ラヴェル ボレロ、ラ・ヴァルスほか バレンボイム
バレンボイムがパリ管弦楽団の音楽監督だった頃のCDで、ラヴェルの作品集を久々に取り出した。81年の録音で、CD初期の頃、1枚4000円から4500円もした今から見ると信じられない時代に購入したもの。ほんとに良くこんな金はたいて買っていたんだなぁ。独身時代、給料は酒とCDに消えていたのだ。
「ボレロ」「亡き王女・・」「ラ・ヴァルス」「ダフニス」の4曲がきれいに収まった1枚は55分。
日本人の典型である私からすると、「パリ管」という言葉だけで、おフランスを感じさせる甘酸っぱい何かを思い起こさせてくれる。「フランス国立管(国立放送管)」はもっと機能的なイメージを与えるが、このオーケストラのイメージは、ザ・パリなのだ。
が、しかし歴代の指揮者陣は、ドイツ系ばかり!ミュンシュ亡き後、カラヤン、ショルティ、バレンボイム、ビシュコフ(?)、エッシェンバッハ、という具合。
こうした指揮者たちの、フランス物が面白いのである。
本日のバレンボイムのラヴェルは、いずれも遅めのテンポでじっくりと聴かせる。「ボレロ」など17分かけて、最後までじんわりインテンポで進め、エンディングも焦らず堂々と終了する。私の大好きな「ラ・ヴァルス」もゆったりと、ねっとりと進行して、もう少し軽妙さが欲しいと思わせる。逆に「亡き王女のためのパヴァーヌ」はこうしたねっとり感がプラスに思われ音楽の美しさを実感させてくれる。
さらに「ダフニスとクロエ」も同様に、夜明けの場面の弦楽器のシルクのような美しさに、木管陣が絡み付く様は、惚れ惚れとしてしまう。無言劇のフルートも往年の主席デボストもかくやと思わせる素晴らしさ。全員の踊りでのクライマックスの築きかたも、まずは見事に決まって、「終わりよければ・・・」的な後味でCDは終了する。
本当いうと、せっかくの「パリ管」なのに、という気持ちはぬぐえない。でもバレンボイム壮年期の記録以上に、「パリ管」でしか出せない、弦の輝きと木管の華やかさ、金管のゴージャスさ、こういった響きがDGの優秀録音でちゃんと味わえる。
エッシェンバッハ(結構好き)の風変わりな曲のラヴェルも、先ごろ手に入れた。そちらのNew パリ管の視聴も楽しみなところ。
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コメント
そうなんです。昔、CDは高かったんです。4500円もしたんです。3800円ならかなり安く感じましたし、3000円は廉価盤でしたね。
バレンボイム/パリ管のドビュッシーは持っているんですが、ラヴェルは未聴です。今度探してみようかと思います。(今なら随分安く買えるかもしれませんね)
このコンビではワーグナーの管弦楽曲集もありましたね。結構面白かった記憶があります。
投稿: mozart1889 | 2006年3月24日 (金) 12時40分
そうですね。ともかく高かった。でも今からすると、少し重量もあったりしてありがたみに満ちてました。バレンボイムはベルリオーズやフランクなども面白かったです。シカゴの今より好きです。
投稿: yokochan | 2006年3月25日 (土) 00時51分
yokochan様今晩は。バレンボイムのラヴェルは未聴なのにコメントしたくなってしまいました。80年代前半にはCDは4500円から3800円が当たり前でしたよね。ソニーやEMIが3000円の廉価盤シリーズを出し始めたころは「こんなに安くていいのか?」と驚いたものです。バッハやモーツァルトの全作品をCDで揃えるなんて夢のまた夢だと思っていました。ところが今は二万円かそこらで彼らのほぼ全作品が買えてしまう。何処の会社もブリリアントの廉価盤攻撃に負けてはならじと思ったのか激安価格の全集を出しまくるようになりました。こういう時代になると「音楽ファンにとって真の幸せとは何か?」なんて哲学的なことを柄にも無く考えてしまうのです。高いCDを大事に大事に何度も何度もいとおしむように聴いていたころのほうが、幸せだったのではないかとさえ思ってしまいます。今はクラシックCD飽食の時代なのかも知れません。
ちなみに私はラヴェルはアバド&ロンドンとデュトワ&モントリオールが好きです。
投稿: 越後のオックス | 2008年11月30日 (日) 19時32分
越後のオックスさん、こんばんは。
「音楽ファンにとって真の幸せとは何か?」
そうなんですよ。まさにおっしゃるとおり。
苦労して手に入れたレコードやCD初期の高価盤が、あっさりと、カップリングも変えて、収録時間も増えて、さらに安くなってどんどん出ております。
しかも、オリジナルジャケットで。
これでは、昔の楽しみはなんだったんだろう、ってなことになります。
でも、いとおしむように、大事に扱い、何度も聴いた音源は、廉価になっても変わらないように思います。
私は、ブログを始めたおかげで、1枚1枚をじっくり聴くようになりました。その分、未聴のCDの山が堆積しつつありますが、1枚のCDを楽しむ喜びを満喫しております。
ラヴェルは、私もアバドとデュトア、そしてクリュイタンスとミュンシュ、ブーレーズの旧盤であります。
昔から結構好きであります。
投稿: yokochan | 2008年11月30日 (日) 23時21分