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2007年1月 5日 (金)

ディーリアス 「田園詩曲」 バルビローリ

Ninomiya_sea 正月も早や5日、私は今日から仕事開始 。
この正月は、久しぶりに実家でのんびり出来ました。
連日の小春日和で、過ごしやすい正月。朝の海も陽光うららかに輝いていて、とても眩しく、日の光と海の輝きのシャワーは、とてもバカチョン・デジカメには収めきれません。
ドビュッシーの「海」を頭の中に思い浮かべながら、浜辺をしばし散策。こんなのんびりした気分って大事だなぁ、なんて思っていたら、「エイ」の赤ちゃんが、打ち上げられていた。こんなにちっちゃいのに、エイしてる。
Ninomiya_sea_ei

今年も、「箱根駅伝」を見物し、「川崎大師」にお参りして、無宗教的に屋台C級グルメで一杯。

Ekiden_3 Kawasaki_daishi_1  今年の駅伝は、箱根の山の坂を制した「山の神」がいる「順天堂大」が見事優勝した。車でさえキツイのに、あの坂をあんな風に駆け上がるなんて・・・・。
地元「神奈川大」は、「東海大」と並んで、声援が大きいが、繰り上げ出発で「たすき」が途絶えてしまった。
選手の人生には、あまりに無常なひとコマ。こんな涙を誘うドラマもある「箱根駅伝」には、感動しっぱなし。
間近に見る選手達は、小柄で華奢。どこにパワーを秘めているのか?

Delius_idyll_barbirolli_1 さて、今晩は最愛のディーリアス。それも作者70歳の最後の作品。
献身的に仕えた「フェンビー」の協力を得てはいるが、パリ郊外フォンテーニュブロウの森の奥、グレ=シュールロワンの隠れ家での文字通りの「白鳥の歌」となった。
1933年、ロンドンにて初演。74年前のこと。

オーケストラにバリトンとソプラノの独唱を伴なう「牧歌=Idyll」。
ディーリアスが生涯愛した「ステュワート・ホイットマン」の「草の詩」に原典を求めている。
この詩集は岩波文庫でも出ていて、かなり前に入手し時おり開いているが、自然と人間、人間の男と女、そんな要素が入り組んで、かなり自由な詩集と感じた。

ディーリアスの茫洋とした世界にピタリと寄り添うような詩が多い。

この作品の内容の一部はこんなだ。
「かつて、私は人の多い都会をとおってさまざまな光景を脳裏に刻み付けてきたが、今私の記憶に残っているのは、私に対する愛から私を引きとめた、ゆきずりの女だけだ・・・、」
こうした二人の切々とした対話で、愛らしくも官能的な音楽が進められる。

この二人の出会いと愛も長くは続かない。「酒とバラの日々は長くは続かない」
「すべては終わり、永久に過ぎ去ったが、愛はいつまでも変わることはない」

こ~んな甘い内容、でもディーリアスが付けた音楽は、官能に後ろ髪引かれつつも、淡いパステル・タッチの人間と自然への賛美に聞こえる。

バルビローリの唸り声も豊かに録音されたこのCDは、1956年のもの。
初演から23年、今から31年前のもの・・・・・。
このフレッシュなバルビローリの感性に感激。
まだ多くはない、この曲の録音の最高の演奏だと思う。

  S:シリヴィア・フィッシャー  Br:ジェス・ウォルターズ
 
  サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団

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コメント

TBさせて頂きました。
私もこの曲めっちゃ好きです。英国音楽で一番好きかも。このバルビローリ盤は最高ですが、イギリスでも地味~な指揮者メレディス・デイヴィス盤もぜひぜひ・・・という感じです。指揮もサー・ジョンと違う良さがあるし、シャーリー=カークが渋くてまたよいのです。

駅伝はテレビで見ていました。意味もなく応援していた東洋大が、最初は2位だったのにどんどん落ちていくし、諸行無常とはこのことです。選手たちの気持ちを思うと、かわいそうで見ていられません。曙もそろそろ格闘技をやめたほうがいいと思います(?)。

投稿: naoping | 2007年1月 6日 (土) 12時49分

正月のディーリアスはのんびりゆったりで良いですね
って何時でも良いんですが(^^♪
この曲案外ディスクが少なくて、私はM.デイヴィス盤です。

投稿: びーぐる | 2007年1月 6日 (土) 20時31分

naopingさん、こんばんは。TBありがとうございました。
すんません、既に取上げられてましたね。
どうも嗜好が近いとカブリますね。
実は、メレディス盤もLP・CD持ってます。あの無宗教的な「レクイエム」とのカップリングですね。
この曲は、少し離れてるとまた聴きたくなります。歌入りというところがまた、イイです。

投稿: yokochan | 2007年1月 6日 (土) 21時50分

びーぐるさん、こんばんは。
正月の音楽なし生活の渇きを癒すために、取上げたディスクです。
このCDは、ディーリアスのほか、バックス、バターワース等たまらない選曲なのです。
M・デイヴィス盤も聞きますよ。あと、ヒコックスが録音してたはずです。

投稿: yokochan | 2007年1月 6日 (土) 21時53分

こんばんは

生誕150周年記念BOXを少しずつ聞いていますが、
最近田園詩曲を初めて聞きました。
メレディス盤ですが、いいですね。最晩年で、再び、
初期のような比較的メロディアス?な曲調になっている
のかなと思いました。

 一般のクラシック評論家たちがあまり評価しないのは
なぜなのでしょう。バルトークとかショスタコービッチあたりは評価高いのに~確かに、内容の濃い曲を書いていると思いますが、繰り返して聞くにはなれない作品群です。それに対してディーリアスの音楽は毎日でも聞いていたい思いになります。

 ディーリアスの音楽は、映画のBGM的な評価を受けているのでしょうか。確かに、そんな感じもしますが、
ギリギリのところで、単なるBGMとは一線を画していると思います。それがいいんですね。

バックスもnaxosのCDを一つ持っているだけですが、
良い曲があったら、教えてください。

また、お邪魔します。


投稿: udon | 2012年3月 4日 (日) 21時46分

udonさん、こんばんは。
田園詩曲のメレディス盤は、わたくしも愛聴しております。
しばらく遠ざかってましたが、ディーリアスイヤーの今年、記事にも再度取り上げてみたいと思います。

評論家筋に覚えがあまりなくても、わたしは、その方が嬉しくおもったりしちゃいます。
あんまり誉めそやされるたぐいのディーリアスの音楽ではないですし、自分でブログ記事書いててなんですが、こっそり聴く系の音楽なものですから・・・。
感覚系のディーリアスの音楽は、受け止める人によってさまざまですね。

そして、バックスもディーリアステイストを持った孤高の人に思います。
3楽章形式の7つの交響曲はいずれも大好きです。
あらゆるジャンルに作品がありますが、かっこよくてミステリアスな雰囲気が存分に味わえる交響詩がいいかもしれません。
「ティンタジェル」「ファンドの園」「11月の森」などがお薦めの曲です。
機会がございました是非ご確認ください。

投稿: yokochan | 2012年3月 5日 (月) 20時37分

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受信: 2007年1月 6日 (土) 08時59分

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