ディーリアス 「夏の庭園で」 ハンドレー
連日梅雨の末期か盛りかの不快な天候。
そんな関東を金曜日から数日脱出する機会が訪れた。旭川・札幌への出張である。こんなチャンスはないとばかりに、日曜まで滞在した。
しかし、仕事は、金・土であったが毎晩飲んでて二日酔い、どこも行けず。
日曜は仕事を思い出して、昼の便で帰還することとなった。
夏休みスタートとあって、子供連れが多く肩身が狭いが、道内はまだ学校があるし、普通の生活だ。それでも大通り公園は、ビール祭りが始まったし、豊平川の花火大会も週末行われていて、街は楽しい雰囲気に満ちていた。
そして何よりも、「涼しい!!!」。夜は寒いくらいだ。
仕事が早く終わり、取引先と別れてから市内の公園に花を見にいった。
東区の「百合が原公園」は壮大な敷地に、その名の通り「ユリ」や「ラベンダー」が咲き乱れていた。
ひとり散策しながら、頭の中では「ディーリアスの夏の庭園で」が鳴っていた。
この曲はまさに初夏のイギリスの庭園の様子を幻想的に描いたもので、かなり写実的な場面もあって、目をつぶって聴くと、なるほど、荒削りながら自然のままをうまく活かしたイングリッシュ・ガーデンが思い浮かんでくる。
ディーリアス自身もコメントしている通り、「バラやユリをはじめとする何千という花が咲き乱れ、明るい色の羽根の蝶が花の間を飛んでいる。蜜蜂の気だるい羽音も聴こえる。睡蓮の花咲く静かな河ではボートに乗る二人の歌声が聞こえる・・・・」
これがディーリアス特有のデリケートな音楽になっている。
ヴァーノン・ハンドレーがバルビローリの愛したハレ管を指揮して素敵な演奏を聞かせてくれている。
惜しむらくはデジタル初期のEMI録音は硬く潤いに不足する。
前述の公園の水辺のベンチに、絵になる爺さんを発見。
ハーモニカを楚々と吹くさまは、周りの自然と溶け込んでいる。
曲は演歌でもなく、昭和の歌謡曲を独自にアレンジしたもののようだった。
いいなぁ、ハモニカ爺さん。
冬が厳しい分、北海道の人々は短い夏を思い思いに謳歌している。
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コメント
夏の夜には時々ディーリアスを取り出します。
ハンドレー盤は未聴なんですが、バルビローリが指揮したハレ菅盤(EMI)をよく聴いています。絶叫しない、しみじみした音楽が独特ですね。
投稿: mozart1889 | 2006年7月24日 (月) 09時36分
冬は大変ですが梅雨の無い北海道は最高に快適ですねえ。
空気も季節の花も動物たちも生き生きとしています。
爽やかなディーリアスの音楽はまさにぴったりでしょう。
EMIの録音はいいものを探すのに一苦労するほど酷いのが多いですね、あれでは破綻するはずです。
投稿: びーぐる | 2006年7月24日 (月) 16時09分
mozart1889さん、こんばんは。バルビローリとあとビーチャムの録音がなかったら、ディーリアスは埋もれたままだったかもしれませんね。日本の夏にしみじみとあじわう音楽です。
投稿: yokochan | 2006年7月25日 (火) 01時03分
びーぐるさん、こんばんは。以前レンタカーで北海道を走りまくったときのBGMは、ディーリアスでした。それも「北国のスケッチ」。最高でしたよ。音楽を聴く時、イメージって大事です。北国はディーリアスです。
それにしても、EMI録音のムラの多さには辟易ものですよね。
投稿: yokochan | 2006年7月25日 (火) 01時12分