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2006年6月 4日 (日)

アルベルト・ドーメン ワーグナー集

Dohmen_wagner ドイツのバス・バリトン「アルベルト・ドーメン」のワーグナー・コンサートのライブ録音を聴く。一昨年格安で購入以来、度々楽しんでいるCDで、廉価盤だと思うと車のステレオで聴いたりもしてしまう。車を飛ばしながら、大音響で聴くワーグナーは最高である。そして、テノールやバリトンの曲だと、歌ってしまう私。(信号で止まると音を絞っておとなしくしています)

ドーメンはキャリアの長いベテランであるが、一流の仲間入りをしたのは最近で、アバドがザルツブルクで「ヴォツェック」のタイトル・ロールに抜擢してからである。
伝説的名演「アバドの東京トリスタン」のクルヴェナールを歌った。アバドの指揮はさんざん絶賛し続けたが、歌手ではポラスキのイゾルデ、ポルガーのマルケと並んで、信愛と誠実さに満ちたドーメンのクルヴェナールが印象に残っている。

このCDは、ワーグナーの主要なバス・バリトンの諸役の名曲を収めていて、極めて聴き応えがある。

    「パルシファル」                アンフォルタスとグルネマンツ
    「さまよえるオランダ人」           オランダ人
    「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ザックスとポーグナー
    「ヴァルキューレ」              ヴォータン

      シュテファン・アントン・レック  マッシモ・パレルモ劇場管弦楽団
                         マーラー・ユーゲント・オケ(ヴァルキューレ)

やや暗めの声を生かして、バス・バリトンとバスの役を歌い分けているが、グルネマンツはちょっと無理があるような気がする。他の役はいずれも身の丈にあった役柄ばかりで安心して聴ける。小回りがきき、頭脳的・心理的に表現するようなタイプでなく、しっかりと一語一語を丹念に歌いあげて、ジワジワと感動させるようなタイプなので、何度も聴くうちにいぶし銀のような歌に引き込まれていくことになる。
中でもザックスとヴォータンは、訥々とした表現に気品も感じられて素晴らしい。

あと特筆すべきは、アントン・レックの指揮である。昨年の国立劇場の「マイスタージンガー」で実に表現力に満ち新鮮な演奏を聞かせ、同時期のメータよりよかったあの指揮ぶりがここでも楽しめる。加えてパレルモのオーケストラが曖昧さのない明るい響きで、これまた新鮮な演奏なのだ。イタリアのオケによるワーグナーをもっと聴いてみたいものだ。
マーラー・ユーゲントは曲が曲だけに、コクがないが、鮮度は高い。

ヴォータンの告別を大音響で聴き・歌いながら高速を飛ばす快感はちょっといいものですぜ。

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