R・シュトラウス「ばらの騎士」組曲ほか プレヴィン
本日のプレヴィンは、極めつけ、ウィーン・フィルとのR・シュトラウスから、DGに入れた「オペラ管弦楽曲集」。
「ばらの騎士」「インテルメッツォ」「カプリッチョ」「サロメ」のそれぞれの間奏曲やワルツなどを演奏している。
私はシュトラウスのオペラは好きで、15曲もある作品を徐々に確認しつつあり、ブログ開始前に全作を連続聴きしたこともある。
日本は、シュトラウス演奏の先端といってもよく、質の高い上演が日本初演の形でこのところ行われている。
一重に若杉宏という稀有の「オペラ指揮者」のなせるところである。
最近体調を壊しているO先生とは、まったく異なる才能である。
それはともかく、このCDはシュトラウスのオペラの雰囲気を味わう1枚として、いやそれ以上の充実・満足感を与えてくれる。
何よりウィーン・フィルの爛熟した豊満な響きといったらない。
プレヴィンの指揮ぶりはオペラの一部を描くというよりは、情景を描いた交響詩を演奏するようでいて、音楽にのめり込むことなく、オーケストラの持つ最美の響きに乗っかってしまってシュトラウスの美しい音楽を紡ぎだしている。
「ばらの騎士」においての「クライバー」の天性と思わせるようなオペラティックな高揚感は、ここにはないが、安心して何度も身をゆだねることのできる日常のウィーン、といったような音楽がここにある。「インテルメッツォ」のダイナミックさも見事(このオペラは本当はそんなにぎやかな曲ではないが)。
そして、最大にすばらしいのは「カプリッチョ」の前奏曲と「月光の音楽」。
弦楽六重奏の形でスタートする前奏曲からして、作品のもつシンプルなロマンティシズムを表出している。
そして、シュトラウス最後のオペラ作品としての晩年の澄みきった境地を、「月光の音楽」でプレヴィンとウィーン・フィルは短いなかに表現し尽くしている。そ
れにしても、この曲におけるウィンナ・ホルンは本当に素晴らしい。「月の輝きの雫」が寒空からしたたるような美しさであり、音楽である。
そのあと最後に収められた「サロメ」のヴェールに踊りはいいけど、前曲の雰囲気を壊してしまう。収録順をもう少し考えてほしかった。
「いいなぁ」とつくづくと思わせる「プレヴィンのR・シュトラウス」なのであった。
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コメント
弊ブログにコメント、トラックバックありがとうございました。
若杉氏の棒でモーツァルトのレクイエムを歌ったことはありますが、オペラはまだ観たことないのです。ぜひ観たいと思っていますが、名古屋では無理でしょうね。近いところではびわこホールでしょうか。。
投稿: ピースうさぎ | 2006年12月19日 (火) 13時38分
ピースうさぎさん、こんばんは。こちらこそ、ご訪問ありがとうございます。若杉氏の指揮のもとで歌われたことがおありなんですね。
名古屋に少しいたことがありますので、芸術劇場や千種の市民会館はよく行きました。もう少し外来の劇場が訪れるといいですね。
投稿: yokochan | 2006年12月19日 (火) 23時24分
yokochan様お早うございます。プレヴィンのシュトラウス・オペラ管弦楽曲集、私にとってはシュトラウスオペラ入門盤になった懐かしいアルバムです。購入したのは大学生になったばかりの93年のことで、メータ指揮ベルリン・フィルの「影のない女」幻想曲ほかのCDとこのアルバムから私はシュトラウスオペラのエッセンスを学んだ・・・つもりです。「インテルメッツォ」からの四つの間奏曲は個人的にはパワフルなメータのほうが好きです。今年の夏にオペラ全15作を始めて聴き、その多彩で豊穣な世界にしばらくの間恍惚となっていました。ばらの騎士組曲はこのプレヴィン盤が個人的にはベストです。ロンドン響を指揮したプレヴィン旧盤も好きですが、オケはやはりウィーン・フィルのほうがいいですね。ヤルヴィ父指揮スコティッシュ・ナショナル管弦楽団ももなかなかいい演奏ですが、少し力で押しすぎかなという感じがしないでもないです。サロメの七つのヴェールの踊りがどうしてカプリッチョの後に入っているのかというyokocaha様の疑問には私も同意です。カプリッチョが最後でないのが昔から不思議でした。ばらの騎士組曲にはドラティが編曲し、デトロイト響を指揮をしたCDもあり、最近購入して聴きましたが、プレヴィン盤とは全く違う編曲でした。演奏はいかにもハンガリー系の大指揮者らしいものでセルやショルティにも通じるシャープな演奏でした。
投稿: 越後のオックス | 2008年10月 7日 (火) 04時04分
越後のオックスさま、こんばんは。
コメントありがとうございます。
シュトラウスの15のオペラを愛する同朋ですねぇ!
そして、私もオケ版ではこのプレヴィンの演奏が一番好きです。
メータも聴きますが、せっかくのBPOなのに元気が良すぎる気もします。J・テイトとロッテルダムフィルのEMI盤も良さそうですので次のターゲットになってます。
親父ヤルヴィとドラティも是非聴いてみたいものです。
ライナーもあって、エレクトラまで聴ける徳用盤ですが、ご指摘のハンガリー風のシャープな演奏でした。
投稿: yokochan | 2008年10月 7日 (火) 23時07分