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2006年11月26日 (日)

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 C・リカド&アバド

Rachmaninoff_p2_licad_abbado 久しぶりに音楽に戻ってきた。日曜の夜10時。
出張や実家への所用などでまともに音楽が聴けず、記事更新も間が空き音楽渇望状態に陥ってしまった。次週もこんな感じだからどうしよう・・・。

そんな訳で、リング・シリーズも完結する時間がないし、シュトラウス・オペラ・シリーズもダメ。 だめ? ん? NO?  のだめ? じゃん・・・。
あの手の最新流行に極めて奥手のわたし。まず娘が友達から漫画を借りてきた。
何気に手にする父。「なにこれ、おもしれーじゃん」。 テレビも私以外が笑って見ていた。
半信半疑で見てみた。「ひゃひゃひゃっ・・・」、家族の誰よりも笑う父。

かくして、わたしも毎週月曜9時を楽しみにするおじさんとなった。

音楽渇望を短時間で埋めるには、コレだ!! とばかりに取りいだしたるは、「ラフ2」こと「ピアノ協奏曲第2番」だ。ラフマニノフ好きの私にとって、「ラフ2」は「交響曲」であるが、コンチェルトも2番だったのね。「ソナタ2番」もいいし、過度に失敗を恐れるラフマニノフにとって、失敗と思い込んだ1番の諸作より、2番の方が自信に満ちた傑作となったのも頷ける気がする。

ともかく歌と美しい旋律に満ちた音楽。映画「逢引」に使われ皆を陶酔させたこの音楽の魔力は、今となっては「のだめカンタービレ」の楽しい世界にとってかわられた。
あのドラマでは、連綿たる抒情ややるせない恋情というより、音楽の楽しさやそこに打ち込む情熱がこの音楽によって表わされているように思う。(後続のドラマがどうなるか、知らないけれど・・・・・)

1楽章の鐘を打つようなピアノの打鍵のあと訪れる荘重かつ豊かな歌、2楽章の甘い連綿たる歌、3楽章の技巧の限りを尽くしたピアノの飛翔と大きく息づくロマンテックな歌。
何度聴いてもいい曲。エンディングの「ジャンジャカジャン」は、毎度お馴染みでも。

ピアノの「セシル・リカド」は、フィリピン生まれ。音楽家の家系に生まれピアニストになるべく育てられ、アメリカに留学後、「ゼルキン」「ホルショフスキ」「リプキン」に学んだ本格派。
1983年に「アバドとシカゴ響」との共演後、このCDは録音された。
若々しく、まさに若鮎のようにしなやかで、生き生きとしたピアノ演奏だ。考えたり、とどまることがなく、音楽は前のみを向いて進む。伸び盛りの若さの特権だろう。
完璧な技巧のもとに、歌いまくるところも万全。気持ちのいいピアノ。
 サポートする「アバド」も、歌うことにかけてはひけをとらない。マーラーやチャイコフスキーのシリーズで相思相愛だったシカゴ響がガンガン鳴らずに、柔軟で精緻な響きを聞かせるのもいい。後年、ベルリンでの「ジルベルシュタイン」との共演より、私は好きだ。

テレビでは、「アーノンクールのモーツァルト」をやっている。こちらはビデオ撮りし、今夜はラフマニノフに熱中しよう。

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コメント

ラフ2、何十年前にテレビでハリウッド映画(題名は覚えていませんが)をみて以来の愛好曲です。ヴァイオリニストの元彼(彼が演奏するのはチャイコン)から若いピアニストの男と結婚するものの、元彼と妻の不倫疑惑に苛まれて、酒に溺れる。彼を立ち直らせるため、妻は一生懸命練習させ、亭主はステージに登らせる。その時点でヒロインは密かに別れていこうと決意していた。だが、演奏会当日、亭主の弾くラフ2の演奏に段々と心が揺さぶられ、元の鞘に戻っていく・・・。確かこんなストーリーだったような。
その綿々たる歌の何たる感傷的なことよ。だからハリウッド的といわれるんですね。ついでながら、同じく交響曲のほうのラフ2はポップスのメロディに採りいれられましたが(バリー・マニロウ?)。
で、僕のお薦めは旧いところでリヒテル、新しいほうではツィメルマンとルガンスキーです。

投稿: IANIS | 2006年11月26日 (日) 23時28分

IANISさん、こんばんは。ラフマニノフは晩年アメリカで不遇を過ごしただけに、よけいにハリウッドと結びついて、お堅い日本でのイメージは過去、芳しくなかったですね。今はこうした音楽にしっくり来る聞き手が多くなりました。私もそんな一人で、いつ聴いても盛上ります。
 交響曲の編曲は「エリック・カルメン」ですね。バリー・マニロウと似てますよね、確かに。

PS)HP更新、拝見しました。素晴らしい表現をじっくり読ませていただき、1ヶ月前の感銘が蘇える思いでした。

投稿: yokochan | 2006年11月27日 (月) 00時25分

おおっ、セシル・リカドですか。久しぶりだなァ(笑)以前、EMIに確かナージャとのブラームスのソナタか何かありましたね。あれ買い損ねて悔やんでいます。NAXOSからゴットシャルクのピアノ作品集が出てますがこれはいいですよ。おススメです。まだお持ちでなかったらぜひ!

投稿: einsatz | 2006年11月27日 (月) 00時47分

yokochanさん、おはようございます。
セシル・リカドは懐かしいですね。一時、よく聴いたものでした。
おっしゃるように、歌うラフマニノフになっているのがイイですね。アバドのサポートも素晴らしいと思います。
今日は月曜日、ワタシも「のだめカンタービレ」を楽しみに帰宅するオイチャンになっております(^^ゞ

投稿: mozart1889 | 2006年11月27日 (月) 05時53分

einsatzさん、こんばんは。リカドは見かけないと思ったら、ナクソスでコットシャルクですか。なんか良さそうですね。是非聴いてみます。

投稿: yokochan | 2006年11月27日 (月) 23時25分

mozart1889さん、こんばんは。リカドは当時、アバドにプレヴィンを得て飛ぶ鳥でしたが、いつのまにか名前が聞かれなくなってしましました。
einzatzさん情報だと、ナクソスに録音があるようですね。

今晩も、「のだめ」、楽しかったです。のだめチャンはかわいいです。
ああ、オヤジですな。

投稿: yokochan | 2006年11月27日 (月) 23時29分

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