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2006年3月28日 (火)

モーツァルト クラリネット協奏曲 ベーム

Bohm_mo_clacon_3 モーツァルトの晩年の作品、クラリネット協奏曲を聴く。イ長調でありながら、どこか寂しげで孤独な雰囲気を感じさせる。23番の同調のピアノ協奏曲も似た要素があって、秋の物思いの季節がふさわしい。
が、しかし今回は陽春の初めに選んでみた。

演奏は、ウィーン・フィルの主席だった、アルフレート・プリンツのソロにベーム/ウィーン・フィルの理想的な組合せ。
冒頭から遅めのテンポで、ウィーン・フィルの柔らかな弦の音色に魅せられる。クラリネットも全くオーケストラと同質の響きでふっくらと優しく包み込まれるような気分になる。
2楽章の美しさといったらない。弦楽器のつつましやかな伴奏に乗って連綿と歌うクラリネットを何と表現しようか。甘くなりすぎないのは、ベーム翁の厳しい手綱のせいか。
終楽章もあわてず、ゆったりと進められるが時おり現れる短調のフレーズの寂しげな表情が良い。楽しそうに話をしてたモーツァルトが、ふいに寂しげな表情を見せるかのような場面を想像させてくれる。

欲を言うとやや老成しすぎかもしれない。もう少し若やいだ雰囲気なら、プリンツの次の主席シュミードルとバースタインの演奏も良かった。(ライスター/カラヤン、マイアー/アバドの新旧ベルリン・フィルの比較もまた一興)
アナログ最盛期の録音も瑞々しく、落ち着いた気分で聴ける1枚。レコードは、同じウィーン・フィル主席のソロで、ファゴット協奏曲がカップリングされていたが、CDではそれに加えてオーボエ協奏曲が入っていて、ウィーン満載の1枚となっている。

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コメント

こんばんは。珠玉の名曲ですね。年齢とかに
関係なく、いつ聴いてもすばらしい、私の
大好きな曲です。
いろいろの盤を集めましたが、ベームのLPも
その一枚、落ち着いた演奏ですね。

投稿: | 2006年3月29日 (水) 19時16分

コメントありがとうございます。本当につくづくといい曲だと思いました。2回も聴いてしまいました。古楽器では出せない響きであります。

投稿: yokochan | 2006年3月29日 (水) 21時56分

Prosit! Gutes Neues Jehr! 今年もよろしくお願い致します。

さて、年末にアッバード指揮かるぼなーれ独奏、モーツァルト交響楽団の演奏が届きまして、年明けにようやく取り込み聴きました。軽快で濃度の濃い演奏でした。第2楽章のクラリネットのソロは素晴らしくて。このオーケストラ伴奏を聴くと、1950-70年代のヴィーンフィルがノンヴィヴィブラードでそうしてくれたらと思うことも。またベームポリーニヴィーンフィルのピアノ協奏曲第22番がこれから届いたり、プリンツ、ウラッハのクラリネット、ベーム、アーノンクールらのホルン協奏曲、ラルキブデッリらや、ゴットフリート・フォン・フライベルクらのホルン五重奏曲を聴いたりでした。EP7身に行ったつながりで、メスト式ヴィーンフィルのスターウォーズ、たまにコルンゴルトでした。アバドのクラリネット協奏曲で語り合えたらと思います。

投稿: Kasshini | 2016年1月 7日 (木) 01時06分

Kasshiniさん、こんにちは。
ご返信、すっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。
遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたします。
アバドの新しいクラリネット協奏曲は、恥ずかしながら、まだ未聴なんです。
まえの、マイヤー盤は、ベルリンフィルを降った通常モードの演奏で、ふくよかな暖かさが素敵でした。

投稿: yokochan | 2016年1月24日 (日) 20時56分

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