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2006年6月12日 (月)

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ジルベルシュタイン&アバド

Zilberstein_rachmaninov このジャケットのセンスがまず良い。モノトーンながら、憂愁に満ちたラフマニノフのイメージにピッタリだから。
 世間は、サッカーに釘付けで、今豪州戦の最中。へそ曲がりな私は、気にせずにラフマニノフの3番のコンチェルトだ。

このCDは、2番と3番がカップリングされ締めて76分。低回せず、歌いすぎもせずに早めのテンポで進められている。
65年、モスクワ生まれのジルベルシュタインは、93年録音当時20代。最近、めっきり名前を聞かなくなったが、当時はDGがかなり積極的に売り出したものだ。
アバドとベルリン・フィルをバックにするという贅沢も、いかに嘱望されていたかがわかる。
実際、その水際立ったテクニックと、旋律をおおらかに歌うゆとりは若さを感じさせない、立派なものだ。あえて言えば、弾き急ぎとも思われる部分が多々あること。立ち止って、もう少し振り返る仕草も必要ではないかと。
 そんな若いソリストにアバドの指揮も、微妙に揺れるところがある。もともと、大時代的な表現をしない人なだけに、二人ともに、アッサリ通りすぎてしまう名所がいくつか散見される。アバドにしてみれば、純音楽的に解釈しているはずであろう。
ベルリン・フィルは、もっと鳴りたい、歌いたい、と不満顔である。
 ジルベルシュタインは技巧が勝り、アバドは譜面を音楽的に表現し、ベルリン・フィルはゴンゴンやりたい。そんな三様の顔ぶれに感じる。

Abbdo_zilerstein こんな風に思って聴くとおもしろい。ラフマニノフのロマンテックな要素だけでない部分が浮き彫りになって聴こえるが・・・・。
私の音楽レパートリーにラフマニノフ、それも3曲の交響曲の占める位置は大きいが、プレヴィンのような優しく、儚い演奏が好きである。
アバドは、本当は嫌々振ってたんじゃないかと思ったりもする。若い頃、CBSに録音したベルマンとの同曲のほうが、ロシア的・ムソルグスキー的でやりたいことをやっていたように思う。

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