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2006年8月 7日 (月)

ビゼー 「アルルの女」 アバド

Imgp0669b 先週、金曜日のことだが、東京ドームのチケットを頂戴し、息子と野球観戦をした。我が親子は、「横浜ファン」なのであるが、毎年いただくチケットは、1塁側のオレンジ色に染まった席。最初はおとなしくしているが、ビールが進むと、本性を出してしまう。周りの冷たい視線とごくまれに入る青い色の同朋。同朋とは、仲間視線ビームを交わし合うが、他は目を合わさないのが基本。金曜は、4月以来の、夢にまで見た最下位脱出。嬉しいが、束の間と思うの
Imgp0686a が肝要。最後はクルーンがカッチリ3者三振で締めたが・・・・。
残る2試合を、予想通り負けて、三日天下ならぬ、一日5位。
トホホである。数年前の優勝を甲子園で体験した身としては、今年の不甲斐なさにはホトホト参っている。
 おまけに、高校野球でも「横浜高校」は奢りすぎで、初戦敗退。
今年は、もう野球はこれにて、おしまい。

Abbado_bizet それはともかく蒸し暑い。西には台風が近付いていて不穏な雰囲気。
そんなイヤな気分を吹き飛ばすように、ジャケット写真のような陽光溢れる「アバドのアルルの女」を取り出した。

文豪ドーテの原作品は「アルルの一農村を舞台に、闘牛場で知り合った女に惚れた青年が、家族に猛反対され、かわりに清純な娘と婚約する。しかし、彼はくだんの女が忘れられずに、嫉妬のあまり自殺する」という陰惨な小説。
 そう、「カルメン」も似ているし、まるでヴェリスモ・オペラの世界だ。
ビゼーが原作に付けた劇音楽は27曲に登るらしいが、そこからチョイスされた組曲を聴く限り、そんな生々しいドラマは感じられない。

晴れ渡った青い空、遠く鳴る鐘、楽しい民衆の踊り、田園風景・・・、こんな絵のような、南フランスの情景を思いながら楽しく聴ける、ナイスな組曲なのだ。
ヴェリスモ系を一切やらないアバドが、「カルメン」とこの曲だけは指揮をした。
真摯に感情を抑え、音楽の持つ美しさとリズムの楽しさを素直に感じさせてくれる演奏だ。
クリュイタンスの輝きや、カラヤンの語り口の巧さはないが、流れるようなしなやかさは他の演奏からは聴けない。それでも、「ファランドール」では猛然としたアッチェランドを聴かせてくれるお楽しみもある。
ロンドン響時代の生き生きとしたアバドの記録である。

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コメント

この試合をテレビで観ていました。横浜はケガ人が多いのが痛いですね。代わりに有望な若い衆も出てきているようです。
アバドの「アルル」はよく聴きました。若々しくて華やかな名演奏だと思います。

投稿: 吉田 | 2006年8月 8日 (火) 07時48分

ロンドン時代のアバド、良かったですね。
この演奏はもちろん、ラヴェルやストラヴィンスキー、モーツァルトも良かったです。
今もよく取り出してはアバド/ロンドン響のCDを聴いています。

投稿: mozart1889 | 2006年8月 8日 (火) 09時17分

吉田さん、こんばんは。怪我人は確かに多いですね。しかし名ばかりで活躍してませんでしたが。
いかに純潔とは言え、戦力不足は否めません。が、これでよくやっているな、というところでしょうか。
的確なご指摘痛み入ります。

アバドのアルルは若々しさが最高ですよ。

投稿: yokochan | 2006年8月 9日 (水) 00時17分

mozart1889 さん、こんばんは。
ロンドン響との相性は、正直ウィーン、ベルリン以上だったですね。アバドが本当の意味で手兵と呼べたのは、ロンドン響とスカラ座、ヨーロッパ室内管と今のマーラー管にルツェルンでしょうか。

投稿: yokochan | 2006年8月 9日 (水) 00時21分

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