ブラームス 交響曲第2番 ヤンソンス
今日はNHK・FMで、「タンホイザー」全曲の放送があった。休日は何かと忙しく、つまみ聴きであったが、演奏はかなりのものであったと思う。なにより嬉しいのが、スイス・ロマンド管弦楽団がピットに入るジュネーヴの大劇場のライブであること。数十年前は、この劇場のライブをかなり放送してくれて、ちょうどホルスト・シュタインがスイス・ロマンド管の音楽監督をしていて、ワーグナーの諸作やチャイコフスキー、バルトークなどの作品が録音できたものだ。今日の指揮者はウィーン生まれのウルフ・シルマーでキビキビと自発性溢れるいい指揮であったし、タイトル・ロールのグールドはバイロイトでも活躍のヘルデン・テノールで、多少硬いが破滅型の凄さを併せ持っている。今年のバイロイトで、「ティーレマン・リング」のジークフリートを歌うのも楽しみだ。シュティンメのエリーザベトも文句なし。 しかし、文句はNHKにある。3時間の放送時間に、全曲が収まるわけがないと思っていたら、勝手にカットを施していやがった。解説者が「あらかじめご了承を・・」と言っていたが、収まらないなら、あらすじや解説をカットするとか、10分でも延長するとかあるだろう。
こんなところに、今にのNHKの安易さがあると思う。けしからん。
晩の教育テレビでの思い出の名演奏も同じこと。シノーポリをやってくれるのはいいが、あんな中途半端では、話にならない。クラシック番組に対する姿勢が、年々尻すぼみになって行くNHK様だ。貴重なライブを熟成させて発酵するまで待とうというのか。放送が文化の偉大な担い手であることをもっとしっかりと自覚して欲しい。プンプンである。 さて、あとは軽く(?)ブラームスの2番を、ヤンソンスとコンセルトヘボウのライブで。
カップリングはベートーヴェンの同じ2番。どちらも生気あふれる、ヤンソンスらしい生き生きといた演奏。聴いていて気持ちも体も乗ってくる。
こうして聴くものを乗せてしまうのが、ヤンソンスの魅力。併せて、オーケストラにもまずそれが伝わり、奏者がみんなノリノリで、こんな生まれたばかりのイキのいい音楽が生まれ出す仕組みだ。このブラームスの曲に溢れる、自然の中で大きく深呼吸をしたようなすがすがしさが良くあらわされている。オーケストラの美しさもコンセルトヘボウだけに格別。
こうして最近はイキがいいだけでなく、しっとりした情感やきめ細やかさも巧く表現できるようになり、本当に聴かせ上手だけでない、味わいある指揮者となった。ムラヴィンスキーの元で鍛えられ、永年のオスロでの経験とアメリカ体験を経て、アムステルダムとミュンヘンの二大ポストを得てさらにに進化した感がある。もちろんかつてのヤンソンスも面白いし、かつて何度も来日したおりの演奏会は本当にすばらしかったという。(アインザッツさん)
私もこの数年で贔屓になり、一昨年のコンセルトヘボウと昨年のバイエルンの演奏会に出向き、そのステージマナーも含めて、音楽性の素晴らしさに参ってしまった。
どんどん進化するヤンソンス。本格オペラ進出も予定されるし、何よりも今年の来日では、どんな演奏を聴かせてくれるだろうか。
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