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2007年3月 5日 (月)

ディーリアス ヴァイオリン協奏曲 ホームズ&ハンドレー

Delius_vncon 日曜から今日にかけて暖かかったですな。
もう春なんでしょか?おまけに嵐のような低気圧が列島を駆巡るし。
ちゃんと私もほろ酔いで、逆さ傘のずぶ濡れに合い、ぼろ雑巾のようになってしまった。

でも気温がゆるいから、なんとなく気分がよろしい。

よろしいついでに、ゆるめの「ディーリアスのヴァイオリン協奏曲」を聴きましょう。

ディーリアスは今でこそ、ビーチャムやバルビローリのCDに代表される、愛らしいオーケストラの小品がひっそりながら、日本の音楽ファンの心をつかんでいるが、私が中学生の頃、その名前さえ言うのがはばかられるくらい、知られざる作曲家だった。

私のディーリアスとの出会いは、すでに何度も書いたが、もう30年以上も前だから、まさにノスタルジーの域に達していて、当時はワーグナーに明け暮れ、デーィリアスに憩い、プッチーニに惑わされる変な中学生だった。

評論家の三浦先生や出谷先生の著述を漁るように読んだのもその頃。
そうした思い出が、懐かしさとして思い起こされ、繰り返されるのが、またディーリアスのディーリスたる由縁。ノスタルジーの連鎖であろうか。

そんなディーリアスのヴァイオリン協奏曲は、1916年、作者54歳の作品。
戦火を逃れ、ドイツからロンドンに渡ったディーリアスは、メイ&ビアトリスのヴァイオリンとチェロの姉妹二重奏を聴き感銘を受け、姉妹を前提に、このコンチェルトや二重協奏曲、デュプレで有名なチェロ協奏曲が書かれた。

だからイメージは3曲とも、似通っているが、このヴァイオリン協奏曲がいちばん形式的には自由でラプソディーのような雰囲気に満ちているように思う。
全曲が25分あまり、単一楽章で、明確な構成を持たず、最初から最後まで、緩やかに、のほほんと時が流れるように、たゆたうようにして過ぎてゆく。
評者によっては、曲を細分化して、その構成力を評価するらしいが、私にはそんな区分は無意味に感じる。

こうしたゆるさ、はっきりしない境界線の曖昧さこそが、ディーリアスの魅力なのだから。
いつも酒を飲みながら思う自分の優柔不断さ。
こんな自分に、つかず離れず、適度に付きまとってくれるのが、ディーリアスの音楽。
嫌いな人は嫌いなんだろな。

1984年、47歳で亡くなってしまった、英国名ヴァイオリン奏者「ラルフ・ホームズ」のソロに、名匠ハンドレーの指揮が素晴らしく詩的な演奏を聞かせる。
もうこのCDを購入して20年が経つ、これまで何度聴いたかわからない。
何度聴いても、明確な旋律線を見出せず、私の耳と心は、ディーリアスの世界にただようばかりだ。

ほかに、メニューインとM・ディヴィスの演奏もあり、こちらは少し演奏者の意識が見え隠れしてしまう。

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コメント

さまよえるクラヲタ人様、はじめまして~。

ディーリアスについて検索していたら、こちらのブログに到達しました。ん~、この輸入盤が紹介されているとは~、すごい!のひと言。しかも、中学生からのディーリアンとは~。クラヲタ人様、ただ者ではありませんねぇ~。

このCD僕も所持していましたが、数年前に手離してしまいました。曖昧模糊としてリリカルなホームズのソロに、絶妙に付けていたハンドリーの指揮~!ああ~、手離すんじゃあなかった!

投稿: Warlock Field | 2011年11月16日 (水) 20時14分

Warlock Fieldさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
ハンドルネームが、ただ者ではありませんね!
ウォーロックは、まだあまり取り上げてませんが、「たいしゃくシギ」には心奪われております。

ディーリアスとの付き合いも長いですが、どの曲も、いずれの季節に聴いても、わたしを思い出へと誘ってくれる素敵な音楽ばかりです。
このヴァイオリン協奏曲もそうですね。
ホームズ&ハンドリー盤は、理想的な演奏に思います。
再度、手にされますこと、お祈りしております。

投稿: yokochan | 2011年11月17日 (木) 00時42分

こんばんは~。さて、僕のハンドルネームに拝借している、ウォーロックさんですが、実は弦楽のためのセレナードと、カプリオル組曲しか聞いたことがありません。でも、前者の~パステル調の穏やかな英国紳士の憂いと微妙な心の移ろい、後者の~バロック調の典雅な佇まいと音調が、たまらなく好きなのです。

ディーリアスに私淑していたという、P.ウォーロック~彼の人生と作品の数々を、いつかご紹介して頂けたら、小生これに勝る喜びはございません。

投稿: Warlock Field | 2011年11月17日 (木) 20時20分

Warlock Fieldさん、こんばんは。
ウォーロックは、変幻自在の多面的な顔の持ち主ですね。
「たいしゃくしぎ」はミステリアスな音楽で、かんぜんにアッチの世界に行っちゃってます。
今度とりあげますので。
でも、記事にしにくいのですね。
手持ちCDの英盤は、歌詞すらついてないので困ってます。

投稿: yokochan | 2011年11月18日 (金) 00時34分

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