ブラームス「ドイツ・レクイエム」 札幌交響楽団
北の大地でブラームスを聴く。
出張と札響のコンサートが運よく当たり、念願のコンサートホール「キタラ」体験も果たし至福の時を過ごすことが出来た。
「ドイツ・レクイエム」を生で聴くのは初めてであるが、渋い曲ながら誠に味わい深い作品で、7つの楽章がシンメトリーを成して効果的に配置されているのが良くわかった。終始、合唱が活躍し歌いぱなしで主役は合唱といってよいのだが、オーケストラの響き、ことに木管の合いの手などはまさにブラームスそのもので、聞き慣れている交響曲を思わせるような雰囲気もある。
ソプラノ:澤畑恵美 バリトン:青戸 知
尾高忠明指揮 札幌交響楽団
長内 勲指揮 札幌合唱連盟
(4月21日 札幌コンサートホールKitara)
演奏は誠意のみなぎった立派なもので、譜面を置きながら暗譜で指揮した尾高氏の棒を全員が信頼している様子が見てとれた。合唱はアマチュアを母体とする団体とは思えないまとまりのよさで、なによりも歌う楽しさのようなものが感じられてよかった。独唱ではソプラノの 澤野が素晴らしく美しい声を聴かせた。出番の少ないのがもったいないくらい。そして中間色の音色が多いこの曲に札響はマイルドな響きを聴かせていて、美しいホールトーンもとても印象的だった。
札響は、合唱団員を随時募集していて年数回の合唱付き定期に出演できるという。
こんな機会がそばにあれば、私ですら加盟してみたい。そんな気持ちにさせるくらい聴衆が自分達のオーケストラとして暖かく見守り愛しているのが、一晩でわかった。マナーもよくホールは東京の知ったかぶり連中の聴衆と違いほのぼのとした雰囲気に包まれていた。同じように、日本ハム・ファイターズが福岡や仙台のように札幌の市民球団として定着しつつあるのが、今回良くわかった。一流を楽しむのも醍醐味だが、音楽もスポーツも身近なものを参加する感覚で楽しむのも本当に楽しいことなんだ。これ実感。
キタラは横浜と並んでホールの立地として、最高ではなかろうか。地下鉄「中島公園」をでるとすぐに水辺のある美しい公園。そこを歩くこと6~7分でホールがある。演奏終了後、来た道を散策するようにそぞろ歩くとほてった顔にまだ寒い風が心地よい。音楽の余韻を楽しめるのがなによりなのだ。その点、渋谷のNHKホールなどは最悪と言ってよい。ところが、このキタラも中島公園駅を通過して直進すると、「すすきの」という魔界が待ち受けている。私もそちらの誘惑には弱いもんで....。
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コメント
NHKホールはサイテーな立地ですねぇ。
N響ファンの僕は当時、NHKホールに行くのが億劫でした。一度職員の方に意見したことがあります。もっとも意見した所で仕方ないのですがね。
NHKホールは渋谷から行くよりは原宿から行く方が幾分人が少なくてマシかもしれませんね。
投稿: リベラ33 | 2006年4月22日 (土) 23時44分
リベラさん、こんばんは。まったくもって、最低のNHKホール。原宿ルートは家が逆なので試したことありませんので、一度チャレンジしてみます。しかし、夏場は汗だくになるし、クソガキはいるわで、ホンマに難儀なホール。それでも音がよきゃいいけれど、紅白やアイドルの集う多目的ホールなんですから悲しくなります。大阪のNHKホールはどないですか?
投稿: yokochan | 2006年4月22日 (土) 23時56分
NHK大阪ホールは渋谷に比べれば遥かにポイント高いですよ。閑静な官庁街にあり、しかも地下鉄の駅からも数分という立地。ホールもやや大きめではありますが、渋谷に比べるとかなりコンサートを意識した作りで鑑賞に大きな障害とはなりません。
ただ、あそこでやるコンサートはなぜか異様に料金が高いのですよ。。。
投稿: リベラ33 | 2006年4月23日 (日) 07時30分
コンサートを意識しているところは嬉しいですね。でも料金はけしからんですな、稼働率の問題なんでしょうか。一度体験してみたいです。
投稿: yokochan | 2006年4月24日 (月) 09時45分