス・フィルとは、3年足らずで終わったが、フィリップスとテラークに印象に残るCDをいくつか残した。フランス音楽集かスラヴ作品集か、またはドヴォルザークかと悩んだが、プレヴィンお得意のプロコフィエフの交響曲を取り出した。

 


この5番はロンドン響とのものに続き再録音であるが、1・5・6・7番だけで全曲は決して演奏しなかった。プレヴィンの個性からして、モダニズム的な作品よりは、より民族的・叙事的な作品に共感しているのだろう。そんなプレヴィンの5番は、ロス・フィルの個性もあって、明るくよどみない演奏となった。
不毛のロシアの大地を思わせる1楽章から、オーケストラはゆったりと良く歌い、2楽章や終楽章のスケルツォ的な音楽もオーケストラの名技性とともに楽しい聴き物である。ことさら終結部はプロコフィエフの作品があっけない中にも熱狂性を秘めていることから、ここを完璧に描ききれれば、どんな演奏も後味がよい。
プレヴィンの演奏は、そうした聴き所は文句ないとして、それ以上に3楽章のアダ-ジョがバレエの愛の場面を思わせるような美しさですばらしい。こんな白夜みたいな音楽にこの演奏、春めいた晩に聴くのがピッタリかもしれない。

このCDの、見逃せない大きな問題は、録音が冴えないこと。潤いに欠け響きが浅い。デッカがいくつも優秀録音を残した「UCLAのロイス・ホール」なのに、フィリップス社は勝手が違ったのか?レコード会社の地盤とカラーによる相性を考えさせる1枚でもあった。

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コメント

おはようございます。TBを有り難うございました。 ボクもプレヴィンは大好きです。
何でもハイレベルで出来ちゃう、スゴイ人だなと思います。
モーツァルトのピアノ協奏曲もとても良かったですね。あちらの方にTBさせていただきます。

投稿: mozart1889 | 2006年3月18日 (土) 04時48分

コメントありがとうございました。ロス・フィルとはもう少し続けて欲しかったですね。そして健康上の理由から日本に来なくなってしまったのも寂しいです。

投稿: yokochan | 2006年3月18日 (土) 21時46分

おはようございます。プロコフィエフ5番ですと、ワタクシはマリス・ヤンソンスとレニングラード・フィルとのダブリンでのライブ盤をオススメします。鋼鉄の弦が冴えまくる第一楽章、疾風快速の第二楽章、極限までに美しい第三楽章、怒濤の終楽章。これが本当にライブ録音なのかと、何度聴いてもアタマがクラクラします。ムラヴィンスキー時代の達人オーケストラが若き二代目ボンボンを精一杯ささえている、そんな微笑ましさも感じてしまうのです。

投稿: ゆう | 2024年9月27日 (金) 04時07分

ゆうさま、コメントありがとうございます。
シャンドス盤ですね!
こちらは、前から聴いてみたかった1枚で、CD初期の3800円ぐらいする値段のとき、購入するかためらったものです。
コメントを拝読し、喉から手がでるほどに聴いてみたいです。
CD化されたレニングラードとの来日公演のチャイコ4、ショスタコ5をエアチェックして、オケの名技性とヤンソンスの激演ぶりに悦に入っていたので、こちらもきっと・・という思いです。
いまやロシアのオケを聴けなくなってしまった悲しみと怒りをぶつけたいという気持ちもありますね・・・・

投稿: yokochan | 2024年9月28日 (土) 22時09分

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