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2006年11月21日 (火)

ロッシーニ 序曲集 アバド指揮

Abbado_rossini














今日は懐かしいまず1枚を。
アバドが1975年にロンドン交響楽団と録音した「ロッシーニの歌劇序曲集」、ロンドン響と蜜月時代の幸せを感じさせる演奏。

  「セビリアの理髪師」 「チェネレントラ」 「どろぼうかささぎ」
  「アルジェのイタリア女」 「ブルスキーノ氏」 「コリントの包囲」

 

理髪師とチェネレントラ(シンデレラ)は、71年の全曲録音からとられていて、ちょっとズルイかな。でも演奏はそんなことを抜きにして、素晴らしすぎてウキウキしてしまう。

 アバドがアルベルト・ゼッタの改訂版で、当時よりオリジナルに近いと思われたロッシーニ演奏を打ち出す前までは、大オーケストラで過剰な響きに満ちた重ったるいロッシーニ演奏が当たり前だった。それはそれで、ブッファの伝統的解釈としてドタバタと楽しいものであったろう。
 でも、アバドの「チェネレントラ」と「セビリア」が登場した時、その清新な響きに、皆驚かされたであろう。 そしてこの序曲集は、全曲盤より広く聴かれたはずで、余分な脂肪をそぎ落とし、すっきり爽やか、軽快かつ心地よい響きに気持ちよい思いをした方も多いに違いない。今聴いても、どこまでもよどみない歌は美しく、一緒に口笛を吹きたくなるような歌心に満ちている。いわゆるロッシーニ・クレッシェンドは、弱音で歌うアバドの面目躍如たるもので、完璧に決まっている。アバドを優等生とか面白味がないという方には、チェネレントラ」序曲でも聴いていただきたい。いつ幕が開いてもおかしくない劇場の感興に満ちている。

Abbdo_rosiiini  








ジャケットもセンス溢れる素敵なものだった。最近国内廉価盤で、オリジナルが復活した。これが1000円で買えちゃう、嬉しいけれど、複雑な気分。こちらは、私の持つ再発レコード。2000円でも廉価盤だった・・・・。

Abbado_rossini_rca









1978年にどうしたことか、RCAにロンドン響と録音したロッシーニ。
 「セミラーミデ」 「絹のはしご」 「イタリアのトルコ人」
 「セビリアの理髪師」 「タンクレディ」 「ウィリアム・テル」
規模の大きな序曲もあり、録音もキングスウェイ・ホールでRCAということから、こちらはやや響きが壮麗。でも小気味良さは変わらない。

Abbado_rossini_eco








1989年若い手兵「ヨーロッパ室内管」と再び録音。
 「セビリアの理髪師」 「セミラーミデ」 「アルジェのイタリア女」
 「ウィリアム・テル」 「チェネレントラ」 「絹のはしご」 「どろぼうかささぎ」
実に3度目の録音もある、このCDは前2作をミックスしたような選曲。
テンポも速まり、小回りのより効いた自在な演奏。鮮度はやや後退したが、若い演奏者たちとのコラボを楽しんでいる様子が目に浮かぶ。

最近のロッシーニ演奏が、どういう状況にあるか、私には不明だが、これらのアバドの演奏はひとつのスタンダートであり、トスカニーニやカラヤン、ムーティらとも全く異なった個性的な演奏だと思う。

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受信: 2007年1月14日 (日) 10時26分

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